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MGCの変わり種〜H&K P7M13の分解法と調整、メカの詳細など

detal of P7

MGCの変わり種〜H&K P7M13の分解法と調整、メカの詳細など

昔MGCという今はないモデルガンメーカーがあって、ガスブローバックのエアガンが流行り始めた頃に、モデルガンメーカーとしての総力を結集してHKの変わり種のP7M13をモデル化した。

総力を結集するならもっとメジャーなテッポにすればよかったのにとも思うが、ガバもベレッタもガスガン化していたから次はマニア向けの物をということで変な方向に力が入っちゃったのかもしれない。

変なテッポが大好きな私のようなマニアには大好物だったが、できればガスガンではなくモデルガンとして出してくれるともっと嬉しかった。
しかしこれが出た年か翌年ぐらいにWAからマグナのベレッタM92が出るというタイミングだったので時代の流れは完全にBB弾が飛ぶテッポに流れつつあった頃のモデルだった。

私もGun誌のP7M8のリポートをヨダレを流しながら読みふけっていたクチなので、このMGCのP7は結構なショックだった。

P7ってメカが独特でモデルガン化は困難とか言われていたので、ガスガンができるならモデルガンも…という期待を持ってしまうではないですか。
それは実現しなかったけど。

MGCのP7は実銃のスクイーズコッキングメカとかガスオペレーションディレイドブローバックとかのこの銃独特のメカを忠実に再現していたわけではないけど、それらしい雰囲気には再現していたのでそこがポイントが高かった。





MGCのP7M13のプロフィール
実銃はスチールフレームのストライカー方式でフレームは
ステッピングされたザラザラのパーカライジング
スライドはブルーイングというツートーンが面白い銃だった




そして大胆に細いスライドが後退するフォルムも面白い銃だった
何よりも目立つグリップの前にあるスクイーズコッカーというグリップレバーが
単なるグリップセーフティではなくスライドリリースメカとしても再現されている




本体とマガジン
フルサイズのマガジンはスチールプレスの側の中に
タンクとBB弾ローダーが収まっている




そのマガジンだがプレスのスチールで背面で圧着溶接されている実銃の雰囲気を再現している
形も13発の9ミリパラベラム弾を互い違いにダブルカラムから
シングルフィードに絞り込む独特のスタイルを再現している




実銃のヘッケラーアンドコック社のP7M13(上)とMGCのP7M13(下)
こうして見比べてみるとMGCのP7M13はグリップが前後方向に
太すぎとかよく言われるがそれほどでもないことがわかる
初めて握ったグリップは確かに「太い!」と感じるが実銃もかなり太い




スライド後端にはコッキングインジケーターブッシュが
再現されているが残念ながらMGCのそれはダミー
実銃はストライカーがコックされているときはここからストライカー後端が突き出す
ガスガンは構造上ストライカー方式を再現できないので仕方がない
グリップの後ろ側のシボというかステッピングの表現は本当に秀逸




前から見たフォルム
かなりP7の雰囲気が出ているが実銃はヘキサポリゴナルライフリング(六角形のライフリング)の
銃身の筈だがMGCのアウターバレルは普通のエンフィールドタイプのライフリングになっている
プラのペカペカのバレルなのでここが今後手の入れどころだと思う




エジェクションポートはちゃんとスチール板でチェンバーの表現があって
彫りの深いエキストラクターのモールドと合わせてここはグッとくる
こういうところがさすがモデルガンメーカーでオモチャ屋さんから
参入したエアガン専門メーカーにはなかなかない味わいだと思う




スライド後端の下側からはガスシリンダーの後端が見える




MGCのP7M13はホールドオープンしたスライドのリリースを
スクイーズコッカーでする機能が再現されている
ホールドオープンしたらコッカーを握り込んでスライドをリリース
これは結構病みつきになる




スライド左にはオベンドルフのH&K本社の刻印と「西ドイツ製」という刻印が時代
ベルリンの壁崩壊以前に生産されたモデルを再現している
このグリップアングルは110度でH&K社はこの110度が
人間のグリッピングに理想的な角度だと主張している
マガジンの角度はもっと浅いがこの角度を出すためにグリップの前後幅が長くなった




実銃のP7は1976年に警察向け拳銃として開発され2008年まで生産されていた
変わり種でマニアックな銃と思われているが実銃は意外に息が長い銃だった
他のどの銃にも似ていない独特のスタイルとメカを持っている




MGCのP7の分解法
MGC製品は実銃とはかなり違う分解法の製品が多い
P7もテークダウンボタンはダミーで実際はリアサイトのスクリューから始める




スクリューを抜くとリアサイトがアリ溝沿いに抜ける
するとスライドが ブリーチから外れて上に抜ける




スライドはリコイルスプリングとリコイルスプリングガイドだけが付いているただの
カバーのような部品になっているのはこの時代の2ウエイブローバックの標準
ただこのリコイルスプリングガイドが実銃のディレイドブローバックピストンと
同じレイアウトでスライドにぶら下がっているのが鉄男にはグッとくるところ




実銃のP7M13のフィールドストリッピング(上)とMGC P7M13のフィールドストリッピング(下)
実銃ではリコイルスプリングはバレルに巻き付けるようにレイアウトされているが
MGCはバレルの下にリコイルスプリングを持ってきてコルト32オートと逆のアレンジ
なぜこうしたのかは不明だがスライドの肉厚を確保したかったのかもしれない
そのおかげでスライド前端が割れ易くなってしまったのは痛し痒し
実銃はバレルの下はピストンがぶら下がりレシーバー側のシリンダーに入って
ここで発射ガスを一部受けてスライドのブローバックにブレーキをかける仕組み




実銃のガスディレイドブローバックの仕組み図(Wikipediaより)
1)左上発射前、チェンバーに穴が空いていてガスが
バレル下のシリンダーに誘導される仕組みになっている
2)右上発射直後、弾頭がこの穴を通過するとガスがシリンダーに入る
3)左下弾頭が銃口を通過する前、ガス圧が高いためにスライドの後退にブレーキがかかっている
4)右下弾頭が銃口を通過、シリンダー内、チェンバー内のガス圧が下がり
スライドは慣性で後退し始め排莢、装填の動作に入る




マガジンがカラになったらこのスライドキャッチが
ブリーチを止めてスライドはホールドオープンになる




スクイーズコッカーの仕組み(MGC製品は部品の噛み合わせの
調整が微妙なのでここから以降の分解は自己責任で)
スクイーズコッカーを握りこむとスライドリリースを押し上げこれが
スライドキャッチを下に引き下げる仕組み
この仕組みは実銃もほぼ同じでここは忠実に再現されている




入手した個体はなぜかこのスライドキャッチがマガジンフォロワーの突起に
1ミリほど届いていないためにスライドストップがかからない状態だった
ここに積層ABSを瞬間で接着してスライドストップがかかるように補修した
デフォではこの部品には何かキャップか何かが噛ませてあるのだろうか?
元を知らないのでなんでこうなったかよくわからない




トリガーとスクイーズコッカーのメカ
スクイーズコッカーを握り込んでいないとコッカーの上端がトリガーをロックしている
トリガーはトリガーバーを通じてハンマーに連携していてトリガーバーはスライドに
固定されるブリーチのディスコネクターでハンマーとの連携を切られる





スクイーズコッカーを握り込んでトリガーを引くとトリガーバーが前に引かれる




BB弾が発射されてブローバックが起きるとディスコネクターがトリガーバーを下に押し下げる
トリガーバーとハンマーの連携がこの時切れる




スクイーズコッカーを引かずにトリガーを引こうとしてもこのようにロックされている




スクイーズコッカーを引くとロックが外れる
MGCガスガンのスクイーズコッカーはコッカーではなく単なるグリップセーフティだが
実銃はこのコッカーを握り込んでいる時だけストライカーがコックされ撃発が可能になる
コッカーがストライカーを人力で引き起こすと発射が可能になる仕組みでストライカーが
コックされたまま持ち歩いて暴発を招くストライカー方式の安全性の弱点をカバーするメカだった




MGCのハンマーメカニズム
先のトリガーバーはこのハンマー(ノッカー)に連携して前に引き起こす仕組みになっている




実はこれはハンマーではなくハンマーとは逆に後ろ向きに
スプリングテンションがかかっているノッカーで引き金を引く指の力が
一定以上になるとロックが外れてマガジンのバルブを指の力で押す仕組み
バネの力ではなく指の力でバルブを解放するという発想がユニークで
グロックのシアシステムに相通じる発想が面白い
MGCの設計者がグロックのメカを参考にしたか、スクイーズコッカーを通じて
人力でストライカーを引き起こすメカを参考にしたか知らないが
実銃にはないハンマーメカだけども面白い発想だと思う




スライド左後端にはテイクダウンボタンがあり実銃ではここを押すと
スライドが外れてフィールドストリッピングができるのだがその意味ではこれはダミー
その代わりのこのボタンはASGKで規定されたエアガンのセーフティになっている




このボタンを時計回りに回転させて切り欠きが下に
来るように回すとトリガーがロックされて発射できなくなる
これは日本のエアソフトガン協会の「エアガンは手動セーフティを
装備していないといけない」という規約をクリアするためのMGCガスガン独自のメカ




P7M13はデカイと言われることが多いが9ミリ多弾数の
同クラスの中では小型のP99と並べると意外にも大きさはさほど変わらない




銃身が同じように短いからだけどグリップもスクイーズコッカーを
握りこむと実はベレッタのM92あたりとさほど変わらない
それでもデカイと言われるのはやはりスクイーズコッカーが
前に突き出しているイメージからだと思う




(上)ケビン・コスナー、ホイットニー・ヒューストン主演の「ボディガード」のワンシーン
これでFNブローニング・ハイパワーと並べてボディガードごっこができるようになったw
P7M13は独特なスクイーズコッカーが慣れないと扱いにくいというレビューが多いが
玄人うけするところもあってこの映画でも玄人好みのハイパワーとP7という選択が
「主人公はプロですよ」という演出になっていた




「ダイハード」
のワンシーン
P7M13が登場した映画で一番印象に残っているのはこれかな
スネイプ教授若かりし頃はサイコなテロリストの役もやってたんだねと今観てシミジミ
その手にしているのはシルバーに輝くP7M13
にしてもこのアラン・リックマンこの当時と比べると人相が変わったなぁ




アラン・リックマンが手にしているのはP7M13のステンレスモデル
この銃はドイツだけでなく南米などでもライセンス生産されているのでドイツ製かどうかまではわからない
ユニークなスタイルを持つP7だから悪役のキャラが立ちやすかったという選択なのかもしれない




(上)実銃のP7M13と(下) MGCのP7M13
実銃は写真にも少し写り込んでいるHKロゴ入りのプラの箱入りで
販売されたがMGCもこれを再現したプラケース入りだった
下のMGC P7はMGCのホルスターとツーショット



2019年9月9日
















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青木さやか