ホリゾンタルダブル…いわゆる水平二連散弾銃を手に入れた〜華山とハドソンのニコイチでスラグハンター風にしてみた
昔から人があまり注目しないものが好き。
空もので言えば最新鋭のジェット戦闘機や豪華大型旅客機の模型よりも、ヘリコプターや軽飛行機、複葉機が好きだった。
音楽の好みもあまり一般的なものではなく、人があまり食指を動かさない音楽が好きだった。
テッポも人気がある軍用銃よりもアンダーカバーのスナブノーズのリボルバーとか、古式銃とか猟銃とかが昔から好きだった。
猟銃が好きだったからもう今は亡きハドソンが「マッドマックス」のショットガンを出した時に大いに期待した。
きっとバリエーションとしてロングバレルモデルも出す に違いない、ストックもハンドガンタイプのソウドオフだけでなくフルサイズの肩当付きのストックも出すに違いない…そしていつか20インチとか22インチとかの猟銃タイプも出してくれるに違いない…と待ち続けて幾星霜…
確かにロングバージョンは出たが、猟銃タイプが出る前にハドソンは廃業してしまった。
他のモデルガンメーカーが水平二連式猟銃を出してくれそうな気配は全くなかった。
ナカタとかCMCとかに期待していたのだが、どちらも姿を消してしまった。
水平二連のことはすっかり忘れ去っていたが、最近台湾メーカーの華山がハドソンの金型を引き取ってマッドマックスをガスガンに改修してリリースしており、そのバリエーションで22インチの猟銃タイプを出していることを知った。
やった!待望の水平二連じゃないか!
という喜びの声はすぐに飲み込まれくぐもった。
「なんだこれ?」
「このストックはこりゃまたなんでこんなことになってしまったの?」
「それともこういう木ストが最近の流行りなの?」
ハドソンのマッドマックスの金型を引き取った華山が
ガスガンのショットガンを出しているのは前から知っていた
まさかここから22インチ水平二連猟銃タイプが出るなんて…と喜んだのもつかの間
なんか変
そうこのストック、軍用銃のスポータータイプのような
でもそれとも似ていないような変な形のストック
このやたらグリップの握りがでかくて長い、頬当てが出っ張っている…
何これスナイパーライフル?散弾銃でスナイパー?
厨二病か!
いやあどう贔屓目に見てもこれは猟銃のストックには見えないよ華山さん?
猟銃タイプ出すならせめて実銃の写真ぐらいには当たろうよお…
しかもこの木スト形が変なだけでなく木材もその辺の
ラワンの木かなんかをそのまま切り倒してきたような木材だし
ニスは単身者の部屋によく置いてあるキャビンのようなやたら赤い安物のニスだし
なによりもゴムパッドの厚さがまばらで装飾も何もなし
木工部分ともサイズがあっていない…中学生の技術家庭の時間の
木工なみの出来ばえ…これはあかんよう(泣
アマゾンで一目写真を見た時からこのストックが地雷だと気がついていたが
水平二連への思いもだし難く…どうするかと思い悩んでいたら
オクでハドソンのストック付きソードオフが出ていた
渡りに船、棄てる神あれば拾う神ありである
早速ハドソンのモデルガンを入手して華山とニコイチすることにした
華山のガスガンはハドソンの金型を引き継いでいるとは言っても部品の互換性はほぼない
華山は実銃の12ゲージよりもチェンバーの内径を大きくすることによって
違法改造を防ぐという考え方のようでこの通りハドソンのモデルガン用カートが
エキストラクターに引っかからずに中に入ってしまう
こちらは実銃の使用済み空薬莢
やはりエキストラクターに引っかからないので正常にロードできない
12ゲージよりかなり大きくしてあるようだ
マルゼンのカートなんかチェンバーの奥に落ち込んでしまう
マルゼンは逆に実銃の12ゲージよりかなり小さいので
各メーカーそういうことで安全対策にしているようだ
華山(左)とハドソン(右)のレシーバー部のメカ
ハドソンはモデルガンなので実銃と同じようにシアがあってこれを
トリガーが押し上げてハンマーをリリースして発火する
華山はガスガンだからシアがなくてトリガーが直にハンマーを押してこれがカートのお尻を押す
マルゼンと同じであくまでカートを叩くのではなく押してガスをリリースすることで発射する
このハドソンのストックを華山に持ってくるのだがメカが違うので各部の寸法もかなり違う
華山のストックは無加工でハドソンに付くがハドソンの木ストはかなり加工しないと華山には付かない
更によく見ると木ストを固定する2本のネジのうち前のネジの角度が違う
ハドソンのセーフティ(この個体では欠品)はシアをロックするタイプだが
華山はシアがないのでセーフティはトリガーを固定するタイプに変更されている
それに伴って固定ネジのアングルも変更されている
こりゃ面倒だ…
久しぶりの木工だ
金槌と鑿を持って木ストをガシガシ彫る、削る
角度が変更された固定ネジ穴も丸ヤスリでガシガシ削る
結構位置合わせに苦労しながらこうしてハドソンのストックが華山にくっついた
さすが金型を引き継いでいるだけあって中はともかく外観上は寸法はぴったりだ
サイドもほぼ段差なく固定できた
ハドソンの木ストックはさすがに日本の猟銃の標準のでき
ゴムパッドはちゃんと肩に合わせたカーブになっていて装飾の白インレイも入っている
そしてなによりも木材が美しい虎目で見る角度で木目の表情が変わる
初心者入門用の猟銃でも最低限この程度のストックがつくのだよ、実銃は
ハドソンはソウドオフタイプだったので先台が短かかった
先台は華山のを使おうと思っていたが華山の木工があまりに
稚拙だったので結局先台もハドソンのを使っている
華山のカートリッジは12ゲージのカートよりもかなり長い
金属の部分がガスタンクになっていて樹脂部分にBB弾を5発程度入れる仕組み
鑑賞用に購入したので命中精度などの実射性能には全く関心なし
どうせ散弾銃なんだから弾が飛べばなんでもいいんじゃないの?
撃ってみる気もないけど
エキストラクターには引っかからないけど観賞用なら
実弾空薬莢が入ることは入るので写真用ぐらいなら雰囲気はある
こうしてホリゾンタルダブル、水平二連式猟銃がうちにも来ました
口絵の通りポンプアクションと自動式銃、水平式二連中折れ銃が揃ったので
あとは上下二連式中折れ銃が揃えば散弾銃の主要形式は揃うことになる
ガスガンでもいいからどこか出してくれないかな?
マルゼン、華山は木ストの質が悪いのでマルゼン・華山以外を希望…
華山のバレルは一本物ではなくマッドマックスタイプを途中で継いでいる
その継ぎ目は上下にイモネジが差し込まれて固定されている
これもそのうちパテで埋める工事を実施したいがそうなると
仕上げは塗装ということになりまた悩みが増えそうだ
猟銃はやはりパーカーやマットブラックではなく
美しいブルーで仕上げたいじゃないですか…
中折れ銃の魅力はこのダブルトリガーにある
銃に興味を持ち始めた頃になぜ散弾銃はトリガーが二つあるのだろうかと疑問だった
これは複雑なメカを持たずに確実に二の矢を継ぐための究極の形なのだ
おそらくダブルバレルが生まれて2〜300年の歴史でこの形に落ち着いた
そういう実際の猟場でプルーフされた道具の美しさがある
さて余ったストックをハドソンにつけてみた
これはこれで味がある姿をしているがそのうちストックとバレルを
のこぎりで切り落として手作りソウドオフの雰囲気に仕上げてみたくなった
華山のマズルは標準的なズバッと切り落とされたような平らな形
サイトも付いているので雰囲気的には鹿撃ちのバックショット弾向けバレルという雰囲気
リアサイトもゲートタイプの物が付いている
セーフティはリリースレバーの後ろのスライドスイッチ式で
前で安全位置、後ろで射撃位置となっている
純正の華山のカートなら中折れすればエキストラクターにカートが引き出される
これが中折れ銃の醍醐味
ハドソンのストックは打撲傷があったのでフローリング修復用のワックスクレヨンでタッチアップした
その仕上がりはこんな感じ
いずれは塗装を落としてウレタンニスでちゃんと
仕上げ直したいが当面はこれでよしとした
ガンロッカー(押し入れ?)の中はテッポを鎖で施錠して保管
こういう小道具があるだけで本物っぽく見えるからおすすめなのです
そして先日来紹介しているSmith & WessonのModel 3と
水平二連ショットガンを持てば気分はワイアット・アープ
実際にはアープの時代には鶏頭ハンマー式ショットガンという
ハンマー外装式が使用されていたが…
中折れ銃クラブのメンバー大集合
中折れ銃にはなんというか浪漫というか郷愁のような物を感じる
使われているメカのテクノロジーが19世紀的だからかもしれない
ビバ!産業革命!
映画などには水平二連ショットガンは大抵ハウスキーピングガンとして登場する
1940年代から1980年ごろにかけてはアメリカなんかではミリタリーや
銃そのものにそんなに関心がない一般の家庭には水平二連とSmith & Wessonの
Military And Policeあたりが常備されていることが多かったようだ
こういう情景が最も似合う銃ではある
ということで我が家のハウスキーピングガンに確定
2019年6月9日