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愛を叫びたくてもここはもう世界の中心ですらない

でも補償金は次回の課題に持ち越されたがジイさんたちはまだやる気満々


愛を叫びたくてもここはもう世界の中心ですらない〜でも補償金は次回の課題に持ち越されたがジイさんたちはまだやる気満々

私的録音録画小委員会、補償金問題の結論は来期に持ち越し

例の「私的録音録画小委員会」が今期の補償金問題の提言を取りまとめることを断念、来期持ち越しにしたとのこと。
理由は
「結論が出ていないことから報告書をとりまとめることはできず、来期も審議を続ける必要があるとした。」
のだそうだ。

メンバーからは
「補償金制度が機能不全に陥る中、いたずらに時間ばかりが経過してきた」
という意見が。

「『ダビング10』の運用が開始する予定の2008年6月がタイムリミットであるとして、補償金制度の早急な見直しを訴えた。 」
と督促する意見も根強いが
「補償金問題は著作権法の中の一部に見えるかもしれないが、著作権法の本質に関わるもの。デジタル技術やインターネット技術が発展する中で、非常に大きな問題となっている」
とのこと。

これについては何も言う気はないが、補償金なんてのは海上空港に群がる漁業補償と同じで
「元々そんなところで大した漁もしていなかったくせに、空港ができて禁漁区になると聞いたとたんに莫大な漁業補償を要求してくる」
漁協の言い分は
「将来にわたっての逸失利益を補償してもらう必要がある」
には驚かされるが、よく似た構図がある。

こういうジイさんたちは黙ってこちらのリンクを見ろと思う。
ファイル交換ソフトの国別利用状況、「Winny」「Share」は世界に分布
もう世界はこういうことになっているのだ。

日本ではもっぱら「著作権侵害に使われている」という定評のWinnyだが、世界的な広がりを見せているといってもその世界全体のノード数は32万に過ぎない。
Gnutella世界では日本は完全な僻地である。
それでも日本のGnutellaノードは10万あるが、アメリカの175万ノードと比べると、いかに日本が僻地であるかが分かる。

だから「補償金は必要なのだ」という発想しか浮かばないのかもしれないが、こういうものはもうこれだけ広がってしまったのだから今さら「補償金」やDRMで抑制することはできない。
それどころかどれだけのファイルがコピーされたか観測することも不可能だ。
だから全てのユーザは泥棒であると決めつけて一律で「補償金」を徴収する必要があるという発想になるのかもしれないが、「何ら投資をしなくてもこんなインフラが既に出来上がっている」というものの見方をどうしてこういうジイさんたちはできないのかなと思う。
このインフラを利用して別の方法で対価を回収するビジネスモデルを考えれば良いのだという議論はどこにも起きていないのだろうか。

そう思うと日本がこのGnutella的世界では僻地であり、世界の中心でも何でもないということの方が心配だ。
日本は文化の中心である筈だ。
少なくとも「CultureFirst」なんて大層なスローガンを掲げるなら日本は文化後進国に堕してもかまわないという発想は許されない筈だ。
しかしなんとなくGnutella世界では日本のカルチャーはあまり価値を認められていないような気がする。
「キッチュ的なカウンターカルチャーとしては面白いけど、変わったものが好きなギーク向けのオタク文化」という捉えられ方なのではないだろうか。

「モノづくりニッポン」を礼賛するジイさんたちは返す刀で「クールジャパン」とか抜かして、
「ジャパニメーションが海外で人気で、日本文化はカッコいいと思われている。
『カワイイ』が国際語になっている。
ジャパニメーションが世界を席巻している」

等と日本礼賛をするのが最近のパターンになってきている。

寝言は寝ている間に言ってもらいたい。
ジャパニメーションなんて次代の中心産業になるなんて到底考えられない。
徒弟制度で産業効率が全く上がらず、市場規模も成長せず業種別域内総生産グラフでは、アニメ産業はずっとゼロの上を超低空飛行して貼り付いているだけだ。
これがトヨタに替わって次世代の外貨稼ぎ頭になるなんて事は、天地がひっくり返らない限りありえない。
こんなものは産業的な厚みは飛騨高山の伝統工芸と大して変わらない。

「文化立国」「知財立国」などといっている日本の現状はとてもお寒い状況だと思うのだ。
Gnutellaのノードはすべて著作権を侵害するために使われているわけでは勿論ないのだが、百歩ゆずってジイさんたちの主張通り全て窃盗目的で使われていると仮定しても、それはそれでこの状況は問題があるという気がする。
不正に盗む気すら起きないような文化にどんな価値があるのだろうか?
そんなことも気がつかないで、ユーザは全て泥棒だと決めつけて金をせびりとることばかり考えているジイさん達にこの危機が理解できるだろうか。




2008年1月24日













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