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カスター将軍の銃を再生
〜サビを概ね落としたフランクリンミントのM1861 Navyの装弾を再現してみた

M1861 reloaded

カスター将軍の銃を再生〜サビを概ね落としたフランクリンミントのM1861 Navyの装弾を再現してみた

サビだらけのフランクリンミントの「カスター将軍の銃」ことコルトM1861ネービーのサビを落としたので、今度は装弾と象牙のストックを再現してみた。

以前、「真田丸の馬上筒」ことフリントロックのマスケット銃を取り上げたが、このコルトネービーはのちのシングルアクションアーミーのような金属薬莢を持ったカートリッジ式の銃とマスケット銃の中間の世代に当たる。

この世代は銃口側から火薬と弾を込めるのはマスケット銃と同じだが、火打ち石ではなくキャップ式の雷管への打撃で発火する。

この打撃式、つまりパーカッション方式が回転式弾倉の実用化への道を開いた。

このパーカッションリボルバーを最初に実用化したのが、陸軍に軍籍がありながら銃器製造のベンチャー企業も起業したサミュエル・コルト大佐だった。

コルト大佐が実用化したパーカッション式のリボルバーはテキサスパターソンから始まって幾つかの世代ごとに洗練されていき、その最後の世代がこのM1861ネービー。

この同年にSmith & Wessonが金属薬莢を使用する「坂本龍馬の銃」ことModel No.2を発売した。

貫通型弾倉の新しいメカをもったSmith & Wessonと1840年代から育て上げた枯れた技術のパーカッション式リボルバー最後の世代が期せずして同じ年に生まれた。


この「カスター将軍の銃」を入手するにあたって、大抵の人は南北戦争の英雄でインディアン戦争で全滅した第七騎兵隊の悲劇のヒーロー・カスター将軍への郷愁でこの銃を眺めるのかもしれないが、私の場合は全く同世代の枯れた技術と真新しい技術が並ぶ図に興味を持った。

その興味から、やはりフロントローディング・パーカッションシリンダーに装弾が籠められるところを再現したくなった。

ミュージアムモデルには普通カートリッジや装弾は付いてこないし、弾が籠められた状態では展示されない。

その伝統は知っているのだが、それでも外観重視のリボルバー好きなので、レンコン弾倉に弾が並んでいるところを見てみたい…端的にいうとこういうことでした。

一行で済む話ではないか…


あとやはり前回も触れたABS製のぺらぺらのグリップパネルが、どう見ても象牙には見えないので目立てヤスリで象牙細工風に手を入れてみた。

外観重視派としてはこちらも重要。





コルトネービーの外観上の特徴はこの銃身の下のローディングレバー
1861ネービーはシリンダーの前から推進火薬とキャストブレットを込めて
このレバーで押し込んで弾を装填する




このローディングレバーの付け根には歯車のような突起があって
バレル付け根のリセスと噛み合っておりこれでテコの原理で鉛玉をシリンダーに押し込める
フロントローディング式の弾籠めはかなり力がいるということなので
このメカの工夫は興味深い




レバーを下に押し下げるとローダーが後方に下がってシリンダーの開口部に鉛玉を押し込む




そこでこういうものを入手した
実際にキャストブレットハンドモールドに溶けた鉛を流し込んで作成された鉛玉
実銃は椎の実型と球形の二種類があるが今回入手は椎の実型12発分




こちらが鉛を流し込んで弾を作るキャストブレットモールド(英文Wikipediaより)
上がシングルキャビティ方式、つまりただの流し込み式の型で
下が2キャビティモールドつまり合わせ型になった型
冷えて鉛が固まったらヤットコみたいに開いて鉛玉を取り出す




入手したものはCal .36のキャストブレットということだったが
シリンダーの口とは全然径が合わない




ところが銃口に挿してみたらこの通り
ライフリングで変形する余裕を考えるとぴったりのサイズだった




キャストブレットの直径はちょうど9ミリ




銃口の内径もライフリングの谷のサイズというルールに従うなら9ミリ
つまり36口径というのは9ミリ口径ということだ




シリンダーの径は前回測った通り内径8.3mmで
押し込んだら入るとは考えられないほど差がある
物の本を早速調べたところ36口径=38口径=357口径=9mm口径ということでみんな9ミリが正解
.38口径はライフリングの谷の内径、.357は山の内径、36は357を四捨五入した数字で
全部9mm口径のことらしい




H&KのP7の時に入手した面取りカッターを使って
シリンダーの口の入り口だけ9ミリに広げることにした
シリンダーは亜鉛合金製のニップル側とABS製の外側に分解できるテンプラ構造




このニップルは分厚いブロックで塞いだ穴をドリルで開けるのは不可能に成形してある
そこに穴を開けることができてもそのすぐ前に鋼鉄製のインサートが鋳込んである
そのインサートを回避できても外側のシリンダーはABSぺらぺらなので
鉛玉を発射できるように装薬するのは強度的に不可能な構造




面取りカッターで入口の内径を9ミリに広げたシリンダー
実は9ミリに広がっているのは入口から5ミリほどだけで
そこから奥は元どおり内径は8.3ミリのまま
だから実弾は籠めることができない
できたところでシリンダーはぺらぺらのABSだから
実弾を発射できるように改造は不可能なのだが…




安全対策はバッチリそうなのでキャストブレットをシリンダーに装填した
実際に装薬する必要はないのでシリンダーの口だけ9ミリに広げて
鉛玉の方を削って細くして見た目だけ装填しているような雰囲気に見せかけた
ここでローディングレバーの機能を再現してみる




このようにレバーを押し下げキャストブレットを弾倉の中に押し込んで装填する
これは面白い




前回肉引きを起こしていたぺらぺらの「象牙風」ABSグリップパネルの
チェッカリング、レリーフを目立てヤスリで切りなおして象牙細工の雰囲気にしてみた
マルシンの「象牙風」グリップがあまりにもピカピカに仕上げられていてリアリティがないので
削って作ったという工具の後を残してみる




実際の象牙細工は職人の手作業なのでどんなに熟練でもどこかに工具の傷があるはずなのだ
傷ひとつないピカピカのマルシングリップがどう見ても象牙に見えないので
こういう感じにしてみた
「リアリズム」というやつである




こうしてできあがった完成形のColt M1861 Navy with キャストブレット6発分




シリンダーにはキャストブレットが




ネービーは意外に中のスペースがないのでウエイトを仕込む場所がない
空いているのはシリンダーの薬室の中とぺらぺらの象牙グリップの中だけ
シリンダーに錘を仕込もうと思っていたので錘の代わりのキャストブレット




そしてピカピカに光っていたグリップパネルはマットアイボリーに変わって
ツールマークもついてリアルになった(あくまで個人の感想です)




グリップ左側のイーグルとスターズアンドストライプスのレリーフも
目立てヤスリでほぼ全部掘り直した
経年変化で黄ばんでいたABSのグリップは真っ白になった
新品の時はおそらくこんな色してたんでしょうね




グリップの下側の雰囲気
後はここに鉛の錘を仕込むぐらいかな




バレルユニットを外したシリンダーの姿
蓮根型弾倉とはよくいったものだ
弾頭がシリンダーの穴に見えている姿はまさにハスの花の実が
穴の空いた花萼に見えている姿にそっくりだ




以下、外観カスタム完了後のネービーの姿をご堪能ください








ところでこのNavyという名称だが海軍の
制式拳銃だからこういう名前というわけではない
同じくArmyも陸軍制式という意味ではない
36口径の銃をNavy、44口径の銃をArmyと呼ぶのが当時の慣わしだったとか
上記のように36口径は9ミリと同じだし44口径は45口径=11.4ミリと同じ
この2種類が主流だったということだ
SAAも陸軍制式拳銃だが陸軍制式だからシングルアクションアーミーというわけではない
45口径だからそう呼ばれるだけでここらちょっとややこしい話




フルコックしたハンマーの付け根までエングレービング




コルトがウォーカー大佐の助言を受けてパタースンを大型化したウォーカーモデルや
ドラグーンモデルを開発したのだが、これがガタイのでかいメリケン人にとっても
「あまりにも重い、でかい」と不評だったので小型化、軽量化のために
小口径化、スリム化したのがこのネービーモデルなのでやはり見た目がスマート








ディスプレイモデルはシリンダーは穴が空いているだけだが
鉛が見えているだけでこのリアリティ
シリンダーの内径が8.3ミリと小さめだったのは実弾を籠められないように
という安全対策かもしれないがS&WのModel 3は45口径が
ちゃんと入る内径だったのでこの安全基準もよくわからない




ドラグーンやウォーカーの無骨なスタイルも好きだが
ネービーのこの流線型のフォルムが好き



2020年2月16日
















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