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映画に登場するプロップガン
〜登場作品は多いがやはりキャラが立つGlock G17

G17 on the movie

映画に登場するプロップガン〜登場作品は多いがやはりキャラが立つGlock G17

すでに何度も書いている通りリボルバー党だったから、この銃が嫌いだった。

グロックG17は1980年代の半ばにオーストリアで開発された拳銃で、1990年代後半には映画にも登場してくるようなポピュラーな銃になっていた。
だから決して最新式というわけではない。

そして前回書いたように2002年の西海岸出張の時にアメリカの警察官がみんなグロックを持っていることに驚かされた。


前回はちょっと記憶違いがあって2003年と書いてしまったが、よく考えたら2001年の911事件の翌年だったからならではのエピソードがあった。

空港で同行したカメラマンが英語がほとんど話せない人だったのだが、入管で「入国の目的は?」「荷物の中身は?」「他に申告するものはあるか?」というおきまりの質問を受けていたのだが、あまり通じていないようだったので後ろに並んでいた私が、そばに行って通訳しようとしたら
「Go Back! Stay Behind!」
とすごい剣幕で怒鳴られて、周りの警備職員もとっさに身構えて口答えでもしようものなら拳銃に手をかけそうな勢いだったのでそれで彼らの装備してる銃のことが強烈に印象に残った。

あの時の空港は本当にピリピリしていたな。
それはともかくその印象があったので2002年にはアメリカの空港警備や警察官の装備はほとんどグロックG19あたりに変わっていたのは間違いない。


映画にグロックが登場したのはいつからだったかな。
グロックが出てくる映画なんてあまりにも多すぎて、どれが先だったかもはっきりおぼえていない。

ただグロックについてひどいデマを流した最初の映画ははっきりしていてダイハード2だった。

この映画でまだリボルバー党だった西海岸の警官にブルース・ ウイリスが、目撃したテロリストたちの持っていた銃のことをこう説明していた。
「あれはグロックというヨーロッパ製の銃で、あんたの給料よりも高価な銃だ
そしてプラスチック製なので手荷物検査のレントゲンにも映らない」

値段のことはともかく手荷物検査のレントゲンに写らないというのはひどい風評被害で、実際はしっかり写るのだがグロック社もこの悪評を気にしてのちにG17の樹脂部品にレントゲンの造影材を混入するようになったという話だ。

映画が実銃の仕様を変更させた稀有な例かな。


この1990年代半ばの映画ではまだ「ヨーロッパの珍しい銃」という扱いだったグロックが、90年代末には普通に警察官の装備になっていることは「マトリックス」のような映画を観ると見て取れる。





せっかくのタナカのG17のちゃんとしたプロフィール写真を撮っていなかったので何枚か撮ってみた




スライドをホールドオープンにすると銃身が後退してはっきりと上を向いていることがわかる
未来的なデザインだがショートリコイルロッキングシステムについてはブローニングスタイルを踏襲している
古くて手堅い部分と常識を打ち破る革新的な発想が混在した銃だ




それにしても全体的に樹脂部分はシボでスライドはパーカライジング風の
つや消しの暗いグレーというツートンカラーでちゃんと照明を当てて
レフも入れてもさほど変わりばえしない撮り甲斐のないテッポだ




17連発というサブマシンガン並みの大容量のマガジン
G17が人気が出てきた当時17連発だからこのネーミングになったという誤解が多かったが
それならG19は19連発なのかG43は43連発なのかというツッコミも流行った
実際にはグロック社の17番目のモデルという程度のネーミングらしい




マガジンはサイドも樹脂でマガジンキャッチがかかる切り欠きも
樹脂に穴が空いているだけでマルイのエアコッキングガンそのものだった




この世代のタナカのモデルはスライドの刻印はちゃんと「GLOCK」になっているが
マガジンの刻印は相変わらず「CLOCK」になっている
これはおそらく海外に輸出された時にアメリカでも一部の州では装弾数10発規制があるため
もしモデルガンの17連発マガジンが実銃に使われ犯罪に絡んだ場合グロックは責任を回避する
という意味でマガジンの刻印までリアルにするのは認められなかったということかもしれない




グリップはこの通りちゃんと「GLOCK」になっているので商標権の問題ではなさそうだ


マトリックス

アメリカの警官がいつからリボルバーを捨ててグロック一辺倒になったのかはっきり知らないが、この1999年公開のマトリックスではもう突入斑が全員グロックを持っている様子がわかる。

物語は仮想空間上では1999年となっているが、実世界では2199年かそこらへんの年代という設定を登場人物のモーフィアスが語る。

この映画では警官が手にするグロックG17かG19あたりとスイッチが手にするブローニングハイパワーMK IIIと旧世代と新世代の銃が入り混じっている。

仮想世界の住人であることを自覚していない人々は新型の銃を使い、覚醒した人間は古臭い銃を使うみたいな使い分けだったような気がする。





冒頭で通信を逆探知されたトリニティが突入してきた警官を皆殺しにするシーン
2班突入したと班長が語る警官は全員G17を持っている
1999年公開映画の撮影時期にはもう西海岸の警官はみんなグロックを持っていたということだ


警官と「エージェント」がトリニティを取り逃がすとビルの上を隣から隣へと飛び移るアメリカ映画名物の屋上追跡シーンが続く。

これもアメリカ映画の古典的な手法なので、最新の360度視点を移動する撮影法やCGなど新しい映像と古典的な映像が新旧入り混じっているのがこの映画の独特の雰囲気だと思う。

地下鉄のホームで戦うシーンとかまさに古典的な絵柄だ。

そういえば当時の最新デザインのノキアのケータイと、有線の黒電話も対比的に使われていた。

この映画はこうしたプロップによって、それを使う人の立場を表現していたようだ。

その「無自覚な」人間の代表格の銃がグロックという扱いだったから、この時代グロックはすでに一般的に警官の装備として普及していたがまだ目新しい銃だった。



ザ・シークレット・サービス

こちらは1993年の公開の作品。

ウォルフガング・ペーターセン監督の脚本と手腕に同じ映画監督でもあるクリント・イーストウッドが惚れ込んで成立したこの映画は、ジョン・マルコビッチの怪演も相俟って迸るような緊張感がある作品になった。

この映画でもいくつか印象に残るプロップガンが登場する。

冒頭で潜入捜査をしている相棒を「殺せ」と命じられて手渡されるコルト380。

シークレットサービスという警察からも軍からも独立した独自の組織が使用する銃ということで、SIGザウアーのP228というアメリカではあまり見ない銃を全員が持っていたのも本当かどうかはわからないが妙に説得力があった。

そして彼らに立ちはだかるマルコビッチが使用する銃が1993年にはまだ物珍しかったグロックG17だった。

これもまた古典的なビルの屋上の追跡劇のシーンで登場する。





ジョン・マルコビッチ演じる「ブース」はこれまた軍や警察から
隔絶されたCIAの「ウエットボーイ」として訓練された謎の人物
使用する銃も93年頃には珍しかったグロックG17で
これもCIA使用銃というのは本当かどうかは知らないが説得力のある選定だった


ところで余談だが、Macのキーボードのキー配列変更アプリにUkeleleというのがあってこれはこれで優れものアプリなのだが、このネーミングは「ザ・シークレット・サービス」が由来らしい。

映画の最後の方で「ブース」に同僚を殺され、その正体の捜査も手詰まりになり、おまけに騒動を起こしたイーストウッドは大統領警護からも外されて先遣隊の調査班に左遷され、失意の中次の大統領の遊説地に向かう場面で空港まで送ってくれた同僚に
「先遣隊の事務所の番号はUKELELEだ。ウクレレと覚えろ」
と言われる。うなづきかけたイーストウッドが
「まてよウクレレのスペルはUKUだろ?」
と問い返すと
「ああ、ウクレレはUKUだがとにかく電話番号はUKEだ」
というやり取りがある。

このやり取りの後UKELELEと書いたメモを渡され電話をしたかけた時に、イーストウッド演じるシークレットサービス捜査官は重大な手掛かりに気づく…という巧みなストーリィ運びだった。

アメリカの電話機は0〜9の数字の横にABC、DEF、GHI…のようにアルファベットが書いてあって電話番号をアルファベットで読んで語呂合わせで覚えられるようにしてある。

同僚捜査官が言う「電話番号はUKELELEだ」というのはこのことだが、Macのキー配列アプリもウクレレのアイコンだがUkeleleというネーミングになっているのはスペル間違いではない。

作者はこの映画のファンだったに違いない。



RONIN

冒頭「かつて日本では主人を失い禄を失ったサムライを蔑んで彼らはローニンと呼ばれた」という説明が入る。

集まったのはまさに忠誠を失い、信念を失ったプロフェッショナル達だった。

最高の技能と経験と度胸を持つが、義務感、使命感を失ったプロ崩れはどうなっていくか…それを70年代のアクション映画風に描いた監督ジョン・フラッケンハイマーの最晩年の作品。

接近戦のプロフェッショナルなので選択する銃は、ベレッタM92やコルトM1911などのコンベンショナルな銃。

集められたローニン達のなかで電子戦担当のグレゴールだけが、銃もグロックを使っている。





グレゴールの使うグロックはサイレンサーを装着している上に
フレームアタッチメントでEOTechタイプのドットサイトをつけている
車中で振り回すにはちょっとかさばりすぎでプロの選択とは思えない
アクセサリー厨のゲーマーのような装備だ
電子機器担当で銃の扱いは素人だという性格を象徴しているようだ




25年以上前にデザインの詳細を知りたくてマルイのエアコッキングのG17を手に入れた
手に持った時に「道具としての美しさが欠片もない弾丸発射装置」という印象を持った
リボルバーの曲線的なデザインが好きなのでこの実用一点張りデザインが嫌いだった
しかしメカを知りこのデザインの意味も知ったらこの不細工な姿も美しく思えてきた




美人は三日で飽きるがブスは三日で慣れるという諺の通りなのかなぁ
この色気も何もないと思われたデザインも美人に見えてきたから不思議だ




グロック純正のプラのホルスターにぴったり包まれたG17
マトリックスにもプラのホルスターを装着した警官の腰のアップが出てきた
もともとはオーストリア軍のサイドアームとして開発された拳銃だが
これが21世紀のエンフォーサーの標準装備ということだ



2019年7月3日
















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