ドイツの精鋭Walther PPK/Sをリニューアルする3〜塗装完成…ワルサーの黒テカのブルーイングの雰囲気を出してみた
先日来取り上げているスズキのPPK/Sの塗装仕上げがほぼ完成した。
なおマルシンのABS版PPK/Sを購入した人は、これとほぼ同じなので参考になるかも…
塗装の工程の途中までは前回取り上げたが、下地塗りにインディのブライトステンレスを吹いて数日乾燥させその上からGスミスSの銃IIを吹いた。
この塗料は吹いたそのままだとただのテカ黒になるのだが、パフがけをして磨きあげると下地の色が透けて見えることが前回の実験で判明した。
グロス系の原色塗料は一般に下地が透けやすい傾向はあるが、この銃IIは透けると青みも出ることが分かったので下地にシルバー系の塗装をするのはありではないかと思った。
それで今回下地塗りにステンレス系のインディの塗料を試してみた。
これがうまくいったら、ブルーイングができないヘビーウエイトではないABSの地肌のモデルガンが何丁かあるのでそれらをなんとかできるのではないか思っていた。
塗装が完了したPPK/S
ステンレス塗装はチェンバー周りだけマスキングをして残した
実銃ではチェンバー周りだけサンドブラストのような仕上げで
つや消し銀に仕上げられているがその感じを狙ってみた
スライドの側面、バレル、フレームに、スポンジの荒い目の方でヘアラインを入れた
その上でピカールを含ませたスポンジの柔らかい方で根気よく磨くことで下地が透けてくる
下地が透けると金属感が出てくることは龍馬の銃の仕上げで確認済みだし
透けることで真っ黒だった塗装面に青みが出てくる
スライドの青みの感じ
この感じを塗装で出せるのが利用範囲が大きい
光の向きを変えるとこんな感じ
ただ青い塗料を塗るだけでは得られない効果
リボルバーと比べて直線と平面で構成されるオートだが
PPKの銃口はリボルバーの参考になる局面で構成されている
つまりリボルバーにも応用が利く
バレルの光沢
金属の感じを出すためにヘアラインを入れて研磨した
フレームの仕上げ
グリップにもヘアラインを入れてパフがけで光沢を出した
塗装が完了したので組み立てを開始
最初のはまりポイント、カートリッジインジケーターをスライドの中に組み込むがなんか変?
はい、前後逆でした
さっきの組み方ではインジケーターが出っぱなしになるがな
そして最も苦労したのがセーフティレバーの組み込み
セーフティレバースプリングをいくら押し込んでもセーフティレバーがちゃんと入らない
セーフティレバーの組み込みには何かコツがあるのか…と散々悩んだ挙句気がついた
さきにセーフティレバーを差し込んでからセーフティレバースプリングを差し込めば
あっという間にスライドブリーチの組み立ては完了する
分かってみれば「なあんだ」というようなことだが小一時間悩んだ
こうして完成したPPK/Sのリファレンスブック用写真
上がUSAのガンエクスチェンジの実銃写真のPPK/S
下がスズキのPPK/S
少しダメージを受けたブルーイング…をイメージしたが
かなりダメージを受けたブルーイング風になってしまったかもしれない
トリガーガード、トリガーはケースハードゥン風に仕上げたが
もう少しストロー仕上げっぽい濃い色でも良かった気はする
スズキのPPK/Sの最大の欠点はスライドとフレームに強烈な肉引きがあって
どう見てもプラテカテカのオモチャのテッポにしか見えなかったことだ
この肉引きが解消してスライド・フレームのサイドが
フラットになっただけで随分重厚になった気がする
蛍光灯などの人工の灯りではほぼわからないが太陽光で撮影すると
青みを感じられる…というぐらいのかすかな青みが自然で良い
わざとらしい真っ青でない青というニュアンスが難しかった
セーフティレバーの発火ポジションの所にレッドのインレイ
この銃のほぼ唯一の色味だ
バレルの光にも注目
そしてダミーカートモデルに改修したのでリアルなダミーカートが使用できる
そして組み上げてみた結果スライドの戻りなど動きがちょっと渋くなった
艶ありの塗料は一般的に塗膜が厚いのでスライドレールやらのあたりが
取れるまで素直にスライドが戻らないなどの渋さがある
もともとシビアな渋目のモデルガンだったので塗膜が入って硬くなった
マガジンも自然に落下しなくなったのでここらが今後の調整ポイント
下地のステンレスが透けているグリップ
上が実銃のPPK/S
下が今回仕上げたスズキのPPK/S
上の実銃はPPK/Sだが何故か並べているマガジンはPPK用の7連マガジン
上はドイツワルサー社のSがつかないPPK
下のPPK/Sと比べてグリップが短く装弾数も一発少ない7発
スライドサイドだけをポリッシュ仕上げにしてそれ以外はマットなブルーイングという仕上げ
同じPPKのスチールモデルでもいろいろ仕上げのバリエーションがあるようだ
上が実銃のPPK/S、下がスズキのPPK/S
今回参考にしたのはこのタイプでポリッシュブルーだがセーフティレバー、
トリガー、トリガーガードがケースハードゥンっぽいストロー仕上げになっている
マガジンはフィンガーレストが無いタイプだがこのタイプは今入手難
実銃戦時モデルPPKのエジェクションポートは本体と同じブルーだが
PPK/Sではこうしたサンドブラスト風のマットなシルバーが多い
フレームと一体のはずなので本当にサンドブラストをかけているのかもしれない
顔が映るようなテカテカ銀色ではなくマットな銀色だ
この感じも再現してみた
白バックで撮影した右プロフィールカット
黒テカABSのグリップパネルと本体との色味の差を感じてもらいたい
セーフティレバーを組み込む時に悪戦苦闘した結果
スライド左のセレーションが傷だらけになってしまった
右側はそうでもない
スライド後部とフレーム後端の美しいカーブの
つながりがワルサーのデザインの魅力
ワルサーPPKの最大の特徴として前回も解説したスライドに着いたセーフティレバー
赤いファイアリングポジションが見えている時はいつでも発砲可能な状態
セーフティレバーを下げて赤いマークが見えなくなるとセーフティポジション
この状態でセーフティレバーはファイアリングピンをブロックしておりハンマーが落ちても暴発しない
またハンマー落ちた状態に戻されるデコッキング機能もセーフティレバーが兼用
さらにトリガーはコッキング状態だったので引いた状態でブロックされている
発砲できるデフォルトポジションにトリガーを戻すには一度セーフティを解除しないといけない
ダミーカートを装填した予備マガジンとツーショット
ディテールと実銃来歴については次回触れる予定。
それとセーフティレバーの組み込みで少しドジってスライドのセレーションに少し傷が入って塗装が剥がれてしまったので昔取った杵柄で筆塗りでタッチアップする予定。
その仕上がりも紹介する
2019年4月17日
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