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タナカのColt ディテクティブスペシャル
〜固着していたトリガーを動くように調整〜外観もブラッシュアップ

detect Detective

タナカのColt ディテクティブスペシャル〜固着していたトリガーを動くように調整〜外観もブラッシュアップ

前回入手したタナカワークスのコルト・ディテクティブ スペシャルのトリガーが動かない。

これはこのモデルの持病のようなものらしい。

いろいろ情報は仕込んでいたので予想はしていたが、予想どおりの展開になった。

ウエスタンアームズのセキュリティシックスなんかはエジェクターロッドの亜鉛合金のシャフトが酸化して膨らんで動かなかくなるという金属部品の自然崩壊が原因だったが、タナカワークスのディテクティブはもともとボルト(シリンダーストップはS&Wの用語でコルトはボルトという)の形状に問題があるようだ。

それでバラしてみたところ、なんと無垢の状態でトラブルを起こしていたわけではなく調整済みの個体なのにトラブっていることが判明。

前回も書いた通り、元箱の蓋にキャロムショットのシールが貼ってあってどうやらキャロムさんのスチールブルーカスタムのようだ。

このカスタムは単なる塗装カスタムではなく、ちゃんとこの持病の対策をしているがそれでも問題を起こしたということらしい。

これは厄介なことになった。





トリガーが引けなくなる原因はボルトが下がるタイミングの問題
シリンダーハンドが上がり始める前にボルトが下がらないといけないのに
下がりきるのはシリンダーハンドが半分動いたタイミングだ
先にボルトが下がりきらないとシリンダーがロックしてトリガーが引けない




それで早速メカを調整すべく分解してみた
さすがはタナカ、コルトのダブルアクションリボルバーの
メカをかなり正確に再現している




ボルトという部品はこれ
トリガーを引くと右のリバウンドバーが上に押し上げられて
リバウントレバーの切り欠きの奥にあるボルトカムがボルトの右端を持ち上げる
するとシーソーの原理でシリンダーを固定しているボルトの左端が下に下がる
このボルトが押し下げられるタイミングが問題だ




このボルトのシリンダー固定の突起の根元を削るのが知られた調整法なんだが
開けてびっくり、すでにここには削られた跡が残っている




このボルトのボルトカムと引っかかる突起の根元を削る・回転軸の先側、赤で囲んだ部分を 削るのも
タナカディテクティブの調整法なんだけどさすがキャロムショットさん抜かりなく手を入れている




結局キャロムさんもやることはやっていたけどそれでもトリガーが固着していたということだ
厄介なことになったがやはりタイミングの問題なのは変わりないので
おそらく薄皮一枚分だけ削り方が足りなかったんだろうと信じて
少し削っては組み込んで動きを見ながら削ることにした




こうして削ったボルトの最終形
シリンダー側は根元をやはり薄皮一枚分削った
さらにシリンダーのくぼみにはまる突起の削り方が実銃の逆だったので左側が下がるように削り直し
突起も面取りをして表面をピカピカに磨いてシリンダーに傷がつかないようにした




ボルトカムの当たる突起の根元はレバーの上側の面とツライチになるまで削った
これでシリンダーハンドが上がる前にボルトが下がるというタイミングが実現できるはず




ポリスポジティブから受け継いだコルト独自メカのポジティブセーフティ回転レバー
トリガーを引くとレバーが回転して上のハンマーブロックを下に引き下げる
するとファイアリングピンがプライマーにコンタクトできるようになり
その下のシリンダーラッチをロックする
回転レバー左側の穴にトリガーの突起が入る




調子を見るために何度も組立分解を繰り返したので
すっかりコルトの分解を習得してしまった
いくつか注意点があって例えばこのポジティブセーフティの
回転レバーの穴にトリガーの突起をしっかり入れないといけない
これが入っていないとトリガーが全く動かない




メインスプリングの入れ方は先にステイにスプリングを入れてドライバーで
スプリングを曲げておきハンマーストラップを回転させてスプリングに引っ掛ける
これもコツがわかれば簡単にできるがわかるまでは汗一斗かく




他にシリンダーラッチの突起をリコイルシールドの穴に
しっかり入れてから蓋を閉めるとかいろいろはまりポイントはある
一通り調整できたのでシリコングリースをたっぷり奢ってやることにした




組立途中で最終確認
シリンダーハンドが動く前にボルトが下がるというタイミングが重要




シリンダーを入れて動作確認




シリンダー固定ネジはバネを加えてベアリングで
クレーン(S&Wでいうところのヨーク)シャフトを抑える
実銃はベアリングではなくプラグのような形の部品だが…




このアッセンブリーを組み込んでクレーンシャフトスクリューを締める
このバネが結構硬いのでシリンダーはゆっくり出入りするが
映画みたいにシャキッとかいって片手でシリンダーを閉じるアクションが
やりたい人はこのバネを抜くのも手かも…
破損の可能性があるのでオススメはしないが…




ダブルアクションの動作確認
ちゃんと回転するしシリンダーが回りきる瞬間にハンマーが
落ちるコルト的なタイミングも再現されている




シングルアクションの動作確認
シングルアクションの場合はハンマーがトリガーを引っ張るが
シリンダーハンドはトリガーが、ボルトはリバウンドバーが動作させるので
ハンマーを一番後ろまで引き切らないとシリンダーが固定されない
これはコルトメカの癖というべきなのかもしれない




キャロムのスチールブルーの塗装面がもっさりしていたので
全体的にピカールとウエス、スポンジなどで磨きをかけた
その上で以前チーフの塗装で成果があった「こすって銀SAN」をかけて
エッジやシリンダー傷などのブルーイングが剥げかけている雰囲気を表現してみた




前回サイズが合うことを確認したKフレーム用のグリップアダプターもつけてみた




こすって銀SANをかけたのは艶出しのためというよりも
スチールブルー塗装のラメ感を消すために金属感を出すのが目的だった




シリンダーの映り込みの感じ




ストックバット、トリガーガード、リコイルシールドなどの輝きを出した




実銃のディテクティブスペシャル2ndジェネレーションは戦後から1972年まで製造された
そんな時期に製造された銃がコレクターコンディションでもない限り
ブルーイングが剥げていない方が不自然だ
グリップ根元の手が当たる部分にこすって銀SANでブルーイングが薄くなった雰囲気を表現




フレーム上部のサイトの後端にもブルーイングが剥げた表現をかけてみた




こすって銀SANをかけるとそれまでは気がつかなかった塗装面の傷も目立ってきた
思ったよりも傷があるのがちょっと困ったがこれも味のうちと割り切ることにした




ラメ銀の不自然な光り方よりもスチールっぽくなったと思う








リファレンス用の写真を撮りなおした
(上)がColt Detective Specialの実銃
(下)が今回仕上げに手を入れたタナカワークスのディテクティブスペシャル




(上)実銃のColt Detective Specialと(下)タナカワークス ディテクティブスペシャル
磨きを入れたので実銃のテカリに近づいたと思う
不自然な青さも抑えられたと思う












フレーム、シリンダーのブルーイングがはがれかけた雰囲気




トリガーガードとトリガーのポリッシュの感じ




フレーム下側とトリガーガードの光




このバレル、クレーン、シリンダーの光り方がリボルバーの魅力だと思う
何丁目だろうが新たなリボルバーの美しさはいつも新鮮だ



















ちゃんと動くようになると、ジャンクからお気に入りに昇格した。

ましてやこのタナカワークスのディテクティブスペシャルは、何年も恋い焦がれながらなかなか手に入れられなかった。

トリガーは動くようになったが、さらに予想された通りボルトのタイミングを調整するとトリガーの戻りが少し悪くなってきた。

トリガーの戻りがワンテンポ遅れる。

これはしばらくアタリが取れるまで待つことにした。
取れなければボルトカムのボルトに当たっている部分のスロープを少し丸めることで解決できると思う。


コルトのメカの調整はなかなか難しいが、これは実銃もそうらしい。

アメリカのガンショップのなかにはコルトのリボルバーのメカの調整を専門にしているガンスミスもいるそうだ。

コルトのメカを調子よく動くように調整するのは、実銃でもそれなりのスキルが必要らしい。

モデルガンの調整が難しいのも、むしろリアルといえるのかもしれない。




2019年10月28日
















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