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ドイツの精鋭Walther PPK/Sをリニューアルする5
〜ディテールを修正…マガジン抜けが固いのを修正したところ泥沼に…

Gun loved by spy

ドイツの精鋭Walther PPK/Sをリニューアルする5〜ディテールを修正…マガジン抜けが固いのを修正したところ泥沼に…

先日仕上げをしたスズキのPPK/Sだが、早速塗装が剥げる事案が発生した。
(警察用拳銃という名前なので警察用語で書いてみた)

ひとつはセーフティレバーの取り付けに失敗してスライド左側のセレーションに傷がついてしまった件。
もうひとつはなぜかマズルの塗装がズルズルに剥けてしまう件。

そしてマガジンが追加で注文したマルシンの物はマガジンキャッチボタンを押すとストンと落ちてくれるのに、元々付いてきたスズキ純正のマガジンは引き抜かないと出てこないのでこれもストンと落ちるようにする修正。

この三つの修正をやったら完成としてPPK/Sの巻は終了…と思っていたのだが思わぬところで泥沼にはまってしまった。

昔、発火式ブローバックのモデルガンをいじり始めた頃に何度も踏み込んだ懐かしい泥沼だ…





スライド左のセレーションの傷は銃IIの塗料を塗料皿に吹いて面相筆でとってタッチアップした
またセーフティレバーのセーフティポジションの赤丸が薄かったので赤い塗料を足した
ここはこれで完了




マズルの塗装が剥がれて銃IIの黒だけでなく下塗りのブライトステンレスまで剥がれてきて
カッコ悪かったのでこれもブライトステンレスと銃IIの塗料を少し抜いて面相筆で
タッチアップした…がまたすぐに剥がれてしまった




原因はこのスライドのマズルブッシュ
PPKはスライドを後退させて上に持ち上げ分解するがここのクリアランスがシビアすぎて
分解・組立をするたびに銃口にマズルブッシュが強烈に擦れて塗装が剥がれていた
シンプルブローバックなんだからここは実銃も緩いはずだし
ましてやモデルガンなんだからこんなにシビアにしなくてもいいのに…




そこでスライドの銃口部の下側を削ってスライドを持ち上げても
バレルにブッシュが擦れないように修正した




次に全弾撃ち終わってマガジンキャッチを押したらマガジンがストンと落ちるように修正
塗装前はスズキは硬かったがマルシンはストンと落ちていた
ところが塗装後は両方とも落ちなくなった
なのでマガジンハウジングの中をまずヤスリで擦って少し広げた




これでまたマルシン製はストンと落ちるようになたが相変わらずスズキ純正は落ちない
そこでマガジンのケースをソフトハンマーで叩いてストンと抜けるようにした




すると今度はスズキのマガジンは最終弾がエジェクションポートの
中に残って排莢されなくなってしまった




マガジンを叩いた結果マガジンフォロワーが一番上まで上がらなくなったので
エキストラクターの掛かりが浅くなったために最終弾が残るようになったらしい
マガジンリップを微妙に広げてケースヘッドがちゃんとブリーチに引っかかるように調整した




そしたら今度は最終弾を排莢した後スライドのホールドオープンがかからなくなってしまった
今度はマガジンフォロワーの前が上がりきっていない状態になったらしい
それでマガジンをバラしてフォロワーのフィンを曲げてスライドキャッチにかかるようにしたら
今度は最終弾が排莢されなくなった…完全にあちら立てればこちらが立たずの状態になってしまった




マガジンリップを広げたり戻したりしたせいで状態が変わってしまったと思い
正常に機能しているマルシンと並べて比較してみたが本当に微妙な差で動作不良が起きているようだ
見た目はほとんど変わらない…オートのマガジンはとてもセンシティブなコンディション調整が必要だ…
ということを何十年ぶりかに思い出させてくれた




七転八倒の試行錯誤を繰り返してやっと最終弾エジェクトとホールドオープンができるようになった
マガジンがストンと落ちるかどうかなんてもうすっ飛んでしまった…




後は少し動きを調整したダブルアクションメカについて
ワルサーのダブルアクションはフレームの右サイド外を這わせたトリガーバーに特徴がある
これがコッキングピースを引っ張ってハンマーを引き起こす
ユニークなのは独立したディスコネクターが無くトリガーバーがそれを兼ねていること




ダブルアクションの時トリガーを引くとトリガーバーが
連動してフックがコッキングピースを引き起こす
コッキングピースはハンマーのレバーを引き起こす




このコッキングピースがハンマーのレバーから外れてハンマーが落ち撃発が起こる
ダブルアクションのシアが切れた状態




撃発が起きてスライドがブローバックするとハンマーを引き起こしながら
トリガーバーの突起にあたりトリガーバーを押し下げる
押し下げられたトリガーバーのフックがコッキングピースの鈎から外れて
コッキングピースの下側の溝がハンマーの下端を捕まえる




トリガーを離すとトリガーバーも戻ってフックが再びコッキングピースの鈎に引っかかり
次弾からシングルアクションの発射ができるスンバイ状態になる
トリガーを引くと2枚目のハンマーが落ちたキャプチャーに戻る




デコッキングシステムを兼ねたセーフティの仕組み
スライドのセーフティレバーが回転するとデコッキングレバーが押し下げられる
このレバーの一部がコッキングピースを引き上げてハンマーが落ちる
ハンマーが落ちる時にはもうファイアリングピンがブロックされているので
撃発は起きず安全にハンマーを落とすことができる
このワルサーシステムが現在の世界の拳銃のダブルアクションメカ、
デコッキングセーフティのメカの原点になっている




最終調整とタッチアップは30分で終わる予定だったがマガジンの調整でほぼ1日かかってしまった
しかしなんとか動作するようになったので(マガジンストンは諦めたけど…)
次回は完成形のお披露目とPPKのエピソードとかを…




ほぼ黒い…けど少し青いニュアンス
今回は塗装でヨーロッパ拳銃の「黒いブルーイング」を再現できるかがテーマだった
ほぼ狙い通りだったのでABSテカテカモデルガンの仕上げに希望が出てきた







2019年4月21日
















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