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MGC CPブローバックM16A1〜ABS製ながら
実銃の雰囲気が一番わかった傑作長モノモデルガン

Mechanism of AR15

MGC CPブローバックM16A1〜ABS製ながら実銃の雰囲気が一番わかった傑作長モノモデルガン

MGCのABS製CPブローバックのM16A1が長モノのメカの理解に大きく役に立った。

このモデルは確か1982年かその前後にMGCキャップ火薬内蔵式のクローズドカートリッジのブローバックの走りとしてMGCが発表した。

それまでクローズドといったらマルシンのPFCだったけど、CPはそれよりもガツンと反動が強く煙の抜けも良く、銃身が短いハンドガンなら炎も見える(というウワサだった…私は見た事がない)という新方式の第1号だった。

このモデルガンで実際に火薬を発火させてブローバックを故障なく成功させるのは、しっかりメンテナンスをしてコンディションを管理しないと難しいということを学んだ。

カートリッジやボルト周りは常に綺麗にクリーニングしないといけないし、マガジンにカートリッジを詰めるときは綺麗にカートリッジのお尻を揃えないとジャムの原因になる。

これはモデルガンだからかと思っていたら、実は実銃も同じだとのちに知った。

映画に登場するプロップガンの「地獄の黙示録」の項目で触れたが、カートリッジを装填したマガジンは射撃の直前に後ろを叩いてカートのお尻を揃えるとジャムが起きないというのはM16のモデルガンを撃っていて気がついたノウハウだが、なんと実銃でも同じことをするとこの映画で知った。

シュワルツネッガーやスタローンのようにパッと銃を手にとって100連発だろうが1000連発だろうがバカすか撃てるなんてことは実銃ではあり得ない。
銃というのは確実に撃てるようにするにはとても繊細なコンディション管理が必要なのだ。
そういう事を教えてくれたのもこのモデルだった。





MGCはこのモデルを出す前から紙火薬カート、金属製のM16Aを出していたがそのメカを
全面的に見直してなんとABS製フレーム、バレルのこのM16A1を発売した
モデルはベトナム戦後半に配備されたA1を20連マガジンを標準装備で発売された
長モノは金属フレームが許可されていたのになんでわざわざABS製?と思ったが
実物を見て「確かにリアルになっている」と思った




フォルムが正確なだけでなく細かいメカもいろいろリアルになっている
フロントサイトはクリックも可動して回転でエレベーションの調整ができる
リアサイトもウインデージが調整できるだけでなく
フリップ式で長短距離切り替えができるメカを再現している
モデルガンだから弾が出ないのにこのこだわりはすごいと思った




フラッシュサプレッサーはベトナム戦後期型のA1のバードケージ型
実物のバヨネットナイフが装着できるバヨネットグリップの位置も正確




レシーバー右サイドの全体




エジェクションポートからカートリッジが見える光景はリアルだ
またダストカバーは実際に閉じてボルトを引くと自動的に開くメカも再現されている




レシーバー右側に唯一モデルガンの刻印がある
マガジンはブレットレスのカートリッジに合わせて前にスペーサーが入っている
ダブルカラム・ダブルフィードのマガジンはジャムが少ない




このモデルガンのすごいのはボルトフォワードアシストレバーが実際に可動して
閉鎖不良になったボルトを手動で押して閉鎖させる事ができること
ここまで再現したモデルは後にも先にもこのモデルだけだったと記憶している




また寒冷地で防寒手袋をしたままでも射撃ができるようにトリガーガードが開くようになっている
ちなみに装填しているのはオプションの30連マガジン




ストックバットのドアも実銃通り開くようになっている
実銃ではここにオイル缶やクリーニングキットを入れるのが軍の運用の決まり




ピストルグリップの中はがらんどうになっている
電動ガンだとここはモーターが入るスペースだが実銃はこんな感じの空っぽだ




そしてこのMGCのM16で一番感動したのは
リュングマンガスシステムのガスチューブが再現されていたことだ
ハンドガードの上のクーリングホールから銀色にメッキされたチューブが見える




ハンドガードの中は放熱用のアルミヒートライナーと発射ガスを
リュングマンシステムのシリンダーに誘導するチューブがこんな感じで配置されている
この構造を再現したのはこのモデルが初めてだった
今の電動ガンで再現されているのかはよく知らない




このガスチューブはレシーバーの中まで伸びていてボルトキャリアの
ガスレシーバーの中に入る仕組みになっているのも実銃そっくり
またロテイティングボルトのボルトヘッドはロック用のラグがあり
チェンバーにはロッキングリセスもあってこれが噛み合うのもリアル
実際には噛み合うだけでロックはしないがあとちょっとで実物と同じ構造にはできそう




ボルトが前進しているときはボルトキャリアのガスレシーバーの中にチューブが入って
発射ガスはボルトの中のピストンにまで誘導されここでガスオペレーションが起きる
ボルトの中のシリンダーにガスが入るとマイクロロックロテイティングボルトを押し出し
回転させてロックを外すことで閉鎖を解除してブローバックが起きる




さすがにガスシリンダーまでは再現されていないがロテイティングボルトは
こんな感じでラグがあってキャリアの中を前後に動くので
ピストンの雰囲気は理解できるカッタウエイ風になっている




ガスレシーバーから発射ガスが入ってくるとボルトヘッドが前に押されてロックが外れる




GunSite South AfricaのサイトよりAR-15のガスシステムの構造の解説
銃身の銃口近くにガスバイパスがありチューブはレシーバーにまで繋がっている




発射が起きると発射ガスの一部はバイパスからチューブを伝ってボルトキャリアの中に誘導される




高圧ガスがボルトヘッドに繋がったピストンを押して反作用でボルトキャリアは後退する
ボルトキャリアにロテイティングボルトの回転カムがありボルトが回転すると
ロッキングリセスが外れて閉鎖解除になりブローバックが始まる
高圧ガスをエジェクションポートから吹き出さないための安全装置だが
この構造は火薬カスもボルトの中に入れてしまうので手入れをしないと
火薬カスが詰まってジャムや不発の原因になるという問題がある




この発射ガスを直接ボルトの中に誘導してボルトヘッドを
回転させるのはAR-15生みの親のアーマライトの特許
アーマライトの特許資料にもボルト内ガスシリンダー方式の詳細図が記載されている




こちらはスウェーデンのリュングマンライフルのガスオペレーションの構造図(Wikipediaより)
AR-15、M16、M4までのシリーズは「リュングマンガスシステム方式」と言われることが多いが
リュングマンはボルトキャリアの頭にピストンが付いていてガスチューブはシリンダーに直結している
アーマライト方式とどちらが火薬カスの影響が少ないか微妙なところだが
世界にこの2例しかリュングマン方式がないところを見るとあまり良い方法ではなかったのかも




ちなみにAK47は銃身の上にシリンダーがあってここでピストンを発射ガスで押して
ボルトキャリアのロッドを直接押している
ガーランドライフルやドイツのStg44もこの方式




そしてポリマー素材とブルパップを成功させたAUGもバレルの右斜め下に
ガスシリンダーがありここでピストンを押してボルトキャリアを弾き飛ばす古典的な設計
デザインは未来的だがこういう保守的な技術でも使えるならどんどん使うという
GLOCKなんかと相通じる頭の柔らかさを感じる




マルイの電動ガンはこのシリンダーを再現したが残念ながら
中にピストンを再現するほどの遊び心まではなかった
実銃ならガスレギュレーターを開くとここにピストンがあって
発射ガスが充満したら後ろのロッドを押す仕組みになっている




発射ガスに押されたピストンがこのレシーバー側のボルトキャリアロッドを押して
ボルトキャリアが下がりカムがボルトヘッドを回転させてヘッドのラグと
チェンバーのリセスの噛み合いを解除するマイクロロテイティングボルトなのはM16と同じ




ブローバックして.223カートリッジ(5.56mmNATO弾)が排莢される光景は迫力がある




このMGCのモデルガンの唯一の欠点はエジェクターを蹴り出すエジェクタープレート
これが軟鉄のような柔らかめの鉄でできているのだが排莢を繰り返していると
これが磨耗して排莢がうまくいかなくなり100%ジャムるようになる
当時から問題を感じたので予備パーツを購入し焼き入れもしたがこの部品は消耗品らしい
MGCが消滅した今交換部品が入手できる可能性はゼロなのでもう火薬は使わない




このモデルガンがリアルのなのは実銃と同じようにレシーバーを中折れさせて
機関部のメンテナンスができること




この状態で機関部のほぼ全部の部品にコンタクトできる
セミオート・フルオート切り替えメカも結構実銃に忠実なのでメカを見るのも参考になる
セミオートの場合ディスコネクターが前進してフルオートシアは前に倒れてボルトに接触しない




撃発が起きるとハンマーはボルトに引き起こされディスコネクターのフックがハンマーをキャッチする
このおかげで撃発は単発で止まりトリガーを戻すとトリガー一体のシアがハンマーをキャッチして
ディスコネクターのフックは外れる
実銃でもセミオートの時はトリガーを戻すたびに「カチッ」と音がするのはこの構造のため




フルオートの時はディスコネクターは後退してハンマーに接触しなくなる
代わりにフルオートシアが立ち上がってボルトが落ちてくると接触する




フルオートポジションの時にはハンマーを止めるのはフルオートシアだけで
ボルトが戻るたびにこれが倒れるので引き金を引き続けている間はずっと弾が出続ける
機関銃のように使えるのはアサルトライフルのメリットだが20連発のマガジンなら
2秒でカラになってしまうので訓練兵がすぐに弾を使い切ってしまうのがベトナム戦で問題になった
のちにフルオート禁止令が出たりM4ではフルオートは廃止になって3点バーストに変わった




MGC M16A1全景
当時ABS製であるにもかかわらず「リアルなM16決定版」という評判を勝ち取った
撃ってもそれまでの金属M16と違って快調にワンマガジン撃ち切ることができた
発売時結構売れたからオクでも割と見かけるがこのモデルの価値が
若い愛好家に理解できるのかわからなかったのでちょっと解説してみたくなった


M16初期型がベトナム戦の中期にM14に変わって配備されるといろいろ問題が起きた。

一つはプラスティック製のストック、ハンドガード、アルミ合金製のレシーバーに
「オモチャみたい」
という心理的抵抗があってこの銃を嫌う兵士が多かったこと。

「M16を捨てて敵のAK47を奪って戦っていた」
という証言をする米兵もいたしベトナム戦の報道写真にはAKを持った米兵の姿が結構撮られているが、国防省はそういう情報が報道されないように管制を敷いていたという話だ。

それだけでなく実際にジャムも多かったので、ボルトフォワードアシストが追加され泥水が入って閉鎖不良になっても撃てるようにという改造もされた。

プラスティック製ということで
「手入れをしなくても錆びない」
という誤解を招いたのも問題だった

実際にはガスをボルトの中まで入れるリュングマン方式のために、従来のガスピストン方式よりも繊細で小まめなメンテナンスが必要なのだがこの誤解が運用に支障をきたした。

またM16のフルオートは軽快で「ロックンロール」とニックネームをもらうほどだったが、これも問題だった。

M14のフルオートは米兵でも撃つとひっくりがえりそうになるので誰も使わなかったが、M16はコントロールしやすいので射撃戦になると怯えた新兵が20発を一瞬で撃ち切って敵に狙撃され消耗するのが問題になった。

フルオートが禁止されたりのちに湾岸戦争あたりで採用されたM16A2やM4ではフルオートが廃止されてセミオートか3点バーストの選択になったのもこの問題がベトナム戦の間中解決できなかったからだろう。


こういう実銃のエピソードがモデルガンの構造を通して理解できるのもテッポの楽しみ方。

MGCのM16はこういう実銃の構造の問題点も再現しているので、テッポのメカに興味を持っている人には興味深いモデルガンだと思う。
単にCPカートで調子よくフルオートが楽しめるというだけのモデルガンではない…ということが言いたかった。




2019年8月13日
















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