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Colt New Lawmanを復活させる

Fix Colt NewLawman

Colt New Lawmanを復活させる

時々思い出したように昔愛用していたモデルガンなどを引っ張り出してくる…の第3弾

このメカメカしい内部を見よ!

【ローマンという銃の知名度について】

コルトのスナブノーズ(短銃身)回転式拳銃。

このローマンは不思議な銃だ。
日本の刑事ドラマやヤクザ映画では本当によく見かける。

コルトのリボルバーといえば、西部劇のピースキーパーを除けばローマンかパイソンかあたりが日本では一番有名なんじゃないかな。

ところがローマンの地元のアメリカでは知っている人はほとんどいないと思う。

実際アメリカの刑事ドラマ、刑事アクション映画のステージガンを調べていくと、ローマンは壊滅的に使用されていない。
アメリカ映画だとポリスポジティブ、ディテクティブあたりが多いかな。
フレンチコネクションのジーン・ハックマンはローマンを使っていたはずだ…と思って調べてみたらディテクティブ・スペシャルだった。

アメリカの鉄砲が好きな人でもあまり知らないに違いない。

映画やドラマで使用されていないということは、きっと人気もないんだろう。


本家アメリカでは無名なのに日本のドラマでリボルバーといえばローマンというぐらいに知名度があるのは理由がある。

もう倒産して亡くなってしまったMGCというモデルガンメーカーがあって、ここが旧タイプのローマンを出していた。
ABS製のフレームの黒いローマンで、エジェクターロッドシュラウド(銃口の下の排莢用の棒の覆い)がないタイプだった。(あるタイプも発売されていたらしいけど)


このMGC製は実は昔私も所有していた。

持っていたがこのローマンは売ってしまって今は手元にない。
記憶によるとメカがあまりリアルではなくて、むしろ肉厚で見た目はなんだかずんぐりしていたように思う。

でも、リアルじゃないのに日本のドラマや映画で使用されていたのは、ほとんどこのMGCのローマンをステージガン(映画・ドラマ用に派手な火花が銃口から出るように改造された撮影用ポップガン)化したものだった。

それには訳があった。

この理由をステージガン屋さん(確かトビー門田だったような…)が語っていた記憶が有る。
MGC製のローマンは当時鉄砲好きには「天ぷらメカ」と呼ばれていたものだったからだ。


ローマンのモデルガンが発売されるちょっと前に金属製のモデルガンの規制が始まった。
モデルガンを悪用してハイジャックしてみたり銀行強盗してみたり、銃口くり抜いて実弾を発射できるように改造するバカが増えてついに始まったモデルガン規制で以下のことが義務付けられた。
・金属モデルガンは白または黄色のペンキを塗って一目でモデルガンだとわかるようにすること
・銃口は鋼鉄製のインサートを入れるだけでなく完全にふさいでしまうこと

つまりモデルガンは完全に文鎮になってしまった。

この時にプラスチック製のモデルガンをどうするかというのが議論になった。
ABSのペカペカに光るプラスチック製モデルは、幼児向けの銀玉鉄砲と同じ範疇と判断され銃口インサートは義務づけられたが塞ぐ必要はないということになった。
色も黄色ペンキは勘弁してもらえることになった。
ただし実弾を発射できないように銃身やフレームは必要以上の強度を持たない構造にすること…ということで落ち着いた。

ところがこのMGCローマンは鋼鉄製のプレスのシャーシをABSの外皮で覆った構造でこのモデルガン規制をかいくぐってしまった。
なんだがグレーゾーンのような気はするが、特に規制もかからずこの重くて頑丈なリボルバーは人気商品になった。

このモデルガンに目をつけたのがドラマや映画の小道具の銃を作成しているステージガン屋さんだった。

モデルガン規制で被害を被ったのは映画の小道具屋さんも同じだった。

当時のアクション俳優さんたちが「プラスチック製の鉄砲じゃ雰囲気でないんだよね…軽いしテカテカ光ってるし…」と不満を語っていた。
プラスチック製のモデルガンだと、ステージガン化して火薬を大量に詰めるとメカが参ってしまう。
さらにアクションでは銃を落としたり投げたりもする。

MGCの鉄製シャーシをプラで覆った「天ぷらメカ」は重いし頑丈で、落としても壊れることが少ない(壊れない訳ではない)。
それでドラマや映画の撮影用の銃を担当する人たちが好んでMGC製のローマンを使っていた。
西部警察あたりが一番有名だったんじゃないかな。

ドラマで見かけるので日本では人気のリボルバーになった。
本家アメリカではほとんど知名度がない銃なのに…


【コクサイ製のローマンという選択肢】

そのローマンは当時のMGCだからタニオコバ製だったに違いない。
タニコバといえば当時のモデルガンファンは知らない人はいないくらいの有名人だった。
今はタニオコバという名前で超リアルモデルガンを作製するメーカーとなって復活しているが、倒産したMGCの企画設計部だった当時のタニオコバは際立った性格があった。

モデルガンはリアルなだけじゃなく、アクションを楽しめないといけない…そのためには多少のメカのアレンジは許される…それがタニコバ式だった。
タニオアクションのPPKも見たことがあるが、ダブルアクションのトリガーを引くとハンマーだけでなくスライドも後ろに下がって自動的に排莢される。
リアルじゃないけどブローバックメカなんてなかった当時は、引き金を引くだけで連射できるオートのモデルガンなんてなかったから、結構人気があった。

そのタニコバ製のローマンだからメカはリアルじゃない。

見た目もサイドプレートを止めるビスの位置が変だったり、なんとなくごっつかったり…
ほぼ同時に手に入れたのがコクサイ製のローマンだった。

こちらは見た目重視、メカも本物っぽく見えるのが重視でアクション重視ではなかった。
どちらがいいかは好みだと思う。

私は見た目重視でMGC製を手放して、コクサイ製を手元に置いた。
1983年ごろに入手したこれが多分ウチに現存している一番古いモデルガンだと思う。
古いMGC製、CMC製はほとんど処分してしまったから…

この落としたら壊れる方のローマンは長いこと押入れの奥で眠っていたが、なんとなく最近この古いテッポウが気になってきて引っ張り出してきて再調整している。





コクサイ製のコルト ローマン2インチステンレスモデルの全体像
映画で刑事アクションのリボルバーというとほとんどS&Wのスナブノーズで
見慣れたS&Wと比べると全体的にシリンダーからグリップまでが遠くて
前のめり、間延びしているようにも見える




右側全景
コルトのリボルバーはサイドプレートがS&Wとは逆で
左側にあるので右側の印象はなんとなくのっぺりしている




エジェクターロッドシュラウドと銃口が面一になっているのが特徴のニューローマン
MGC製は銃口にクラウン(縁の丸み)があって唯一見た目でMGCに負けている部分
1980年代の古い金型なので銃口にライフリングのモールドがないなどいろいろ古めかしい
モデルガンなので銃口にもシリンダーにもインサートがしっかり入っている




リボルバーの何が好きってこのシリンダーをスイングアウトした時の後ろ姿
コルトは左のリコイルシールドを後ろに引くことでスイングアウトする
シリンダーラッチを前に押してスイングアウトするS&Wとは真逆




コルトのリボルバーがS&Wと比べていまいち人気がない部分
ハンマーを引いた時にその長大なストロークがよくわかる
ハンマーがすごく後ろまで下がるので引き切るのも一手間だし
ダブルアクションの時にはグリップからトリガーまでがとても遠い
手が小さい人には向かないテッポウだ




このコクサイニューローマンをバラす
リボルバーの分解はどのメーカーのものも大抵グリップパネルと外すことから始まる
そしてリボルバーのグリップパネルは一部メーカーを除いて大体貫通ねじ止め
ちなみにこのグリップはコクサイの元からついてきたオリジナルABS製を
カッターで木目を切ってアクリル塗料で木目を描いたもの
モデルガン、エアガン共にコルトの純正木製グリップはつけることができない
本当は木グリの工芸的美しさもコルト製品の特徴なんだけど…




グリップパネルを外したところ
メインスプリングとその台座のサブフレームが現れる
サブフレームの突起がグリップパネルを固定しているが
これがあるためにコルト純正の木グリは使えない




今回の修復点の一つ、バレルの付け根とフレームにヒビが入ってしまいパックリ割れた
ABSフレームなのでスチロール系の接着剤で補修したがすぐに壊れてしまった
それで今回は瞬間接着剤をたっぷり流し込んで固定は成功したが補修跡はしっかり残ってしまった
フレーム内側に「Model1980」と刻印されているがローマンMkIIIは1960年から
1980年ごろまで生産されその後製造中止されたのでその末期モデルを再現しているようだ




シリンダーヨーク(コルトではクレーンというらしい)を外すためにストッパースクリューを抜く




スクリューを抜くとヨークは前にすっと抜ける
ヨークが抜ければシリンダーも取り外せる
このヨーク根元のシャフトも削れてカスがかなり溜まっていた




サイドプレートを固定しているネジ2本を外すとパネルが外せる
S&Wのようにすっと外せるわけではなく下側を少し持ち上げて
後ろにずらすように横に外すのがちょっとコツがいるところ




トリガー・ハンマーの動きがしわくなっていた原因はシリンダーハンドを
抑えているテンションスプリングが左にずれてサイドプレートの内側を削っていたため
これを押し込んで戻したが動かしていればまたずれてきそうな気がする
実銃のメカをリサーチ中だが多分実銃ではこのスプリングをろう付けしているはず




このメカメカしい内部を見よ!
ある程度モジュール化されているS&Wのメカと違い一つ一つの
部品が時計のムーブメントのように組み合わさっている
コルト製品が高価でポリスオフィサーなどの実需ユーザーに
人気がない理由はこういうところにもあるのかもしれない




ダブルアクションリボルバーのアクションはトリガーをすべて起点にしている
トリガーを引くとシリンダーストップを下に引き下ろしシリンダーハンドを
上に押し上げてシリンダーを時計回りに回転させる
ハンマーとファイアリングピンを接触させるトランスファーバーを上に押し上げ
長大なストロークのハンマーを後ろに引き戻しシアが切れたらハンマーを落とす
これだけのことを人差し指一本でやるのだからトリガーが重いのは当たり前




ローマン以降導入されたコルトリボルバーのオートマチックセーフティ
ともいうべきトランスファーバーの動き
トランスファーバーはトリガーを引ききったときのみせり上がってきて
ファイアリングピンを覆いハンマーの力をファイアリングピンに伝える




トリガーを引いていない時にはトランスファーバーは下に下がり
ハンマーが落ちてもファイアリングピンと接触できない
銃を落としてコックしたハンマーが不意に落ちても暴発しない仕組みだ




1980モデルを再現しているというコクサイ製だがメインスプリングはコイルばね
後期モデルのローマンはリーフスプリング(板バネ)に変わったと聞いたがコイルスプリングのまま
引き始めが重いコイルスプリング、粘る板バネという性格に違いがあると聞いたことがある
コクサイローマンはその特徴通り引き始めが重い




組立時の注意点は左リコイルシールドをちゃんとシリンダーラッチと噛み合わせること
噛み合ってないとサイドプレートが浮き上がって湾曲してしまい気づかないまま動かすと破損する
この角度で見てサイドプレートが浮き上がっていないか確認して組立をすること




実銃のコルトローマンMkIIIは357マグナムに本格的に対応したスナブノーズ
S&WでいえばM10あたりが対応モデルだと思うが似たところでM66を並べてみた
シリンダーの回転方向はS&Wは反時計回りに対してコルトは時計回り
シリンダーのスイングアウトはサムピースを前に押すS&Wに対しリコイルシールドを引くコルト
サイドパネル右にあるS&Wに対してコルトは左とすべて逆レイアウトだ




並べてみるとはっきり分かるのはシリンダーの径の違い
コルトは太いがS&Wはほっそりしているのがわかる
実銃ではS&Wは357マグナム弾を撃つとシリンダーにヒビが入ることがあるそうで
ユーザーは代わりには38スペシャルのホットロード弾を装填することが多いそうだ
コルトローマンのような肉厚なシリンダーなら本当に357マグナムを装填しても大丈夫そうだ




並べてみればハンマーとシリンダーのチェンバーとの距離の違いがよくわかる
ほぼ同じクラスのサイズの両銃だがコルトはS&Wより1センチ近くハンマーが遠い




手持ちのリボルバーの一部を並べてみた




カートリッジのロードの方法の違い三様
コルトシングルアクションアーミーはシリンダーゲートを開けて一発ずつ装弾する
ブレークオプントップタイプのエンフィールドNo.2 Mk.Iは銃を折って上から6発装填
コルトローマン、S&W・M66などのスイングアウトは左横で装填…それぞれだ




大河ドラマ「真田丸」でお目見えした馬上筒こと
フロントローディングフリントロックマスケットガンとコルトローマンの比較
400年で銃はこれだけ進歩した…この馬上筒ことマスケットガンについては近日中に取り上げる



2017年8月29日
















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