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本当にビデオだけのせいなの? インターネットの急激な大洪水
/Exaflood

インターネットの脅威「エクサフラッド」は複合的誘因で起きるのでは?


本当にビデオだけのせいなの? インターネットの急激な大洪水

「データ大洪水でWebが悲鳴」米IIA警告:ITproという記事を見つけた。

インターネットの団体が「インターネットのキャパシティが限界に近づいているとして,その対応を呼びかけた」のだそうだ。
その内容は「この大規模なデータの大洪水は“Exaflood”と呼ばれ」るまでにデータフローの急増は進行しているというもの。
IDCのリポートでは「2006年から2010年の間に情報量が6倍以上に増加し,988エクサバイトに達すると見込んでいる」ということだそうだ。
この「Exaflood」という言葉は初めて知った。
勿論これも新語だ。
exaは10の18乗ということだ。
10の3乗がキロで、6乗がメガで、9乗がギガで、12乗がテラで・・・次はなんでしたっけ・・・
という巨大な単位だ。
そのexa単位の洪水だから「Exaflood」ということらしい。
ひねりなし。

それよりもこの記事で驚いたのは
「現在YouTubeで利用されている帯域幅は,2000年にインターネットで消費された総帯域幅に相当するという。ユーザーは毎日,6万5000本の新しいビデオをアップロードし,1億本のファイルをダウンロードしている。1年前から1000%増加している」
というくだりだ。2000年はまだアメリカでもDSLや光ケーブルは目新しい技術だったが、さすがにダイアルアップは激減しつつあった。
しかし日本ではまだダイアルアップは主流だったんじゃないだろうか。ISDNを入れた人の話をうらやましがっていたのが懐かしい。

その当時の帯域だからある意味驚くことはないのかもしれないが、それでもYouTube一軒でそれだけの帯域を消費しているのだというのはやはり驚くべきことなのかもしれない。
この記事ではビデオダウンロードがインターネットの帯域の急激な逼迫の主な原因と結論しているが、それは多分間違いではないんだろうけどそれだけだろうかという気もする。

「専門家によれば,インターネット上で1日に10億本をこえる楽曲がMP3ファイルで交換されているという。」
という下りもちゃんとこの記事では押さえているが、これの帯域消費も馬鹿にならないと思う。
それともうひとつはスパムだろう。

少なくともメールインフラの負荷の半分以上はスパムメールだろうし、webトラフィックのかなりの部分がトラックバックスパムとかそういうものだろう。
当サイトのBBSはまだ被害が少ない方だが、BBSの管理者はどこでもスパム投稿に悩まされているし、私の行きつけだったトラシュー系BBSサイトのいくつかはスパムが原因で閉鎖に追い込まれてしまった。
こうしてネットの大衆化は有意義な情報を駆逐していき、その内容のクズ化を推し進める方向にしか進まないのだろう。


もうひとつ示唆的な記事がこちら。
Winnyネットワークはやっぱり真っ黒,NTTコミュニケーションズの小山氏に聞く:ITproという記事ではWinnyの中身はウイルスの偽装ファイルで真っ黒に汚染しているという実体が書かれている。
この発表は昨日、一昨日のRSAカンファレンスでもう発表されたのだろうか。

これもネットの帯域を食い潰す大きな原因になっているに違いない。


これだけWinnyによる「Antinny」ウイルスの感染が原因で仕事上の重要情報、個人情報を流出させ
「Winny止めますか?それとも人間止めますか?」
という感じで人生を棒に振っている警察官、自衛官、その他公務員、会社員のニュースが連日のように報道されているのにもかかわらず、それでもWinnyのネットワークは衰えるどころかステディに拡大しており、相変わらず人生を棒に振る厨房オヤジを拡大再生産しているという現実がある。

私はかねがね
「道具に罪はない、それを使う人間に罪があるのだ」
ということをずっと言い続けているのだが、それでもこの現状を見るとさすがに
「Winnyには多少魔性があるのかもしれない」
とも思ってしまう。

その原因になっているのは以下の下りのRLOも原因として大きいだろう。
以下引用

『例えば最近,ファイルを偽装する手法として,Unicodeの「RLO(Right to Left Override)」という制御文字を悪用する手法が広まっています。ご存じですか?

 Unicodeには,アラビア語のように右から左に文字を読む言語に対応するために,文字の流れる順番を,英語圏の「左から右」ではなく「右から左」に変える「RLO」という制御文字が備わっています。Windowsはファイル名にUnicodeを使っていますから,RLOは当然使用できます。

 RLOを使うと,図2〜図4のように,ファイル名の文字が流れる順序をひっくり返してしまえます。つまり,ファイル名の最後に「.exe」という文字が表示されていなくても,本当の拡張子が「.exe」であるファイルを作れるのです。』
 
 引用終わり

これは知らなかったが、こういう手法で.exeなどの拡張子を隠すだけでなくmp3や.wmvなどの拡張子に偽装することができてしまう。
こういうての「Winnyで人生を棒に振った」ニュースがあとを絶たないのは
「それは拡張子も見ないでやたらダウンロードしてやたらクリックする厨房の話だろう。俺は気をつけているから大丈夫さ」
なんてタカをくくっている中途半端な「通」が引っかかっているせいだろう。

最近ではあまり見に行かなくなったが、Gnutellaでもゴンザレススクリプトというのがあった。
検索ワードを打つとその検索をワードをそのままオーム返しに返してきて
Gonzales!!◯◯!!Gonzales
というようなファイル名が検索に引っかかってくる。
たとえば検索ワードを「Mac」と変えたら
Gonzales!!Mac!!Gonzales
というファイルが検索にかかった。
どれもファイルサイズは不自然に小さく、同じ10KBとか26KBとかそんなもので、実体は.exeファイルだったと思う。

最初の頃はこんな素朴なものだったが、最近は段々こういうのも手がこんできて、検索条件をテキストにすると
◯◯.doc
というファイル名がかかってくる。
ムービーファイルをリクエストすると
◯◯.wmv
とくる。
それでもファイルサイズが不自然に小さいものが多いから
「ファイルサイズを見てダウンロードしているから大丈夫さ」
なんて言ってる厨房もいるかもしれない。
しかし最近はいろいろなゴミを吸い付けてファイルサイズもそれらしいサイズに偽装しているものがあるようだから、これも当てにならない。
現状WindowsでWinnyや他のファイル共有ソフトを使ってファイル交換をやるのは自殺行為だとしか言いようがない。Macだったら安全だというようなものでもないが。


この記事では
「Winnyネットワークで共有されているファイルの総数は数千万に及ぶといわれています」
という記述や
「当時のWinnyユーザーは50万台あったといいます。つまり,Winnyユーザーの半数がAntinnyに感染していた」
なんて数字が表記されているが、どれもケタをひとつ間違えているんじゃないかと思うくらい少なく見積もっている。
共有ファイルは一人平均1000とかあるのに、ファイル共有をやっている人間は数万人というのは、次の数字の「Winnyユーザー50万台」という数字と整合性がないし、「Winnyユーザー50万台」というのもそんなに少ないだろうか?というところが疑問だ。
どう考えてもその10倍はいるような気がする。

そう考えると実際に感染して個人情報を垂れ流している奴は、ほんの一握りということもいえるのだが残りの大部分は
「たまたま運が良かったから新聞ダネになっていないだけ」
という状態なのも間違いない。
ワクチンソフトに引っかからないファイルもかなり多いということがここにも書いている。
ドザの宿業病である「シマンテックをインストールしているからどうせ大丈夫さ」病患者はかなり感染リスクが高いと見ていい。

実際ここにも
「352個の実行ファイルをウイルス対策ソフトでスキャンしてみたのですが,そのうちの63%(221個)が,ウイルスであると検出されました(図8)。つまり,352個の実行ファイルの大半がウイルスだったわけです。」
というデータが出ている。

この意図的にばら撒かれたウイルスで汚染した共有ネットワークが、上記のようなオーダーで帯域を食い潰しているわけだ。


それともうひとつ思い出したことがある。
web解析サービスで、自分のサイトの一日のアクセス数が1000を越えたからって、一日に1000人の人が見に来てくれているんだと思ってはいけないという話だ。
実際のところ、カウンターが1000行っていても、そのうちの半分から6割は検索ロボットだという話も聞いたことがある。
最近は特にGoogle以降各社ともロボット型の検索エージェントを取り入れるようになったから、各社のロボットが次々とカウンターを踏んでいる。
特に有名サイト、アクセス数が多いサイトほどこの比率は高くなるらしい。
だからアクセス数が一日1000を越えたら、
「このサイトを見に来てくれる人が400人もいるんだ」
という喜び方をしないといけないのかもしれない。

今ではこの検索ロボット、エージェントなどの人間ではないユーザの消費している帯域幅も馬鹿にならないに違いない。


まとめ
ビデオダウンロードはともかく、ファイル共有とファイル共有を狙った偽装ウイルス、スパム、検索ロボット、エージェントなど本質的なユーザとは違う者達によってネットは占拠されつつあるということじゃないだろうか。
それもこういうことをつらつら考えると、現状でも過半数をこういう者達に乗っ取られているような気がするし、あと何年かすると大部分を乗っ取られてしまうという気がする。
だからといってIIAの結論のように
「インターネット税を徴収すれば良い」
というような案には賛成できないし、そんなものは何ら解決策にはならないと思うのだが。




2007年4月27日













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