素人発想で拳銃のメカの潮流を変えた門外漢〜すべてのメーカーがなぜグロックの真似をするのかG17の本当の凄さ
2003年だったか仕事でアメリカに出張した時に、LA空港の空港警備職員やLA市内のLAPDの警察官の拳銃がほぼ全員グロックになっていたことに驚いた経験がある。
アメリカの警官というとみんなリボルバーを使っているというイメージがあった。
特にこの時出張したLAの警察はS&Wに特注のリボルバー、CHPモデル(カリフォルニアハイウエイパトロールマン)というモデルを作らせるほどのリボルバー党だったはずだ。
この時空港やLAの街角で見かけた警備職員・警官が腰に吊っていたのはグロックのG19あたりのやや小型のモデルが多かったように記憶している。
このグロックをやはりグロックの樹脂製のホルスターに入れてみんな腰に吊っていた印象が鮮烈だった。
リボルバーとオート、実戦ではどちらか有利か…80年〜90年代のテッポ好きが好んで話題にした議論が、このグロックのせいで決着がついてしまったようだ。
グロックの普及をきっかけにリボルバーはついに絶滅への道をたどるのかもしれない。
それだけではない。
かつて銃器の歴史に革新的進歩をもたらしたはずのSmith & Wessonは、SIGMAとかいうほぼグロック丸コピーの銃を作り始めた。
外観が似ているだけではない。
中のメカもほぼそっくりそのままグロックをコピーしており、のちにグロックから知的所有権侵害の訴訟を起こされ賠償金を支払う羽目になった。
あの20世紀の銃器のスタイルに一大革命を起こしたワルサーもP99というグロックフォロワーを作り始めた。
HKもベレッタもSIGもブローニングもどいつもこいつも揃ってポリマーオート、しかもデザインもグロックの影響を受けたようなテッポばっかり…
現代拳銃のデザインをどれもこれも同じような無個性なものにしてしまった元凶がこのグロックのG17だ。
タナカワークスのグロックG17 2ndジェネレーションモデル
実銃の主な部品構成はスライドグループが特殊超硬鋼材、フレームグループはポリマーで
トリガーガードもグリップパネルもフレームと一体化、トリガーまでポリマー
さらにマガジンも主要部材はポリマーという徹底した設計が際立っている
スライドと一体のバレルブッシュという割り切ったスライド前面から覗くバレルはさすがに鋼材だが
その下のリコイルスプリングガイドは樹脂製というすごい割り切り方
この構造なら実銃は落としても壊れないだろうと思う
この材質を見てすぐに連想するのがグロックと同じオーストリア製のステアーAUG
AUGもストックからグリップフレームを一体型の樹脂で整形しただけでなくマガジンも
シアグループもハンマーもすべて樹脂で作って従来の常識を覆した
銃を軽くするためというよりどうしてもサビに弱い金属を極力使用しないことで耐久性を大幅に増した
そしてインジェクションで簡単に部品を大量生産でき量産コストも下がる軍用銃に必要な要件も満たす
タナカワークスはこのグロックG17を正確に再現しており一時期グロックマークが
「CLOCK」になっていたがこのあたりからGLOCKに修正された
スライドには生産国のAUSTRIAの刻印がある
80年代のタクティカルはアクセサリーやらなんちゃらコントロールやらゴテゴテつけるのが流行りだったが
グロックはトリガーの周囲をマガジンキャッチ、スライドストップが親指でコントロールできる位置に
配置されトリガー上にテークダウンラッチが突き出しているだけという非常にシンプルな構成
余計なものは一切つけないというグロックの発想でセーフティもトリガーについたセーフティレバー以外省略された
2ndジェネレーションの1stとの違いはグリップの前後に滑り止めのグルーブがついたことだけだが
この滑り止めが従来の銃器メーカーの発想から完全に逸脱している
従来ならダイヤモンドチェッカーとか横溝とか縦溝とかを彫るところだが
グロックは左右からの合わせ金型で簡単に型抜きできるように四角い突起がたくさんついたような形にした
ポリマーの部品の作り方は文字通りプラモデルのように割り金型に溶けたプラスチックを
流し込むインジェクション方式なので金型を抜くときにこの形は引っかからない
またこのグリップスカートの下端の切り込みは何のためか長年不明だったが
マガジンもプラにしてしまったためストンと落ちなくなったのでここを掴んで引き抜くデザイン
グリップの底のデザイン
マガジンの後ろは完全に空きスペースになっている
今までのオートならここにメインスプリングが入るのだがストライカー方式のため要らなくなった
しかしグリップのアングル確保のために中は空だがスカートは後ろに拡がっている
そのスカート下端にランヤードをくくりつける穴が空いている
ランヤードリングをつけるとかではなくただの穴というのがすごい
グロックというとポリマーフレームの先駆者というところばかり
クローズアップされるが実はグロックの本当の凄さはそこではない
グロックのグリップアングルはルガーP08や日本の十四年式に近いかなり斜めになったアングル
マガジンの角度は従来通りにしながら深い角度を持ったグリップは
目をつぶって銃を突き出してもほぼ狙い通りのところを捉えているはずだ
人間が指鉄砲をした形にほぼ近いのがこのアングルでまさにエルゴノミクス的デザインになっている
実銃とのリファレンス写真
(上)実銃のG17 3rdジェネレーション(オーストリアGLOCK社の
ホームページより)と(下)タナカワークスG17
グロックは直線的なデザインなのでプロポーションを
捉えやすいのかもしれないがかなり正確なフォルム
同じく(上)実銃のG17 3rdジェネレーションと
(下)タナカワークスG17 2ndジェネレーション右プロフィール比較
3rdジェネレーションと2ndジェネレーションの違いは
グリップにサムレストとフィンガーチャンネルがついたのと
ダストカバーにアンダーライトをつけるレールがついたことぐらい
このうちフィンガーチャンネルは4thジェネレーションで結局
廃止されているのであまり評判が良くなかったのかもしれない
グロックの雰囲気をかなり正確に捉えているタナカワークス製モデルガンだが
残念なのはエジェクションポートで実銃(右)はバレルとフレームがほぼツライチ
それに対してタナカ(左)はバレルがかなり引っ込んでいる
実銃はショートリコイルのロッキングラグをエジェクションポートが兼ねているので
スライド前進時はこの排莢口ががっちり噛み合っているがモデルガンの発火には邪魔なので引っ込ませてある
このモデルガンは無発火ダミーカートモデルに改造してあるのでこのエジェクションポートもいずれ
実銃と同じくツライチに加工する予定
フレームのトリガーガード周りにはパーティングラインだけでなく
樹脂を金型に流し込んだ湯口の後もしっかり残っている
コンベンショナルなモデルガンなら「何やってるんだタナカ手を抜くな!」と
文句を言うところだがこれは実銃もこうなのでむしろ
「さすがタナカこんなところまで正確に再現している」と褒めないといけない
なんか変な感じだ
フィールドストリッピング(通常分解)はとても簡単
マガジンを抜いてチェンバーが空なのを確認したらトリガーを引いて
ストライカーを落としておきテークダウンラグを下に引き下ろす
そうするとスライドグループはフレームから簡単に外れる
スライドからリコイルスプリングとバレルを抜いたら通常分解は完了
グロックには従来のオートにあったハンマーがない
スライドの中にはストライカーと玉突き式のファイアリングピン、
そのファイアリングピンを固定するオートマチックセーフティの
ファイアリングピンブロック(AFPB)とディスコネクターガイドだけがある
AFPBは押すとファイアリングピンを解放して発火可能になる
普段はAFPBは下向きにスプリングテンションがかかっており
ファイアリングピンをブロックして安全を確保している
タナカのAFPBは実際に効いており押さないとFピンが出てこない
トリガーを引くとシアが下がってストライカーはシアから外れ、Fピンを叩いて撃発が起きる
ブローバックが起きてスライドが下がるとディスコネクタガイドに押されてディスコネクタは
左に動きトリガーバーとシアの連携が切れてシアは再び上昇してストライカーを捉える
ここまでは普通のストライカー方式だがグロックのユニークなところはトリガーを離すと
シアも一緒に前進してストライカーはフルコック状態からハーフコックまで戻されてしまう
トリガーを引くとダブルアクションのようにコックされて先ほどの写真の一枚目の状態に戻る
もともと安全性に弱点があったストライカー方式をAFPBとこのセミダブルアクションともいうべき
トリガーアクションで安全なメカに改良して復活させたのがグロックの最大のアドバンテージ
これが有効なことが判明すると各社がストライカー方式を真似し始めた
このメカのためにグロックのトリガーには復座するテンションがかかっていない
むしろシアが後ろに下がろうとするスプリングに引っ張られているので
ストライカーがシアにかかっていない時にはトリガーはこんな風に下がりきっている
それこそ火縄銃、フリントロック以来トリガーにはテンションがかかっていないと
いけないという銃製造メーカーの根本常識のようなものをヒックリ返してしまった
フレームをもう一度見渡すとトリガーバーから上に突き出している突起が目立つ
これがAFPBを上に押し上げる突起で引き金を
引ききった状態でないとこれはAFPBに当たらないので
引き金に触らなければ安全という条件が確保される
安全のためにはストライカーをシアから外すのではなく
むしろかけたままダブルアクション位置に戻す方が良い
これもグロックの特徴だがプラのフレームの中に金属のサブフレームが入って
スライドレールを構成しているモデルガンファンには見慣れた構造になっているが
これは実銃も全くこの通りで実銃がモデルガンのテンプラ構造に寄せてきたような…
この光景が「リアルだ」とかいうなんて全くモデルガンファンの感覚を狂わせる銃だ
G17は全体的にゴツい銃なのだがスライドストップは
グリップを握りなおさなくても普通に親指で届く位置にある
エジェクションポートは小さいのだが9mmカートリッジが
問題なく通過できるような切り欠きになっておりジャムは一切ない
どっしりとした頑丈なサイトのシーンはこんな感じでとても狙いやすい形状
どちらかというとCQBを重視したようなサイトだ
GLOCK社の純正ホルスターに収容したG17
16年前LAで見た警官はほとんどこのプラ製のホルスターを使っていたのも衝撃だった
アメリカ人といえば牛革のホルスターにリボルバーでしょうが
なにプラのホルスターにプラの銃を刺して日本のテッポマニアですかそれ?…とショックを受けた光景
こちらはオーストリアGlock社の刻印が入っている
これは実物のグロック製ホルスター
タナカのモデルがぴったり収まる
【タナカのモデルガンについて】
このグロックのメカがずっと気になっていた。
1980年代中盤に突然なんの脈略もなくオーストリアから登場してきて、美しいとは到底言えないデザインなのにあっという間にアメリカやヨーロッパの銃の市場を席巻して、グロックデザインともいうべき形に各メーカーの新式銃を変えてしまい、従来の美しいカーブを持ったオートやリボルバーをどんどん片隅に追いやっているのは何故なのかが知りたかった。
2000年代あたりからゲームフィールドもグロックタイプのエアガンばっかりになってきたようだが、グロックの凄さはやはりメカを知らないと理解できない気がしていた。
ポリマーフレームを普及させた先駆者…と一般には思われているがポリマーフレームを実用化したのはHKのVP70だ。
HKのVP70の構想はナチスドイツの末期の頃のVolks Pistoleにまでさかのぼる。
HKのVP70(Wikipediaより)
国民拳銃としてナチスドイツ末期に企画され戦後も低予算制式拳銃として
後進国に売り込まれたが商業的にはあまり成功しなかった
スライドバレルグループは鉄製、フレームはポリマーというG17と似たような構成
このVP70のVPがまさにVolks Pistoleの略なのだが、ナチスドイツの「フォルクスなんちゃら」と命名された兵器はだいたいロクなものではない。
戦争末期の資源も尽きて工業も破壊され尽くされている時期でも「簡単に生産できて国民全員を武装させることができる」という構想で企画されたものばかりだからだいたいはパーカッションライフルの焼き直しとか手抜き・粗製乱造品ばかりだ。
大戦末期に日本の市民に奨励された防空兵器が竹槍だったというのと大して変わらない。
VP70も主要部品をプラで作れば、手間がかかるのは最初の金型作成だけであとはプラモデルを作るように手軽に安く大量生産できるという発想で企画された。
「フォルクスなんちゃら」の類の中ではVP70はそれなりに良く考えられた銃ではあったが、トリガーが重い、よって当たらない、構造を簡単にするためにショートリコイルメカを省略した初速減殺構造のため、9mmパラを使うゴツい銃の割には威力がない…撃ちにくい、当たらない、当たってもたいした威力ではない…と結構拳銃としては致命的な欠点がある
グロックのG17はポリマーフレームのストライカー方式というまさにVP70が志向した構造そのものだ。
聞けばグロックはもともとナイフメーカー、アモのベルトリンクなどのアクセサリーメーカーで銃の製造に関しては素人の会社だったそうだ。
ポリマーでストライカー方式というとVP70という大失敗例が過去にあるぞ、そんなリスキーな方式をやろうとするなんて素人丸出しだな…と従来のコンベンショナルな銃器メーカーなら敬遠するような企画だ。
それでもグロックは成功した。
それは単にポリマーだからということではなく、成功の要因があったはずだ。
そしてその成功の要因はG17のエアガンを撃っていても、少しはわかるがあまりわからない。
やはりグロックのメカを詳しく見ないとわからないのではないか、そのメカを実銃通りに再現したのはタナカのモデルガンしかない。
まずストライカー方式というのがエアガン、ガスガンにはあり得ない。
このストライカー方式の従来とは全く違う「セミダブルアクション」を再現したものを見ないとわからないのではないか…ということでタナカのモデルガンがずっと気になっていた。
タナカワークスのモデルガンは予想通り再現性が高い構造で、モデルガンであるためにショートリコイルのロッキングメカを省略した以外はほぼ満足できる内容だった。
そして写真や図面などの平面だけでなく3D化されたものを手に取ってみて、確かにG17は凄い銃だなということが実感できた。
この発想の転換は門外漢の素人でないとできないかもしれない。
【実銃のG17のメカ・デザインについて】
前回ハンマーシュラウド付きグリップのチーフの項目で、ハンマーレスの需要について触れた。
拳銃にはリボルバーもオートもハンマーが付いている。
ハンマーをコックして撃つためにハンマーには大抵ツノ(ハンマーホーン)が付いている。
しかしこれが抜き撃ちの時に服などに引っかかって邪魔になる。
解決法はハンマーを内蔵式にするか、ハンマーそのものを止めてしまうか。
しかしそこには問題があって、世界初の実用オート拳銃のボーチャードやその直系後継者のルガーP08はハンマーがないストライカー方式として設計されたが、ストライカー方式共通の弱点が露呈した。
ストライカー方式は銃を取り落としたりするとストライカーがシアから外れて暴発する危険がある。
そのためストライカー方式はまさに射撃する時以外は装填しないという使い方になり即応性に問題があった。
ジョン・ブローニングが設計したFNブローニング M1910はストライカー方式では比較的成功した銃だが、やはりコックしたままのストライカーが暴発の原因になる恐れがあるためマニュアルセーフティとグリップセーフティ、マガジンセーフティという過剰な安全装置を付けることになった。
ボーチャード拳銃を小型化したルガーM1900(Wikipediaより)は当初グリップセーフティを装備して設計されていた
のちにグリップセーフティは省略されたがシアがフレームの左側に露出している構造などから
ここになんらかの衝撃があると意図しない暴発の危険性があった
これは日本の九四式拳銃も同様の欠陥を持っているがセーフティを
しっかりかける、射撃時以外は装填しないなどの対策が必要になる
ブローニングM1910(Wikipediaより)はジョン・ブローニングの
巧みな設計で成功した数少ないストライカー方式
部品点数を減らし複雑な機構にならない工夫で成功したが
ストライカー方式の不安を解消するために三重の安全装置を装備した
グロックのデザインをメカも含めてみた結果、グロックの本当に革新的なのはその素人臭さゆえの常識を覆す発想だと思う。
ストライカー方式は暴発の危険があるという欠点を持っている
だからストライカー方式は断念するというのではなく、ストライカーをコックしたままで携行しようとするから危険なので、トリガーに触っていない間はストライカーを落としておけばいい
ストライカーを落としておくとストライカーがカートリッジのプライマーにコンタクトして銃を落とした時に暴発する危険がある
ならばトリガーから指を離すとハーフコック位置までストライカーを戻してオートマチックセーフティでファイアリングピンをブロックしてしまえばいい
これだけの安全策があるならマニュアリセーフティは必要ないので省略する
トリガーに不意に何かが引っかかっても暴発しないようにトリガーストップのレバーだけは付ける
ストライカーをハーフコック位置まで戻すためにシアを外すデコックはマニュアルでは煩わしい
ならばシアを固定にせずにシアごと前後に移動してストライカーのコック位置の固定は人間の指の力に頼る
ならばトリガーは複座する必要はないのでトリガースプリングは省略する
銃は鉄で作るが鉄は錆びるし、工作が面倒
ならばできるだけ主要部品はポリマーで作ってしまえば良い
ポリマーだとスライドレールなどの摩擦が問題
ならばそこだけ金属をはめ込めばいい
マガジンは錆が起きやすいからポリマーにしたいがポリマーの抵抗でカートリッジが滑らないジャムが問題
ならマガジンの外側の強度がいるところはポリマーにして中に金属の薄皮を一枚だけ入れてカートリッジを滑らせればいい
G17はトリガーに触れさえしなければ落とそうが投げようが絶対に暴発は起きない
そういう事故は起きないがトリガーがダブルアクションにしてはやたら軽いので
リボルバーのダブルアクションに慣れていると人間が暴発させる危険性はある
撃つ瞬間までは絶対にトリガーガードに指を入れないという対策が必要になる
射撃を素早く正確にするためにトリガープルは軽く設定されているのでそこは痛し痒し
グロックのメカはこうした従来の銃の設計では常識だったことをすべて否定して発想されている。
中でもすごいのはシアをフレームに固定しなくてはいけないなんて誰が決めた、トリガーにはトリガースプリングが要るなんて誰が決めたという部分かな。
その発想はなかったなぁというコロンブスの卵的発想で「そもそもハンマーなんか要らんでしょ」とハンマーレスを実現してしまった。
ストライカー方式は初弾が装填されているかどうかが外からわかりにくいという欠点も持つが、これだけ安全策を講じているのだから「初弾を装填しない状態で持ち歩かない」というルールにすればこの問題は解決するのかもしれない。
従来のストライカー方式はストライカーがコックしているかどうかが外からわかりにくかったという欠点も持つが、
このメカならダブルアクションで自分でコックするのでストライカーがコックしているかどうかを気にする必要はないし、もしストライカーがシアから外れていたらトリガーが下がったままになっているので、手に取った時点ですぐにわかる。
アメリカ人のリボルバー信仰はオートは故障が多い上に複雑でわかりにくいという拒否反応からだった。
ところがグロックは「撃ちたきゃ引き金を引けばいい」というリボルバー並のシンプルさを実現してしまった。
そうなると6発しか装填できないリボルバーと17発装填できるグロックどちらが有利かは明白になってしまったということかもしれない。
それと特筆すべきなのはやはりこのグリップアングルなのだろう。
グロックのデザインは好きか嫌いかと問われれば、「美しくない」という理由で好きではない。
しかしグロックのデザインは優れているかと問われれば「間違いなくかなり優れている」という答えになる。
もし自分が架空戦記や冒険小説の作家、あるいはガンファイトがある映画の脚本家になったとして、いろいろなシチュエーションが想定できるガンとして何を選定するかという目で見ればグロックはかなり有力な候補になる。
現にグロックが登場する映画なんてあげだしたらきりがない。
19世紀に起きたカンブリア紀的な銃器の進化の大爆発は、今や大絶滅を経てみんなグロックそっくりの銃に収斂していくんだろうな。
私が大好きなリボルバーも絶滅していくんだろうなぁ…
このモデルガンをいじりながらそんなことを感じていた。
2019年6月25日
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