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本当に考えるべき魅力的なブログ(webサイト)を続ける8つのコツ

よくあるアドバイス記事は大抵嘘っぱち



本当に考えるべき魅力的なブログ(webサイト)を続ける8つのコツ

最近立て続けに「アクセスアップ術」みたいなことを書いたサイトを見つけて、相変わらず書いてあることが「アクセスアップのために毎日更新しましょう」みたいなたわけた記事だったりする。
こういうのを真に受けて実行してくじけて消えていくブログが死屍累々とインターネットには積み上がっている。

今までこういう話題は書いたことがなかったが、私なりに考えることはちょっと違う気がしたので書いてみたくなった。

この手の「ブログをアクセスアップするための◯つの方法」なんてエントリ(◯に好きな数字を入れてください)に書いてあることは大抵こうだ。

「毎日、どんなに少なくてもいいから更新しましょう」
「主語を明確にしましょう」
「pingを打ちましょう」

これ自体は別に間違っているとはいえないが、しかし「毎日更新するためにどうしたらいいか」が大変なのに、「毎日更新しましょう」なんてアドバイスは、何か失敗した人に「失敗しないようにしましょう」というアドバイスを垂れるのと同じことだ。
意味がない。


私なりにコツというか、私なりに気をつけていることをいくつか。
すっかり廃れた「◯◯するための◯つの方法」という数詞スタイルで書いてみる。


1)気になったwebの記事を保管する方法を工夫する

ブログを毎日更新するには、毎日更新するネタが必要だ。
実は全ての正否はここにかかっているといっても言い過ぎでないくらいで、このネタをどこで集めてどうやって整理するかが、何かを表現する時の正否になると思う。

今は図書館に行って調べものをしなくても、webでググればかなりのネタを拾えるようになった。
便利な世の中になった。
ただ、webで拾えるネタはあくまで素材に過ぎない。
そこに書いていることを引き写すだけでは、「自分のサイト」はできない。
今は読者も書き手と同じくらいwebでググってからサイトに来ているので「引き写し」「まるパクリ」は読者にバレバレだ。
「このサイトは気になる他のサイトの記事の備忘録だ」
というポリシーならいいが
「私の意見だ」
なんて前置きして、有名サイトのオピニオン丸写しをしているのは読者の共感は得られないしカッコわるい。

webで集めてきたネタを整理して、自分なりに組み立てを考えて再構成する作業が必要になる。 この時にwebで集めてきたネタの整理法が問題だ。
以前はブラウザのブックマークを利用していたが、この方法だと本当にずっと置いておきたいブックマークとの区別が段々曖昧になって散らかっていく。
しまいにブックマークしたきり一度も開かないページも出てくる。
ブックマークはやはり、しょっちゅういくところにしたい。

私がやっているのはweblocをロケータファイルで保存するという方法だ。
SafariならURLウインドウのファビコンをデスクトップにドロップするだけでweblocファイルが生成される。
このファイル名に「何が気になったか」簡単にメモを追記してネタ箱のフォルダにどんどん放り込む。
すぐに書きたいネタもあれば、しばらく置いているうちに熟成してくるネタもある。
いつまでも成果に結びつかないものもある。
そういうものは2〜3ヶ月に1回くらい整理して捨ててしまえばいい。
私はこれで頭を整理している。

要は自分なりの整理術を持てばいいと思う。
ネタが埋もれてしまわないような、忘れてしまわないような工夫ができていればどんな方法でもいいと思う。






ネタの整理にはweblocファイルを使う
webの気になったページはこういう形で記録してネタ箱に保存する



2)「書を捨てて街に出よう」

webサイトを運営している人達が犯しがちな失敗は、部屋に籠って一人でモノを考えて一人で自己完結してしまうということだ思う。

なかにはすばらしいひらめきを持った人もいて、それでもそれなりに面白いサイトを書ける人もいるかもしれない。
でもそういうものは時間の問題でマンネリ化する。
自分の過去の思考をたどるだけになってしまうからだ。
表現を常にビビッドな感情で続けるには、時には自分の確信や思考を否定しなくてはいけないような刺激が必要だ。
自己否定のないところには進歩もない。

「書を捨てて街に出よう」
は70年代に流行した有名な劇作家の言葉だ。
頭でっかちにモノを考えないで、もっといろいろなものを見て考えようということだ。
この言葉は私には重要だと思える。
刺激は常に外にある。
自宅や会社の中には無い。

パソコンが唯一の社会を覗く窓だとしたらやはり自己完結の罠にはまる。
インターネットから世界を知ることができるといったって、検索ワードは自分の思考から出てくる。
やはりリアルで世界を体験して、インターネットはその体験を補強するための道具とするべきだ。

街に出てモノを見るべきだし、第一人者という人の話は乞うて聴きにいくべきだ。
聴けば違う考えが浮かんでくる。
webサイトの材料は常に実体験の中にある。
観念的な思考だけでは続かない。

ただしこの言葉の危ういのは
「本なんか読むな」
と誤解されそうなこと。勿論そういう意味ではない。
本は充分読んだ上で、外に出ようという意味だということに注意してほしい。
でなければわざわざ、「書を捨てて」なんて断る筈がない。


3)ルールを持つ

サイトはポリシーを持っているべきだと思う。
これは読者に伝わる場合もあるし、伝わらないが書き手の自己規律として守っているべきルールということでもいい。
そういうものがはっきりしていると、何かに迷った時に判断がしやすいし早い。
そういう考え方がはっきりしている方が、「今日は何を書こうかなぁ?」なんて迷っている時間が少なくてすむ。

日常の起こったことを日記的に書いているサイトもいまだに多く見かける。
それ自体は別に悪いことではないと思うが、「何を書いてもいい」というルールにしてしまうと逆に書くことが無くなってしまう。
話題は絞り込んだ方が書きやすいし、書きたいことが手許に集まってくる。
だからテーマは具体的に絞り込んだ方が良いと思う。

例えば当サイトのメインコンテンツ部分は、Macについての話題に絞り込む、と決めている。
Macについて書くのだが、これだけではまだ漠然としている。
そこで当サイトはニュースサイトではないと規定する。
Macを実際に使用するにあたって日頃感じている問題点、トラブルの対処法、オンラインウエアなどの活用法などを使い手は知りたいに違いない。
だからそれを書こうと決めた。
そのためにルールを決めた。

a)うわさ、ニュースは扱わない
b)実体験に基づいた話以外は書かない
c)ビジュアルを優先する

うわさ、ニュースは専門サイトにお任せして、こちらはそういううわさの新製品やアプリケーション、外部機器などを実際に手に入れた時にそれをどうやって活用するか、何に使うかを紹介しようと思った。
特にオンラインウエアはその機能の説明も重要だが、それを入れて何に使えるか、何に役に立つかを考えて紹介する必要があると考えている。

だから上記の3つのルールになった。
「◯◯に使えそう」という想像でなく、実際に使ってみて「◯◯したい時に役に立つ」という検証を自分でした方が良いと思う。
だから「ビジュアルを優先する」というのはデザインを凝るという意味ではなく、キャプチャーを多用して具体的に説明するということをスタートした時から考えていた。
アプリの説明で、文章で「右のボタンが・・・」とか書かれるよりもキャプチャーを見せて「青いボタンが・・・」と説明する方が分かりやすいと思うからだ。

「IT用語辞典」も一般的な用語解説に陥らないように、全て自分の実体験と絡めて書くというルールにした。
それが「知らないことは書かない」という抑止力にもなる。

もうひとつ重要なルールがあった。

d)褒めることができないものは取り上げない

これは重要。
あるアプリとか機械のレビューを書く時
「クソの役にも立たないクズ同然。こんなもの作ったヤツの気がしれない」
なんて批評を書くのは時間と労力の無駄。
しかもそれを読む読者にとっても時間の無駄。
それよりは「これはこういう部分が良い」「この長所はこういう局面で役に立ちそう」という情報を得る方が有用だと思う。

お互いの貴重な人生の時間と労力を浪費しないためにも、ここでは褒めることができるものしか取り上げないというルールにしている。


4)計画を持つ

計画性は必要だと思う。
特に毎日更新をするんだったら、私の場合週明けには月曜と火曜に関しては何を書くかぐらいは決めてからかかる。
ただし水曜以降の予定まで決める必要はない。
ある程度見通しは持っていても、ずっと先の予定まで決めてしまうとビビッドさが無くなってしまうので水曜から先はその時にまた考えるというくらいにしておく。

だから計画は3つ先、4つ先あたりまで。
それより先の計画まで溜め込んでしまうと頭が混乱してくる。
同じ理由で

5)計画にこだわらない

というのも私のルール。
月曜火曜のネタ決めくらいはして一週間は始めるが、急遽思いついたことがあれば月曜の最初のネタを素っ飛ばしてもそちらを優先する。
ちょうど今がそれに当たっている。
今週はこういうことを書く予定ではなかったのだが、急遽予定を変更してお伝えしている。


6)文章は一気呵成に書く

これも同根の話なのだが、文章はビビッドさが大事。
だから文章はいつも一気呵成に書く。

私の場合サイトの更新記事を書く場所は、朝晩の通勤電車の中だ。
始発駅だからそんなことができるのだが、この朝晩の数十分が集中できる時間だ。
文章の書き方は、何かを思いついてもいきなり書き始めない。
一応、文章の展開と落としどころくらいは見えてから書き始める。
ディテールを先に思いついてから、全体を構想することもある。
どちらにしても、何か見えてから書き始める。

ただし書き始めたら後は休まずに一気に書く。
文章は勢いが大事だと思う。
だから一言一句推敲しながら書くということは私はしない。
多少の誤字脱字も後でまとめてチェックするということで突っ走る。
文頭と文末で主語と述語が合わない場合も気にしない。
とりあえず書きたいことを書きなぐる。

そして書き終わった後で、じっくり時間をかけて推敲する。
ここでは細かく見ていくし、文法的におかしい文章は必ずあるのでここで大幅に直すこともある。
直すこともあるが、文法を気にしながら書くよりもこの方が文章には勢いがある。
だから文章は一気呵成に書くということを心掛けている。

逆に勢いに乗り損ねた時は、呻吟してしまう。
こういう時にはできるだけ事実だけを積み重ねて書くということで割り切って、短めの文章を心がけるが、それでも乗り切れない時にはあっさり諦めて捨ててしまう。
その話題が自分には向いていなかった、あるいは、自分は本当はその話題には興味がなかったと割り切るしかない。
そういう割り切りも必要ということで、未練がましく何回も取り出してこねくり回しても結局そういうものはうまくいかない。


7)生活を犠牲にしない

サイトの運営が軌道に乗ってくると自分の生活を多少犠牲にしても、そちらに精力を傾けたくなる時がある。
内容的にノっている時とか、読者が急激に増えている時とか、読者の反響が出てきて手応えを感じ始めている時とかだ。
しかし、そういう時でも決して仕事や私生活を犠牲にしてはいけない。
仕事は言わずもがなだが、彼女とデートの約束があるのなら、そちらも優先すべきだ。
家族サービスをしなくてはいけないならそちらを優先すべきだ。
同僚とのつきあいのお誘いがあるなら、それも優先すべき。
要するにサイトの運営のために自分の生活をいかなるレベルでも犠牲にしてはいけない。

それはそういうチャンスから得られる刺激が、またサイト更新のネタになるかもしれないし、そういうものを犠牲にして何かを得られる機会喪失をしてもいけないという意味もある。

そういう意味もあるが、もっと重要な意味はサイトの運営は必ず山あり谷ありだということだ。
ノっている時には生活を犠牲にしてもサイトにチカラを注ぎ込みたくなる。
しかしノれなくなる時も必ずくる。
いくら考えてもいい記事が書けない時はある。
また努力をしているのに読者の反響がさっぱり増えない時もある。
また読者からの反響はいつも好意的なものとは限らない。
中には非常にやる気を削いでくれる、すばらしく悪意に満ちた反響も必ずある。
そういう時にへこんでいても仕方がない。

「生活まで犠牲にしたのにその見返りがこれか?」
というふうに考えてしまうと、サイト更新の意欲が急激に冷めていくのを感じざるをえないだろう。
だから、サイトの更新は常に余力でやること、情熱は八分目でちょうど良いことを知ること、そして最初に書いたこととちょっと矛盾するのだが、動機に関しては他者に依存しないで自己完結しているべきだと思う。


8)誰かに話しかけるように書く

読者像を常に頭に思い浮かべよう。
それは身近な人物でもいい。
コメントをつけてくれる常連さんのキャラクターを想像しながらでもいい。
あるいはリアルで接触がある人物の「意見」にどうしても納得がいかない時に、その人物への反論をその人物に語りかけるように書いてもいい。

要は特定の人物に語りかけるような文章を書くとよいということだ。
そういうことを意識していると筆も進む。

当サイトを始めた頃は、Macを毛嫌いしているWindows至上主義者のような人物が身近にいたから、その人物に反論するつもりで書いた文章が相当ある。
またコンピュータ全般やITについて、私から見たら「どうも事実と違う」という自説をもっともらしく吹聴する人物もいた。
そういう人物に反論する意味で「なんちゃってIT用語辞典」は生まれた。

要は読み手は実際には読んでいなくてもいい。
そういう人物に反論するとしたら、どう書くかということを考えると、筆が重い人でもとたんに筆が進むに違いない。

これにはもうひとつの意味があって、読みやすい文章を書けるということがそれだ。

読みづらい文章というのは、紋切り型の表現が回りくどく、くどくど書いてある文章だ。
読みやすい文章は簡潔な文章で、生き生きとした表現が随所にある文章だ。
後者のような文章を書くには、教科書に書いてあるような「正しい日本語」を意識するよりも、誰かに語りかけるような文章を書いた方がいい。
これが私が意識している数少ない「文書作法」というようなものだ。



<まとめ>

以上のいくつかの項目と全く関係しないかもしれない、すっごく雑な大雑把なまとめ方をしてしまえば、
「プロセスを楽しめ」
ということだ。

サイト管理者自身が楽しんでいるサイトは、必ずしや読者にも楽しいサイトになる。
管理者が苦吟したり、ポーズをつけているサイトは読者には入っていきづらい楽しめないサイトになる。
このことは結構間違いない。
コツはサイト運営の結果を出すことに汲々としないで、その作っているプロセスを楽しんでしまえということだ。

だから、「アクセスアップのための◯つの方法」なんていうノウハウ式のコツは、結局役に立たない。
楽しければいいじゃないの。
そのうち共感を持ってくれる人もついてくるよ。
楽しむためには時にはこういういい加減さも必要なのだよ。




2008年6月16日
















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