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映画に登場するプロップガン〜ものすごくポピュラーな
ディテクティブスペシャルだけどあえて選べば…リボルバーの見分け方

Detective Movies

映画に登場するプロップガン〜ものすごくポピュラーなディテクティブスペシャルだけどあえて選べば…リボルバーの見分け方

テッポの趣味と映画好きは密接に関連している。
というより映画が好きだからテッポも好きになったといっても過言ではない。

好きなテッポにはすぐに思い浮かぶ映画のシーンがある。

逆にあの映画にはあのテッポが使われていたという印象に残るシーンがある。

例えばダーティハリーの一作目ではS&WのM29 6.75インチモデルが「44マグナム」として人気を博したが、個人的にはあの映画で犯人役の「スコーピオン」が使用したワルサーP38コマーシャルモデルや二式テラ銃スポーターの方が印象に残っている。

ことほどさようにちょっとへそ曲がりというか、誰でも思い浮かぶ方じゃない方のテッポが気になる性格。


先日から遊んでいるColt Detective Specialも登場する映画は山ほどあるんだけど、個人的に印象に残っているのは以下の映画。

ジャッキー・ブラウン

巨匠というか怪匠と個人的には思っているクエンティン・タランティーノの快作。

クエンティン・タランティーノは癖があるというか灰汁が強すぎて、音楽のセンスも際どいので好きになりきれない部分もある映画監督なんだけど、キルビル1とこのジャッキー・ブラウンはあまり気にならずに楽しめる作品。

物語は空港で手荷物検査がない特権を利用して長年密売資金の運び屋をしていたキャビンアテンダントが、ATF捜査官(アルコール・タバコ・銃器捜査局というアメリカ独特の密売組織専門警察組織)にばれてしまったのを一発逆転で密売屋の組織の壊滅に協力するが、その組織も警察側もあっちもこっちも不手際に裏切りにドタバタ話が想定外の方向に行くというアクションドラマ。

タランティーノ作品の常であいつをこいつが裏切って、こいつを別のそいつが裏切ってと話がどんどんドンデン返りしていく。

それでもタランティーノ監督はハリウッドでは尊敬を集めているみたいで、出演はサムエル・L・ジャクソン、ロバート・デ・ニーロ、マイケル・キートン、ブリジット・フォンダ、ロバート・フォスターとか錚々たる顔ぶれ。

聞くところによると「タランティーノ作品に出演できるのならノーギャラでも構わない」とまでいうハリウッドスターもいるらしい。

ジュード・ロウが「ノーギャラでもいいから北野作品に出たい」と言ったそうだが、タランティーノ監督も北野武的な尊敬を集めているみたい。


出だしのシーンで銃の密売屋を演じるサムエル・L・ジャクソンがロバート・デ・ニーロに「Chics of Guns」とかいうビキニのお姉ちゃんがマシンガンや銃をやたらぶっ放すビデオ(このビデオもAmerican Gun Chicそのままのビキニのお姉さんが銃の解説をしながら重機関銃やマグナムを撃ちまくるという内容で笑う)を見せながら
「このAUGは最高の銃だが、知名度がないのに高価なのでちっとも売れやしねぇ」
「KG9なんて安物の銃だが、200ドルで仕入れて1000ドルで売ってもチンピラどもが喜んで買う」
「45口径(ガバメント)なんて弾詰まりするから9mmにしとけと言っても黒人なんて人の話を聞いちゃいねぇ」
「AK47こいつは最高の銃だ。まとめてぶっ潰したい時にはこの銃に限る。こいつは中国製だがな」
(多分ビデオに映っているのは中国製の五四式銃槍)
なんて調子で銃器マニアらしい話題をまくしたてるのが、またテッポマニアと思われるタランティーノらしい。


この映画でディテクティブスペシャルが重要なプロップとして登場する。





密輸の資金運搬がばれたスチュワーデスと50万ドルを取り返そうとする密売屋、
密売屋を検挙しようとするATF捜査官、スチュワーデスの引受人になった保釈屋…
三つどもえ、四つどもえの組んず解れつでごちゃごちゃに進行するストーリー
ジャッキー・ブラウンを助ける保釈屋のロバート・フォスターの使用銃がこれ




派手な発砲シーンはないが印象的に使われているコルト・ディテクティブ
ジャッキーがこの銃を無断拝借したことから保釈屋と
ジャッキーのつかず離れずの微妙な距離感の関係が始まる
タランティーノ作品は一般には「暴力的」と思われているが
実際は殺害シーンはロングで撮ったり殺害シーンそのものを見せないなど
北野作品に通じる美学のようなものは感じる



L.A.コンフィデンシャル

太陽が降り注ぎ土地は安く、華やかで楽園のようなL.A.

しかしそのLAにも暗黒街はあり、汚職がある…そのLAの秘密をあなたにだけこっそり教えます…という語り出しの三流タブロイド紙「HUSHHUSH(ひそひそ話)」のすっぱ抜きという形で警察組織の大掛かりな汚職を描く。

ことの発端はクリスマスの晩、警察署の地下留置場で起きた暴力事件から退職に追い込まれた元刑事がとあるカフェでの惨殺事件に巻き込まれて死んだ事件から。

最初は何でもない暴力事件かギャングの抗争事件かと思われたが、ことは意外な方向に広がっていくという筋立て。

ラッセル・クロウ、ケビン・スペイシー、キム・ベイジンガーらの共演が話題になった。





留置場での暴力事件で仲間の刑事を売る証言を拒否した
ラッセル・クロウに刑事部長がこっそり銃とバッヂを返すシーン




このシーンでラッセル・クロウの使用銃がコルトディテクティブと判明する




出世のために仲間を売った若手刑事と仲間を売ることを拒否したベテラン刑事
これに彼にバッジを返して応援した温情上司の刑事部長を軸に複雑に話が展開する
そのシンボルがこのディテクティブスペシャルという巧みな物語展開
事の発端がカフェの客も従業員も皆殺しにした惨殺事件というのも
往年の名作の「笑う警官」を連想させてミステリー好きの映画ファンにはたまらない




コルトの拳銃はエジェクターロッドの押さえがなく
銃身と離れて独立しているフォルムから遠目でも判別できる



ショーシャンクの空に

スティーブン・キングの原作をティム・ロビンス、モーガン・フリーマンら名優を配して映画化した作品。

この映画がキングの原作にどれくらい忠実なのかはよく知らないが、キングらしい宗教臭さみたいなものが全くないので、キューブリックの「シャイニング」のようにかなりアレンジがあるのかもしれない。

キング作品については原作に忠実なものより大胆にアレンジした作品に秀作が多いようだ。

ショーシャンク刑務所に収監された二人の囚人の脱獄譚とその後の二人の運命を描くが、そもそもティム・ロビンス演じる囚人がなぜ刑務所に送り込まれたのかという回想シーンでディテクティブが登場する。





警官の制服や銃器などから物語は1930年代のアメリカのようだ
この時代ならディテクティブは当然の選択肢だし
映画ではちゃんとオールドモデルを使用しているのが感心する




ティム・ロビンス演じる囚人は「妻殺し」の罪状で刑務所に送られてきた
本人は冤罪を主張しているがその回想シーンでディテクティブが登場する




コルトのメダリオンはグリップの根元近くについている
リコイルシールドも後ろに引くタイプなので独特の丸い形状
そして映画に登場したのは2インチのスナブノーズ




この銃に弾を込めて逡巡するシーンが再現されるが本人は罪を犯していないという
本当はどうだったのか…はこの映画のテーマとはあまり関係がないので曖昧にされている



フレンチ・コネクション

ディテクティブスペシャルとなると真っ先に思い浮かべないといけないのがこの作品。

以前コルト ローマンの解説で
「フレンチコネクションのジーン・ハックマンはローマンを使用している気がしたが調べたらディテクティブスペシャルだった」
というような事を書いてしまったが、ポスターやDVDのジャケット写真でもしっかりディテクティブスペシャルが映っているし。

こののぺっとした感じがS&Wのリボルバーやローマンなどのモダンなモデルと全然違う。


1970年代のニューヨーク・ブロンクスの町からヘロインが消えた。

近々大きな麻薬取引があるに違いないと踏んだブロンクス署の二人の麻薬課の刑事(ハックマン、シャイダーのコンビ)がタレ込み屋の情報からフランス人のコネクション(密輸ルート)を追い始めるというストーリー。

最初は噂レベルの小さな情報が発端だったが、追ってみるとヘロイン数十キロ、末端価格数千万ドルという史上最大の麻薬取引が計画されているという情報を掴む





ニューヨーク・ブロンクス署の刑事は皆ショルダーホルスターか
ハイライドのパンケーキホルスターにコルトのスナブノーズを挿している
ロイ・シャイダー以外の刑事は皆一様にデブだし
パンケーキホルスターならリボルバーも背広の下に容易に隠せるに違いない
伊達に毎晩ドーナッツを食っているわけではない…




ロイ・シャイダーが「ポパイ」を起こしに来て「可愛いパンティだな」という有名なシーン
ハックマン演じる「ポパイ」刑事はアンクレットホルスターを使う
足首に巻くベルトに固定する変わったホルスターだ
秘匿性は高いかもしれないが走りにくいだろうに…
ちゃんと走って犯人を追跡するシーンもある




「ポパイ」はアンクレットホルスターを靴下で隠して銃を携行している
「女とやるときに銃を持っていることに気づかれないために足につけてるんだろ」という
下品な会話もちゃんと出てくるが翻訳者がこれの訳に困ったような字幕をつけてる




これもこの後の刑事物のスタンダードになった地下鉄の追跡シーン
ニューヨークの地下鉄は市内中心部以外は実は地上のしかも高架で走っている
その上を走る地下鉄を高架の下から車で追跡するという名物シーンは
多くの映画で模倣された




ジーン・ハックマン演じるポパイ刑事はディテクティブスペシャル一丁で狙撃手も撃ち倒し
シンジケートの取引現場にも踏み込みハックマンらの捜査手法に批判的な同僚を誤射したり
大変な目にあうが結局フランス人は取り逃がしてしまう
しかし数十キロのヘロイン取引を未然に防ぐことには成功して
物語は「フレンチコネクション2」へとなだれ込む




S&Wとコルトのリボルバーを見分ける一番の特徴はS&Wのエジェクターロッドは
必ず先端がエジェクターロッドキャッチで固定されるがコルトのリボルバーは
エジェクターロッドキャッチが存在しないのでロッドはフリーだという点だ




これはS&Wとコルトのメカの構造の違いからきている
S&Wはサイドパネルが右側にあるのでシリンダーハンドもシリンダーシャフトの右側にある
このためシリンダーの回転は射手から見て反時計回りになる




コルトはサイドパネルは左側に開くのでシリンダーハンドも左にある
この構造なのでシリンダーは射手から見て時計回りに回転する
どちらもヨーク(クレーン)は左に開くのでコルトはクレーンを閉じる方向に
力がかかるがS&Wは開く方向に力がかかるので射撃中に勝手に開かないように
エジェクターロッドキャッチが追加された
メカが逆になったのはS&Wがコルトのダブルアクションの
特許を回避するためだという話も聞いた




シリンダー抜け止めのシリンダースタッドの形状も見分けるポイント
S&Wはスタッドボルトを打ち込んでいるがコルトは削りだしてフレームを盛り上げている
S&Wかコルトかの判別ができたら銃身長、シュラウドの
有無などの特徴ですぐに細かい型式も特定できる
「リボルバーはみんな同じ」なんかじゃない
結構ロングのスクリーンでもモデル名は特定できるものだ




刑事ドラマならディテクティブスペシャル、
制服警官のストーリーならポリスポジティブ
1960年代、70年代の映画ならこれは結構決まりものといえる
ある意味チーフスペシャルやミリポリよりもスクリーン露出は多いかもしれない
映画も挙げだしたらきりがないがとりあえず印象に残っている4本を挙げた



2019年10月29日
















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