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出掛けられないからテッポ磨くステイホーム週間
〜キャロムのブラックスチールを噴いたトカレフTT-33にさらに銀磨きをかけてみた

Bright Тульский-Tокагевa

出掛けられないからテッポ磨くステイホーム週間〜キャロムのブラックスチールを噴いたトカレフTT-33にさらに銀磨きをかけてみた

例によって「おうちでテッポを磨く」シリーズ、次はハドソンのトカレフTT-33を磨いてみた。

トカレフは昔手に入れていたABSのモデルガンがあったが、これの元はメカはなかなかよくできたモデルガンだったが表面はABSテカテカモデルだった。

当時話題になったブライトステンレスを吹き付けて磨いたりしていたが、いまいちしっくりこなかった。

一昨年、これをポリッシュしてキャロムショットのブラックスティールを吹き付けてミリタリーっぽい雰囲気をだしてみた。

これはこれで気に入ったのだがもう少し「鉄っぽい」雰囲気が欲しいなとは思っていた。

そこでちょっとポリッシュして銀磨きをかけてみた。





ハドソンのトカレフTT-33を磨いてみた




ブラックスティールを噴いたあと1000番の耐水ペーパーで磨いて
ヘアラインの雰囲気を出したところメタルっぽい雰囲気にはなったが
もうすこし鉄っぽいテカリが欲しいなと思っていた
今回の結果がこんな感じ




前回のコルト32オートは一度ピカピカにポリッシュしたが
今回は半つや消しぐらいにとどめた
ミリタリーパーカライジング仕上げの雰囲気を残したかったから




それでも局面が多いフレーム下面、トリガーガード、
グリップ周りの映り込みはこんな感じ




色目はもちろん真っ黒なのだが例によって光の加減で青みはでる




マットなスチールブラックも良いのだがやはり鉄のテッポは
いくらマットでも金属特有のテカリはあるのでその感じを出してみた
これ以上光らせると旧ソ連製のトカレフではなく中国製の抗争用のテッポになってしまう




(上)は今では博物館展示レベルの稀少品になってしまった旧ソ連製の
Тульский-Токагева 33の実銃と(下)はハドソンのトカレフ TT-33
ソ連製トカレフの大きな特徴はスライドセレーションの形
リボルバーのシリンダーセレーションのような形でくり抜かれているのは
ソ連製だけの特徴だが実物は結構荒い工作なのが見て取れる




(上)旧ソ連製の実物トカレフTT-33と(下)ハドソンのトカレフTT-33モデルガン
今時の反社の皆さんが発砲事件で使用するトカレフはソ連製ではなく良くて中国製の
54式手槍、もっとグレードが下の人たちは北朝鮮製またはブラジル製のコピー品
もっと下のお金がない人たちはフィリピン製の密造銃を使っている
実物のソ連製トカレフは骨董的価値がついてとてもじゃないが反社の人たちが買える値段ではない












今回のテーマのオートマチック二挺
トカレフTT-33(左)とコルト1903、別名32オート(右)




ピカピカにポリッシュした32オート(右)と半ツヤに抑えたトカレフ(左)




映り込みのニュアンスがわかるかな?
こうして並べてみると大型拳銃に分類されるトカレフと中型拳銃の
32オートだがサイズもスタイルもかなり似ていることに気がつく
トカレフ自体がブローニングデザインをかなり真似しているので
当然と言えば当然かもしれないが…




トカレフのブローニングとは違う大きな特徴はバレルを固定するスライドストップシャフトの固定法
ブローニングはバレルのラグをフレームに噛ませる方法(M1903、M1910)と
スライドストップをバレルと噛み合わせて固定する方法(M1911、M1935)の2タイプ
トカレフは後者に似ているがシャフトを別部品のピンで固定する独自の方法をとっている
これなら寒くて指がかじかんでいても脱着に失敗することもない




もう一つの大きな特徴はトカレフにはセーフティと呼べるものが何も付いていないこと
セーフティレバーもグリップセーフティもAFPBSも何も付いていないので
チェンバーに装填したままのテッポを取り落としたりしたら普通に暴発する
設計にあたっての考え方は「装填しなければ暴発もしない」という開き直り方で
余計なものをつけてセーフティが凍りついて発砲できない方が問題ということだろう




トカレフのメカについて調べていて気がついたことがある
トカレフの7.62mm×25トカレフ弾は7.63mm×25モーゼル弾と
装薬量以外は同じものでカートリッジの寸法も全く同じということだ
(左)がハドソンのトカレフのカートリッジで(右)はマルシンのモーゼルM712のカート
比べてみればケースのサイズはほぼ一緒
両方とも30年も持っていたのに今気がついた




早速トカレフのマガジンにマルシンのモーゼルのカートを詰めてみた
普通に入った!




装填排莢をしてみたが普通に最終弾以外は排莢にも成功した




(左)ハドソンのトカレフと(右)マルシンのモーゼルM712シュネールホイヤー
両者とも近いうちにダミーカートモデルに改造しようと思っていたところなので
この両者が同じカートを使用できるというのは大いに追い風になった
実銃のトカレフはカートリッジの開発の時にすでに帝政ロシア時代から
使用されていたモーゼルC96の使用弾7.63mmモーゼルと互換性をもたせたということだ
このカートリッジがペペシュことPPSh-41バラライカの使用弾であることも大きかった




光の加減を調整して撮影した青いトカレフ




またまた青いトカレフ




(上)実銃のトカレフのシア・ハンマーメカニズムブロックと
(下)ハドソンのシア・ハンマーメカニズムブロック
こうして比べてみるとハドソンのメカの再現性の高さが分かる
ハドソンのモデルガンは出来不出来の差が激しいのだが
このトカレフはハドソン史上最高の出来なのは間違いない




鉄っぽい仕上げにしたから映り込みも撮ってみました…



昔のモデルガンメーカーには幾つかの勢力があった。

タニコバことコバヤシタニオ氏がメカの設計と企画にあたっていたMGCと、六研の六人部さんが金型設計をしていたマルシン・スズキが2大勢力だった。

第三極として御子柴さんのハドソンと猟銃メーカーとかとも協力関係にあったCMC、リボルバーのコクサイとかがあった。

考えたらこのモデルガンメーカーの大手はマルシン以外はみんな無くなってしまった。

エアガンまで範囲を広げたらオモチャ専業メーカーから参入してきたマルゼンやマルイなんてのは生き残っているが、これらは逆にモデルガンを作っていない。
マルシンは生き残っているといってもこれといった新製品をもう何十年も出していないし、S&WのM686をリリースした当時(1984年ごろか)の日本のモデルガンを牽引していたのと比べると過去の遺産で食いつないでいるだけなのかも。
最近の製品は技術的には後退しているように見える。

むしろMGCの流れをくむKSCやCMCの流れのタナカワークス、HWSなどの方が創意工夫がある。

万物流転なんだけど、全く消滅したわけではなく流れは概ね引き継がれているのだが、ハドソンだけはどこも流れを引き継いでいないんじゃないかな。

日本でAK47をモデルガン化したのはハドソンだけだし、PPShバラライカなんて面白いアイテムもあった。

ハドソンのマッドマックスショットガンとかマニアが好きそうな企画が面白いメーカーだったけど、御子柴さんの個人商店だったから仕方がなかったのかな…




2020年4月28日
















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