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グロックG17を同クラスのテッポといろいろ比べてみた

G17 and Companies

グロックG17を同クラスのテッポといろいろ比べてみた

テッポのメカに興味があって、このテッポはなぜこんなメカを持つに至ったのかということをいろいろ考えていたら自ずと銃器の発達史を調べていくようになった。

テッポの発達史というのは一言で言うと
「テッポは強力だが不便だ…使いにくい」
「ならなんとかしましょ」
という使い勝手への不満とその改良の歴史が延々と続いていてとても興味深い。

テッポは所詮は人を殺す兵器だと嫌悪する人もいるが、確かに実物を向けられたら穏やかな気持ちではいられないだろうけど、使うものの生き死にがかかっているだけにそのデザインやメカの工夫をする方も考えの巡らせ方が尋常ではない。

尋常でない熟慮を持って工夫されたメカが面白くならないはずがない。

初めてモデルガンを分解した時に、その銃はセンチニアルだったのだが精緻なメカに人類の叡智が詰まっているような気がした。


銃器の発達史を調べているとそれぞれの時代時代に「傑作」と呼ばれる銃が登場する。

そういうものは突然現れるのではなく、幾つもの傍系の流れを持つ技術が詰まった銃の失敗の上に、その改善をして現れるということがわかる。

例えばグロックG17。

グロック社というメーカーは元は銃を作ったことがないナイフメーカーで、しかもG17は初めての実用製品、さらにポリマーフレームにストライカー方式という一見ユニーク(実はとても古い)メカを突然成功させたことから銃器の発達の歴史に関係なく突然飛び出してきたように見える。

でも詳しく見ているとショートリコイルロッキングメカはブローニング方式を取り入れるなど、古くて枯れた技術も使えるなら取り入れるという形で構成されていることに気がつく。

突然変異的に現れたグロックG17も銃器の発達史の流れから全く隔絶して成立したわけではないことがわかる。





資料として手に入れたようなタナカワークスのG17(上)と東京マルイのエアコキG17(下)
どこのメーカーでもスタイルは同じだろうと思っていたがこうして並べてみると
マルイの方がタナカよりもかなりほっそりしていることがわかる
どちらが正確かわからないけどグロック純正のホルスターにマルイはガバガバで
タナカはキツキツなのでこの中間ぐらいが実際なんではないかと思った
実銃ではなくモデルガンを並べて比較するのはこのように正確を欠く場合もあるが
それを頭に入れて各位画像を脳内補正しながら見てもらいたい




コンベンショナルオート最後の世代の代表マルシン製ベレッタM92F(上)とタナカG17(下)
ワルサーPPKが源流のダブルアクション、デコッキングセーフティ、
P38譲りのロッキングブロックのショートリコイルロッキングメカなど
20世紀の銃器のメカの集大成のようなベレッタ




それに対してハンマーを廃し元々安全性に問題があったストライカー方式を
独自のセミダブルアクションのようなメカで安全に改良しHKのVP70で
一度は失敗したポリマーフレームを成功させた新世代の源流になったG17
並べてみると意外にG17の方がコンパクトなのがわかる




G17は見た目の印象と違って寸法的にはベレッタよりもコンパクトなだけでなく
装弾数が2発多いにもかかわらずグリップアングルのおかげで握りやすい
道具としてどちらが使いやすいかというとG17ということになるが
80〜90年代に続いた米軍制式拳銃のトライアルにもしG17が間に合っていたとしたら
G17が採用されたかというと多分そうはならなかっただろう
G17にはセーフティレバーがないが同じくセーフティがないSIGのP226がポイントを落としていたからだ




マガジンの比較(左)G17の樹脂製のマガジン(右)全金属製のベレッタのマガジン
グロックのマガジンは樹脂部分が主要な強度を持つ部材で内張の金属は
カートリッジの滑りを良くするためだけに張られたペラペラの板金
Amazonのレビューにタナカのマガジンは「軽くて安っぽい」と書いてた人がいたが
実物もこんなだからその批評は当たらない…知らずにけなすのはやめようね
G17は17連発、ベレッタは15連発だがグロックが分厚く見えるのは樹脂という部材のせい




グロックもベレッタもマガジンのアングルはほぼ同じなのにこのままのグリップ角度のベレッタに対して
グロックのグリップはルガーP08や十四年式のようなアングルにアレンジされて握りやすいのが秀逸




ベレッタのスライドは上部が大きくカットされていてジャムになりにくい、銃身の放熱効率が
良いなどのメリットが考えられるが実際には強度不足の問題が付きまとうなどデメリットの方が多い
グロックは閉鎖型のスライドでエジェクションポートも小さいがフルオートのG18以外は
銃身の過熱は問題にならないしこの大きさの排莢口でもジャムは起きない
グロックの方が頑丈なのは言うまでもない




マガジンのアングルはほぼ同じなのにグリップのアングルはこんなに違う
ベレッタのグリップはライバルのS&WのM59よりは評価が高かったが
やはり太いし角度が浅すぎて握りやすいとはいえない
グロックは大きく後ろに傾いたグリップアングルで自然にターゲットを捕捉できる




かつて傑作と呼ばれたKSC製のCZ75(下)とG17(上)
15連発のダブルカラムマガジンを持ちながら握りやすいグリップデザインが評判になったCZ75は
グロックほどではないがやはり大きく後ろに傾いたグリップアングル




頑丈さもメリットのグロックに対してCZ75は徹底的に肉抜きされたフレームとスライドが
スマートだがあまりにも肉薄なために「落としただけで歪む」という悪評もある
実際には銃器は落としたらどの機種も大抵故障の原因になるのでこの批判は当たらないのだが
映画などでよく「銃を捨てろ!」と言われて銃を投げ捨てるシーンがあるがあんなことしたら
銃が破損して暴発の危険があるので実際には「Put your GUN!」(銃を置け!)と言っているはずだ




タナカG17(上)とサンプロジェクト製ブローニング・ハイパワーMK III(下)
ダブルカラムのマガジンを実用化したハイパワーと書かれることが多いがダブルカラムは
1896年製のモーゼルC96の段階ですでに実用化されていた
ブローニングがハイパワーでグリップにダブルカラムマガジンを収納して
13連発を実用的な大きさにまとめることに成功したというべきだ
ダブルカラムマガジン、ショートリコイルロッキングメカはG17はハイパワーに準拠している




シングルアクションオンリーのメカだが故障が少ないということでプロ好みだったハイパワー
セミダブルアクション+ストライカー方式でやはり故障が少ない現在のプロ好みなG17




米軍制式拳銃トライアルでベレッタに敗退したS&W M59(下)とG17(上)
M59はグリップアングルが悪い、グリップデザインが悪いという問題が最後まで足を引っ張った
それだけでなく実銃のM59は動きが渋く動作に不安があるというのも評価ダウンだった
MGC製のM59モデルガンは動きは軽快でそこは実銃と違うが
ダブルアクションが異常に重いところはリアルだったかもしれない




こうして並べてみるとグリップアングルはこれだけの差がある
17連発のグロックと14連発のM59では設計的にはM59の方が条件は楽なはずなのに
この問題は第3世代のパフォーマンスセンターカスタムが出るまで解決できなかった




MGCの9mmマガジンは実物サイズよりもひと回り小さい
カートリッジも小ぶりで9mmパラのダミーカートがモデルガンのマガジンには入らない
MGCのカートは380ACP弾位のサイズだからマガジンもこんなに小ぶりになる



2019年7月21日
















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青木さやか