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深い示唆がある「ハコもの行政」という言葉
/Bureaucratic bungling

お役所の発想ではシリコンバレーは育たない


昨日の朝日新聞の一面に、56億円もの予算をかけて構築した医療情報共有システムが「使いにくい」という理由で、全国あちこちの医療機関で放棄されているという記事が出ていた。
こういうシステムが必要かどうかよりも構築のやり方が問題で、お上主導の最初に予算ありき、箱ありきという考え方はこういうITネットワークには一番そぐわないということをそろそろ役人どもも知るべきだ。

竹中平蔵があるシンポジウムで
「日本はもうすぐにIT国家になるんです。それは具体的に始まっているんです。実際来年中には住基ネットで全国の役所がオンライン化されて、来年にはパスポートの発行は全国どこでも好きな場所でできるようになるんです。」
と力説していたが、その「来年」はあと2か月半で終わろうとしている。
しかし住基ネットは一向にそういう形で完成しそうな気配がない。

それどころかセキュリティに問題があるということで離脱しはじめる自治体が出てきている。
これは当然の帰結だと思う。
ネットワークは機械ではない。システムなのだ。
役人の発想は箱の数さえそろえりゃシステムは完成するという所から離れることができない。
予算取りをして箱の数だけ帳尻を合わせて構築したシステムは、当然セキュリティについて何の配慮もされていないし、そういうことが必要だということにも気がついていなかったみたいだし、結局使い物にならない役所の事務所のアクセサリーになりつつある。

秋葉原の駅前にまた巨大なハコモノを東京都がこさえているが、これもハコモノ優先の役人が作った訳が判らないシロモノだ。

秋葉原をIT拠点にする、だからITベンチャーのインキュベート施設を秋葉原の再開発地区につくる、そこまでの発想は良い。
しかし拠点にするんならなんでいきなりあんなバカでっかいビルを建てなきゃならないんだろうか?
ITベンチャー育成の保育器にするといったって、本当に秋葉原が最適な場所なのかはやってみないと判らない。シリコンバレーだってアメリカ政府が「ここにシリコンバレーを作ろう!」と宣言してできたわけではなく自然発生的にできたので、それはなぜかというといろいろな技術交流や人的交流、大学との連携とかの条件でサンノゼ渓谷がたまたま便利だったから、そこがシリコンバレーになったのだ。

そういうことを理解しようともしないで、ハコを作れば秋葉原が日本のシリコンバレーになるなんていう発想がおめでたいし、それもいきなりバカでっかいハコを作るところが実にどんぶり勘定だ。
最初は10フロアくらいの小さなビルを借りて、そこでベンチャーを育成してそれがうまくいきだしたらでかいハコを作ることも検討すれば良いのにと思うのだが。

住基ネットも同じことで、インターネットは最初はたった4ノードの大学間のネットワークからスタートしたわけで、それがだんだん大きくなって今日の世界中を網羅するネットワークになったわけだが、住基ネットも最初は世田谷区ネットというような形から初めて、いろいろ問題を洗い出してからだんだん大きなネットワークにしていけば良かったのにと思う。

そういう特にセキュリティなどで出てくるであろう問題点を一切検証すること無くいきなり全国規模のネットワークを作ってしまったものだから、本当に使っても大丈夫なのかどうかよく分からない怪しいネットができてしまった。

別に役人が何作ろうが勝手だが、その金は皆税金で作っているわけでこれが民間企業だったら責任者は当然クビになっているような話なのだが、この問題で役人の首が飛んだという話は聞いたことが無い。
全く気楽な商売だと思う。



2004年10月18日













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青木さやか