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世代間の断絶は人類が直立したときから
つきまとう宿業病のようなものか
/Homo-gapiens-preachytos

近頃の若い奴はとか能天気なこといってる場合か!


「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」さんの『「 近ごろの若者は当事者意識がなく、意志薄弱で逃げてばかりいて、いつまでも「お客さま」でいる件について』というエントリについて。

これも言い古された話だけども、古代エジプトのピラミッドから出土した象形文字を分析していたら
「近頃の若者はなっとらん」
という一文が出てきたという話がある。
この話の真偽は知らないし、どこの遺跡から出土した一文かも知らない。
しかしありそうな話ではある。

もし4000年前から若者は堕落し続けていたというのが事実なら、もう今の人類は老いも若きもどいつもこいつも救い様もないクズばっかりで、その中でちょっと年を重ねた奴が若い奴を
『「最近の若者はダメだ」は昔から言われているが、特に今の若者はひどい。まず、当事者意識が完全に欠如している。さらに、独り立ちをしようとせず、常に何かに依存し、消費し、批判するだけの「お客さま」でいつづけようとしている。これはゆゆしき事態であり、日本社会のありかたにかかわる重大な問題である。』
とか評論するのは目くそが鼻くそを笑う非論理的で愚劣な
「説教オヤジ」
としか言いようがないということになる。

それにしてもこの引用部分は「モラトリアム人間の時代」(小此木啓吾)という本から抜いた一文だそうで、この本は私も読んだのだが30年前の本だった。
つまりここに書かれているのは今の若者ではなく、今「近頃の若い奴らは」といっているオヤジの世代の話だ。
かくいう私もこの本で書かれている「モラトリアム世代」だ。
大学の4年間はモラトリアムである・・・高卒はすぐに仕事だが、大学に進学した連中は4年の猶予期間を与えられたので、この4年間でバイトとバンドと合コンに励むぞ・・・自分の人生については4年後に真剣に考えよう・・・こういうのが典型的なモラトリアムで、4年後に考えようなんて言ってすっかり遊び癖がついているから4年後だってそんなに真剣に考えられない。
考えられないうちに社会人になり、あれよあれよと流されていき、思うに任せないのは社会が悪いなんて理屈だけは一人前に言うが、自分で何かをする知恵はない・・・

これがモラトリアム世代だ。
少し上の団塊の世代の連中には「新人類」などと揶揄された時期もある。
しかしその団塊の世代だって、結局は減点主義の競争に勝ち残って体裁を繕うことにばっかり長けて、会社を悪くしているのは大体この世代だ。

こういうどうしようもない、ジジイとオヤジの世代が
「近頃の若い奴らは当事者意識が完全に欠如している」
なんて批判したって説得力もクソもない。

もっともこういう「若者批判」が見事にステロタイプにハマっているのはこのリンク先の「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」さんの看破している通りだ。

この一文に
『「ひきこもり」と「NEET」、あと「ネット」』
という単語を足せばそのまま今の若者批判になる。
全く違和感がない文章になるだろう。
つまり30年前の若者も、40年前の若者も、今の若者もどの世代も大してご立派ではないということだ。

だったら時間がたっぷり残されている若い人達の奮起とチャレンジを期待したところだ。
先日産業再生機構の前COOの冨山和彦さんにインタビューしたが、氏は今の日本の一番の問題は人材疲労で、特に企業経営幹部の世代に本当に良い人材がいないということを嘆いておられた。
しかたがない、彼らは高度成長期を減点主義の採点法で勝ち残ってきたので、事なかれ主義、先送り主義で平和な時代にはもっとも無難な経営者だが、危機に際しては何の役にも立たない無能な人材ばかりが勝ち残っているという。

それに比べれば今の若い連中は就職は氷河期を乗り越えてきて、ポスト不足、リストラも乗り越えてしかも老後は年金ももらえそうにないという世代なので、たくましくならざるを得ない。
そういう世代からきっと人材が現れるだろうと冨山さんは予言をしておられた。

「今の上の連中は本当に大したことないです。だからどんどんチャレンジして欲しい」
というメッセージだった。
心強いメッセージだと思うが、若い人には「近頃の若者はなっとらん」といわれるよりも耳が痛いメッセージかもしれない。




2007年5月18日













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青木さやか