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映画に登場するプロップガン〜のサイドストーリー
…あの映画のあのシーンの幾つか気になったプロップならぬプロンプト

Machine's words

映画に登場するプロップガン〜のサイドストーリー…あの映画のあのシーンの幾つか気になったプロップならぬプロンプト

ターミネーター2

前回ターミネーター2のプロップガンの気になっていることを追記のような形で書いてみたが、あの映画って前にも書いたけど銃器の選択だけでなくジェームス・キャメロンの被写界深度や色温度の調整を駆使した撮影テクニックとかいろいろ面白い映画だった。

ターミネーターもターミネーター2も監督はジェームス・キャメロンだったけど脚本まで深くコントロールできる立場になったかどうかで、シナリオの出来もかなり違う。

一作目のターミネーターはややB級映画のような雰囲気で製作されている。

だからかかっている予算も意外に少ない。

そしてキャメロンが主役に抜擢したのが落ち目の筋肉俳優のシュワルツネッガーだった。

シュワルツネッガーはオーストリア出身のボディビルダー世界チャンピオンで、その経歴を買われてハリウッド入りした。

しかし確かに筋肉は見事だったが、英語ネイティブではないオーストリア人のシュワちゃんは訛りが変で、「コナン・ザ・グレート」などの映画で見事な筋肉の大根役者が定評になってしまった。

この落ち目俳優にキャメロンが「未来から母子を抹殺しにくるサイボーグ」の役をオファーしたところ、「自分は母子を守る役をやりたい。殺人サイボーグの役は自分のクリーンなイメージが壊れる」と渋ったそうだ。

この役はきっと新しいキャリアになるはずだからチャレンジするべきだとキャメロンが口説き落としたが、この訛りが変なシュワルツネッガーの「ロボットみたいなセリフ棒読み」を逆に狙っていたとしか思えない。


ターミネーター

ターミネーターで最初に現代に降り立ったT-800が全裸のままチンピラ達に話しかけるシーンがある。

Your clothe, give it to me now.
(おまえの服、今すぐよこせ)
Fuck you asshole!
(クソ野郎が)

もうセリフが、ネイティブの喋り方ではない。
ロボットだから自然な喋り方ができないという、シュワちゃんの訛りを逆手に取ったような脚色だった。

この映画は予想に反して大ヒットになり、その後の「キンダーガートンコップ」でもこの訛りを逆手に取ったやりとりがあった。

キンダーガートンコップ

映画はニューヨーク市警の刑事のシュワちゃんが、重要参考人の母娘を守るために幼稚園に潜入する話。

レストランで母娘と食事をするシーンで幼稚園児の娘が
「ママ、この人喋り方が変」
「シッ!失礼なこと言わないで」

とささやくやりとりがあった。

この後、同僚の女性刑事が「私たちオーストリアからの移民で私の名前はウルセラ(ドイツ系の女性に多い名前)」などと取り繕うシーンが続く。
これもシュワちゃんの訛りをネタにした映画だった。

ターミネーターが大ヒットになったから続編のT2が製作されたが、この頃になるとさすがにシュワルツネッガーもネイティブ並みの喋り方もできるようになっていたけど、映画ではやはり喋り方が変な自分のモノマネを自分でするみたいな片言を喋っていた。
ちょうど美川憲一のものまねのモノマネをする美川憲一本人みたいな感じ。


T2ではターミネーターのオマージュが数多く出てくる。

T1で最後タンクローリーを爆破してターミネーターを焼き殺そうとするシーンのオマージュで、T2では鐵工所に激突するタンクローリーから流出した液体窒素で新型ターミネーターが氷結する…などいろいろなシーンが引用されている。

ショッピングモールでショーウインドウをぶち破ってシュワルツネッガーが道路に叩き出されるのも、T1のクラブでイサカのショットガンの連射を受けてウインドウをぶち破って倒れるシーンに呼応している

最初に全裸のシュワルツネッガーが酒場のチンピラに話しかけるシーンも当然T1に呼応しているが、脚本は洗練されている。

I need your clothes, boots, and motorcycle.
(おまえの服とブーツとバイクが要る)
You forgot to say 'Please'.
(「ください」と言いなさい)

この「You forgot to say please.」はアメリカのお母さんが子どもを叱る時の決まり文句。
だから周りの大男達がゲラゲラ笑っていた。

「ママ〜、スプーン取ってえ」「『取ってください』でしょ」こんな調子で子どもを嗜める時に使う。


コブラ

シルベスター・スタローンの「コブラ」でも一匹狼のスタローンが捜査情報を上司に報告しないのに、上司やFBIがイラついて「情報を開示しろ、命令だ」というと、すかさずスタローンが
You forgot to say magic words.
(魔法の呪文を唱えるのを忘れているぜ)
What is magic words?
(なんだ?魔法の呪文って?)
'PLEASE'
(「お願いします」って言うんだ)

と切り返すシーンがあった。

「それが人にものを頼む時の態度か?」ということなんだろう。

こういうのは字幕にしろ吹き替えにしろなかなかニュアンスを伝える訳になっていないことが多いのは、映画のカットのリズムに字幕も吹き替えのセリフも合わせないといけないのでいくらかは仕方がない。


子どもを叱るセリフはもう一つある。

少年と出会ったT-800が街の郊外で自分は少年の命令だけを聞くターミネーターだと告白する。
たまたま寄ってきた男たちをターミネーターがもう少しで殺しそうになったのを止めてジョン・コナー少年がでっかい大男のシュワちゃんを叱るシーン

Jesus, you gonna kill that guy!
(なんてことだ、もう少しで殺すところだったぞ)
Because I'm a Terminator.
(私はターミネーターだから当然だ)
Listen to me very carefully, OK? You're NOT Terminator anymore all right?
Drop it, you just going to kill people.
(いいか、よく聞いて、もう君はターミネーターじゃない…いいか?
すぐに人を殺そうとするのはやめるんだ)
Why?
(なぜだ?)
What do you mean why? 'Cause you can't!
(「なぜだ」ってどういう意味なんだ?ダメだからに決まってるじゃないか!)

この「Why not?(なぜダメなの?)」「Because you can't(ダメだからダメだ)」というのもアメリカのお父さんが子どもを叱る時の決まり文句。


メンフィス・ベル

同じような言い方で「メンフィス・ベル」でもこういう言い回しがあった。

アメリカの戦略爆撃空軍は第二次大戦のヨーロッパ戦線でドイツにB17の爆撃を敢行していたが、犠牲の大きさに昼間爆撃作戦に批判もあった。
そんななか、あと一回の出撃で戦略爆撃隊で初めて25回の出撃任務を達成し、本国に帰還できるだけでなくクルー全員がタイムズ誌などの表紙に掲載されると軍の広報の話を聞かされて、副機長のパイロットが
「これはいい!国中の女の子の注目の的だぞ!
早速他のみんなにも伝えていいか?」
とはしゃぐと、機長が「ダメだ」と一言。

Why can't I tell'em?
(何故言っちゃいけないんだ?)
Because I said so.
(私がダメだと言ったからだ)
My father did say.
(俺の親父と同じ言い草だ)

この「Because I said so」も「父さんがダメだと言ったらダメなんだ」というアメリカのお父さんの決まり文句。


このジョン少年とターミネーターの出会いのシーンで少年が大男のターミネーターに「Listen to me very carefully(よく聞きなさい)」と大人が子どもを諭すような言い方をするのもおかしいが、このセリフは映画の後半でリピートされる。

スカイネットの開発者の家に、彼を殺そうと向かった母親を止めに行った少年とターミネーターは、すでに撃たれた開発者のダイソンを発見する。
その家族に何が起きているのか説明するために、少年から渡されたナイフで腕の皮膚を切り裂き金属の骨格を見せながら、機械の大男がその開発者に向かって
Listen to me very carefully
と告げる。

今度はロボットがその開発者に向かって大人が子どもを諭すように語りかける。

この映画の台詞回しはこういうように重層的にリピートしていて、ロボットに「Fuck you asshole」みたいなセリフを喋らせるT1よりはかなり洗練された脚本になっていた。
(このT1のモーテルの管理人を追い返すシーンも最初の服をチンピラから奪うシーンのリピートにはなっていたが、ちょっとわかりにくい演出だった)

前作がヒットしたから脚本もより注意深く練り上げられたのかもしれないし、雇われ監督だったキャメロンの発言権が大きくなったからかもしれない。








2020年5月5日
















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