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「北京五輪開会式の花火はイリュージョン」という報道を見て連想したこと

China fiction



「北京五輪開会式の花火はイリュージョン」という報道を見て連想したこと

北京オリンピックの開会式の中継に映し出されていた花火はCG合成だったという報道が流れている。
本当かどうかは知らない。
でも
少女の歌も“口パク” 五輪開会式、花火に続き」、
(これは口パクとは言わない。口パクは本人の歌を録音しておき本人に歌っているフリをさせることで、このケースは「口パク」ではなく「吹き替え」だ)
北京五輪で世界中の報道陣に配られたプレスキットの中に入っていた携帯ラジオに衝撃の事実が隠されていた。
 携帯ラジオの北京五輪ロゴマークのシールを剥がすとそこにはなぜか「小倉優子」らしきグラビア写真が!

という報道が続くと
「さすが中国、バチモンでっち上げはDNAに刷り込まれているな」
と感心する。
オリンピックの開会式までCG合成ででっち上げてしまうのだから、共産中国の面目躍如というところだ。
どうせならもうバーチャルオリンピックということで、競泳も水を入れないで選手を走らせて水をCGで合成すればいい。
軒並み世界新記録続出間違いなしだ。


という話はそこら中のニュー速サイトで散々書かれているのでどうでもいいのだが、でも確かに環境にやさしいということが最近の五輪のテーマになっているなら、花火なんか打ち上げなくても、CGでやれば空気も汚さないし安くつく。会場上空をジェット戦闘機の儀丈飛行をさせなくても、それもCGで作ってしまえばCO2の排出量削減にも貢献できる。
聖火だって本物の火を使わなければいい。そうすれば費用や環境にやさしいだけでなく世界中の警備をお騒がせして聖火リレーなんてこともなくなる。
なんせ火がついていないんだから、妨害して消すこともできない。

五輪のセレモニーは昔はもっとシンプルで厳粛だったような気がする。
ところがいつからか完全に興行のように派手な演出を競うようになった。開催国に負担もかかるしいろいろな問題も起きる。
それなら開会式は全部バーチャルスタジオでやってしまえば必要なのは、CG機材とそれを維持する電力だけだ。
遥かに安上がりで環境にもやさしく、あとに他に転用できない無駄な施設を莫大な資金をかけて作る必要もなくなる。

このことに先鞭を付けた中国は実は偉大なイノベーターなのかもしれない。

20世紀の中頃に少年時代を過ごした私のような世代は、「21世紀の未来の生活を描いてみなさい」と学校の先生にいわれて皆、
「世界を1時間で1周できる原子力極超音速旅客機」
「何年も無補給で海の上を走れる原子力客船」
「月面のホテルにロケットで観光旅行」
「空中都市を縫うように走る自動操縦のエアーカー」
というような絵を描いた。

21世紀になって8年も過ぎてこのうち何が実現したかというとひとつも実現していない。それどころか何年後に実用化して普及するかという見通しもない。
ただ20世紀の半ばのこのての予想が普通だった時代に、全く別の以下のような予想を聞いたことがある。
「21世紀は超音速旅客機とか観光ロケットとか、大陸間超高速鉄道とかそういう重厚長大な夢はどれも実現しないだろう。21世紀の人類は1970年代の人類とほぼ同じような生活をしている筈だ。ただひとつ違っているのは世界中を情報のネットワークが覆い、全ての情報は瞬時に世界に伝わるようになるだろう。
我々は1時間で地球の裏側に行ったり月に行ったりはできないが、瞬時に地球の裏側の出来事を知ることができるようになる。
この情報の流通こそ、高速の旅客機などよりも重要なのだ」

これを聞いた時に正直私は「あまり面白くない未来だな」と思ったものだ。
情報をそんなに高速で流通させて一体何が知りたいんだろう、それでなにができるんだろうか?
それよりも超音速の旅客機の方がワクワクしないだろうか?

本物の人間を交通、交流させる世界と人間は移動しないがネットワークで仮想的に世界中に一瞬で行ける世界と、どちらが実現性があるか、要求があるかという疑問を当時は感じた。

しかし結局今になってみると後者の世界が実現し、人間の要求にもマッチしていた。
我々はいまだに地球の裏側に一日近い時間をかけて石油を燃やしている低速の旅客機で行っているし、原子力客船も一隻も就航していない。
月を人類が最後に踏んだのは1970年代の前半で、それ以来月に行った者は一人もいないし、空中都市も自動操縦のエアカーもどこにもない。車は20世紀と同じように4つの車輪をつけてエンジンで駆動しているし、操縦は人間がハンドルを回している。
高層ビルの躯体の技術は進歩はしているが相変わらず基本構造は20世紀と同じラーメン構造だ。

ただこういうものを効率化するためにネットワークはまさに地球全体を覆い、その通信速度は20世紀の最後の年にも予想できなかったような速度で等比級数的に成長している。
実物を動かす必要はない。
電子的な手続きで名義だけ動かせばいいという取引が実体経済を左右するまでに大きくなっている。

だからもう五輪もバーチャルでいいんじゃないだろうか。
世界各国に会場が有って、そこで走ったり、飛んだり、泳いだりすればいい。
格闘技や球技は対戦する日程に合わせて当事者だけが移動すればいい。
これならもう開催国をどこにするかで大騒ぎする必要もない。
これなら世界最貧国でも平等にホスト国になれる。
21世紀的だ。
これを示唆した中国にはパイオニアとしての称賛が送られるべきだ。




2008年8月14日
















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