Previous Topへ Next

SPAMメールにご注意・・・ってSPAMの語源ってこれだったんだ!

spam,spam


SPAMメールにご注意・・・ってSPAMの語源ってこれだったんだ!

ちょっと前の記事だが「わかば」さんのところでClamXavでスパムメールからウイルスを検出したという話題が出ていた。
わかばマークのMacの備忘録 - ClamXav で初めてウイルス検出した

種類は違うが私のところでもメール添付のスクリプトが引っかかっているし、メールそのものが「フィッシングメール」という認定でチェックされたという話もここで紹介した。

この記事を読んで最近ユーザフォルダ等の全域スキャンをやっていないことに気がついて、久しぶりにTerminalを起動してclamavでスキャンをかけた。





Terminalでclamavエンジンでユーザフォルダ、ライブラリフォルダ等を全域スキャン、
シマンテックアンチウイルスなどと併用して久しぶりに徹底的にやった
Terminalを使う理由はGUIよりも大きな範囲をスキャンする時には安定していると思うからだ



ところでスパムメールのSPAMって語源は何か最近知ってちょっと感激したので、余談ながら。

「モンティパイソン」というイギリス版の「ゲバゲバ90分」のような番組で、レストランに入った夫婦が、周りの客や店員までが「SPAM、SPAM」を大合唱するので、思わずSPAMを注文してしまうというコントがあって、これが「SPAM広告」「SPAMメール」の語源になっているという解説は以前に読んだことがあるのだが、この解説ではベタベタの日本人の私はピンとこなかった。

最近、テレビで缶詰のポークランチョンミート(要は豚のクズ肉ハム)の宣伝を大展開している。
「好きにして〜好きにして〜」
というCMソングなのだが、あの缶詰ランチョンミートの名前が「SPAM」という名前だ。

この「SPAMミート缶詰」は向こうの人の食卓ではすごく馴染みがある製品らしい。
SPAMとはスパイスドハムを省略した商品名で、どちらかというとお手軽にというかお金が無い時、手間をかけたくない時に済ますおかずがSPAMミートという位置づけらしい。

例のモンティのコントは何が面白いのかというと、わざわざレストランに食事に行っているのに周りの客や店員が
「ニッスイのサバの水煮〜ニッスイのサバの水煮〜」
と大合唱し始めると思わずこの夫婦が「ニッスイのサバの水煮!」と注文してしまうというような話なのだ。

つまり今テレビで流れている「SPAM」の広告はまぎれもない本家本物のSPAM広告ということになる。
すごいことだ。

この缶詰のメーカーは迷惑しているだろうな。
別にSPAMメールで宣伝しているわけではないのだが、このモンティパイソンのコントのせいで全世界で「SPAMメールのSPAM」で有名になってしまった。


トロイの木馬も何がきっかけになっているのか興味深い。
勿論IT用語の解説的には古代ギリシャのトロイア戦争の故事で、巨大な木馬の贈り物に忍ばせた兵士の先導でトロイアの都を陥落させたギリシア軍のアキレスの木馬が語源になっているということになっている。
でも誰がどういうきっかけでTrojan Horseという言葉を使い始めたのかわからない。

私が知っている限りではマックスヘッドルームというテレビシリーズで、主人公のリポーターとコンピュータオタクのテレビ局の技術部長の少年が、主人公の「電子人間」マックスヘッドルームを囮にして、ハッカーのシステムに侵入するという話が、一番古い「トロイの木馬」の使われた例だと思う。
この番組は1988年のテレビシリーズなので、ワールドワイドウエッブなんか存在しなかったし、WindowsではなくまだMS-DOSとかの時代だったし、インターネットは一般には普及していなかった。Macだってまだ登場して4年目の時代で、一体型のマッキントッシュが90万円とかしていた時代だったと思う。

この時代に制作された「マックスヘッドルーム」がおそらくもっとも古い「トロイの木馬」の用例で、当時キッチュ的な人気があったこの番組が、多分「トロイの木馬」の語源だと思っている。
ただ確信はない。
それにこの番組では明確に「トロイの木馬」という言葉を使っていない。
「トロイアは木馬を使った。我々はヒツジを使う。名付けて『トロイのヒツジ作戦だ』
メ〜〜ッメ〜〜ッメ〜〜ッ」
「あんた達バカ?」
みたいな会話が展開されるだけだ。

これは私の推測できちんとした確証がない。
調べてみたが、はっきりした資料もないので誰がどういうきっかけで使い始めたのか分からない。
でも多分「マックスヘッドルーム」じゃないかなと私は思っているのだが。


「ウイルス」という言葉の語源ははっきりしている。
なんちゃってなIT用語辞典26「ウイルス」
という項目で解説したが1972年のデイヴィッド・ジェロルドという作家のSF小説が元になっている。
こちらは興味があれば一読ください。

なんとなく語源について雑感




2010年3月19日



<後日注釈>

文中でトロイの木馬を「アキレスの木馬」と書いてしまったが、これは私の記憶違いで、それをいうならば
「オデッセイの木馬」
というべきだった。
木馬に兵士を忍ばせ、トロイアの都城に侵入して陥落させる作戦を発案して、自ら木馬に入り作戦を指揮したのはギリシア軍に従軍していたオデッセイだった。

アキレスもこのトロイア戦争に従軍して、スティックス河(三途の川)の水のおかげで不死身の勇猛ぶりを発揮したが、問題の木馬には関与していなかった。
ちなみにアキレスは生まれた時に母親にこの黄泉の河に沈められたおかげで不死身の体になったが、母親がかかとを掴んで水に浸けたおかげで、かかとだけは不死身にならなかった。
そのためにこのトロイア戦争の木馬作戦の時にかかとを矢で射抜かれて戦死してしまうという因縁話がある。

万全なモノ、あるいは強力なモノの弱点を「◯◯のアキレス腱」という言い方をする。
これは「弁慶の泣き所」とほぼ同じ意味合いで使う。


このトロイア戦争の物語を記述したホメロスの「イリアス」、「オデュッセイア」その他の物語には面白い因縁話がたくさん盛り込まれている。

トロイア戦争を予言し、トロイアの滅亡を警告したこの国の王女はカサンドラという。
「カサンドラ・クロス」
という映画のタイトルにもなったし、「12モンキーズ」では「カサンドラ・シンドローム」という言葉も登場した。
不吉な未来を予言する者という意味合いがあるそうだ。

カサンドラはオリンポスの神のひとり、アポロンに恋されその愛を受け入れる見返りに予知能力を与えられた。
ところが、予知能力を得たとたんにカサンドラにはアポロンが心変わりをして自分を捨ててしまう未来が見えてしまった。
そのためにカサンドラはアポロンの愛を拒んだのでアポロンから
「その予言は誰にも信じられない」
という呪いをかけられてしまった。

カサンドラは
「スパルタの王妃へレネを入城させ、トロイアの都城の城門の梁が崩されたらトロイアは滅亡する」
と予言する。
そのようなことはあり得ないと誰にも相手にされなかった。

しかし兄王がスパルタ王妃ヘレネを略奪して結婚し、そのためにトロイア戦争が起きる。
大敗したギリシア軍は撤退したと見せかけて、浜に巨大な木馬を残していき、トロイア人はその木馬を戦利品として都城に引き入れるために都の大門の梁を破壊して木馬を通した。

このために予言は成就してしまいトロイアは滅亡する。

アキレスは攻め手のギリシア軍で随一の英雄と言われながら、ギリシア軍主将のアガメムノンとは折り合いが悪かった。
このために古くからの友人を失い、その復讐戦で結局戦死してしまう。

そのカサンドラとアガメムノンにも後日譚が続く。
そのアガメムノンはトロイア戦争出陣に当たって、船団の出発を阻む暴風雨を鎮めるために、嫁の連れ子の娘を生け贄として神に捧げてしまう。
そしてトロイア戦争で大勝したアガメムノンは例の予言王女のカサンドラを戦利品として連れて帰る。

しかし娘を生け贄にされたことを恨みに思った嫁は、カサンドラとアガメムノンの二人を凱旋の夜に間男と共謀して殺してしまった。
この鬼嫁はさらに息子と娘の復讐を恐れて、自分の実の子供達も皆殺しにしようとした。
ところが娘のエレクトラの機転で子供達は難を逃れる。
さらにエレクトラは弟をそそのかして、この父の仇の母親を殺してしまう。

この逸話が心理学用語のエレクトラコンプレックス(ファザーコンプレックス)の語源になった。
エレクトラコンプレックスは娘が父親を占有したいという心のために実母と対立する心理状況をさす。


鬼嫁に殺されたトロイの王女カサンドラに予知能力を与えたアポロン神は、このストーリィではしばしば、トロイの味方をしている。

またアフロディテやアテナのようなギリシアの女神、はてはゼウスまで時々気紛れにトロイの味方をしてみたりする。
そのためにこの戦争は泥沼化するわけで、ずっと後の時代にもこんな話があったような気がする。

そもそもこの戦争のことの起こりは、3人の女神の「美人コンテスト」の審判をトロイの王子にやらせて、アフロディテが選ばれてしまったというのがきっかけ。
3人の女神はそれぞれ世界を征服するような能力などを約束したが、アフロディテだけは絶世の美女を与えると約束して、トロイの王子パリスはアフロディテの賄賂に目が眩み彼女を「もっとも美しい女神」として選んでしまう。
そして約束の「人間界の絶世の美女」としてあたえられたのが、スパルタ王妃のヘレネだった。
このためにスパルタ王の恨みを買い、スパルタと連合した全ギリシア軍を相手に大戦争をやらかす羽目になってしまった。

その3人の女神の美人コンテストも、増え過ぎた人類の人口調整のために戦争を仕組んだ天帝ゼウスの差し金だった。
ギリシャ神話の登場人物は、神も人間も非常に底意地が悪い。


その神の一人アポロンはカサンドラに予知能力を与え、そのためにカサンドラはトロイアの滅亡を予言するにいたるが、アポロンの底意地の悪さでこの予言は結局何ら災いを避ける役には立たなかった。

アポロンには実は前科がある。

オイディプス王の孫もこのトロイ戦役に参加しているが、かのオイディプス王は生まれてすぐに捨てられ、拾われた養父母の王と王妃に背きアポロンの神託を受ける。
アポロンは
「故郷に近づくと父を殺し母を娶ることになる」
と予言した。
そのためオイディプス王は養父母の元を離れ、放浪の旅に出る。

途中道を譲らなかった男を殺し、その男の治めていた国に災いをもたらしていた、スフィンクスを退治する。

彼はスフィンクスの謎掛けを退け(例の『朝は4本、昼は2本、夕方は3本の足で歩くモノは何か』という有名な謎掛けだ)、その知恵は知れ渡ったが、殺した男の跡を継いでこの国を治めることになり妃を娶り子を儲ける。

ところが何故か国は疫病で栄えず、再びアポロンから信託を受けたところ、どうやら
「父を殺し母と交わった災厄をもたらす男」
が自分であることを知る。
結局運命になす術もなく自ら眼をくりぬいた。

このオイディプス王の逸話が、心理学用語の「エディプスコンプレックス」(マザーコンプレックス)の語源になっている。


木馬作戦を立案したオデッセイもそのあとの人生は多難だった。

オデッセイ(オデュッセウス、ユリシーズ)は戦後、トロイアに肩入れするアテネ、アフロディテなどの女神達の恨みを買い、故郷に帰り着けずに各地を漂浪することになる。
一つ目巨人の島に漂着し、這々の体で逃げて途中サイレーンの海を通ることになり、船員全員に耳栓をさせて自分だけは耳が聞こえるようにしてマストに縛り付けさせ、歌を聴いた者は必ず惑って難破すると言われたサイレーンの歌を聴いて生き残った最初の人類となった。

こうした漂流譚の末、難破して身一つでオデッセイが流れ着いた島の王女に助けられる。
この王女の名こそナウシカという。
ナウシカはギリシャ神話の他のどの登場人物とも全く違う清純の象徴で、オデッセイに恋をするがオデッセイには故郷に帰りを待つ妻がいるということを知る。
ナウシカ王女は船を仕立ててオデッセイを見送り、「機会あれば私を思い出してください」とささやく。

宮崎駿が「風の谷のナウシカ」の連載を始めた時に、そのイメージはこのスケリア島のナウシカ王女がベースだったと書いている。


確認のために読み始めたギリシャ神話が面白くて止められない。
トロイアというのは今のトルコのあたりにあったらしい。
かつてはただの神話と思われていた時代もあったそうだが、遺跡も発見されてトロイアという国は実在していたことは定説だ。
トロイ戦争も実際にあった戦争だそうだ。
ただアポロンやアフロディテまでは実在していなかっただろう。

それにしてもギリシャ神話って、ほんっとにドロドロ、神様も人間も煩悩の固まりみたいになっていっしょにドロドロやってる。
それで多くの逸話が今日よく知っている言葉の語源になっている。
面白いな。

無駄な知識かもしれないけど忘れないうちに書き留めておく。




追記ー2010年3月25日
















Previous Topへ Next





site statistics
青木さやか