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コルトシングルアクションアーミー…ことピースメーカーが
古びていたので手入れしてリニューアルした

SAA

コルトシングルアクションアーミー…ことピースメーカーが古びていたので手入れしてリニューアルした

コルトネービー、コルトM16+M203に続いてコルトの話題が続く。

コルト・シングル・アクション・アーミーがまだウチに何梃か残っていたので、これに手を入れた。

「コルト・シングル・アクション・アーミー」わかりにくい名前だがこれが正式名称だ。

アメリカ人は「シックスシューター」といえば普通これを思い浮かべる。

私らよりも上の世代は子供の頃にウエスタンブーム、マカロニウエスタンの隆盛を経験しているので「ピースメーカー」というニックネームの方が馴染みがある。

コルトM1851アーミー、M1861ネービー、S&Wモデル2アーミーなどの名前の流れからすれば「コルト・シングル・アクション・アーミー」という名称はむしろ当時はこちらの方が馴染みやすかったに違いない。


M1851、M1861のシングルアクションを、S&Wの特許が切れた貫通型シリンダーと組み合わせて、金属薬莢を使えるようにしたコルト初の本格的カートリッジ連発銃。

これが昔ウチには6挺あったのだが、例のテッポ業界に嫌気がさしてテッポを全部売っぱらった時にCMCの金属製のモデルガンは全部処分してしまった。

バレルの上に刻印が復元されてワンピースグリップを付けた貴重なモデルだったのに今思えば惜しいことをした。

手元に残ったABS製のピーメは売っても大した値がつかないのでなんとなくそのままになっていた。

30年前に塗装してそのままにしていたので全体的にハゲチョロケになっていた。





手元にあったピーメをとりあえずバラす
塗装をなんとかする前にこの30年以上全く手入れを
していなかったので部品のサビ落とし、グリス撒きをした
ピーメの分解は実に30年ぶりで取説もないが先日1861ネービーの分解をして
いろいろ思い出したので分解も組み立ても特にはまるところはなかった




バックストックを磨き上げ「こすって銀SAN」で銀磨きをかけた様子
銀磨きは手軽に金属感を出せるが塗膜の耐久性はスプレー塗料ほどではないので
手にとって振り回すアクション用には向かない
私にとってはどうせディスプレイ用だからこれで十分だが




メインフレームのトリガーメカ周りは錆だらけ
30年以上も手入れをしていなかったので当然こうなる
フランクリンミントのオーナーを「モデルガンの手入れの仕方を知らない」と
バカにしたくせに気に入っていないモデルガンはこの体たらくだ
ところでトリガーの真横にある錆びたネジはローディングゲートスプリングプランジャー
1861ネービーとSAAはほぼ同じメカだがこのネジの有無だけが両者のメカの違いだ
といっても部品の互換性はほぼ全くないのだが…




部品を完全にバラしてペーパーで完全に錆を落とした
その上でグリスを差してシリコンオイルスプレーでメカに注油した




その上でフレーム、バレル、シリンダー、グリップフレームを
磨き上げて光沢を出し「こすって銀SAN」で磨き上げた




シリンダーを磨き上げた様子




SAAの最大の特徴はこのローディングゲート
ゲートを開いてカートリッジを一発ずつロードする




この時代は金属薬莢に対する信頼度は低かったので薬莢を
つつき出して排出するエジェクターロッドはぜひものだった
右手でレバーを押して薬莢をつつき出すようにアレンジされている




撃った後は同じローディングゲートから排莢する
まず6発排莢してから6発カートリッジをリロードする
Smith & Wesson式のオープントップメカに比べると効率は悪そうだが
その代わりフレームに可動部分がないので頑丈に作ることができた
これがコルトが独占的に軍用銃を受注できた最大の理由かもしれない




今回リニューアルした5.5インチ銃身のアーティラリー(artillery 砲兵モデル)(左)と
7.5インチ銃身のキャバルリー(cavalry 騎兵モデル)(右)
このほかに4.75インチ銃身のシビリアン(民間モデル)がモデルアップされていたが
今手元にはない(昔の西部劇で使用されていたのはほとんどこのシビリアンだった)




先ずは長銃身のキャバルリーから




このサイズは実はアメリカ陸軍の要求仕様に基づいた寸法のようで
1851の時代からS&Wのモデル3、スコフィールド銃に至るまで
みんなこのサイズということはこれが求められていた形だから




このモデルはニッケルシルバーを塗装した上から
ブライトスチールという当時話題になった金属感があるスプレーを噴いた
ブライトスチールでブルーイングの雰囲気を出して上塗りが剥がれて
下地のニッケルシルバーが見えてブルーイングが剥がれた雰囲気にしていた




このブライトスチールが30年経ってかなりくすんでいたのでピカールで磨いて艶出し
その上から「こすって銀SAN」で磨いてコルトのブルーイングの雰囲気をねらった
ヘビーウエイトではないただのABSを金属っぽく見せる涙ぐましい努力…




実はコルトのSAAはそんなに好きなテッポでもない
どちらかというと1861ネービーやS&WのModel 3の方が好きなんだけど
リアル厨房だった時代にまだ悪夢の昭和46年規制前の黒くて
銃口が開いていた金属のピースメーカーを玩具屋のショーウインドウに
へばりついてよだれを流しながら見ていたのを思い出す
だから思い入れはあるテッポではある




このモデルは今は亡き東京CMCのABSモデルガン
フレーム右側にはメーカーの刻印が…




このCMCのABSモデルガンは無煙火薬に対応したM1896モデルを再現している
オリジナルのM1873のモデルは黒色火薬に合わせて設計されているので
無煙火薬を使用するカートリッジは使用できない




西部劇に使用されるのはほとんどこのモデルだが
発売された1896年には西部の開拓時代はほぼ終わりかけていた
違いは強化されたフレームとシリンダーシャフト固定ピンが
シリンダーの前の左右に突き出ていることで見分けられる




そして銃身の斜め下にあるのがケースエジェクターロッド
金属薬莢を使用する銃のシンボルのようなものでS&Wのモデル2もモデル3も
コルトのコンバージョンモデルもみんなエジェクターを装備していた




遠目には細身に見えるが上から見るとゴツいSAA




ハンマーをハーフコックにするとシリンダーがリリースされて自由に回転できるようになる
この状態でローディングゲートを開いてリロードもできるしロシアンルーレットもできるし
西部劇でおなじみのいろいろなシチュエーションはこの構造から生まれた




パターソンから1861ネービーまで一貫してリアサイトはハンマーの先端にあったが
SAAからフレームに溝を切ってそこを照門にする構造に変わった
これはディテクティブなどの近代リボルバーに引き継がれた
そしてこのブルーイングが剥がれた古式銃の雰囲気が今回の狙い




ピカピカに磨き上げたシリンダーをお楽しみください




SAAのトリガーはフレームの中央についているわけではなく左にオフセットしている
シリンダーを固定するボルトとシリンダーを回転させるハンドのスペースが
右側にあるからでこのメカは1851アーミー以来の不動の構成だ




そしてもう一挺は同じCMC製のABSのアーティラリー
こちらはオリジナルのABSのグリップが付いている
キャバルリーはローズウッドのグリップに付け替えているが
アメリカコルト社のSAAもデフォでこのデザインのグリップが付いてくる




リコイルシールドの写り込みが分かりますか?
撮影者の間抜けなポーズが写り込んでいますね




こちらは黒ABSに直にブライトスチールを噴いたので塗料が剥がれた部分は黒い地肌が見えていた
ブライトスチールは活かしたかったので剥がれたところにはドライブラシでステンレスシルバーを塗った




ローディングゲートを開いた後の写り込み
お気に入りのテッポでもないといってもそれなりに綺麗に
仕上げたらなんとなくお気に入りになってきた




ハンマーをフルコックした状態
リアサイトがハンマーの先端からフレームに
移動した関係で微妙に位置関係も変わった




自然光で撮影したアーティラリー
SAAとかの古式銃は太陽光の撮影が似合う気がする








同じく自然光のキャバルリー




SAAのメカメカしさがわかる下からのビュー
ネジがたっぷり使用されているのが19世紀的




実銃のコルトM1873キャバルリー(上)とCMCのM1896キャバルリー(下)




実銃のコルトM1873キャバルリー(上)とCMCのM1896キャバルリー(下)
CMCは倒産したがその金型は今のHWSに引き継がれている
CMCはシリンダーのフルートの形が実銃と違うという欠点を持っていたが
HWSのSAAは若干修正されているようだ




実銃のM1896シビリアン(上)とCMCのアーティラリー(下)
コルトのグリップはベークライト製でランパントコルトのマークがレリーフされている




レファレンス用にアーティラリーの右プロフィールも撮っておく
実銃の生産はつい最近まで続けられていたようでコレクター向けの新しい製品は
綺麗なブルーイング、ケースハードゥンで仕上げられているが19世紀製のSAAは
やはり傷だらけで上の実銃のように渋い色合いだ




彩度を落とした写真がSAAには似合う?



ところでこの「コルト・シングル・アクション・アーミー」は一般にはなんていう名前で知られている?

ピースメーカーは西部劇ファンにおなじみな名称だ。

当時はフロンティアという名称も馴染みがあった。
マルゴーかどこからコルトフロンティアという名前でモデルガンが販売されていたからだと思う。

前述の通りアメリカ人には「シックスシューター」とう名前の方がピンとくるのかもしれない。

射手の腕力や体格の差を平等にするイコライザーというニックネームもある。
このニックネームはデンゼル・ワシントンの出演している映画のタイトルにもなっている。

4.75インチの短銃身のモデルはシビリアンという名前が馴染みがあるが、シェリブズモデル(保安官の銃)という名称もある。


1872年にS&Wの貫通弾倉の特許が切れるとその翌年にSAAはコルトから発売されたが、当初3年間はすべての出荷分をアメリカ陸軍に納入するという契約だったために市場には全く流通しなかった。

契約が明けた後も陸軍への納入は続いたので、実際には西部開拓時代のほとんどのシーンでSAAはそんなに活躍していなかったはずだ。

ところが1930年代からジョン・フォードの時代、1960年代のマカロニウエスタンの時代まで西部劇の銃はほとんどコルトのSAAだった。

要するにこの時代まで生産が続いていたのはSAAだけだったから、ステージガンに改造しやすかったから。

コルトネービーやスコフィールド銃は当時から中古市場でプレミアがつき始めていたから気軽に撮影用の小道具に使いにくかったのかもしれない。

西部劇でSAA同士の撃ち合いは大部分ウソだと思って間違いない。

SAAが民間で使用されたのは西部開拓時代の末期からだ。


西部劇には他にもウソがある。

西部劇映画に出てくるガンベルト。

ベルトに飾り弾をずらりと並べて差して、手首の位置まで銃を低く下げたクイックドローホルスター





イーストAさんのカタログより「ウエスタンガンベルト」
西部劇ではおなじみのカッコイイガンマンのガンベルトだが
これは実はハリウッドの映画会社の小道具係のデザインで
実際の西部開拓時代にはこういうベルトは使用されていない
実際の西部の男たちが使用したホルスターはズボンのベルトに固定し
ベルトよりもグリップが高い位置にあるハイライドタイプだった




名前も人によって呼び方が違うしリアル西部開拓史から見れば
SAAは本当に主役だったのかという疑問もあるけど
未だに最も人気があるリボルバーであることも間違いない
その残党の2挺をなんとかしたいと思っていたをやっと手をつけられた



2020年3月17日
















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青木さやか