テッポの各部の名前をちょっと解説してみた〜独自な用語が多いからね、PCの世界と一緒で…
最近ここでテッポの話題を書くことが多かった。
テッポの話は昔からの趣味だったので、専門誌を読み漁って馴染みのガンショップにも通って…そのガンショップも大阪のミナミの実銃も扱っているような店だったのでいろいろ他では得られないような面白い情報ももらえた。
いっときはかなり深入りしていたテッポの趣味だが、この20年ほどはすっかりご無沙汰になっていてテッポのことはほとんど考えることがなかった。
それがつい最近昔のエアガンやモデルガンを取りだして弄っているうちに、
「昔気になっていたけど結局実現しなかったことをちょっとやってみたい」
と思いいろいろ手をかけるようになった。
手をかけだすとそのことをここに書いてみたくなった。
それがここ最近のエントリになっている。
それで書いていて思うのだが、この二十数年全くテッポのことが頭になかったので、昔普通に使っていたテッポの専門用語を結構忘れているということだ。
テッポの世界は結構独自の用語が多い。
この専門用語は結構動作原理と直結しているので、正しい用語を使わないといけない。
仕組みが判っていないと正しい用語は使えないし、用語によって仕組みが理解できるということもある。
ところがこの用語を結構忘れているんだなぁ…
「あのあれ、バレルについてるあのなんとかいう部品…なんだっけ、そのなんとかが…」という調子。
部品名は分解図がモデルガンの取説についているので、それを見て思い出していたが部位の名前はいちいち調べないといけない。
数百冊あったテッポの専門誌は引越しの時にほとんど処分してしまったので、見返して思い出すこともできない。
だからここにメモしておくことにした。
また当たり前のように用語を使って記事を書いているが、Macにしか興味がないかもしれないここの多くの読者には慣れない用語も多いのかもしれない。
IT関係やPC関連の用語はこういうジャンルにあまり興味がない人には理解しがたいものが多いのと同じように、テッポの用語も独自なものが多い。
用語は特殊だけど面白い話はたくさんあるということは昔いろいろ知ったのでそのことを書きたい…
ならば用語を共有するしかない。
ちょっとまとめてみた。
オートマチックハンドガンのおおまかな部位の名称
今日のハンドガンはおおまかにいってオートマチックとリボルバーに分類できる
昔はもっと多くの分類があったが生き残ったのはこの二つだ
オートマチックはスライドが発射と同時に後退して
空になった薬莢を自動的に排出して次弾を自動的に装填する
スライドは小銃でいうボルトと同じ役割を果たすがハンドガンのスライドは
銃自体の外観の上半分を覆っているケースが多い
上の主要部位以外あるいは右側面の部位の名称
エクストラクターは空になった薬莢ををチェンバー(薬室)から引き抜く役割があり
また内部のエジェクターという爪に引っ掛けて薬莢を飛ばすための支点にもなっている
また銃は火薬を使うとすぐに洗浄などの手入れが必要でこれを怠ると数日で
真っ赤に錆びてしまうため簡単に分解できるテークダウンレバーを備えているオートが多い
構造が複雑なオートこそワンタッチで手入れのための分解ができないといけないからだ
モーゼルM712の撃発部分の名称
大抵の自動拳銃は独立したファイアリングピンを持っておりこれをハンマーで叩く
ファイアリングピンは打撃力を伝えてカートリッジの発火薬が入っているプライマーを叩いて発火する
モーゼルの安全装置はハンマーのすぐ隣にあり浅くかけるとハンマーを固定する
深くかけるとハンマーをブロックしてハンマーが落ちてもファイアリングピンを叩けないようにする
これで暴発の危険を防ぐ方式の安全装置となっている
モーゼルの分解はテークダウンレバーではなくこのハンマーの下の
テークダウンラッチを上げてハンマー打撃メカ一式をごっそり後ろに抜き出す方式
また引き金を引き続けている間マシンガンのように連続発射ができるフルオート機能があるため
フルオートと引き金一回につき1発だけ発射するセミオートの切り替えセレクターもある
モーゼルは上のベレッタM84などの一般的オートとは違う際立った特徴がある
モーゼルの本体上半分はスライドではなくバレルと一体のバレルエクステンションで覆われている
その中でボルトが前後移動して自動排莢・次弾装填をする
ボルトはエジェクションポートに少し見えているがこの真上にエクストラクターが付いているため
薬莢が右横に排出される通常のオートと違って真上にはじき出される
またマガジンキャッチも一般的な左ではなく右側についていて自動小銃のようなレイアウトになっている
照門も通常の固定式の凹型ではなく距離計の調整尺が
ついた照尺になっていて最大1000メートルまで照準できる
考え方が片手でも操作できるライフル銃というデザインになっている
銃の照準は後ろの照門(照尺)の凹部分と銃口側の照星と標的を一直線上に捉えて合わせる
照門と照星のデザインは銃の命中精度に大きな影響がある
銃身をバレル(樽という意味がある)と呼ぶがその先の銃口をマズルと呼ぶ
弾の速度をマズルベロシティ(銃口初速)、破壊力をマズルエネルギー(銃口運動量)として表現する
銃口を出た瞬間に弾丸にどれくらいのエネルギーを伝達できたかが銃の威力の基準になるからだ
そのマズルにはライフリングの彫刻が見えている
銃身の中に浅いネジ山のようなねじれた筋(旋条)が彫られていて
これに弾丸が噛んで発射時に強い回転をを与える仕組みになっている
この回転を与えるライフリングの発明が銃の命中精度を飛躍的に向上させた
刑事ドラマなどでよく「鑑識に旋条痕を鑑定させろ」と言っているのは
弾丸に残ったこのライフリングの傷跡で発射した銃を特定する銃の指紋のようなもののこと
ワルサーP38の外観の部位名
ベレッタと同じくスライドがバレルを覆う形になっているが
エジェクションポートの左側にエクストラクターがあって薬莢が左に飛んでいくのが特徴
右利きの場合これは一種の欠陥になるがトリガーメカとエジェクターのレイアウト上仕方がないようだ
しかしスライドにレバー状のセーフティをレイアウトしてハンマーをデコック(安全に落とす)しながら
トリガーとシアの連結を切り、さらにファイアリングピンを固定して暴発も防ぐという三重の安全装置としている
ハンマーを引き起こさなくても引き金を引くだけでハンマーが起き上がって
激発するダブルアクションメカと合わせてこの安全装置は近代的なオートの標準的なメカになっている
もう一つユニークなのはハンマーのすぐ上に独立したカートリッジインジケーターがあること
オートマチックの欠点は薬室に初弾を装填したかどうかが外観からは分かりにくいこと
ターミネーター2でT1000サイボーグやジョン少年がオートのスライドを少し引いて
初弾が装填されているか確認するシーンが表現されているがオートはそれをしないと
薬室がカラの状態で何千回引き金を引いてもうんともすんとも言わない
あれは自動拳銃のことをよく知っている映画製作者のさすがな表現だったわけだが
それをメカ的に表示するのがこのインジケーターで
それを1938年モデルに搭載したワルサーの先進性も相当なものだ
ワルサーの照準は一般的な固定式の凹型の照門と凸型の照星で構成されている
マガジンを取り出すマガジンキャッチはベレッタのようにグリップに
マガジンキャッチボタンとして配置する方法とグリップ底にマガジン固定レバーとして配置する方法が有る
ワルサーは後者でかつての軍用拳銃はこの方式が多かった
マガジンの固定が確実で脱落も少ないからだがカラになったマガジンの交換は少し手間取る
拳銃をエポレット(肩章)に紐でつなぐためにその紐(ランヤード)を
かける輪っかであるランヤードリングがあるのも軍用拳銃の特徴だ
一般的なリボルバーの名称
リボルバーはレンコンのように穴の開いたシリンダーに
5〜6発程度の装薬を装填し発射しながら回転させて次弾を送り込む
自動拳銃のように銃本体が大きく運動して薬莢を排出する複雑なメカはないので動作が安定しているのが長所
短所は6発撃ち切った後サムピースでシリンダーを横に振り出して薬莢を手動で排出し
次の装薬を一つずつレンコンに挿していかないといけないという手間と時間がかかる点
そのシリンダー振り出しの支柱をS&Wではヨークというがコルトではクレーンと呼ぶ
メーカーによって部品の名前が微妙に変わるのも面倒なところだ
シリンダーを回転させる軸はしっかり固定されていないとけないが
装填の時には簡単に解除できないといけない
このシリンダーラッチなどの固定法にそれぞれのメーカーの創意工夫がある
シリンダーはシリンダーハンドで自動的に回転し
回転しすぎを防ぐためにシリンダーストップで固定される
リボルバーは引き金を引ききった時だけハンマーがカートリッジと
コンタクトできる自動的な安全装置を組み込んでおり落下した時の暴発を防いでいる
多くのリボルバーは独立した手動セーフティを持っていないがこのS&W M40センチニアルは
グリップセーフティを備えておりグリップを握りこんだ時だけ激発が可能になる
このメカで暴発を防ぐという考え方だ
リボルバーの特徴はオートと違ってシリンダーとバレルに隙間、いわゆるシリンダーギャップがあること
このシリンダーギャップから発射ガスの何割かは逃げてしまうため装薬の多さの割には
オートよりもマズルベロシティやマズルエネルギーが稼げないという欠点もある
そのためリボルバーでは普通銃身長というとこのシリンダーギャップからマズルまでの長さをいう
チェンバー(薬室)も銃身長に含まれるオートとはここが違いサイズと威力の兼ね合わせでやや不利になる
それでもリボルバーの支持者がいる理由は滅多なことでは故障しないという確実性に尽きる
銃の刻印は製造者商標と安全試験証、口径表示に大別される
特に38口径、357口径、380口径、9mm口径等は全部同じ口径9ミリなので場合によっては紛らわしかったりする
弱装弾向けの拳銃に強装弾を装填すると発射時の爆発事故で射手が大怪我あるいは死亡することもあるので
多くの国ではバレルやチェンバーに適合弾種の刻印を打つことを義務付けている
M36チーフスペシャルの場合は適合弾種は38スペシャルというカートリッジになる
2018年5月28日
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