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冬来りなば春遠からじ、チーフ来りなばセンチ遠からじ
〜原点回帰のセンチニアルに改めて惚れ直す

Centennial Has Come

冬来りなば春遠からじ、チーフ来りなばセンチ遠からじ〜原点回帰のセンチニアルに改めて惚れ直す

時々思い出したように昔愛用していたモデルガンではなく今回は新しいモデルガン…の第19弾

ついに原点に戻ってきた。

以前も書いたが私がそもそもテッポ好きになった原点は、友人から預かったMGC製のセンチニアルを修理したことから始まった。

当時は銃刀法がまだ改正される直前だったので、金属のモデルガンは銃口も開口したままで色も黒いままで所持できた。
黒い金属モデルガンのセンチニアルを分解して、そのメカニズムに感銘を受けてモデルガンのメカマニアになった経緯は前に書いた通り。

そのセンチニアルをん十年ぶりで入手した。
それでそのセンチについて、私が知っているいくつかのことがらについて…

【実銃について】

SMITH & WESSON Model40
これがこの銃の正式名称。

最大の特徴はチーフスペシャルと同じJフレームを使用しながら、ハンマーを内蔵式にしたため銃の表面に服に引っかかるような突起が一切なくなったことだ。
そしてハンマーを外から操作できないDAO(ダブルアクションオンリー)になったので、安全対策としてグリップセーフティが組み込まれた。

このモデルはスミスアンドウエッソン社の創立百周年記念モデルとして1952年に発売されたので「センチニアル(百年もの)」と呼ばれるようになった。
別名「レモンスクイーザー」という名称もある。
グリップセーフティがあることから「レモンしぼり器」という名前になったらしい。
一説によるとS&Wがつけた名称が「レモンスクイーザー」だったが、一般には「百周年記念モデル」という意味の「センチニアル」の方がかっこいいから知名度が上がってしまったという説をどこかで読んだ。

真偽は知らない。
レモンはアメリカ英語のスラングで「中古車の難あり品」という意味があるのでメーカーがそういう言葉を好んで使うとは思えない。
おそらくメーカーは「百周年モデル」とかっこよくぶち上げたのに、ユーザーがこのグリップセーフティを見て「レモンしぼり器みたいだ」と陰口を言ったというのが真相に違いない。


アメリカの、特にエンフォーサーにはDAOに関する要望が非常に根強いと聞いたことがある。

要はアンダーカバー(潜入捜査官)はいつガンファイトになるかわからないので小型の銃を服に下に隠しておきたいが、それを抜くときにハンマーが服に引っかかって初弾の発砲が遅れると大抵の場合至近距離のガンファイトなので致命的だという事情がある。

それにいきなり抜き撃ちするならシングルアクションは必要ない、引き金を引くだけで弾が出るダブルアクションのみでいいというのが彼らの言い分。

オートマチックのDAOモデルというのはいろいろなメーカーが出しているが、リボルバーのDAOモデルでハンマー内蔵式まで徹底したのはあまり例がない。


【モデルガンについて】

このセンチニアルが銃刀法改正以前に販売されていたのは、今は亡きMGCからだった。

そのセンチは銃刀法改正後プラガンとしては再販されず、コクサイやCMCやいろんなメーカーからJフレームのチーフスペシャルが発売されるたびに「チーフ来りなばセンチ遠からじ」と囁かれ続けながら結局肩透かしを喰らい続けていた。

それで私個人は「原点はセンチ」といいながらセンチが手に入らないため永らくチーフスペシャルで我慢していた。

そのセンチニアルが数年前にタナカから発売された。

何年待たされただろうか。
というよりもう最近何十年間私自身がテッポに関心がなくなっていたので、センチの数十年ぶりの新発売にも関心がなかったのだが、最近テッポをまたいじり始めて
「そういえばセンチがあるじゃないか」
ということに思い至った。

それで「M40 2インチ CENTENNIAL スチールジュピターフィニッシュ モデルガン完成品」を入手した。
このモデルの詳細はキャプチャを参照いただきたい。


ん十年ぶりでセンチを手にした感想は
「やっぱりセンチはいいぞお!わはははははは」
ということになる。





新品購入したなりのタナカのセンチニアル
このモデルはヘビーウエイト樹脂の上からメッキを
かけた「スチールジュピターフィニッシュ」という仕上げ
ヘビーウエイトにメッキをかけるのは難しさがあるはずだが
それを克服したのがこのタナカのモデルらしい




それで「スチールジュピターフィニッシュ」という名前からもっと昔の
コクサイのメッキモデルのようなメッキ感バリバリの…を想像していたのだが
実際は黒アルマイトのような感じの仕上がりだった
トリガーガードやフレームの光沢を見て貰えばわかるが
メッキっぽい銀黒というよりはテカテカの黒という感じの色合いだ




センチニアルの最大の特徴はこの本来ハンマーがあるはずのところが
緩やかなカーブを描くスロープになっていてつるんとしていること
そしてリアサイトがキレイな谷間になっていてここが大きく2本の線として光っていること
グリップが木製ではなく素の発泡成型でいかにもモデルガンぽいので
これを木製グリップらしく仕上げることにした




グリップパネルを外してS&Wのメダリオンも抜いて
まず筆でアクリルの半光沢ブラックの塗料で大まかに木目を描く
筆の跡が残らないように描いてはアクリルシンナーでこすってまた描くを繰り返す
そしてウレタンニスの感じを出すためにクリアオレンジを吹く




タミヤのクリアオレンジは結構きわどい色をしているがこの上から
半光沢ブラックとダークブラウンで木目をなぞりながら筆で塗っては
シンナーでこすることを繰り返して筆跡が残らないように木目を作っていく
すると本当の木のようなビビッドな木目になる
ただ黒塗料で木目を描くよりも木の感じが出ると思う




以前も取り上げたコクサイのチーフスペシャルと2ショット
ところでこのガンブルーだがコクサイのポリッシュモデルは塗装なしのABSを磨いただけの色
タナカセンチはメッキに黒アルマイトのような黒染めをした色
チーフスペシャルのABSむき出しの黒に衝撃を受けて今まで塗装の試行錯誤を続けていたが
こうして並べると究極のリアルメッキとABSむき出しがほぼ同じ色合いなのが衝撃




今度は右側のツーショット
塗装の試行錯誤の過程で実銃のS&Wのグロスブルーの資料をいろいろ集めていたが
実際のS&Wのグロスブルーは青というよりはほぼ真っ黒でしかもヌメッとした光沢感が強い
その感じがまさにこの2丁のメッキアルマイトかABSテカテカ磨き上げの感じに近い
いろいろ試したが結局チーフスペシャルも塗らないことにした
ところでこの2丁は同じJフレームで装弾数も同じ5発でサイズも全く同じ
違いはハンマー内蔵式かそうでないかグリップセーフティの有無だけだ




タナカのセンチニアルはS&Wのエンブレムがフレームの左側にあるタイプをモデル化している
トリガーのケースハードゥン仕上げに注目




センチニアルをセンチニアルたらしめているのはこのハンマーがないバックショット
アメリカ人はギャバジンスーツを好んだからチーフスペシャルのハンマーが
ジャケットに引っかかって問題になったという話も聞いたことがある
しかしそういう実用性の問題はともかくこのカーブは芸術的な美しさだと思う




このタナカのモデルの刻印はちゃんと「MADE IN U.S.A」となっていて
SMITH & WESSONの「&」も横に長いフォントになっているのがリアル




グリップパネルの木目とグリップセーフティ
木製らしさを出すためにもっとエッジを荒らしておけばよかったと反省中
このグリップセーフティは固定状態にしている
グリップセーフティが動くのが嫌な人は固定することができる
確かにこの方がしっかりグリップできる気がする




旧マルゴーのダミーカートを仕込んだシリンダーの開口部から弾頭が見えている
ダミーカートはコクサイとほぼ互換性がある




センチニアルやボディガードの特徴
チーフスペシャルよりもグリップの後端の上部が上に伸びているので深いグリップが可能だ
モデルガンやエアガンでは反動がないから実感できないが
実銃ではこのグリップ感が反動の制御がしやすいと好評のようだ
だから実銃の世界ではセンチニアルやボディガードの支持者が多いと聞いた




これも以前に取り上げたコクサイのミリポリとのツーショット
KフレームのミリポリとJフレームのセンチニアル
このサイズ感の違いが大きな特徴でミリポリを背広の下に隠すのはかなり難しいが
センチニアルならそんなにデブでなくても隠せる




昔持っていたCMCのチーフスペシャルのホルスターに入れたところ
当たり前だがサイズはピッタリ




センチ全景




そしてお約束のカートの映り込み





フレーム右側の刻印がリアルになった分シリンダーヨークを開いた内側の
刻印はメーカー名、SPGなどの刻印に変わってしまったのは残念




チーフスペシャルやセンチニアルの小さいながらも筋肉質のこういうフォルムが好き




センチニアルのメカの大きな特徴であるグリップセーフティだが
メカ的には面白いが実銃ユーザーの中にはこのセーフティを嫌う人も多い
実際最近再販されたM640などの実銃ではグリップセーフティは廃止されている
このM40でもそういう人のためにグリップセーフティをキャンセルするメカも用意されている
グリップの中の丸内のピンを抜いてグリップセーフティの丸のところに打ち込むと
グリップセーフティは固定されて無効になる




タナカセンチのメカ部分
注目するところはハンマーがフレームの中で鎮座していることと
ハンマーブロックアームが省略されていること
チーフスペシャルとほぼ同じメカだが部品の互換性は案外なさそうだ
タナカの「スチールジュピターフィニッシュ」はトリガーだけでなく
ハンマーもケースハードゥン仕上げになっている
外から見えないところなのにサイドパネルを開いたときの
ガッカリ感を与えないというこだわりがすごい




グリップセーフティの動きを見る
グリップセーフティを握り込んでいないときハンマーはブロックされて後退できない(左)
グリップセーフティを握りこむとハンマーブロックは後退してハンマーはコックできる(右)
人が撃発させていない時にはグリップセーフティは握り込まれないので安全が確保されるという考え方
近年ではDAO自体が一種のセーフティなので屋上屋を重ねるセーフティは必要ないという考え方が主流




グリップセーフティのインジケーターとしてセーフティの上端に白ポイントが描かれている
握り込まれないと白ポイントが見えており安全な状態
握り込まれると白ポイントは隠れて撃発が可能になったという表示になる



2018年4月30日
















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