日本のテッポ〜ニューナンブリアル化計画3
〜気になっていたブルーイング・クラウン加工にチャレンジ
時々思い出したように昔愛用していたモデルガンなどを引っ張り出してくる…の第32弾
日本警察のかつての主力装備品のニューナンブM60の話を続ける。
【実銃のニューナンブについての思い出】
テッポに興味を持ち始めた厨房くらいのこと、実銃はどんな色をしているのか気になっていた。
LSの1/1スケールのテッポのプラモデルを作ってみたり、46年規制でプラスティック製になってしまったモデルガンに色を塗ってリアルにしてみたりとかしている時に
「本物のテッポはどんな色をしているんだろう?」
ということが気になっていた。
そういう時に手っ取り早い身近の参考になる実銃は警察のテッポだった。
当時はまだフラップが付いていないオープンホルスターにミリポリやM1917を腰に吊っていた警官が稀にいた。
そういう警官とすれ違ったら目を皿のようにしてテッポの色を観察した。
さらにもっと後の時代になってとあるガンショップの店長に連れられて、彼が親しくなった派出所の警官にニューナンブの3インチを間近に見せてもらう機会があった。
間近にといっても勿論触らせてもらえるわけではない。
実銃に指の先がちょっと触れただけでも触れた方は勿論、触れさせた拳銃の管理者も銃刀法の規定により罰せられるんだそうだ。
さらに警察の内規もあるので、署員以外の一般人にみだりに拳銃を見せてはいけないということでこれも処罰の対象になるんだそうだ。
なので勿論内緒ではあるが、「見るだけならいいよ」と見せてもらえたのでまたまた目を皿にして見ていた。
そうして観察した結果をまとめると…
1)ニューナンブにブルーイング仕上げとパーカライジング仕上げの2種類があるのは事実
2)ブルーイングフィニッシュの色目はS&Wの商業銃の仕上げに近い
3)パーカライジングの仕上げはマットブラックだが、意外に金属光沢がある
というところか。
パーカライジングというとM16のSTANAGマガジンのあの色目を連想する。
あれは完全なマットグレーで金属光沢はほとんど感じられない。
それに対してニューナンブのマットブラックはつや消し黒なのだけど、金属光沢は感じられる黒だった。
今にして思えばあれがニューナンブのパーカライジング仕上げモデルだったと思う。
【マルシンのポリスリボルバーの色目と気になる点】
マルシンのポリスリボルバーについて取り上げてきた。
建前ではポリスリボルバーは架空のリボルバーということになっているが、ニューナンブをモデルにしていることは明らか。
これがもしニューナンブなら気になることがある。
ダブルアクションのシアが切れるタイミングが実銃と違うという話は前に書いた。
しかしそれよりももっとルックスで気になる点がクラウンと表面仕上げの質感。
クラウンとは銃口の丸みのことで、これについてはキャプチャーで触れる。
問題は色目のことだ。
マルシンのポリスリボルバーはヘビーウエイト樹脂の表面仕上げ丸出しのつや消しグレーのような色で、パーカライジングという語感ならこういう色なのかなと思ってしまう。
しかしニューナンブのパーカライジング仕上げは私がじかに見た印象ではSTANAGマガジンみたいなつや消しのグレーではなく、メタリックマットブラックというか、金属光沢がややあるつや消し黒というイメージだった。
キャロムのブラックスティールの 色目がニュアンス的に近いと思っていた。
だから前回「塗装にしようかブルーイングにしようか迷っている」と書いた。
インディのパーカーシールで表現したSTANAGマガジンのマットグレーの色合い
パーカライジングといえばこういう色合いを思い浮かべるが実際に見たニューナンブの色目は
ブラックスティールのような金属光沢があるつや消し黒だった
塗装かブルーイングか迷った末にせっかくヘビーウエイトのモデルなら
ブルーイングで表現しようということでバラシにかかった
ところでもう一つ気になっていたのが銃口にクラウンの表現がないこと
この通り銃口は真っ平らだが実銃のニューナンブの銃口部分の写真が
手に入らなかったので実銃がどうなっているのか確認できないものの
S&Wのチーフを参考にしているならクラウンが入っていないはずがない
銃身をバラして銃口を削ることにした
銃身を固定するピンを抜くと中からインナーバレルが出てくる
インナーバレルはカフとベースホルダーとに分かれる
ホップの固定ピースを抜いたところ
ポリスリボルバーのホップは固定だがバレル下の
イモネジの締め方で微調整はできそうな構造だ
丸く削りだしてクラウンをつけた銃口に中からダミーカートを通してみる
まさに銃口から銃弾が発射される瞬間の再現図
クラウンがないと銃弾が銃口から離れる瞬間に腔内圧が急激に下がって
弾着が散るという話を聞いたのでクラウンが再現されていないのは間違いだと思う
S&Wは間違いなくすべてのラインナップにクラウンをつけているので
それを参考にしたニューナンブがクラウンをつけていないはずはないと思うのだ
ダブルアクションのシアのタイミングといいマルシン製品の中では古い金型なのかなと思った
8mmBB弾をマルシンが提案し始めたのが20年前だったような気がするので
その頃の製品かもしれないがそれでもM686の時代より後退している気がする
バレルも修正したことだし本体もバラして磨きとヘラがけをかけてまず金属光沢を出す
丸みが多いリボルバーは金属光沢を出しやすい形態ではあるが
平面の面積も広いのでヘラがけはとってもしんどい
ブルーイングはウエスにアルミブラックを染み込ませて
ゆっくり反応させながらタップリ塗り込んでいく
こんなに緑青みたいに反応すると心配になるがぐっと我慢して乾かす
乾いたらスポンジの荒い方で磨いてまたブルーイングするというサイクルを繰り返す
緑青みたいになったところが若干青みを帯びてくる
青みを強くしたいならこのサイクルを5〜6ラウンド繰り返すが
今回はかすかな青みでいいので2ラウンドだけで留めておく
あとはスポンジとウエスで磨いて出来上がり
金属光沢はあるがS&Wのサービスリボルバーのような
ポリッシュブルーではなくマットなブラックだ
そして青みも若干ある
バレルとシリンダーに若干青みの光沢あり
金属光沢のイメージ
バックストックの光沢にこだわる私の好みはこの光り具合
トリガーガード、フレーム下側の光沢
そして銃口はクラウンを成型した
金属光沢があればレフも入れ甲斐がある
右プロフィールカット
お約束のシリンダー映り込みの図だが今回は鏡面仕上げを狙ったわけではないのでこれくらいが良い
もっと映り込ませたい場合は最初の磨きでコンパウンドを使って顔が映るまで磨き込む
青みを増したい場合は塗って磨くを繰り返す
リボルバーの一番美しいアングル
そして私が好きなバックショット
シリンダーヨークもフレームと色を合わせるためにリブルーした
2018年7月22日
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