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S&W Model No3ことフランクリンミントの
ワイアットアープの銃をタッチアップ

No.3

S&W Model No3ことフランクリンミントのワイアットアープの銃をタッチアップ

オクでSmith & Wesson Model No.3 Americanを入手した。

これは銃器の発達史的にはとても重要なリボルバーでありながらマニアックな古式銃なんだけど、日本ではこれが今ネットオークションなどで結構大量に出回っている。

フランクリンミントからワイアットアープの.44リボルバーという商品名でこれが通販で販売されていた。

当時銃の専門誌だけでなく一般の雑誌や新聞に至るまであちこちに大量の広告を出していたので見たことある人も多いと思う。

フランクリンミントの商品でこのワイアットアープの.44リボルバーとカスター将軍のコルト1851アーミィは大量に出たので今でも中古市場で大量に見かける。

しかし販売からもう30年以上経っているので、状態の良くないものが多い。

たいていのオークション出品はメッキがほぼ錆びついて剥がれていたり、フレームが割れていてまともに動きそうにないとか手入れもされていない感じだし、保管状態も悪そうでほぼジャンクのようなものが大量に出回っている。

このワイアットアープの44リボルバーは販売元はフランクリンミントだったが製造元はマルシンだった。
当時の販売価格がたしか35000円か40000円かそれぐらいしたと思うが、テッポ好きな人たちは
「高いな、2万あたりだったら買うのにな」
と思って見送った人が多かったんじゃないかな。

かくいう私もそうです。

それでテッポ好きというよりはむしろ映画好きとか骨董好きとかあまりテッポ好きとは被らない人たちが主な購入層になっていたようで、モデルガンとしての手入れの仕方を知らない人、なかには振り回して遊ぶだけの人が購入していたせいかコンディションの悪いものが多い。

そしてたまに新品並みのコンディションが良いものが出品されるととんでもない値段がついたりする。

何れにしてもなかなか手が出なかったのだが、ちょうど「まあまあのコンディション」のものが「まあまあの値段」で手に入ったのでやっとこれに手を入れた(ややこしい)。





入手したのはワイアットアープの.44リボルバーこと
Smith & Wesson Model No.3 AmericanのおそらくType2モデル
それのエングレーブ(唐草模様の彫刻)カスタムで
アメリカのワイアット・アープ博物館で展示されている実銃の
精密な再現モデルなんだそうだ




メッキもそんなに傷んでいないみたいだったしフレームに
クラックも見当たらないのでエイやっと思い切った
実際動かしてみたがエキストラクターやシリンダーアーム、
フレームのロッキングラッチなど正常に動いているのを確認した




やはり保管状態の問題なのかシリンダーやバレルの
エッジがダメージを受けてメッキが剥がれていた
これはいずれタッチアップする予定




Smith & Wessonの中折れ銃のオープン時の角度はこんな感じ
ここまで開く必要はないと思うが薬莢の激しい張り付きを想定して
エキストラクターの後退はゆっくりになるギヤ比にされているため
角度はこんなに開くことになった
それほど当時の金属薬莢は信頼されていなかったということかもしれない




壊れてるわけではないです
ここまで開かないとエキストラクターがシリンダーのなかに戻らない




さて遠目に見た目は綺麗に見えるがやはりメッキにはかなり錆が浮いている
メッキ表面のこの白い斑点がメッキの錆でこれを放置するとだんだん
メッキがくすんできて最後には緑青を噴いたみたいに錆びてしまう
この白くくすんだ状態のものをオクで「磨けば綺麗になります」とか
書いている人を見かけるが白くなったらもう手遅れでピカールで磨くとメッキが剥がれてくる
ましてや緑青を噴いたものはもうサンドペーパーでメッキを剥がして塗装したほうが早い




ピカールで磨いたところウエスがこんなに真っ黒になった
やはり見た目以上に錆びているということだ
これでも斑点は完全に消えないがまだ比較的軽傷だと思う
メッキモデルガンを扱ったことがある人ならメッキは磨かないといけない
ということは知っているものだがテッポに関心がないフランクリンミントの
主購入層は多分テッポは時々磨かないといけないということは知らないんだと思う




久しぶりのリボルバーにテンションが上がってきた
このフランクリンミントのテッポは一応「ミュージアムモデル」なので
カートリッジはついてこないのだがせっかくの中折れ式リボルバーで
エキストラクターのメカも再現されているのでカートリッジも装填したい
ちょうどCMCのピースメーカーのカートリッジが余っていたのでこれを入れてみたが
口径はちょうど良いが長さが3mmほど余ってしまう




CMCの発火式カートリッジだがこれを削って使えるようにする
弾頭部分を2mm半ほど、リムの底を半ミリ弱ほど削る




この装填の過程でエキストラクターが完全に戻らないトラブルが発生
原因はエキストラクターのシャフトにねじ込まれたエキストラクターが
緩んでいてこれを後退させるギヤをナメていた
早速中折れメカを完全分解して締め直した




こうして一応手入れが済んだワイアットアープの銃、ことModel 3 アメリカンの全景
シリンダーの隙間にカートリッジのリムが見えているだけテンションが上がるリボルバー好き








中折れするとエキストラクターがカートリッジのリムを咥えてせり出してくる
これが中折れ銃の醍醐味




ハンマーのコッキングとシリンダーストップのメカも正常に動いている
ハンマーが完全に落ちている状態だとシリンダーはシリンダーストップに固定されて回転しない
またハンマーのてっぺんがバレルラッチの突起を掴んでフレームが開かないようになっているのにも注目




ハーフコックというかクォーターコックぐらいの角度だがハーフコックすると
シリンダーストップは解放されてシリンダーは自由に回転できるようになる




ハンマーをフルコックすると再びシリンダーはロックされて回転できなくなる




シリンダーのインサート越しだがカートリッジの弾頭が見える
リボルバーはやはりこれだよね




それにしてもこのエングレーブ(唐草模様の彫刻)はすごい
実銃はこれは全部手彫りのはずだからすごい根気のいる仕事だと思う




そしてこのフランクリンミントのワイアットアープモデルは
当時の広告に「実銃の傷も再現した」と書いてあった
バレルの左下、フレームヒンジのネジの周りと緩み止めネジのナメたあと、
そしてこのストックバットの下端の傷はモールドっぽいので実銃にもある傷ということらしい




この「ワイアットアープの.44リボルバー」はモデルになったのはSmith & WessonのModel No.3 Americanのようだ
(上)が実銃のSmith & Wesson Model 3 American (下)がフランクリンミントのワイアットアープの銃
トリガーの上のピンが二本、フレーム底のカーブなどからAmericanモデルのタイプ2が一番近いと思う


次回はそもそもこの銃が本当にワイアットアープが使用した銃なのか、そしてSmith & WessonのModel 3というテッポはどういう銃なのかという話を書くかもしれないし、また違うことを書き始めるかもしれない。




2019年5月26日
















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