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アイランド
監督 マイケル・ベイ
キャスト ユアン・マクレガー, スカーレット・ヨハンソン, ジャイモン・フンスー, ショーン・ビーン, スティーブ・ブシェミ
CGと爆発、カークラッシュアクションだけに頼った
安直な映画作りはもういい加減に汁
管理社会に生まれた「エコー5なんたら」は毎日食事から仕事から日課から完全に管理された社会に生まれ毎日単調な生活を送っている。
この社会では「優等生」は報償として「アイランド」にいくことができる。
「アイランド」に行った者で戻ったものは一人もいない・・・
ザミャーチンの「われら」、ジョージ・オーウェルの「1984」、フランソワ・トリフォーの「華氏451」、リチャード・フライシャーの「ソイレントグリーン」など過去にSF小説や映画で散々に描かれてきた「ディストピア」(反理想郷)の世界観だ。
このジャンルはそれこそSF作家や社会派の小説家、映画作家が散々取り組んできた世界だから、今さらまたそれをやるからには、観る者をあっと言わせるような工夫が当然必要だ。
ところがマイケル・ベイが用意したその「あっという工夫」は高速道路で飛行バイクが飛び回ってトラックや自動車を何十台もぶちこわしまくるクラッシュアクションとCGだけだった。
このディストピアを創ったのが「全体主義社会」ではなく「金儲け主義のバイオベンチャー企業」だったというところが現代的と言えば言えるが、それだけに余計に世界観が矮小に見えてしまった。
このマイケル・ベイという人は
彗星衝突という今そこにある危機を防ぐために宇宙でダイハードという「アルマゲドン」
とか
「真珠湾空襲」という歴史的な大事件を、ほとんど日本人をエイリアンに見立てた「真珠湾宇宙大戦争」に仕立て上げてしまった「パール・ハーバー」
とかの作品がある人だ。
この人は大きなテーマを矮小に見せることに関しては天才的な才能の持ち主だ。
別にこんな映画でも面白いと思う観客がいるから興行的に成り立つんだろうし、それは好き好きなのだが、それにしても脚本をおざなりにしてCG頼み、爆発頼み、カークラッシュ頼みで映画をでっち上げてしまうこの手法だけはもういい加減にしてほしい。
ハリウッドはもう行き詰まっているなということを感じさせる作品だった。
薦める人がいたから観たのだが、1500円のDVDでも絶対に高い、タダでも時間の無駄と久しぶりに思った腹立たしい映画。