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H&KのP8〜7の次は8でしょ
だからタナカのHK P8を入手〜メカと外観をチェック

P8

H&KのP8〜7の次は8でしょ、だからタナカのHK P8を入手〜メカと外観をチェック

H&KのP8は現用ドイツ軍の制式拳銃だ。

ドイツ軍の制式拳銃は戦時中はワルサーP38を基本に、将校用にワルサーPPK、将軍のプレミア拳銃でルガーP08が支給され、他にモーゼルHSc、FNブローニング・ハイパワーなど種々雑多なモデルが混用された。

いろいろな銃が混在すると困るのは弾薬などの支給が煩雑になることだ。

PPKは380ACP弾を使用するし、ルガーP08とワルサーP38は9mmルガー弾を使用する。

PPK使用者に9mmルガー弾を渡されても装填することもできない。


戦後ドイツ軍は日本軍と違って完全に解体されたわけではなくブンデスベーア(西ドイツ連邦軍)としてすぐに再編された。

いうまでもなく東西冷戦のためにすぐにソ連を中心としたワルシャワ条約機構に編入された東ドイツ軍に対抗するためで、一度国軍を完全解体されて軍備そのものを憲法で否定された状態で「警察予備隊」という意味不明な名称で自衛隊を設立した日本とかなり事情が違う。

東ドイツ軍や東ドイツ秘密警察ではPPKやモーゼルなども使用されたようだが、戦後西ドイツ軍は制式拳銃をワルサーP38を再採用したP1に統一した。

P1は名前が違うだけでワルサーP38の戦後モデルと全く同一だ。

西ドイツ軍の再編に当たって旧ドイツ軍の軍装の混乱に対して反省があったらしい。
西ドイツ軍は小銃はG3、拳銃はP1と統一を徹底していた。


ただP38は1930年代の設計なのでさすがに1970年代になると旧式化が否めなくなってきた。

ダブルアクションのトリガーメカとかファイアリングピンをブロックするセーフティとか先進的な部分はあったが、装弾数が8発というのもウィークポイントになった。

特に1970代以降、ミュンヘンオリンピックでのテロ事件など軍や特殊部隊の即応性が求められる事件がドイツで発生して、拳銃は単に将校の腰の飾りではなく制圧兵器としての実用性が求められるようになってきた。

しかし西ドイツ軍は結局1995年までワルサーP38そっくりのP1を制式拳銃として使用し続けた。

その間手をこまねいていたわけではない。
P2〜P7までが欠番になっているのは気まぐれではなく、その間に仮採用したP2、P3、P4……という銃が存在したが本採用まで至らなかった。

この時期の中間モデルにワルサーP38をショートバレル化してスライドをフルカバーにしたワルサーP5とかSIGのP6、H&KのP7などがトライアルに供出されたが、結局本採用には至らず1995年にもう老朽化したP38が限界にきた時点でやっとH&KのUSPの軍仕様タイプのP8に全面更新されることになった。


開発側のH&Kにも事情がある。

H&Kはナチスドイツの国民拳銃のVP70のアイデアをポリマーフレームで実現したが、残念ながらこのVP70はセールス的にも技術的にも大失敗だった。

失敗はしたが、ストライカー方式の可能性に気づいていたHK社は、この方式を実用的に改良したP7を開発した。

前回まで何度も取り上げたH&K P7のことだ。

H&K P7の評価は「玄人好み」で、銃器を扱い慣れたプロには好評だったが、それ以外の一般ユーザには
「スクイーズコッカーが扱いにくい」
と不評だった。

問題は銃器のメインコンシューマーの警察官や軍関係者の大部分が銃の玄人ではなく、実際には素人だということだった。

警察官や軍関係者がみんな銃のプロというわけではない。
むしろ大部分の警察官や軍勤務者は、それほど銃に詳しいわけではないし軍関係者に至っては年間に数十発程度しか拳銃の訓練はしないのでほぼ全員拳銃の素人と見て間違いない。

アメリカ映画を見ているとアメリカの警察官はみんな毎日銃撃戦をしているように見えるが、実際にはアメリカですら大部分の警察官は一発も発砲しないまま定年退職を迎えるのだそうだ。

ましてや軍では拳銃については特殊部隊以外の普通科の部隊ではほぼ訓練することもないので、軍関係者といえども大部分は拳銃の素人だということだ。

そういう人たちにいくら玄人好みとはいえ、P7の扱いは難しすぎた。


そうしたP7の反省からUSPという拳銃が開発された。

USPはユニバーサル・セルフローディング・ピストルの略で「汎用自動拳銃」とでも訳すのか、P7とは真逆の「誰でも扱える」コンベンショナルなピストルとして開発された。


VP70では失敗したもののオーストリアのグロックがあっさり成功させてしまったポリマーフレームを採用したが、先進的な部分はここだけで、ブローニングタイプのショートリコイル、SIGタイプのエジェクションポートのロッキングラグ、ワルサー式のダブルアクション、ハンマー方式、AFPBSとレバー式マニュアルセーフティの組み合わせと、他の拳銃で成功した無難な方法を組み合わせて手堅くまとめた拳銃となった。

このUSPをさらにドイツ連邦軍向けの仕様に改良したのがP8。

変更点はセーフティ位置が上で激発可能、下が安全、さらにその下がハンマーデコッキングとUSPとは逆になったことと、銃身のライフリングがP7、USPのポリゴナルライフリングから溝を切ったエンフィールドライフリングに変更されたことぐらい。

要はさらに保守的になったということだ。





(上)H&K社の実銃P8と(下)タナカワークスのP8
実銃はスライドが高張力鋼でフレームがポリマーという材質で作られており
タナカのP8はヘビーウエイトではないがそのニュアンスをよく表現している
外観上はなかなかよくできたP8モデルだと思う




そのタナカのP8、今回入手したのはモデルガンではなくガスブローバック
ガスブロなんだけどエキストラクターが金属別部品で構成されていたり
見た目は結構リアルなモデルガンクオリティ




フレーム左のレバーは前がスライドリリースレバーで後ろがセーフティレバー
コッカーでスライドリリースさせたりセーフティレバーを省略した先進的設計のP7に比べて
とてもオーソドックスなレイアウトでテッポ好きなら使用法を説明する必要もないくらい




今回はドイツ連邦軍制式拳銃ということでフレクターンの背景を遠慮なく使用することができる
実は軍モノはこれしか持っていないので他の銃器で背景がこれというのは自分でも変だと思っていた
今回は胸を張って言える…P8と組み合わせる背景はこれしかない












P8のマズルはP7と同じくスライドツライチのフラットなタイプ
そしてライフリングはP7と違いエンフィールドタイプのグルーブライフリング




(上)H&K実銃のP8と(下)タナカワークスのP8ガスガン
プロポーションはとてもよく捉えていると思う




タナカワークスのP8スライド左側の刻印
HK P8の刻印と使用弾の9mmパラベラム弾を示す9mm×19の刻印
その下にはニトロマーク、プルーフマークなどが並ぶ




フレーム下にはタナカの刻印と「マニュアルを嫁!」の刻印が
あるがこのマニュアル刻印は民間モデルのUSPにしかないはず
最近のタナカモデルガン復刻版ではここらは改修されているらしい




マガジンボトムにP8の刻印があるのは旧タイプのマグナマガジンらしい
マグナブローバック方式のマガジンは基本的に経年変化でガス漏れするのがデフォ
このマガジンは今のところ問題ないがいつまでもつか…




本家のH&Kのホームページには「ブローニングタイプの
ショートリコイル」と発案者に敬意を表して堂々と明記している
エジェクションポートのロッキングも実際に噛んで固定しているリアルさだが
バレルやスライドの上にインジェクションの割型のパーティングラインが
しっかり残っているがこれは近日中に修正する予定




バレルにもバッチリパーティングライン
これはP7で成功したアルミアウターバレル化の施工をすることを考えている




P8のバレルはスライド後退位置でしっかり上を向いている
MGCのP7は固定バレルであるにもかかわらず上を向いていたのは
BB弾発射とブローバックが同時に起きる旧システムだったからだが
P8は実銃もスライド後退時バレルが上を向いているのでこれはリアル




P8のUSPと違う最大の特徴はセーフティポジション
これは発射可能なセーフティ位置




USPと逆でセーフティを下げるとシアをロックして安全位置になる




セーフティレバーをさらに下げるとハンマーを安全にデコックできる




デコックした後のセーフティは安全位置で止まる
この状態ではトリガーは引けないしファイアリングピンはAFPBSでロックされているので安全
ガスガンも同様のセーフティが効いているので安全性は高いが
デコックした途端に逆襲を受けた時に即応できるポジションではないので
コンバットガンとしては実用性が疑問視されているところだ




(上)ワルサーP38と(下)P8
P8のセーフティがアメリカ市場を意識したUSPと逆になったのは
1995年までドイツ連邦軍がP1としてワルサーを使用していたことと関係がある




ドイツ兵はセーフティが上で発火位置、下で安全位置というワルサーP38に慣れているため
混乱を防ぐためにP8のセーフティポジションをこれに合わせたということらしい
逆にUSPはアメリカ市場向けに上が安全位置、下が発火位置としたのはM1911に合わせたということらしい




P8の分解はスライドキャッチレバーの根元にスライドの切り欠きを合わせるところから始まる




フレーム反対側のスライドキャッチレバーシャフトを押すとこれが抜ける




スライドグループがフレームから抜けてフィールドストリッピングが完了
極めてシンプルだしガバなどのオートを扱ったことがあるなら迷わない




スライド右側には「マグナブローバックのライセンス承認」の刻印がある
タナカはウエスタンアームズと契約してマグナブローバックを採用している




マガジンにはマグナブローバックの特徴のバルブロックがある




P8ガスガンのメカはハンマー方式ということもあって
ファイアリングピンの位置以外は結構実銃のメカに近いリアルなメカになっている
シアの左側にはデコッキングレバーガイドが見える




セーフティが安全位置に入った状態
シアはロックされている




デコック位置に下げられるとシアが外れてハンマーが落ちるが
バルブノッカー(実銃の場合はファイアリングピン)は
ブロックされているので激発は起こらない




ガスガンなのでファイアリングピンにあたるバルブノッカーはフレーム側にある
トリガーを引ききった時以外はバルブノッカーはブロックされている




トリガーを引ききった時だけバルブノッカーはフリーになるので
落ちてきたハンマーの慣性でマガジンのバルブを叩く




トリガーバーはフレームの右側内側を通っておりその上にディスコネクターの
突起があるスタイルはワルサー方式のダブルアクションそっくり




ハンマーが落ちて激発が起きるとディスコネクターが
スライドに押されてトリガーバーが下に下がる




するとトリガーバーとシアの接続が切れてスライドに
コックされたハンマーはシアに噛んでコック位置で止まる




トリガーを離すとトリガーバーは後退して上昇しシアとかみ合い
再びトリガーを引くとハンマーが落とせる状態になる




スライド組み込みの注意点はリコイルスプリングのガイドを
しっかりバレルと組み合わせてスライドに入れること
これがちゃんと噛み合っていないとうまく入らないし無理に入れると破損する




(上)1980年代末期にオーストリアで開発されたグロックG17と(下)1993年にロールアウトしたH&KのP8
唯我独尊で独自先進メカを盛り込んだP7と違いP8は他の銃のいいところばかりを組み合わせて設計された
グロックから参考にしたのはやはりポリマーフレームの有用性だろう
ポリマーは汗をかいた素手で握っても錆びないのが最大のメリット




(上)P8と(下)ワルサーP99




P8とP99はトリガーガード周りのデザインがそっくりだが
これはワルサーが軍採用を目論んでHKのP8を参考にしたということらしい




P99はさらにエジェクションポートの周りのデザインもかなりP8を参考にしている
連邦軍制式採用をとるためになりふり構わぬということなのかもしれないが
あのワルサーにしてこれというのは面白いというか…




ただワルサーP99にはP8・USPにはないメリットがある
P8が諦めたストライカー方式を採用しているため銃が全体的にコンパクトだということだ
P99に少し固定ファンがいるのはこういうことかもしれない




ところでタナカのP8はフレームにパーティングラインや成形型の湯口がはっきり残っている
これも実銃通りということだろうからリアルということなんだと思う












HKのポリマーフレームはグロックと違ってグリップのグルーブを全部割型にしている
そのおかげでダイヤモンドチェッカーが心地よいが生産の簡単さはグロックの方が上かもしれない
















ブローバックも小気味良くバシッとくるのでBB弾の弾詰まりがあること以外は作動はバッチリだ
弾詰まりはマガジンのリップの形が変なのでこれも近日中に調整する予定
うまくいったらP7で半分失中、行方不明弾になったマト撃ちの再チャレンジしたい


次回はこれの調整編に進むかもしれないし、全然別のことを書き始めるかもしれない。

ところでこのH&K社の名称だが正式には
Heckler & Koch GmbH
ドイツ語式の読みなら「ヘッケラー ウント コッホ ゲーエムベーハー」となる。

ブログなんかで
「ヘッケラーアンドコックは間違いでヘッケラーアンドコッホと表記しないといけない」
とか書いている人を見かけるが、それは逆におかしい。
「シュタインズゲート」と同じでドイツ語読みと英語読みが混ざっている。

アメリカのディーラーは今でも「ヘッケラーアンドコック」と発音しているはずだ。
ドイツ語読みにこだわるなら「ヘッケラー ウント コッホ」と書かないとおかしい。

ドイツ語読みにこだわるなら、ルガーは「ルーガー」と書かないとおかしいし、ワルサーは「ヴァルター」と書かないとおかしい。

ヘッケラーアンドコックで普及しているならそれで問題ないと思う。

ちょっと余談。




2019年10月9日
















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