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そこには深くて暗い川がある
/Whitch side of ditch

パソコンに『詳しい人』と『詳しくない人』の溝は広がるばかり・・・


シマンテックのパソコンユーザに対する意識調査「パソコン利用時におけるストレス」のプレスリリースが届いた。

その内容が面白い。
パソコンユーザは相変わらず「パソコンの動作が遅い」と思っているが、その対策は「特になにもしていない」のは「やり方がわからない」からだという。
また半数近くのユーザが「重要データのバックアップを取っていない」と答えている。
とらない理由も「面倒だから」「やり方がわからない」からだという。

ビル・ゲイツがなんと主張しようが、
「パソコンは相変わらずユーザフレンドリーになっていない」
という実態がよく見て取れるし、
「ハードウエアメーカーはパソコンのストレージは基本的にはいつ飛んでも不思議ではないということを一向にコンシューマに正しく伝えていない」
ということが鮮明になっているんじゃないだろうか。

大部分のユーザはパソコンを使いこなせているとは言いがたいと思うのだ。

参考までにシマンテックのプレスリリースの該当部分を例によって転載する。

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調査結果の概要:

・ パソコンのパフォーマンスに関するストレス要因: 
「動作が遅い」(58.2%)が最も多く、対策については全体の40.4%は「特に
何もしていない」と回答、その理由として「やり方がわからない」(40.3%)
が最も多い

・ 保存データに関するストレス要因: 
「重要なデータの損失」(28.8%)と「不要なデータの蓄積」(23.9%)、
「必要なファイル/データがすぐ見つからない」(12.2%)。しかし、データ
の保存にかかわる対策を「特に何もしていない」とする回答者は3割近く
(28.3%)に及ぶ。なお、OS、アプリケーション以外の保存データ容量は平均
約20ギガバイト

・ なくしたら困るデータ: 
「住所録等の連絡表」(60.2%)、「デジカメなどの写真画像」(50.1%)を
あげつつも、バックアップをしているかを尋ねると、写真画像では59.9%、住
所録等では57.6%がバックアップされているにとどまっている

・ バックアップは面倒で方法がわからない: 
半数近い回答者がデータのバックアップを行っていない。その理由として、
「面倒だから」(45.8%)とする回答が最も多く、「やり方がわからない」と
する回答も3割(31.9%)に及んでいる。また、過去1年間に大切なデータを損
失したと回答しているのは全体の26.5%。パソコン歴が長くなるにつれて、損
失経験率が高くなる傾向が出ている
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ITが世界を変え人間の常識や感覚すら変えるというのは、ある時期私は素直にそういうビジョンを受け入れたし、今でもそれは遅かれ早かれそういう時が来ると思っている。

しかしそういうものは自動的にやってくるわけではない。技術者やそれを利用する者たちの不断の努力の末にやっと実現するものなのだろう。
しかしコンシューマは努力をする人ではない。コンシューマはただ利用して不満を言うだけの人たちだ。なぜなら彼らが最終的にはオーナーだからだ。

最終消費につながらないビジネスモデルは必ず滅びると思う。
だからライブドアが滅びたのは必然だと思っている。生き残ったライブドアの残滓は最初のオンザエッヂと同じ程度のものだというのは象徴的だ。
最後の支払いをさせられる者に請求書を回せるからあらゆるビジネスは成り立つのだ。
だから最後の支払いをする者はあらゆるビジネスのオーナーだと言える。
それ故に最後の支払いをさせられる者は努力まで強要されるいわれはない。
そのために金を払っているからだ。

このアンケートを見て「やっぱりパンピーのパソコン音痴は皆アフォだ」というのは簡単だが、問題の本質はパンピーのパソコン音痴の方ではなく、供給側がまだその程度のサービスしか提供できていないという技術レベルの低さ、パソコンベンダーやシステムベンダーの意識レベルの低さの方がはるかに問題なのではないだろうか。


似て非なる話なのか畑違いのようで案外似た話なのか、巨大質問掲示板の「はてな」で あなたの身近にいるパソコンにとても詳しい人について、その人のイヤなところ、やめて欲しいこと、改善して欲しいこと、ダメな点などをお聞かせください。という質問が賛否両論を呼んでいる。

この質問自体が適切なのか、悪意が感じられるのかはそれを見る人の立場によって感じ方が違うだろうけど、ここに書かれた回答のうちのかなりの部分が会社によくいる「システム管理者」に相当当てはまっているのも事実だと思う。

実際ウチの会社でもクビになった前の代の「システム管理者」は、パソコン音痴のヲジサンたちの寵愛を良いことに「王のごとく振る舞って」貧弱な知識で構築した稚拙なセキュリティ対策を社員に強要して、そのシステムの内容の問題点を指摘などしようものなら
「和を乱す者によって会社のセキュリティが危機に瀕している」
なんてまるで国賊に言うような言い様で不服従者を攻撃していた。

この男は結局馬脚を現して、というかほぼ全社員から
「技術者としての資格に問題あり」
という烙印を押されて追い出されてしまったわけだが、最初はそんなことわからないからまさにこの「はてな」の回答にある
「あなたの身近にいるパソコンにとても詳しい人」
そのものの振る舞いをしていたわけだ。

これに対してLucrezia Borgiaさんがこのスレを取り上げてカマトトは「ぶる」からこそ可愛いのよ?というタイトルでこの回答者たちを批判している。
この批判も大部分は納得いく話なのだ。

大抵の会社のシステム管理者は「ネットワーク管理者」という肩書きとは全く違う
「ヲジサンやオネエちゃんたちのパソコンのサポートの替わりのような雑用をさせられている」
という実態があるわけで、ほぼボランティアのような感覚で教えているのに
「話が回りくどい」
「知識をひけらかす」
「親切に教えてくれない」
などの批判にさらされているわけだ。

話がくどいと批判される方の言い分は
「ちゃんと本質から説明しないと次に同じようなトラブルの時にまた『助けて』コールをするじゃないか」
ということだし
ちゃんと教えて欲しいと批判されている方の言い分は
「その態度は『教えて君』そのもの」
ということだろう。

大体「あなたの身近にいるパソコンにとても詳しい人」はパソコンに詳しくない人を見下しているという被害者意識もあるのかも知れない。
(しかし先述のウチの会社の先代「システム管理者」は本当に自分以外の全員を見下していたが)
しかしLucreziaさんによれば
「パソコンに詳しくない人」こそ「あなたの身近にいるパソコンにとても詳しい人」を見下しているという。
「技術なんて重要じゃない」
なんて言っている連中が一番技術的にお寒い連中なのだということだ。

それも一理ある。

いずれが正しいかということはともかく、パソコンを使いこなせていると自負している人と、使いこなせていないと自覚している人の間には相当な相互不信があることだけは間違いない。
この「はてな」の質問自体が適切かどうかは置いておいて、そういうことを考えさせてくれたという意味ではシマンテックの意識調査と同じくらい興味深いものだったと思う。




2006年6月8日













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青木さやか