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ニッケーのリンクポリシーがクソなわけ
〜事情を知らないで「馬鹿じゃないの?」とか言わない方がいいと思う
〜さらに「ネット無料サービス」は永遠不変の原理ではない

linkage policy


ニッケーのリンクポリシーがクソなわけ〜事情を知らないで「馬鹿じゃないの?」とか言わない方がいいと思う〜さらに「ネット無料サービス」は永遠不変の原理ではない

ここのところ先月スタートした日経新聞電子版のリンクポリシーでネット界隈が盛り上がっていて、この話題には敢えて触れないでおこうかとも思ったけどなんとなく議論が拡散していきそうなので、思ったことを少し。

日経がどういうリンクポリシーを掲げているかは、新聞各社との比較でこちらが詳しい。
ASCII.jp:新聞社が「無断リンク」を禁止する3つの理由|編集者の眼

それで当サイトも個別記事へのリンクを張ってしまったので、場合によっては損害賠償の対象になりうるということなのかもしれない。
ポリシーの骨子は
「トップページへのリンクは可能だが各記事へのリンクは禁止、リンクは事前に許諾を、無断リンクは損害賠償請求等の処置もあり得る」
という内容で、ネット界隈では
「馬鹿なの?死ぬの?」
「ネット時代の先進メディアと言いながら超時代遅れ」
という反応が溢れている。

私自身のリンクに対する考え方は当サイトのトップに掲げているので参照してもらいたい。
私のこのサイトへのリンクは
「勝手にしてもらいたい」
というポリシーで、
「いちいち許諾なんかとる必要もない」
と思っているし、
「トップページ以外の各ページへのリンクもアンカーへのディープリンクも御勝手に」
と考えている。

また個別記事の無断転載もOKで、それどころかサイト全体をまるまるコピーしてどこかに転載したとしても気にしないので勝手にやってもらいたいと考えている。
勿論「著作権法違反だ」なんて言ってトッチメようという気も全くない。

そういう立場を取っている私から見て、このリンクポリシーをどう思うかと聞かれたら
「残念な内容」
ということになる。

でも個人サイトである当サイトと、ニッケーの場合ではやはり事情が違うんではないかな。

その事情について比較的客観的に分析しているサイトもいくつかあった。
企業のリンクポリシーが無茶な要求をする理由 水無月ばけらのえび日記

西田 宗千佳のPostscript 日経の真意

島田範正のIT徒然 日経電子版リンクポリシーのナゾ


正直言うとWEB界隈の人達はまだまだ浮世離れしているなというのが私の感想。
ニッケーがこのリンクポリシーを掲げている事情は、こういうことだと思う。

過去にニッケーのグループ会社にサイトに無断リンクを張って
「ニッケー◯◯でお馴染みの当社でゴールド投資を!」
という宣伝をしていた投資ブローカー会社があった。
これも一度ではなく複数あった筈で、ニッケー本体のサイトにリンクしたところもあったかもしれない。

その手の投資会社は
「ニッケーグループ推奨の金で大儲け!」
「ニッケー推奨のFXで確実に儲かる」

というような売り文句で、サイトに直リンクを張っただけでなく無断でニッケー関連のロゴを使用したり、悪質なところではグループ会社の放送に顔出ししていた女性キャスターを「投資セミナー」の司会進行に使ってみたりしていた。
(投資セミナーというのも名目で実態は客を呼び込んで金や外貨先物を売りつけるセミナー商法)

このリンクのされ方が、まるでニッケーが全面的にこの投資ブローカーをサポートしていると誤解されるような内容だったので、総務省から「注意喚起」まで出てしまったり、結構な騒ぎになったことがある。


このリンクポリシーを見ていて最初に思い出したのはこの騒ぎだった。
おそらくこれは、こうした悪質な業者を排除する根拠を残しておきたいということだと思う。
一般の人はどれくらいご存知なのかよくわからないが、投資界隈方面ではまだまだこういうゴロツキみたいな連中が大勢いて、こういう連中が大手メディアをなんとか利用してやろうと手ぐすね引いている。

だからこのニッケーのリンクポリシーはお世辞にも褒められるような内容ではないが、ある程度仕方がないという事情も理解できる。
そのために紙面上では右クリックまで禁則にするとかは過剰防衛だと思うが。
おそらく社内にもWEB に対する理解が深い人とそうでない人がいて、そういう人達がせめぎ合いをしているというのは正しい推測だと思われる。
いろいろ大人な事情があるんじゃないの?


この手の「無断リンク禁止」みたいなリンクポリシーを見ると脊椎反射のように
「馬鹿じゃネーの?
WEBがどういう世界かを全く理解してないのね」
みたいなことを言う人がいるが、この手の人はこういうゴロツキにまとわりつかれるなんて経験は当然ないだろうし、そういう現実があるということもご存じないに違いない。

私のところのような個人サイトはこうしたゴロツキに悪用されるなんてことはあまり考えられないし、もしそういうことがあれば個別に対応すればいいのだし、どうにも手に負えなくなったらたかが個人サイトなのだからサイトを閉じてしまえばいいだけのことだ。

しかしメディアとして法人でWEBの世界に入っていくのはそれとは事情が違う。
WEBは「知の共有」をするフィールドだといっても、それを個人レベルとしてやるのか、法人がビジネスでWEBで情報を発信するのかで事情は違う。
なのに個人サイトと同じ「知の共有」を強要するのはやはり浮世離れしている。
巨大メディアがWEBに一度入ったら
「手に負えなくなったら閉じてしまえばいい」
では済まない。

それよりもWEB新聞の使い勝手の実装について批判したこちらの記事は評価できる。
(山田祥平のRe-config.sys)日経新聞電子版の大いなる時代錯誤

これはやはりまだ「社会実験」の段階だし、UIや料金も含めてどういう設定がメディアとしていいのかを試行錯誤していく「叩き台」だと考えるのがふさわしいと思う。
前にもここで書いたが、経済キャスターの伊藤洋一さんの話では、
「ニッケーの電子版が成功するか失敗するかを日本中のメディアが注目している。
成功すれば自分のところでもマネしようと思っているし、失敗したら生き残り策を再検討しなくてはいけないという切羽詰まった気持ちで注視している筈だ」
ということだ。

こうした日本のメディアは、今本当に危機的な状況にあって電子の世界で生き残りができなければ本当にかつての紡績業や造船業が辿った同じ道をなぞらなくてはいけなくなるという危機感がある。
だからこの電子版が成功するかどうかはニッケーだけの問題ではなく、日本のマスメディアの今後の動向に影響があると思われる。

WEB界隈には
「電子版の料金タケーよ、ネットで無料でニュースが読める時代にあんなタケー料金設定して頭オカシーんでないの?」
というような反応も結構見受ける。

けれどもこれも脊椎反射的な反応で、こういう人達が大好きなYahoo!ニュース等の無料WEBニュースサイトは結局こういう朝毎読産日経からニュースを買っているわけで、大元の有料大手メディアが倒産してしまったらこうした良質な無料ニュースも読めなくなってしまう。

無料配信をポリシーにしている市民記者WEBメディアはここのところ立て続けに廃刊、休刊に追い込まれているし、良質なところは消えて結局質的に低めのところだけが生き残っていく「グレシャムの法則」通りのことが起き始めているのではないか。
どうも日本ではこうした無料メディアは定着しないような気がしている。

「今時カネ払って新聞なんか読むか!」
とかいっている人だってニュースは見るに違いない。
しかしそのニュースを配信する良質なメディアが絶滅したらどうだろう。
「マスゴミが消えてセイセイしたぜ」
とか言ってられるだろうか。

私の個人的な感想をいえばWEBの無料サービス文化の前途には非常に暗いものを感じていて、自分自身もそういう体験をしたし、これから皆さんが利用するサービスもますます二極化が進んで
「タダで非常に低質なもの」

「非常に高価でそこそこで我慢しなくてはいけない品質のサービス」
に分かれていくんじゃないかという気がする。
いずれにしても
「タダで高質なサービス」
というのはもう成立しないのではないか。

それどころか安価で高質なサービスも成立しないだろう。

WEBでメディアがビジネスとして成立すればいいのだが、成立しないことが判明すればニュース界隈は、このような両極の姿になっていくだろう。

必死になってニッケーを叩いている連中はそれでいいのか、考えてから持論をたれた方がいいように思う。


ということでまた例によってタイトルは釣りでした。




2010年4月14日
















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