Previous Topへ Next

錆びだらけだったMGC コルト32オートをリフレッシュした
〜基本錆びを落として磨いて動きを改善しただけだけどこれはGood!

32Auto

錆びだらけだったMGC コルト32オートをリフレッシュした〜基本錆びを落として磨いて動きを改善しただけだけどこれはGood!

MGCがコルトのオートマチックの原点、32オートを40年前にモデルガン化していたが、それを入手した話を前に書いた。

MGCというのはアクション重視・雰囲気重視のメーカーで、モデルガンとしては動きはいいがメカがリアルではないという特徴を持っていた。

その典型がこのコルト32オートことColt M1903 Hammerless、またの名を日活コルト…

実銃は設計者ジョン・ブローニングが一番脂がのりきっていた1890年代から1900年代に設計した一連の作品の一つで、のちの実用オートマチックの原型になった銃。

そのメカのレイアウトの大筋はジョン・ブローニングがこの1903や1911ガバメントで完成させ、そのレイアウトは100年以上経った現在の最新の米軍次期制式拳銃のSIG P320ピストルに至るまでそのまま引き継がれている。

その近代自動拳銃の源流になったコルトのM1903をMGCは結構リアルなプロポーションでモデル化していた。

メカは実銃に忠実ではなかったが、外観のデフォルメはMGC製品の中では少ない方だった。


そのMGCの32オートだが、入手したのはCAWなどのリメイク製品ではなくMGCのオリジナル製品でしかもこれはスチールのサブフレームが入ったMGCの最初の世代だった。

その分前のオーナーかその前のオーナーかが火薬を使用して、発火後の手入れも軽い水洗いだけだったみたいで中も外も錆び錆びだった。

スライドには大きな傷があったし、セーフティやスライドストップの掛かりは浅いし、エジェクションポートはシール欠品でカッコ悪いしいろいろ問題があった。

それらの修復をやりたいと前から思っていたが、やっと手をつけられた。





(上)実銃のColt M1903 32Automatic Colt Pistolと(下)MGCのコルト32オート
サビ落としと外観の修正をしたところここまで追い込んだ
もともとプロポーションはかなり実銃の雰囲気を持ったモデルだったので
気になるところをしっかり修正したらかなり実銃に近づく




まず気になっていたのはセーフティの掛かりが浅い、スライドストップがかからないという問題
これはスライドの切り欠きの形があっていない、切り欠きが小さいため
切り欠きをノミで削って掛かりを深くする




スライドストップは実銃はマガジンがカラになったらかかるはずだがMGCは手動のみ
それも掛からなかったので切り欠きを深くして手動でストップは掛けられるようにした




前のオーナーが発火させていたようで金属部品は概ね錆び付いていた
なので金属部品のほぼ全部をヤスってサビ落としをした




マズルブッシュも錆びていたので銀色になるまでヤスった




ヤスッた部品は金属磨きでピカピカになるまで
ブルーイングの下準備として磨き上げた
外観の仕上げの問題もあるけど内部部品の錆止めのためのブルーイングもある




MGCオリジナルではエジェクションポートのチェンバーには
銀色のシールを貼るように段差が付いてたがシールは欠品していた
そこに0.5mm厚のアルミ板にRをつけてジェリータイプの瞬間接着剤で貼り付けた
背景のパイプ面取り用のカッターに注目




MGCの銃口の造形はただのパイプのような雑な形状だったので
パイプ面取り用のカッターでクラウンを削りだした




発火後ろくな手入れをしていなかったようでマガジンやリコイルスプリングも錆び付いていた
マガジン、リコイルスプリング、メインスプリングハウジングなどをブルーイングをかけるために磨いた




スライドとフレームもピカピカに光るまで磨き上げた




スライドのセレーションにはどういうわけか深い傷が入っていた
ジャムったのをヤットコでクリアしようとしたのかどうしたのか傷の原因は分からないが
セレーションを目出しヤスリで削って傷を目立たなくした




フレームのトリガーガード周りの光り方
実銃はポリッシュブルー仕上げなのでやはり磨いて光沢を出さないとらちがあかない




錆び落としして磨き上げた金属部品をブルーイングした
ジンクパーツはバーチウッドのアルミニウムブラックでスチール部品はスーパーブルーで仕上げる
赤錆が浮いていたマガジンはおかげでかなり青くなった




大方の部品は錆びていたので錆止めのためのブルーイングだったが
せっかくなのでトリガー、グリップセーフティ、マズルブッシュはケースハードゥン仕上げにした
虹色に光っているのがわかりますか?




バレルはチェンバーに貼り付けたアルミ板に台所スポンジでヘアラインを入れてポリッシュ
モデルガンはさすがにバレルをアルミパイプ化するわけにもいかないので
ピカピカに磨いて「こすって銀SAN」でメッキ調に仕上げた




一通り部品の仕上げが完了したので組立を始める
組立時のほぼ唯一のはまりポイントはシアの組み込み
シアシャフトの位置合わせをドライバーを差し込みながら
シアを押して確認してシャフトを差し込む
シアシャフトは自然落下で抜けるので差し込んだら左を下にして作業するように意識する




錆び錆びだった内蔵ハンマーやサブフレームもサビ落としして磨いた
組立の時にたっぷりグリスとシリコンオイルをおごった




スライドホールドオープンのプロフィール




スライドホールドオープンの反対側プロフィール
バレルはメッキ塗料で仕上げている




マガジンはブルーになったが光の加減では概ね黒というスチールのブルーイング








トリガーは控えめだけど見る方向によって虹色に見えるケースハードゥン仕上げ




バックストックのグリップセーフティ(に実銃では
当たるメインスプリングカバー)もケースハードゥン仕上げに
スライド後部がフレームを噛み合って複雑なカーブになっているが
ここが一体になって光っているのもハンマーレスの特徴




ヌメッと光るブルーイングがコルトのビンテージ拳銃の特徴




そしてスライドストップもしっかりかかるようになった(手動だけど)




おかげでホールドオープンになったエジェクションポートに
カートリッジが見える様子も再現できた




そのエジェクションポートだがMGCオリジナルは銀色のシートシールを貼るために段差があった
これがカッコ悪かったのだが段差を削り落として0.5mm厚のアルミ板を貼り
これを磨いてスポンジでヘアラインを入れたのが下の現在の姿




銃口からエジェクションポートへの流れ
このデザインが今から116年前の設計だなんて信じられるか?
とてもモダンで破綻が少ないデザインだと思う




錆びて赤くなっていたマガジンは磨いてスーパーブルーをかけたので青い色になった












面取りカッターでクラウンを表現したマズルの雰囲気




そして錆び付いて白っぽくなっていたマズルブッシュを磨き上げて
アルミニウムブラックでブルーイング仕上げした
フレームに刺さったピン類もブルーイングしている




バックストックのケースハードゥン風の仕上げの虹色の光












スライドセレーションの傷も綺麗に消えたと思う















以前に分解した時にサブフレームがスチールパーツの初期バージョンだったことに感動したが、そうならなおのこと発火済みの赤錆が気になっていて、「このままだったらいずれ錆び付いて金属部品が崩壊するぞ」ということが気になっていた。

これまでに金属部品が酸化して崩壊したモデルガン、エアガンはWA製品しか見たことがない(しかも複数体験)が、金属部品の品質が著しく悪いWA製品を除けばやはり歴史があるMGC製品なんかはヤヴァイ。

なんとかせねばと思っていた32オートがやっとなんとかなった。




2019年11月17日
















Previous Topへ Next





site statistics