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平日夕方のジニアスバーは人間ドラマ満載だ

GinzaAppleにて


平日夕方のジニアスバーは人間ドラマ満載だ

ことの起こりは会社で私が管理している機材のひとつのMacBook Proのバッテリーが破裂したことだった。

破裂といっても一時期のバッテリーと違って火を噴いたわけではないのだが、完全に電池のカバーが撓んで中味の電池本体が外から見える状態で、リチウムの気密が破れたら実際に発火しかねないような危険な状態だった。

それで調べたところ2006年の9月にリース契約を開始しているこのMacBook Proはこちらのバッテリ交換プログラムの対象品だということがわかった。
MacBook および MacBook Pro のバッテリーアップデート 1.2

こちらのサイトに「5月31日終了」と書いてあるのがちょっと気になったのだが、とりあえず銀座のAppleに行ってみることにした。


銀座Appleは実は2003年のオープンの時にプレスプレビューで一度来て店員と話したくらいで、そのあと2〜3回覗いたことはあったが利用したことはなかった。
正直、
「MacはWindowsとは全然違うアートなカルチャーでしょ?」
という雰囲気を建物全体、店内の様子で醸し出していて長年のMacユーザでも気後れするような感じで私には取っ付きにくい場所だったからだ。
正直、秋葉原のDOSパソの売り場にいた方が落ち着く。

2003年のプレビューの時に何に気後れしたかといえば、あのエレベーターに「行き先階のボタン」がなかったことだ。
建物は4階しかない。
エレベーターは各界に全部停まるピストン運転だ。
だから「行き先階ボタン」は必要ない。
いかにもMacをデザインしたAppleらしいエレベータデザインだ。
Macのコンセプトというのはまさにこれだからだ。
「目的階に行ければそれで良いのであって、エレベーターの操縦をユーザにさせる必要はない」
Appleがデザインするとエレベーターもこうなってしまう。
確かにその通りなのだが、エレベーターに「行き先階ボタン」がないビルは日本ではここだけだったと思う。
名古屋や大阪や博多のAppleビルもきっとそうだろうと思うが、今でも日本でそんなエレベーターを運用しているビルはこの4カ所だけに違いない。


それでジニアスバーを覗いてみると、夕方6時であるにも関わらず
「本日の予約受付は終了しました」
という表示。
破裂が判明した時にすぐに銀座に行けば良かったのだが、いろいろ時間が迫った仕事が立て込んでいて身動きができなかった。

銀座Apple自体は9時までは開いている筈だからと思っていたら、なんと予約はどんどん入っていて9時まで一杯らしい。
しかたなく1階の手の空いてそうな店員にバッテリーを見せたが、
「こういう件は2階のジニアスバーにお越し下さい」
の一点張り。
何だかAppleの杓子定規な雰囲気にはまってしまったのではないかという悪い予感がした。

店員の説明によると故障の対応は
「技術の資格を持った店員でないと対応できないと厳しく規定されている」
とのこと。
「故障の対応といったって、この場合は修理は不可能だから交換対応以外にないのではないか?」
と食い下がってみたが、
「交換も技術の対応になるので私には対応できない、2階のジニアスバーにお越し下さい」
の一点張り。


しかたなく2階のジニアスバーに行ってみると、そこで一悶着起きていた。

私と同じような事情の人らしく、何人も順番を待っている人の列の前でジニアスバーのスタッフに喰ってかかっている人がいた。

「アンタ達の対応は問題だよ!
我々は6時まで仕事をしているんだよ。
電話で予約してくださいといわれたって、私用の電話もできないんだよ。
それで6時にここに来たら受付終了しましたってどういうことだよ!(#゚Д゚) 凸
そういう対応は仕事をしている人間を全く無視しているよ!
そういうことじゃもうApple製品は使えないよ?」

脇で聞き耳を立てるでもなく、デカイ声で怒鳴っているので聞こえてしまうのだが、大体そういう趣旨のことで怒っておられるようだ。

このスタッフは他のお客さんを待たせながらこういうクレーマーに呼び止められて、彼自身も困っているようだったが、どういう対応をするか興味がわいたので見ていた。

「おお、もっともだ。もっと言え」
と内心思って聞いていたのだが、このスタッフの対応は実に辛抱強かった。
自分の待たせているお客さんに声をかけて「少しお待ちください」といったあと、別のスタッフに耳打ちをして、自分が待たせている客の対応を任せて、このクレーマーのオジサンのところに戻って辛抱強く彼の繰り言のような説教を聞いている。

それで落ち着きかけたかと見るや、部屋の隅の相談商品のあるところにつれていって、結局彼の壊れたiPhoneをチェックして、問題を解決したようだ。
このオジサンは最初は非常な剣幕だったが、最後にはほぼ上機嫌になって帰っていった。

さらにこのスタッフに担当のお客の対応を頼まれた別のスタッフも、彼のサポートをしながら聞き耳を立てていた私に気がついたようで
「どうしましたか?」
と聞いてきたので、私もすかさず鞄から例の破裂したバッテリーを見せたところ、予約がないにも関わらず
「了解しました。交換プログラム該当品かどうか調べたいので、シリアルナンバーを教えてください」
とすぐに対応してくれそうな雰囲気。

ヤルじゃない、Apple! (*゚∀゚)

Appleって「杓子定規」というイメージがあって、
「予約受付終了といったら終了なのだ。明日また来たまえ」
とか言い出しかねないイメージを持っていたのだが、最近のサポートの対応は柔軟ということらしい。
随分雰囲気が変わったんだね。
カスタマーサポートの顧客満足度が、全ベンダー中1位というのは、なんとなくうなづけた。
こういうことなら、これからも利用したいね、ジニアスバー。
でももうちょっとスタッフを増やした方が良いと思うよ。
Apple製品が最近売れてるということは、故障件数も当然増えているということだから、サポートは当然忙しくなる筈だ。
だから、ここのスタッフは雰囲気でも手一杯という感じが看て取れる。


バッテリ交換を待つ間も、隅っこでおとなしく待っていたら、正面にはやはりサラリーマン風のオジサンがiPhoneを見せて
「これはメモリリークではないか?
アップデートもできないのだが・・・」
なんて結構な剣幕で詰め寄っている。
この方はWindowsユーザのようで、Windows版のiTunesでiPhoneの管理をしているのだが、アップデートのトラブルらしい。
スタッフが
「ただいま手許のWindows機が塞がっているので検証できません」
と説明してBootCamp機の手配をするために席を外したら、この剣幕のオジサンが
「案外親切だな」
と独り言でつぶやいていた。

こちらのオジサンは「メモリリーク」とか「ファームウエア」とか
「コンピュータのことは知っているんだぞ」
風の用語がたくさん出てくる。
「Appleのソフトウエア開発の力量には疑問を感じる」
なんてスタッフに毒づいていたのに、スタッフが席を外すと上記の通りその丁寧な対応に感心したようで、結局こういうハードウエアメーカーも、こういうサポートサービスのようなソフトウエア的なことでイメージが随分変わってしまうのだなと改めて感じた。

そういう意味ではwintel陣営のベンダーのようにサポートをどんどん切って経費節減して、安売りネットブック機で価格で勝負するという行き方はやっぱり間違っているという気がする。
最近では韓国や台湾のベンダーだけでなくDellあたりでも完全にこの方向だし。
日本のベンダーはよくよくこの方向を後追いして連れ込み沈下しないようにしてもらいたいものだと思う。
どうでもいいのだが。

それと会社帰りのOLさんが本当に多いなと感心した。
OLさん達の相談は圧倒的にiPod、iPhoneのサポートだ。
Mr.マリックのような黒装束の夫婦とおぼしき男女も来ていた。
相変わらずMacユーザという人達は、正体不明な人達の比率は多い。
人のことは言えないかもしれないが。


結局バッテリーの交換プログラムは最初の悪い予感の通り、プログラムが先月末に終了していたために有償交換になってしまった。
しめて1万980円ということになった。
あと3週間早く故障してくれれば無償ですんだ筈なのだが、Apple相手に
「たった3週間なんだから大目に見てよ」
というような融通を期待する理屈は通用しなかった。

それでも「今日はムリか」と一瞬あきらめかけていたのに迅速に対応してくれて、結果的には有償になってしまったけれども新しいバッテリーが手に入ったし、小一時間ほど待たされたのだが、その間上記のように全く退屈しないような人間模様をたくさん眺められたし、気分は悪くなかった。
Apple Storeに行くなら土日ではなく、平日の夕方に行くことをお奨めする。
いろいろ面白いものを見られるよ。




2009年6月19日
















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