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リアルなPPKってどんなの?
…と調べだしたらこれもなかなか沼にはまる

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リアルなPPKってどんなの?…と調べだしたらこれもなかなか沼にはまる

スズキのPPKを30年ぶりぐらいで押入れから取り出してきてリューアルしたときに、実銃の写真を集めて修正できるところは修正していたのだが写真を見ていていろいろ気がついたことがあった。

リファレンス用の写真を作ったときに実銃と、スズキのPPKとは微妙にフォルムが違うこに気がついた。

特にスライドのマズルブッシュ付近のカットがいろいろ違っている。

プロトタイプのマズルブッシュ周りが段差状のカットになっていて現行のPPKとはかなり違った形をしていることは前から知っていたが、それだけでなく世代によっていろいろなカーブがあるようだ。





(上)ドイツワルサー社製の9mmクルツ弾仕様のPPK/S実銃と(下)手を加えたスズキPPK/S 7.65mm弾仕様
色などはかなり追い込めたがよく見比べるとスライド側面の平面の銃口周りのカーブや
セーフティレバーの幅、フロント・リアサイトの形などかなり違っているところがあることを発見
これを修正するかどうかちょっと悩んだ




実銃オークションサイトより借用、PPKプロトタイプの実銃
レッドインレイが完全に剥がれているうえ発射機能を完全に破壊したデコガンなので
オークションで6万円ほどの値段が付いていたが完動品ならその10倍以上値がつくのかも




この世代のPPKは銃口周りの側面のカットが段差状になっているのが特徴




そしてセーフティレバーは90度下に回転する
リアサイトも細くて小型の照門がついている




ワルサー社の戦時タイプのマーブルストックをつけたPPK実銃
スライドの銃口周りのカットはプロトタイプを踏襲しているがセーフティレバーは
回転角が70度ほどの現行タイプになっている




これは戦後にフランスの銃器メーカー・マニューリンに接収された時代のPPK




スライド側面のカットが段差状から大きなスロープ状に変更されている
フロントサイト・リアサイトは背が高いタイプに変更された




スライド後端も面取りが省略されるなど細かい変更が加えられている




東ドイツにあった旧工場を畳んで西ドイツのウルムに
移転した新生ワルサーに製造権が返還された時代のPPK/S




マニューリン時代と同じくスロープタイプのカーブの銃口周りのカットだが
スライド側面の平面の前端の幅が少し広くなった




昨年のショットショーで展示されたワルサーブースのPPK/S
スズキのPPK/Sに近いカーブでマズルブッシュの下側が大きく面取りされており
側面平面の前端は垂直から斜めになりスロープの長さも小さくなっている
セーフティレバーの幅も広くなっている




アメリカで製造されたPPK/S




これは最近のPPK/Sの標準的なカーブ
銃口下側のスライドの面取りが小さくなって前端は再び短い垂直線になった
そしてスライド銃口下側のスロープがマニューリン時代のように再び長くなった




そしてこちらがスズキのPPK/Sのディテール




スライド側面の平面の前端の形はショットショーのPPK/Sと一番近い
つまりこういう形のPPK実銃もあるということだ




セーフティレバーの幅は広めのタイプ
サイトは背が高く根っこもどっしりしている
よく見ると歴代のPPKの形は大きく変化しているが
ショットショーで展示されていたPPK/Sに一番似ている




ナチスドイツ時代に使用された戦時モデル
グリップパネルにナチの党章を刻印したSSモデルのようでエジェクションポートが
パーカライジングのようなグレーっぽい色なのが特徴的
ここも時代によってブルーイングだったりマットシルバーだったりする


結局どの時代のPPKをリファレンスとするかによるようで、スズキのPPK/Sのようなタイプの実銃も存在するみたいなので、スライドをガシガシ削るのは思いとどまった。

このほかにもスズキのエキストラクターは実銃と形状が違う…など言い出したらきりがない。

この時代のテッポはほぼスチールからの手作業削り出しで、ノギスで詳細に採寸はするけど加工用の図面を引き直す時に線が一本ずれるだけで部品の幅は変わる。

もちろん機械部分は精密に寸法を管理するが、外観はデザイン的な要素が大きくなるので最設計者のラインが出やすくなる。

ましてやワルサーは戦前、戦時を通過して戦後はフランスのマニューリンに工場を接収されたり、東ドイツから脱出して西ドイツで再創業したり、PPK/Sの製造をアメリカのインターアームズに任せたり(今はSmith & Wessonに移行)と複雑な歴史を経ているので細部が変化しても不思議はない。
なぜそういう変更が加えられたかなんてもう当時の人にしかわからないかもしれない。
(見たところ合理的な理由が思い浮かぶ変更点はあまりいくつも見当たらないので文字どうり「どういうつもりでこうしたの」と変更した人に聞かないとわからないが、その多くはもうこの世の人ではないかもしれない)

こういう気がついたところを全部治してこそのマニアなんだろうけど、私は通りすがりの鉄男でマニアではありませんのでここらで妥協した。

何かの時に実銃写真と首っ引きで違うところは全部直すくらいの入れ込み方も一度だけならしてみたい気もするけど…




2019年4月30日
















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青木さやか