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全文にするべきか、部分にするべきか、それが問題だ
/Full or Partial, that is the question

RSSフィードサービスの読まれ方がもうかなり変わってきていることにいまさら気がつく


全文にするべきか、部分にするべきか、それが問題だ

RSSに関する面白い統計を見つけた。
「sta la sta」さんのこちらの記事、
ブログのフィードの全文配信or部分配信にまつわる参考記事
で知ったwebアンケートの結果。
この原文はこちら。
Full or Partial Feeds - Poll Results

「Problogger」というブログサービスのユーザにアンケートされたもので、質問は
「RSSフェードは全文配信、部分配信どちらを使っているか」
というもの。






アンケート結果を図に落とし込んだもの
75%の人が全文配信をしており、部分配信は全体の5分の1しか居なかった
結構驚きの数字だ



これについては気になっていたことなので目に留まったが、ちょっと調べてみると実はこのことはかなり広範な、そして深い議論がされて来ているということは、寡聞にして私は知らなかった。

気になっていたのは例の転送量問題がきっかけで、「転送量を改善しないとサイトを削除するぞ」という大変親切丁寧なメールをサーバサービス企業からいただいた時に、常連さんの一人から
「RSSを全文配信にすれば転送量を減らせるかもしれない」
というアドバイスをいただいたからだ。

これに関連してググって見るといくつも記事が出てくる。
こちらの記事はRSSの購読者を増やす「◯つの方法」という流行のスタイル(もう廃れ始めてないか?)でまとめられている。
RSSマーケティングガイド- 「フィード配信最適化に取り組むにはPart.2]+ 「BlogでRSSの購読者を増やす11の方法」
興味深いのはここでもRSS購読者を増やすために
「全文配信」
が推奨されていることだ。

こちらの、 ゆーたんのつぶやき - 第三回フィードビジネスカンファレンス というサイトではカンファレンスでどこぞのCOOが
「『フィード内に全 コンテンツを含んでいる方が部分的にしか含んでいないもの よりも購読率は10倍良い』というデータが特に印象的でした。 フィードが単なる新着通知ではなく、独立したメディアとしての 役割を担いつつあることの一つの現れではないか」
といっていたり

メディア・パブ- RSSフィード,部分配信から全文配信に変えるべきか ではさらに突っ込んで
「忘れてはならないのは、ユーザーが購読しているフィードはあなたのフィードだけではない。RSSリーダーという狭い世界の中でフィードは競合する。全文フィードの台頭によって概要フィードは記事タイトルすらまともに見て貰えず、PVどころかアテンションまでも失うことになりかねない。」
とその理由を分析している。

またRSS全文フィードをしていると、サイトのビジタが減って広告収入も減ってしまうのではないかという至極常識的な疑問にはこう答えている。
「これまで,彼が部分配信を支持していた理由はこうだ。エントリーの全文をRSSフィード内で送っていると,RSSリーダーのユーザーは元のブログにアクセスしなくなる。その結果,ブログのページビューが減り,ブログ広告の売上も減ってしまう。

  部分配信派の大半は,そのように考えているはずだ。それなのに,彼は全文配信派に乗り移ったのだろうか。1ヶ月前に,全文配信を試みた結果から次のことが判明したからだ。全文を送ることにより,RSSリーダーのユーザーが新たに1000人も加わった。これで,まずフィード内広告の売上高が増えた。結果として,ブログ内広告も加えた総広告売上が,部分配信の時よりも増えることになった。つまり,総インプレッション数(RSSフィード・インプレッション数+ブログエントリー・インプレッション数)が増えたのだ。ブログエントリーのアクセスが少々減っても,それ以上にRSSフィードを読む人が増えたと言うことだ。」

こんなに使えない概要フィード - akiyan.com では、毎回魅力的な見出しを考えることは素人には無理なら全文を配信してその内容が魅力的かどうか直接読者に判断させた方が結果が良いと
「本文は良質なコピーに匹敵する」
と題打って、
「RSSリーダーで読まれる前提の記事の本文は、良質なコピーに匹敵する。

なぜなら、人間は斜め読みができるから。

というか良質なコピーが必要なのは紙面や画面の都合上である場合が主である。だからといってひどいタイトルが許されることはないが、本文を斜め読みしてもらえるフィードでは状況が異なる。」

という。
なるほど。

RSSマーケティングガイド- 「RSSは『RSSリーダー』で読まれるもの」という固定観念はそろそろ捨て時?ではさらにRSSリーダーなるジャンルのアプリそのものが死滅しかけているという。
RSSは単なる新着記事のサマリーをアラートで見せてくれるものではなく、もはやメディアそのもであり、webブラウザを通じてサイトを直接見るのと同等のメディア購読態度だと見ている。

これらを見ていると、RSSリーダーの中でフィード同士がすでに競合しており、そこでいくら魅力的な見出しを付けても、全文を配信していないRSSはクリックして本文に飛んでもらえないということらしい。
ヘビーユーザほど数多くのサイトをRSSに登録しているから、本文に飛んでくれない確率は高いといえる。
だからRSSだけで完結しているべきだし、広告の売り上げがサイト成立のベースになっているならRSSフィードにも広告を載せれば良いというのは、合理的のような感じもするがそれだったら何のためのサマリーのフィードだろうかという気がする。

でもこのように全文フィードの比率が4分の3に達するというデータを見せられると、その「何のため」という疑問とは無関係にもうトレンドはそちら方向に進んでいるということを思い知らされる。


ところで当サイトはどうするかというと、そういうトレンドのことは承知しつつもやはり見出し中心の部分配信でいこうと思う。

その理由は当サイトのRSSサービスの特性のためだ。 上記のように「全文配信をしては?」というアドバイスをいただいた時に、アドバイスに従ってRSSを見出しだけから本文の最初のセンテンスまで含める長文のRSSを試してみた。
しかし当サイトのRSSはmyrssというwebサービスを利用している擬似的なRSSでリンクタグを対象ページに打たないとRSSを生成しないので、長文を打つと全部改行無しの数珠つなぎの文章になって見づらいので結局止めてしまった。
これもhtmlサイトにこだわるために発生する制約のひとつということになる。

ただし上記のこんなに使えない概要フィード - akiyan.comでは
「やたらと長文な記事を大量に配信する場合は逆に利便性が下がるので、これも例外である。記事の長さに応じて途中で切るなど臨機応変に対応するのが現状ではベスト。」
という記述もあるので、この考え方がニュース系ブログなどの短文コンテンツのみのサイトを前提にしていることが感じられる。当サイトが全文フィードを採用しないのもある程度合理的だと思われる。
実際こんな長文をフィードで見せられても読む気がしないに違いない。
長文を書くのをヤメればいいのだが。


ちなみに見出しの「全文にするべきか、部分にするべきか、それが問題だ」は英文サイトのどこかで見かけた
"Full or Partial, that is the question"
というハムレットのもじりからいただいた。
見出しに凝ってもしかたがないかもしれないという話だが。




2007年10月1日













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