Previous Topへ Next

発火問題に見る温度差
/Who's thing is most fervent?

「安全を確信しているので調査しない」という安全の保証のされ方


昨日のニュースで驚いたものをひとつ。
DELLのノートPCが炎上事故を起こして全世界でバッテリーのリコールをすることを発表したというニュースだ。
これはIT関係のネットニュースだけではなく、日経のトップに大きくはないが取り上げられるほどの一般ニュースの扱いになった。
バッテリの炎上事故自体は最近もAppleがやらかしていて韓国製のリチウムバッテリに欠陥が見つかってPowerBook、iBookの一部でバッテリの交換プログラムがかかっていた。
これはAppleのサイトで確認できるので、この機種を使っておられる方はバッテリの型番を確認して欲しい。
ただ、今回のDELLのノートPCはなんせ出荷台数が半端ではないので、そのリコールにかかる費用の大部分はバッテリ製造元のソニーの連結会社が負担するようだが、膨大な金額の負担になりそうだしDELL自体のイメージダウンをどう保証してくれるんだという話も当然出てくるだろうから、またまたソニーは爆弾を抱えてしまったということだ。

それにしても韓国製の信頼性に問題のあるバッテリを採用するAppleもなんだかなぁと思ってしまうが、ソニーのものづくりは一体どうなってしまっているんだろうか?
コピーコントロールCDに「ウイルス」認定を受けるようなバックドアソフトを仕込んでみたり、「超使いにくい」と評判のmp3ウォークマンを「iPod+Macなんかよりもはるかに使いやすい」なんて提灯ブログを上げて炎上してみたり、こんどはブログだけでなくバッテリまで実際に炎上してみたり・・・
ちょっとしたミスでは済まないような問題がないのかなぁ?

<追記>

しかもこの記事ではソニーは
「同社製のリチウム電池を採用しているDELL以外のパソコンは安全だ」
とコメントしているが、今日になってソニー製を採用しているHPのノートパソコンも発火の危険性が指摘されて採用機種のすべてを再調査することになったという。

こういうソニーの対応は絵に描いたようなダメダメ企業の対応なわけだ。
ミドリ十字や、雪印乳業や、三菱自動車や、シンドラーや、パロマや・・・とこういう対応をしてきた企業がどうなったかを我々はさんざん見ているし、ソニーの担当者だって見ているはずなのにどうしてこういう最もまずい対応をするのだろうか。
おかげでDELLのイメージダウンというよりも完全にソニーの問題になってしまったので、顧客のDELLやHPのタメにはなっているかもしれないが・・・






これあまりにもすごいんで、期間限定でちょっと写真など
リコールのスケールも空前の金額になるが燃え方も空前の激しさだ





あっ、すごい、これって探せばいくらでも出てくるな
こちらはアメリカでの炎上のケース





この騒ぎで出動なさった皆さんたち





助手席においていたDELLが炎上して弾薬に燃え移りきれいに焼けてしまったケースも
DELLノート、というかソニーバッテリーをお使いの皆さんは今後のニュースに注意してください





これは一枚目の大阪でのコンファレンスの続き写真
会場が騒然となっている雰囲気が分かる





こちらはシンガポールでの爆発炎上のケース・・・机が焦げてます
リコール対象機種はDELLのノートのほぼ全機種で、しかもHPや他社製品にも広がりそうなので
返す返すも今後のニュースに注意してください



<さらに続報>

やっぱり祭りはそれだけじゃ済まなかった。
ソニー製の問題を抱えたリチウムバッテリはDELLだけでなく、ヒューレットパッカードやApple、レノボ(旧IBM)製品も調査対象になっておりこれらのメーカーからもリコールが発表される可能性があるとのことだ。
さぁ、いよいよ他人事じゃなくなってきた。
といってもiBookのバッテリを外して見ても別にソニーのマークが書いてあるわけじゃなし、詳細はメーカーからの発表を待たないと仕方が無い訳だ。
iBook、PowerBookに関しては前はLG電子グループ(韓国)製のバッテリが問題を起こしていたが、ソニーも搭載されている可能性があるし、携帯機器用のミニバッテリもあるだろうからiPodだって安全だとは言い切れない。
まず何よりもお勧めしたいのはパソコンやiPodなどの本体がきれいに燃えてしまっても大丈夫なように外付けのハードディスクに完全にデータをバックアップすること。
その上でメーカーからの発表に注目してもらいたい。
(それとノートパソコンを膝に乗せてネットするのは止めましょうね)




2006年8月16日





東芝、ソニー製PC用バッテリーを34万個を無償交換なのだそうだ。

当初から例のDELLのバッテリ発火問題が500万個のリコール、Appleの180万個のリコールにつながった時に国内の各パソコンメーカーは
「DELLやAppleとは充電方式が違うから問題ないと認識している」
「DELLやAppleとは違うセルだから問題ないと認識している」
などとおっしゃって『認識』しているばかりでいっこうに確認しないというのはどうなんだろうかと思っていたら、唯一「問題のバッテリとは違うセルだから問題ないと認識しているが一応確認してみる」という対応を発表していた東芝が今日になってリコールを発表したわけだ。

東芝は業界に気を遣ったのか、一応「これは一連の発火問題とは別の不具合」といっているらしいが、それでも確認したところリコールしないと収まらないような問題を発見したことには変わりはない。

この東芝の発表が国内メーカーの対応にどういう影響をもたらすかは注目してみておいた方が良い。
ここでやっぱり確認してみて「不具合を発見した」と発表できる企業はまだ良いが『認識』するばかりで一向に確認をしない他のメーカーの姿勢は厳しいチェックをしておいた方が良い。

今のところ良心的なメーカーと言えるのはDELLとAppleと東芝だけであとのメーカーは注意してみておかないといけないということになるんじゃないだろうか。
確認したけれど問題は無かったというのなら良い。しかし「問題があるはずが無いので確認はしない」という態度はいかがなものだろうか。

このサイトの別のページにも書いたが、コンピュータという機械は実に不確実な機械なのだ。
常にリダンダンシィを持ち、「ちゃんと動作することを実際にテストして確認する」ということを怠ると、すぐにみずほ銀行のシステムとか東証のシステム問題とか、あるいはジェイコム株の誤発注を防げなかったシステムとかそういうことは起こりうる。
だからどんなに確実なシステムだと思っても常にテストして確認するということは、絶対に必要なのだ。

これがコンピュータという機械と上手におツキアイするコツだと私は確信している。

これは個人ユーザがパソコンのファックスソフトを導入したというような時でも、あるいはノートパソコンのバッテリが期待通りのスペックを出せるかとかそういう場合でも絶対同じだと思っている。
何か問題が起きた時に「テストはしてみたのか?」と訊くと
「いや、こういう場合のテストはしていなかった」
なんて平気でいう技術屋さんを見ると私などは「信じられない!」と絶句してしまうのだ。
停まってしまったシステムが「信じられない」のではない。
テストもしないでそういうものを実機稼働させてしまう「あんたが信じられない!」といっているのだ。

これは単なるバッテリの不具合の問題だが、ここから見えるのは単なるバッテリの不具合の問題だけではない。
「不具合なんかあるはずがない」
といって確認を怠るという精神風土をもった企業が作った製品に全幅の信頼を置くことができるだろうか。
国内PCメーカーといったって匆々たる社名が並んでいるのだ。
大人な対応をお願いしたいものだ。




2006年9月19日





レノボ劇場&ソニー劇場がまたまた盛り上がっている。
当方もうiBookのバッテリは交換していただいたので、あとは気楽にウォッチングなのだが、ノートパソを会社に何十台も入れている火元責任者は生きた心地がしないかもしれない。
しかしこうして時系列に並べてみると、レノボもソニーもどうだろうか?

ソニー製バッテリーを搭載したレノボThinkPadが発煙
というニュースが先日流れた。
ニュースを読んでいただければわかる通り飛行機を止めるようなボヤ騒ぎになってこれまた、DELLの大阪コンベンションのケースと同じく現場は騒然としたようだ。

ところがレノボはこれに先立って、バッテリで問題は一切起きたこともないし構造的に安全だから回収の必要はないと言い切っている。
「製品に組み込んでいるバッテリー管理用ソフトに動作異常を検知するシステムを入れており、問題を未然に防ぐ機構を組み込んでいる」(レノボ・ジャパン広報担当)

レノボは「ソニー製バッテリーは使っているが、PCによって設計や構成が異なるため、安全性に問題ないと認識している」
これを読んでいると
「欠陥はDELLとAppleにあるのであって、同じソニー製バッテリを積んでいるからってレノボやHPのパソコンを一緒くたにしないでくれ」
というニュアンスがぷんぷん匂ってくる。
他のメーカーは東芝以外は安全性を『認識』するばかりで『確認』の必要は一切ないと言い切っている。
案の定東芝から追加でリコールが発表されて、他のメーカーは『認識』しているだけなのか、ちゃんと安全性を『確認』するのか対応が迫られていたはずだが、相変わらず他のメーカーは『認識』だけで充分、『確認』など必要がないという態度だった。

またレノボは自社ホームページでも以下の記事を掲げてレノボ製は問題ないと『認識』していることを強調している。
このリンクは数日のうちに消されてしまうと思うが、今の時点でもレノボは『確認』の必要がないということを強調した記事をサイトに残したままにしている。
レノボのバッテリー・パックはリコール対象となっている他社製品とは設計が異なり、また充放電の方式も異なります。ソニー社から提供された情報も含め、リコールされているバッテリーの障害はレノボ製ノートブック PC には該当しない要因によるものと判断しております。これはバッテリーパックの電気・機構設計、および充放電方式が異なるからです。

回収を発表した今日になってもこの記事が残ったままというのが実に悲しいというか
「レノボでは製品の安全性を最優先して開発製造を行っております。」
という言葉が虚しく見える。
(07年2月末段階でもこのページはまだ削除されていない。レノボの広報体制は一体どうなっているんだろうか?)

そして今日発表された記事が、これだ。
レノボ、52万6000個のノートPC用バッテリをリコール
あくまで問題はないと『認識』しているので、『確認』の必要はないと言い張っているHPや日立などはどう対応するつもりなんだろうか?

ソニー製PC充電池、全世界で自主回収・無償交換へ
発火などの被害が一段と拡大する恐れがあるため、ソニーは個別の納入先に対応を任せていた方針を転換する。

これを受けてソニー自体もやっと自主回収に乗り出すそうだ。
この対応の遅さはどうだろう。しかもレノボが発火するまでは
「発火はあくまで充電方式とシステムの問題で、バッテリの問題だけでは発火は起きない」
とあくまでDELLとAppleのシステムの欠陥と『認識』していると言い張り続けたソニーの対応は適切だったのだろうか?
ここでも『確認』しないで『認識』しているばかりだという問題はないのだろうか?

しっかり頼むぜ・・・ってソニー製品とレノボ製品は買う気は全く無いのだが・・・・




2006年9月29日













Previous Topへ Next





site statistics