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iPodのヒットを許していていいのか?
/Born to be a loser

「動画配信は障害が多い」という言い訳は聞き飽きたのだが・・・


こういう物が発表されたようだ。





昨夜はMac系のブログは皆この話題でわいていた。
これの画像がすごいとかすごくないとか、デザインを見て欲しいとか欲しくないとかという話題はそこらのMacブログにさんざん書いてあるのでそちらにお任せするとして、これが本当にヒットして動画有料ダウンロードがビジネスとして成功するとか、しないとかなんてことも数多ある他のブログにお任せするとして....

「これがヒットしちゃっていいんだろうか、ものづくり日本よ」なんてことを思うわけだ。

インターネットやモバイル通信がブロードバンド化して何が起こるかというと、こういう通信を通じてモバイルで映像を見られるようになるなんて話を90年代から取材を通じてさんざん聞かされてきた。
21世紀のブロードバンドの時代はいつでもどこでも映像が利用できる、楽しめる時代になるという未来ビジョンをさんざん見せられてきた。

その実現にはラストワンマイルの高速化が達成できないとか、映像のコーデックがネットで配信できるほど十分な圧縮率を得られないとか、モバイルの基地局は高速通信を維持しながらも切れにくいカバー率を達成できないとか、そういう技術的な障害ばかりが強調されてきて、ということは逆に言うとそういう技術的な障害が解消されればかつてさんざん見せられたモバイル映像を楽しむ時代がすぐにでも実現するというような幻想を持たされてきた。

ところが実際にはそういう技術的な困難はもう大部分克服されているのだ。
問題点があるとしたら高速データ通信はお金がかかるというコストの問題くらいだろう。

なのに90年代に未来図でさんざん見せられたモバイルで映像を楽しむ時代はちっともやってこない。
映像が配信されていないわけではない。
配信しても誰も見ないのだ。
ということは実際には市場にはそんなニーズなんて存在しなかったわけで、ブロードバンドで映像を配信する時代がくるなんていうビジョン自体が幻想だったのかということになる。

それでかつてはそういう志で映像技術をパソコンに盛り込んできた日本のパソコンメーカーはもう、
「水は低きに流れる」
ということわざの通り「ノートパソコンでテレビが見られます」というのを最近では売りにしていた。

これは10年前にはチューナー内蔵のモニタ付きパソコンで既に実現されていたことを、ノートパソコンでもオールインワンでやっているに過ぎない。
OSが何かなんて関係ないし、IPベースの通信もしていないし、それどころかOSを起動すらしないで、チューナーから直接画像をモニタにだすという、何だまんまテレビじゃないか?

そういうレベルの低い商品で一時しのぎをしている日本のPCメーカーの言い分は
「まだネットで動画を楽しむほど市場は成熟していない」
ということだったのだろう。

ところがここでiTMS+iPodの動画有料ダウンロードが始まる。
こんな物がヒットでもしようものなら日本のAVパソコンメーカーの面目丸つぶれだ。
「ユーザがまだ動画を楽しむほど成熟していないのだ」
という言い訳は成立しなくなるからだ。

『「ものづくり日本」なんてスローガンが持てはやされている。
やっぱり日本の原点は丁寧なものづくりだ。
幸い日本にはものづくりの高い技術がある。
だからこれからもものづくり立国だ....

こういうスローガンが好きな社長さんほど、その足下を見ると長年のリストラでものづくりの伝統がすっかり崩れてしまっているのは困ったものだ...』

以前、ITウォッチャー第一人者と雑談していた時に彼がポロッとこんなことをこぼしていたのを思い出した。
ブロードバンドのスループットをあげて、ワイヤレスの直進性によるハンドオーバーの問題をどう解消するか....
そんな技術的な問題にばかり熱心になって、動画がダウンロードできたらどんな楽しみ方ができるか、どういう動画が課金できるかというようなソフトの問題を全く後回しにしてきて、そしてここでまた音楽ダウンロードだけでなく、動画ダウンロードすらそういう技術の後進国であったはずのアメリカ企業に出し抜かれて、なにが「ものづくり日本」なんだろうか?

Apple製品というと今までは割と心情的に応援したくなる単純なMacユーザだったが、今度の動画iPodだけは失敗してくれた方が日本の名誉のためだなと真剣に思ってしまう。

こんなものがヒットしたら、日本のものづくりなんて結局ケースをきれいに作る技術だけで、中身の価値を創造する力なんかアメリカのマイナーなパソコンメーカーに全く勝てないということになってしまうじゃないか...と真剣に危惧してしまうのだ。




2005年10月15日













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青木さやか