既に昨日各所で報じられているのであえてリンクは張らないが、WindowsVistaの2007年1月リリースは達成できる可能性は「80%だ」とビル・ゲイツ会長、チーフアーキテクトが語ったという。
これについては
「すごく微妙な言い回しだ」
とか
「そうはいっても必ず1月にはリリースされる」
とか
「急いで不完全なものを出すよりも、遅れても良いからより完全なものを出して欲しい」
とかあちこちで無責任なブログコメントが垂れ流しになっている。
別に誰がどういう予想を立てようが好き勝手にやっていれば良いのだが、問題は3月に
「年内リリースは不可能になった」
という発表をした時に、すぐにガートナーが
「1月リリースも非常に難しい状況」
と報じたが、Microsoftがそれを躍起に否定してみせるとゲイツ信者というかWindows信者がいっせいに
「ガートナーの調査は根拠がない」
なんて攻撃していた。
しかしゲイツの説明を詳しく読むとガートナーの調査はかなり正確だったということが今になってわかるのにも関わらず、未だにMSと信者はまた同じようなことを言うわけだ。
別にVistaが予定通りに出ようが、何ヶ月遅れようが、何年遅れようがどうでも良いし、信者がどんなに楽観的な論戦を張ろうが「お好きにどうぞ」なのだが、問題はガートナー調査を裏付けるような話で、
TAP(Technology Adoption Program)パートナーと呼ばれる精鋭βテスターグループのテストを経ているにも関わらずWindowsVista Beta3はBeta3と呼ぶにはほど遠い安定性と互換性しか確保できず、
「Vistaは安定性や製品化準備の点でWindows XPのBeta 2の段階よりも劣っている」
というコメントを(しかも最もコアなWindows VistaユーザになるはずのBetaテスターという人たちから)受けているという記事があるということだ。
Vistaが納品期日を守れるか守れないかというよりももっと重大な問題がこの記事から見て取れる。
Windows2000は今でも十分使い物になる。
あえてXPに乗り換える理由はネットワーキングとか、そういうこと以外にない。
ましてや今回のWindowsVistaがビジネス的に成功しようと思えば、WindowsXPよりも画期的にこちらの方が魅力的だということをユーザにアピールできなければいけない。
でないとユーザはこれからもXPや2000を使い続けるだろう。
Vistaは単に「XP」よりもちょっと安定したOSというだけじゃダメなのだ。
ましてやその行程からの評価が明らかにXPに劣っているというんじゃ話にならない。
Vistaを使う理由がメタデータ検索しかないとしたら、しかもそれがMacOSなんかよりも数倍速くて正確だということが明らかにならないと、Windowsユーザの多くはMacBookやMac Miniに流れてしまうだろう。そういうハードにWindowsXPをインストールした方が、よっぽど楽しく実用的な環境になるからだ。
実はこのことについてちゃんとした説明がゲイツ会長から無かったことがこのニュースの一番の肝だろう。
「フィードバックがまとめきれないから若干遅れる可能性がある」
なんていう発表をこの時期にやるのはどういう意味があるのだろうか。
MS社内の混乱ぶりが見えるような気がする。
2006年7月13日
この記事は昨年の夏のゲイツ会長の会見を受けて書いたものだが、半年経ってみて、実際にWindowsVistaがリリースされてみてその評価に注目しているのだが、なかなか評価が定まらないようだ。まずビジネス的には秋葉原辺りで行列してVistaを買った人がいるというお決まりのパターンニュースは流れたものの、大方の「スロースタートだろう」という予想を上回るようなスロースターターぶりで少なくともWindowsユーザは「飛びついて買う」という気分にはなっていないようだ。
大方のアナリストの予想以上に出足は悪い。
OSそのもののできとしては可もなく不可もなくで、心配されたバグやセキュリティホールはまだクリティカルなものは見つかっておらず(ちょこちょこ細かいものはいくつも出てきているが)、3年も予定をずらしただけあってさすがに大きな破綻はないということなのかもしれない。
しかし例のフリップウインドウの効果にしても、透明ウインドウの効果にしてもガジェットにしても今のところVista購入の決定的魅力になっているとも思えず、実際そうだからWindowsユーザも様子見気分になっているのだろう。
あとはメタデータ検索関連でどれくらい魅力がでてくるか、またその周辺でセキュリティホールがでてこないかというところが課題か。
MacOSXタイガーで一番脆弱性に繋がっているのはこのメタデータ関連だ。この機能を殺してしまうとOSXのセキュリティリスクはほとんどなくなるといっていい。当然マイクロソフトはそういうMacの状況を他山の石として研究しているはずだ。
ただいずれにしても昨年から「リリース前の買い控えが起きている」とさんざん言われた割にはリリース後も買い控えの反動が起きているようには見えない。その状況を打開する切り札がWGAだとすると(実際このタイミングでWGAをアップデートに仕込んできたのはなぜと思うのは穿った見方?)、どうもこのOSの評価はビミョーだなぁと思う今日このごろだ。
2007年2月27日
|
|