なぜか日本ではコルト32オートと呼ばれている…Colt M1903おそらくType Iを復活させる〜錆びてるぜ、これ…
MGCの32オートを入手した。
コルト社のホームページを見ると正式な呼称はColt 1903 .32 ACPという名称になるらしい。
なぜか日本ではColt 32 Autoという名前で呼ばれている。
しかしColt 32 Autoでググると日本の通販サイトやモデルガンメーカーやネットオークションのページばかり検索にかかる。
このコルトの中型拳銃は日本ではコルト32オートと呼ばれることが多いが、こういう呼び方をするのはどうやら日本だけらしい。
このテッポは昔から気になっていた。
大阪の梅田のガンショップやまもとだっけ…の店頭に飾ってあるのを見て気になっていた。
いまから35年ぐらい前のことかな。
今はミリタリーショップみたいになっているそうだけどあの頃はMGCのモデルガン専門店という雰囲気の店だった。
そのMGCの売れ筋商品として店頭に飾ってあって、気になっていたけど結局今まで手に取ることはなかったのがこのColt 32Auto。
そのMGCの箱にColt 32 AUTOと書いてあったのでどうやらそういう名前で呼ばれるようになったらしい。
MGC発売当時はオープンデトネーター方式の発火ブローバックモデルガンで、のちにCPカートリッジ化され、MGC消滅後はCAWが金型を引き継いでCPブローバックタイプとブローバックしないスタンダードタイプを発売している。
今回はMGC製の本体のみカートリッジなしのモデルガン。
COLTのM1903は最初PPKなどと同じ32口径として開発された
のちに38口径の380Colt弾を使用するほぼ同型のM1908も開発されたが
現在のCOLT社のホームページを見ると32口径のM1903が復刻版として販売されている
MGCのモデルガンはプロポーションはなかなかで発火させた時の動きがいいから
映画などのプロップガンとしてCOLT LawManとともに人気があった
刻印の77502というシリアルナンバーは1977年5月2日に設計脱稿を意味するのかもしれない
実銃のColt 1903(上)とMGCのコルト32オート(下)
外観はなかなか正確なんだけどトリガーの上に実銃にはない
バレル固定ピンがあるのがモデルガンと実銃を見分けるポイント
MGC製はABSモデルでこれはメタリックに塗装している
スライドセレーションに深い傷があるのが残念なところ
そのうち目立てヤスリで消せないかトライしてみる
実銃の分解法は前期型はガバと同じバレルブッシュを回転させて抜く分解法で
後期型は25オートやブローニングM1910と同じようにスライドを後退させて
バレルを回転させて抜く分解法だがMGCの分解法はどちらでもなくちょっと独特
トリガーの上のバレル固定ピンをポンチで左から押して抜く
トリガースプリングのテンションはかかっているが割とすんなりピンは抜ける
ピンが抜ければスライドグループとフレームグループはすんなり分解できる
この銃の英語での通名は「Colt 1903 Hammerless」なのだが
実際にはハンマーがないわけではなくハンマーはフレームに内蔵されている
そこはMGCも再現していてフレーム側にハンマーがある
このモデルガンがなぜ映画のプロップガン屋さんに人気があったかというと
この世代のモデルはサブフレームやハンマーが鉄製で頑丈なため
発火薬を増やしても故障しにくいのでLawManとともに人気があった
現在販売されているモデルはサブフレームもハンマーも亜鉛合金に変わっているはず
MGCの分解法はさらに独特なプロセスを踏む
実銃ならリコイルスプリングが入るスペースは空洞で
そのスライド側の後ろのスクリューをドライバーで抜く
するとスライドからバレルとバレルの周りに巻かれたリコイルスプリング、
バレルブッシュ、ついでにファイアリングプレートも抜ける
この独特な構造のためメカ的にはリアルではないがモデルガンとして堅牢で
吹き戻しの力が弱いモデルガンでも確実に動作する
この時代のMGC製品は銃器のモデルとしてリアルかどうかよりも
確実に動くアクション重視の構造が多かった
ハンマーは赤錆が浮いているので前のオーナーは発火させたようだし
発火後の手入れはあまり熱心にはやっていなかったようだ
これはハンマーダウンの状態でハンマーが落ちてスライドブリーチの
ファイアリングプレートを叩いて発火させる
ブローバックするとハンマーがコックされてシアにロックされる
独立したディスコネクターがあるわけではなくハンマーコックでシアが
フリーになるメカなので最近のモデルは磨耗してくると
フルオートになってしまう癖があるそうだ
発火させる気がないのでそこはあまり興味はないのだが
バレルからデトネーターを抜く
バレルの中は火薬カスで真っ赤になっていた
発火させないのでデトネーターはこのまま外した状態にしておく
MGCのリアルよりもアクション重視のメカはこんなところにも
実銃のM1903はメインスプリングはリーフスプリング(板バネ)なのだが
MGCはコイルスプリングでハンマーを引き下げる構造になっている
紙火薬のカートリッジの不発を減らすためか板バネは工作が難しいのか
この構造になったために実銃といろいろメカが違っている
コイルスプリングはリーフスプリングよりも場所を食うので
グリップセーフティのアクションは再現できなかったようだ
実銃はハンマーが外から見えないことで初期型は深刻な暴発問題が発生した
このコルト暴発ネタで映画まで製作された(「タップス」ジョージ・C・スコット、トム・クルーズ出演)
その欠陥をカバーするためにハンマーがコックされるとグリップセーフティが
せり出してきてコッキングインジケーターを兼ねていたのだが残念ながら
このメカを再現したモデルガン・エアガンは過去に製造されたことがない
このモデルガンは本体のみでカートリッジが付いていなかったのだが
PPK用に購入した7.65mm弾ダミーカートが使用できないか画策していた
残念ながら実銃よりもマガジンは小さめに作られているようでダミーカートが入らない
どうしようか思い悩んでいたら昔MGCルガーP08用に購入したCPカートが
ちょうどいいサイズで装填も排莢も問題なくできることが判明した
ルガーのカートが装填される様子
ところでこのバレルは初期の頃はこのエジェクションポート部分に銀色のシールを
貼ってステンレスバレルの雰囲気を出すようになっていたがこのモデルはシール欠品
そしてバレルに段差があるのがカッコ悪いのでいずれABS板で埋めようと思っている
MGCルガーのカートリッジを使った装填排莢テストでもジャムなし、排出も安定していた
実際MGCルガーと32オートはカートが共用だったのかもしれない
メカやカートリッジサイズはリアルではないが外観はなかなか雰囲気が出ている
このリアルさが日活コルトとして映画関係者にも好まれた理由かもしれない
スライドの右側にはオリジナルは「Model Gun Corporation」という
MGCの刻印がはっきり入っていて雰囲気ぶち壊しなのだが
前のオーナーがそこを気にしていたのか平面出しも兼ねてすっかり削りおとされている
リアルじゃない刻印ならないほうがマシという考え方だったのかな
スライド左側にはコルトの跳ね駒の刻印が入っている
マガジンには32ACP(Automatic Colt Pistol)という口径表示の刻印が入っている
実際には32ACPのダミーカートは入らないが
実銃は32ACP8連発だがモデルガンのマガジンにはカートが6発しか入らない
マガジンフォロワーの形状が実物とはかなり違うからだ
MGCの金型を引き継いだCAWの復刻版は8連発に修正されているようだ
(上)実銃のColt 1903(コルト社ホームページより)と(下)MGC 32オート
こうして比較するとフォルムはだいたい正確だと言っていいと思う
残念なのはトリガー上に実銃にはないバレル固定ピンがあることと
エジェクションポートのバレルが一段落ち込んでいること
固定ピンはともかくバレルはなんとか修正したいところ
この32オートがある一定以上の世代の心に響く理由はこれなんじゃないかな
これは横山光輝作「鉄人28号」のコミックからのワンシーン
鉄人を操る金田少年は少年でありながらスポーツカーを乗り回す私立探偵で
警察と協力して事件の捜査をするだけでなく拳銃の所持も
許可されているというぶっ飛んだ小学生だった
そして金田少年が愛用する拳銃はディテールは不明なものの
そのサイズや形状からコルト32オートと考えるのが一番自然だ
MGC製品は分解組立の手順が独特なのでマニュアルがあると便利だ
これはオクのサイトから拾ってきた当時もののMGCのマニュアルの写真
完全分解、組立の手順が書かれていて分解したら修理対象外とかいう
自己責任カルチャーの今時のモデルガンとは随分違う
当時はモデルガンそのものが機械工学の基礎知識を
教育する教育玩具的な意味があった気がする
最近のエアガンファン、モデルガンユーザがみんなメカ音痴のような
気がするのはこういう環境の違いもあるのかもしれない
2019年8月6日
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