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河瀬監督の快挙に率直におめでとうと言いたい
/Grand prix

カンヌから飛んで来た朗報


カンヌ映画祭 河瀬監督「殯(もがり)の森」がグランプリというすばらしいニュースが飛び込んできた

あまりにもうれしいので長文引用してしまう。

『カンヌ映画祭 河瀬監督「殯(もがり)の森」がグランプリ
5月28日16時59分配信 毎日新聞

 【カンヌ(南仏)勝田友巳】「第60回カンヌ国際映画祭」は、最終日の27日夜(日本時間28日未明)に授賞式が行われ、日本から出品された河瀬直美監督(37)の「殯(もがり)の森」が、最高賞のパルムドールに次ぐグランプリ(審査員特別大賞)を受賞した。
〜中略〜  ◇97年「萌の朱雀」がカメラドール(新人監督賞)受賞
 河瀬監督は1969年、奈良市生まれ。中学からバスケットボールに夢中になり、奈良市立一条高校では国体にも出場していた“体育会系少女”だったが、テレビで見た映画の映像美に感激し、大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ専門学校)で映像技術を学んだ。
 幼いころに両親が離婚。子どものいない遠縁の夫婦に育てられた。離別した父親を探し出す自らのドキュメンタリー「につつまれて」(92年)と、自分を育ててくれた親類との生活などを描いた「かたつもり」(94年)の自主映画2作品が山形国際ドキュメンタリー映画祭などで注目された。
 97年、奈良県西吉野村(現五條市)を舞台にした初の劇場映画「萌の朱雀」が、カンヌ国際映画祭で史上最年少のカメラドール(新人監督賞)を受賞。一躍、世界に名が知られた。
 この「萌の朱雀」をはじめ、作品はいずれも自身の周囲で起こる出来事を徹底的に掘り下げて作られる。自らの長男出産(04年)も、出産直後の胎盤の実写を含めた「垂乳女(たらちめ)」というドキュメンタリーにまとめた。今回の受賞作は、育ての親に認知症の兆候が表れたところから取り組み始めたという。』


河瀬監督は映像系の学校の講師を辞めて、奈良で独立系のプロダクションを立ち上げた時に一度取材したことがある。
当時はまだ、アマチュアからプロに転向しようという新進気鋭の監督だった。
まだ「萌の朱雀」のロケハンをやっていた時期だと思う。
私自身は彼女のインディーズ時代の
「につつまれて」
「かたつもり」
の2作を観て頭を殴打されたような衝撃を受けた。

商業系映画のようなカットのつながりの体裁の良さや、セットやCGなどのエフェクトに金を使ったというところを見せるのではなく、あくまで筆を持って絵を描くようにカットを紡ぎだしていく作風にほとんど脱力感のようなカルチャーショックを受けた。
以来河瀬監督のウォッチャーなのだが、カンヌ映画祭で新人ながらカメラドールを受賞した時には我がことのようにうれしかった。

生前の淀川長治がこの受賞作の「萌の朱雀」を観て「スチューデントフィルムそのもののような愚作」と評していたのがショックだったのだが、こういう映画の良さは誰にでも分かるようなものではないと自分にも言い聞かせていた。

今回はなんとグランプリの受賞だという。
カンヌ映画祭は賞の呼び方が独特で、グランプリは2番目の栄誉で、最高賞はパルムドールということだが、それでもここでグランプリを穫ったのは価値がある。

スポーツ紙やワイドショーはお笑いの余技のような映画ばっかり追っかけていたが、少しは映画を観て勉強したらどうだろうか。

それはともかく「分かる人には分かるんだ」ということが分かって、本当に今回のカンヌはうれしい映画祭になった。




2007年5月28日













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