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Jフレーム用ビアンキ・ライトニング(風)グリップを
入手してチーフにつけたら随分イメージが変わった

Lightning

Jフレーム用ビアンキ・ライトニング(風)グリップを入手してチーフにつけたら随分イメージが変わった

以前塗装で沼にはまったチーフをまたリニューアルしようとして、ライトニング(風)グリップを入手した。

Smith & WessonのM36チーフスペシャルというテッポは、以前紹介したModel 3を改良したダブルアクションに見切りをつけたS&Wが、全く新しいダブルアクション拳銃として1899年に開発したハンドエジェクターの末裔の一つ。

ハンドエジェクター、改めM10 Military And Policeが開発されて50年後、1950年に小型拳銃として開発された。
どうやらS&Wは10年一区切りごとにニューモデルを出すというポリシーらしい。

「チーフスペシャル」というネーミングだからチーフ(刑事部長)が使う38スペシャル弾のテッポというネーミング。

M10のKフレームに対して一回り小さいJフレームを使用して装填できる装弾も5発に減らした。

背広の下に隠して、いざという時は抜き撃ちができる銃ということで人気を博したが、ギャバジンのような織り目の荒いジャケットを好むアメリカ人には困った問題があった。

チーフのハンマーはスパーがコックしやすい角度についているのだが、これが衣服に引っかかって即応性に影響が出てしまうという問題だった。


チーフにはバリエーションが幾つかあるが、ハンマーを内蔵型にしたセンチニアル、ハンマーシュラウドのようなフレームにデザインし直してハンマーが衣服に引っかからないようにしたボディガードなどがあり、このハンマー問題を相当気にしていたようだ。

そういうバリエーションはハイグリップができるので別の層に人気があるが、チーフスペシャルはやはり知名度があるし、最近ではエアウエイトモデルに「Lady Smith」などと刻印を打って「小さくて可愛い女性向け」という売り方をしているらしい。

しかし実銃のチーフは確かに小さいが女性向けなんていう銃ではないようだ。
チーフの実銃の射撃は経験したことがないが、撃ったことがある人によると
「銃が手の中で踊って大の男でもたやすくコントロールできる銃ではない」
という感想だった。

日本警察がM60ニューナンブを退役させてM37というほとんどチーフそのままの拳銃に更新しようとしているが、大丈夫なんだろうか?日本警察…とちょっと心配になってしまう。


どうしてもチーフを使わないといけない人や、センチニアルやボデイガードはノーマルなチーフに比べて高価だという人たちに地味に人気があったのがこのライトニンググリップだった。





以前紹介したコクサイのチーフに今回入手したビアンキのライトニンググリップ(風)を装着してみた
グリップが変わっただけなのに随分イメージが変わる




ライトニンググリップ装着時の左プロフィールカット




こちらはノーマルグリップ装着時のチーフスペシャル




右プロフィールカットはスピードローダーの切り欠きがない分だけもっといかつい
チーフスペシャルというと女性的というイメージを持つ人が多いし
私個人的には小柄ながら意外に筋肉質なボクサータイプだと思っているが
ライトニンググリップをつけることでミドル級ボクサー並みのスパルタンなイメージに変わる




グリップがハンマーシュラウドを兼ねているのでこのように
ハンマーを覆って衣服への引っ掛かりを最小限に抑えている
内蔵型ではないのでハンマーを起こしてシングルアクションでも使用できる
ノーマルチーフを使ってどちらもできる汎用性ということでこのグリップは人気があった




ライトニンググリップ「風」とつけているのはビアンキ製ではなく今は亡き東京CMC製だから
右グリップについているビアンキマークのように見えるマークはよく見るとCMCとなっている




ハンマーダウン時のシュラウドの位置
衣服には引っかからないがハンマーを引き起こす親指はしっかり掛かるという絶妙な位置
M38ボディガードに近い




ハンマーを引き起こした時のシュラウドの位置
ハンマーノーズが何かにひっかることはあり得ない




このグリップはCMCの後期のABS製チーフにサイズを
合わせてあるのでコクサイのチーフに装着するとちょっと問題がある
シュラウドがリコイルプレートに届いておらずちょっと短い
左右の合わせも微妙に隙間が空く




ライトニンググリップはグリップスクリューの位置がメインスプリングのすぐ前に移動した
このスクリューの位置がコクサイとCMCでは微妙に違うために
コクサイは少しフレームを削らないといけなかった
さらにコクサイはグリップスクリューがグリップウエイトを固定する構造になっているが
これが固定できなくなるので勝手に回転してハンマーが引き起こせなくなる
そこでウエイト固定用のピンを焼いて差し込んだ




このピンがウエイトを固定している様子




ちなみにノーマルグリップではウエイトの穴をグリップスクリューが通る
このウエイトが回転するとメインスプリングガイドが干渉してしまう
なぜウエイトを真円形に作ったのかコクサイの金型係を小一時間問い詰めたいが
おそらく円形は最もクラックに強い形だからフレームの強度を上げずに
破損を防ぐ意味があったのかもしれない…かなり好意的に解釈するならば…




コクサイとCMCのチーフはグリップサイズが若干違うことが
判明したが上記の加工をすればこのグリップはコクサイチーフで問題なく使える
ところでグリップのフィンガーチャンネルに従って素直に握ったグリップ位置がこれ




これに対して実銃経験者はもっと高い位置でグリップする
こうすることでJフレームの軽くて小型なフレームが38スペシャルの
強烈なキックで弾き飛ばされそうになるのをコントロールしやすくなる
こうすると指の位置がフィンガーチャンネルと少しずれるのでスムーズな
グリッピングのためにはむしろこのフィンガーチャンネルは邪魔ということらしい
反動がないエアガンやモデルガンのリボルバーには関係ない話だが…




ノーマルグリップの場合はフレームがここまでしかないためハイグリップができない
おまけにグリップが短いので小指が余ってしまう
実銃の射撃の時にはこのグリップデザインがやはり問題になるそうだ
日本警察が一貫してオーバーサイズグリップにこだわっているのもこれが理由らしい




このハイグリップができるというのがセンチニアルや
ボディガードが人気がある大きな理由だとのこと
ライトニンググリップならノーマルなチーフでもこのグリップが可能になる
ハンマーをコックした状態でも親指の付け根がハンマーに当たらない良いデザインだ




ビアンキライトニング(風)グリップを着けたチーフ全景




実態はCMCだし実物は硬質ゴムのような材質なのに対して
CMCは鉄板補強入り軟質ABSなのだが遠目には違いがわからない
これはこれでよくできていると思う




ハンマーシュラウドをつけるとハンマーレスクラブの皆さんと比較したくなる
先ずはColt 1908、通称コルト32オート(上)との比較
32オートは正確にはハンマーレスではなくハンマー内蔵式だ
ハンマー内蔵式ゆえに暴発事故も起きるなどそれに対応して改良された歴史があるが
そこまでこだわりハンマーレスにしたほどアメリカではハンマーレスへの需要が根強い
サイズが似ているこの両者はハンマーが引っかからないなら
ダブルアクション可能な分だけチーフの方に分がある




M40センチニアル(上)との比較
同じJフレームのリボルバーなので両者はほぼ同じ銃だ
センチニアルはやはり引っ掛かり問題解決のためにハンマーを完全に内蔵式にした
この問題は解決したがハンマーに外部からコンタクトできないので
シングルアクションが不可能になりそのためにグリップセーフティもついた
ライトニンググリップはハンマーにコンタクトできるので
むしろ性格的にはM38ボディガードに近い




センチニアルはハイグリップが可能なフレームデザインも
さることながらカーブが美しいルックスから人気がある




いかついイメージに変わったチーフ(左)とヒップラインが美しいセンチ(右)




S&Wショーティ40ことおそらくM4004と思われるオート(上)と
ショーティ40はハンマーレスではなく正確にはデホーンドハンマーで
ハンマーはちゃんと外装しているがスパーが削り落とされていて引っ掛かり問題に対処している




ショーティ40はハンマーが外装なのでシングルアクションも可能なだけでなく
少しトリガーを引いてハンマーを露出させ親指でハンマーをコックすることもできる
DAO(ダブルアクションオンリー)のオートも好まれるがこのモデルは両方とも可能にした
その分扱いは少し難しいかもしれない玄人向け(?)




グロックG17(上)と
グロックはストライカー方式つまり撃針を直接シアが
固定してトリガーでリリースする仕組みで
ハンマーそのものがメカの中に存在しない
シンプルだがストライカー方式は古いメカで欠点も多い
グロックはデコックされたストライカーをトリガーで
引き起こすセミダブルアクションともいうべきメカで
この弱点を克服し世界中の現代拳銃のデザインを一変させた
引っ掛かり問題解決のためというよりハンマーがそもそも
必要ないというコロンブスの卵的な発想の転換になった銃だった




同じチーフなのにこのスパルタンな顔つきはどう?




ホルスターに突っ込めば露出しているのはほとんどグリップだ
当然傷もつきにくくなるし抜き撃ちもやりやすくなるが
コンシールドキャリーという意味ではどうなんだろうという気はしないでもない
もっとも今はアメリカでもすべての州でコンシールドキャリーは銃規制法で
禁じられているらしいので困るのは囮捜査任務中の私服警官だけかもしれない




ごついグリップだが排莢、装填の邪魔にはならない
スピードローダーも問題なく使える




イメージはファイティングファイブシューター
当面またチーフがお気に入りになりそうだ


【追記】

これを貼るのを忘れていた。





マルシンのポリスリボルバーことおそらくニューナンブM60が
モデルになっているガスガン(上)(ああマンドクサ)
とライトニンググリップ付きのコクサイチーフ(下)


ニューナンブはチーフを設計の参考にはしているが同じものではなく、ニューナンブはJフレームとKフレームの中間ぐらいのサイズとして新設計された。

だから並べてみたら結構大きさが違うということがわかるのだが、ライトニンググリップをつけると同じぐらいの大きさに見える。

オーバーサイズグリップの大きさの印象がやはり大きいのか。
グリップした時の印象も似てくるのでやはり38スペシャル弾を撃つにはこれぐらいのグリップサイズが要るということなのかもしれない。
ニューナンブはコンパクトな銃のはずだが、このグリップのために結構かさばる。

日本の警察はほとんどフラップ付きのホルスターでオープンキャリーするので、そこはこだわりがないのかも。
私服警官は通常は拳銃を携帯しないし、拳銃携行命令が出た時は防刃ベストも着用して結局オープンキャリーに近いゴツいホルスターを使っているのでサイズを気にする意味はないからかな。

握った時に印象が似た感じになるので、これが理想のグリップということなのか。




2019年6月19日
















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