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ベレッタM93R〜機関拳銃という特殊な
メカを再現したKSCのガスブローバックの調整

M93R

ベレッタM93R〜機関拳銃という特殊なメカを再現したKSCのガスブローバックの調整

機関拳銃というちょっと特殊なジャンルがある。

機関銃というのは結構大きな銃で小銃と同じかそれより口径の大きな弾薬を使いフルオートで制圧射撃が可能な、分隊支援火器、または拠点防御火器のことをいう。

短機関銃は拳銃弾を使用するやや小さな個人兵装でフルオートで塹壕戦などで掩蔽壕掃射に使われる銃を指す。

この短機関銃(サブマシンガン)と機関拳銃の区別が微妙なのだが、機関拳銃はジャンル的には拳銃に属し、ただし拳銃でありながら緊急時にはサブマシンガンのような制圧射撃も可能なものを指す。

有名なのはここでも取り上げたM712モーゼル・シュネールホイヤーなどがその代表で、旧ソ連の特殊兵装であのゲバラが戦死した時も持っていたというスチェッキンなんかもそれに当たる。

自衛隊も「9ミリ機関拳銃」という小さなサブマシンガンを使用している。

自衛隊がどういう風に運用しているのか知らないが、車両搭乗者の護身用か特殊部隊用で使用されているようだ。

「図書館戦争」というアニメでこの銃は使用されているので、ああいうラペリングをしないといけないような部隊は89式や64式ではなく機関拳銃を使用しているのかもしれない。


ベレッタがイタリアの国境警備隊のリクエストでM1951をベースにM92を開発した時に、やはり当時「ミュンヘンオリンピック事件」などが問題になり都市型のテロに対抗できるフルオートピストルが欲しいという声が特殊部隊を中心に上がりこれにベレッタが応えたのがこのM93Rということになる。

内務省リクエストでセーフティがスライドに移動するM92Sよりも前の型をベースにしているため、セーフティはフレームにある。

またフルオートのシアの動きに合わせて、ダブルアクションは廃止されている。

セレクターでセミオートと3バースト(三点射)が選択できる。





KSCのガスブローバックエアガンのM93R
幾つかのバージョンがあるがこれはファーストバージョンで
ブローバックエンジンもわりと初期のバージョン




93Rの大きな特徴はこのフレームとスライドの右側の膨らみ
この中に三点射、セミオート切り替えメカが内蔵されている




セレクター・セーフティ周りのディテール
セレクターは上がセミオートで下が三点射
実銃のベレッタM93RにはフルオートはないがKSCは
その間の「無限」マークにポジションを合わせるとフルオートも選択可能というおまけ付き




さらに外観で大きな特徴はトリガーガードの前に着いたエクステンドフォアグリップ




フルオート射撃の時は普通のツーハンドグリップではコントロール不可能なので
これを左手で握ってマズルジャンプを抑えるためのレバー
このレバーがスチール製だったのだがかなり錆びていたのでリフレッシュした




KSCが93Rを発表した時にこのグリップパネルの木目が綺麗なうずら目だったので
どんな木材を使っているんだろうと興味を持ったが手に入れてみるとこの木目は印刷だった
そりゃそうだ、エアガンなんかに楽器で使うような高級木材は使わんわなぁ…




バーストのメカはこのスライド右の膨らみとグリップの膨らみの中に
あるというのは知っていたが実際に持つまでこんなに膨らんでいるとは知らなかった




スライドの下にはフルオートシアのディスコネクターの溝が切ってある




フレーム側のメカはノーマルなM92なんかとそんなに変わらないが
ディスコネクターの形がなんだか違う




グリップの中はこうなってます
最近のKSCはバーストメカはオプションになっているらしいが
この時代の93Rは標準になっている
目を引くのはやはり中央のカウンターパネル
これがディスコネクターが3回押されるのをカウントして
3回目に初めてディスコネクトしてスリーバーストができる
入手した時に時々ハンマーが落ちなくなる問題が起きていたが
丸で囲んだカウンターパネルスプリングがこのように外れていたのが原因だった
スプリングはパネルの一番下にかかっていないといけない
カウンターパネルはスチール製で強度は十分だったが錆が浮いており
ここも各部品磨きまくってシリコングリスとCRCをたっぷりおごった




スリーバーストポジションの時銀色のフルオートシアはディスコネクターが
押されるたびにカウンターパネルをひと目盛りずつ下に押し下げる
その下のくの字型のカウンターパネルストッパーがひと目盛りずつ鍵を引っ掛けて
3発目に初めてトリガーバーが下に押し下げられてシアとの連携が切れて
三点射めで連射が止まる




セレクターを中間位置のフルオートにするとフルオートシアはカウンターパネルの
目盛りを空振りして押し下げないのでディスコネクターはいつまでたっても利かない
トリガーを戻さない限り連射は続く




セミオートポジションにするとディスコネクターが押されるたびにトリガーバーと
シアの連携が切れるので普通のオート拳銃と同じように一発ずつの射撃になる




今回入手の93Rはグリップパネルスクリューのネジ受けが4つともナメて
ドライバーをいくら回してもパネルが外れなくなっていた
開けてみると閉める時に力を入れすぎたのが原因らしい
エアガンのユーザはメカ音痴だなとこういう時に感じる
スクリュー受けをゼリーの瞬間接着剤でフレームに接着して改善




全体的に金属部品は錆びだらけで樹脂部品はパーティングライン残りまくりだったので磨きまくった結果
ヘビーウエイト樹脂だったので金属光沢が出てきている




トリガーガード、グリップ後部などは綺麗にパーティングラインが消せたが
トリガーガード内側は平面なのでキレイに消えなかった
KSCがNC切削部品で話題になる前の時代の製品だ




スライド、フレームの平面は特に問題はなかったがせっかくの
ヘビーウエイトなので磨いて金属っぽさを出してみた




立った!立った!クララが立った!
というのはともかく全体的な雰囲気はこんな感じ




スライドはM92系と比べるとごつい
ベレッタのメカで短機関銃みたいな射撃をしても大丈夫かという強度的な不安は感じるが
スライドは92系よりも皮2枚ぐらい面の皮が厚くなっている感じだ




赤錆が浮いていたフロントエクステンドグリップもこんな感じ












これまたジャンク品を入手して整備してちゃんと動くようにしたというエアガン
エアソフトガンユーザは使い方が荒いのでジャンク品も壊れ方が大体予想できる
心得があれば昔は考えられなかったような安い値段で完動品が手に入る




セレクター・セーフティのマークにはホワイトとレッドを墨入れした
これは三点射位置でセーフティ解除、いつでも発射可能な状態だ
セーフティはコックアンドロックのみ有効




これは実銃にはないフルオートのポジション




そしてこれはセミオートのポジション




ハンマーがコックした時のみ可能になるセーフティポジション
このセレクターとセーフティは目視しないで操作するには
かなり慣れが必要で使い易いとはいえない
セーフティとセレクターは同じレバーにするか離すか
グロックのG18のようにセーフティを無くすかしないと見ないで操作は難しいと思う




(上)実銃のBeretta M93Rと(下)KSCのベレッタM93R
実銃はさすがにアメリカでも売っている州はなく政府関係の需要のみの生産となっている
KSC製品は結構売れたらしくガスガンもモデルガンも新品、オクともに割と見かける
オクに関しては製品の性格上コンディションの良いものはあまりないようなことも聞くが…




実銃写真もなかなか手に入らないので右プロフィールはKSCのみ




調整して撃ってみたところセミオート、フルオート、スリーバーストともに快調に動いた
三点射、フルオートともに燃費が悪いというかあっという間にガスは無くなるが
きちんと3発目に止まるバーストはちょっと感動ものだ




実銃の三点射の感じが一番よくわかるのはポール・バーホーベン版の「ロボコップ」のこのシーン
ロボコップが最初に登場する射撃練習ブースのシーンでバーストのすごい音と
マズルフラッシュの感じがしっかり捉えられている
ロボコップが持っていたオート9という架空の銃はベレッタM93Rに
大型のスタビライザーをつけただけの映画用のカスタムプロップだ



KSCがこの93Rを開発したのは何年だったか。
当時持っていたWAのフルオート92がぶっ壊れた後だった記憶はある。


昔、まだウエスタンアームズアレルギーになる前、WAのベレッタM92Fを持っていた。

WAのM92Fはセーフティにちょっとした細工をするだけでフル・セミオート切り替えオートに改造できる面白いガスブローバックガンだった。

それでフルオートでばかすか撃っていたらセーフティのシャフトがばっかり割れて右側のアンビセーフティレバーがぼろっと取れた。
その時にWAのセーフティの設計強度が極端に低いことに気がついた。
割れた面は
「これじゃフルオートに改造していなくたって普通に撃っていてもセーフティは壊れるな」
と思うくらい面積が小さかった。

これがWA社の機械設計能力に疑問を持った最初だったのだが、そんな無茶をしなくてもそのちょっと後にKSCからM93Rがモデルガンとガスガンで発売されることを知っていたら、あんな悲しい思いはしなかったのに…





2019年12月10日
















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