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「違法ダウンロードの違法化」なんて絵空事言ってるとロシア人に全部抜かれるぞ

著作権に関して最近見た記事に関するもろもろ雑感


著作権に関して最近見た記事に関するもろもろ雑感

最近のMiAUは成功したのか失敗したのか、「違法ダウンロードの違法化」(これって文法的におかしくないか?)は妥当なのか妥当でないのかなんて議論にはからきし興味がわかない。
興味はないというよりは興味はありすぎるほどあるのだが、あまりにも外し過ぎていてまともにコメントする気が起きないような論がまかり通りそうなのがすごい。

これも経産省の「PSE」と同じ運命を辿るのではないかという気がする。
なぜなら「違法ダウンロードの違法化は違法か?」(絶対これって文法的におかしいと思う)なんて議論をする前に法律の専門家にきちんと相談した方がいいと思うのだが、今の文化庁がいうことを実現すると特高警察の再来に歯止めをかけるために整備された今日の民主六法の精神に真っ向から挑戦するような内容になってしまう気がする。
それとももうそういうのはどうでもよいという世の中になったのだろうか?
いずれにしても文化庁の法律にもITにも疎いようなお役人の作文でこんな重要法案が通ってしまうとしたら、著作権のあり方がどうとかいうよりもそのことの方が怖いと思う。

それで気になるのは著作権の談義になるとみんな冷静さを失うことだろうか。
Macユーザーは有料音楽配信を積極利用 - CD購入もWindowsユーザー上回る | ネット | マイコミジャーナルという記事を見ていて、こういうメジャーなジャーナリズムでも変な論を展開することに不思議さを感じた。

記事を抜粋すると、
「同レポートによれば、iTunes Storeなどの有料音楽配信サービスを同四半期中に利用したことがあるという回答者は、Macユーザーの約半数を占めたのに対して、Windowsユーザーは16%に過ぎなかった。」

「楽曲をMP3プレイヤーに転送するという利用スタイルの割合も、Macユーザーは、ほぼWindowsユーザーの倍に達したという。」


それで同社アナリストのRuss Crupnick氏は
「デジタル音楽を楽しみつつ、CD購入にも積極的なMacユーザーが多いとは、デジタル音楽の利用者増加がCD販売の低下につながるとの説が真実でないことも示唆する」
とのたもうたそうだ。

mp3を購入するMacユーザの比率はWindowsユーザの倍だとなぜ「デジタル音楽の利用者増加がCD販売の低下につながるとの説が真実でない」ということの根拠になるのだろうか?
この統計の読み方は絶対に変だ。
この統計から読み取れることは
「MacユーザはWindowsユーザと比べて音楽好きかもしれない」
ということと
「ドザにはやはりワレザーが多いかもしれない」
ということだけしかないと思う。
この統計をどうひっくり返しても上の2点以外のどういう種類の結論も引き出すことができない気がするのだが、オンライン販売すらも厳しくコントロールしようとする著作権関連団体と音楽業界の姿勢に不満を感じる人が思わずこういう記事を書いてしまったのかもしれない。

昨年だか「ヤバい経済学」という本がプチヒットして、この本は実際にはこういう統計の読み方で全ての事象は真逆の結論を引き出せるということが書いてあった気がするが、これは真逆の結論というよりは単なる飛躍か。
著作権見直し論者だって文化庁と同じでこの問題に触れると冷静でいられないのかもしれない。


例年のように年末になるといろんなところで各界の識者に今年の重大ニュースなんてことを聞く特集を始める。
こちらの
識者が選んだ07年IT10大ニュース?トレンド-ITスタイル-IT-PLUS
もそういう記事だったので何の気なしに読んでいたが、「慶応大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 准教授
エイベックス 取締役 岸 博幸」氏の
「JEITAやMIAUなどの見解に明らかなように、コンテンツを作る側に対する思いやりのかけらもないような言動も目に付いた」
というコメントにもがっくり。

別にいいのだけど、コンテンツを作る側に対する思いやりというのなら、今まで自作曲のマスターを作るためだけにDATやCD-Rを利用してきたのに、それに「私的複製の調整金」を支払わされてきた私へ思いやりは誰が発揮してくれるのだろうか?

DATで他人の音楽を複製したことなど一度もないのに、今まで使ってきた機器にもテープにもすべて「調整金」という税金がかかっていた。
文化庁に申請したら返金してくれるのだろうか?
そんなことを言っているから「ネットという流通側とコンテンツの制作側の間の相互不信」がますます深刻化するんじゃないか。


違法ダウンロードの違法化の件で気になるのは - *mohri++というブログのエントリに思わず「ナイス!」と相づち。

結局こういうことにしかならないと思う。
「要は国内コンテンツが国内で消費されてなんとか食えてるというこの状況を保全したいだけ」

「そこでは日本のアニメの海賊版を中国人がリップしてBT共有してロシア人がダウソしてるみたいな国際的規模のファイル共有はぜんぜん視界にはいってなくって、国内のチマチマしたアプロダを潰して回るみたいなことが想定されてるだけのような…」

おっしゃる通りです。
この人達にはネットに国境は意味がないということの意味が全く分かっていない。
だからネット特高みたいなことを大まじめに考えている。
どうせこの人達は自滅するんだから好き勝手にやってもらいたいのだが、その延命のために無関係な情報産業やその他の世界に大迷惑をかけるのだけは止めてもらいたい。
このことは他でも書いた。




2007年12月27日













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