シルベスター・スタローンの「コブラ」でも一匹狼のスタローンが捜査情報を上司に報告しないのに、上司やFBIがイラついて「情報を開示しろ、命令だ」というと、すかさずスタローンが You forgot to say the magic word.
(魔法の呪文を唱えるのを忘れているぜ)
What is the magic word?
(なんだ?魔法の呪文って?)
'PLEASE'
(「お願いします」って言うんだ)
と切り返すシーンがあった。
Jesus, you gonna kill that guy!
(なんてことだ、もう少しで殺すところだったぞ)
Because I'm a Terminator.
(私はターミネーターだから当然だ)
Listen to me very carefully, OK? You're NOT Terminator anymore all right?
Drop it, you just going to kill people.
(いいか、よく聞いて、もう君はターミネーターじゃない…いいか?
すぐに人を殺そうとするのはやめるんだ)
Why?
(なぜだ?)
What do you mean why? 'Cause you can't!
(「なぜだ」ってどういう意味なんだ?ダメだからに決まってるじゃないか!)
この「Why not?(なぜダメなの?)」「Because you can't(ダメだからダメだ)」というのもアメリカのお父さんが子どもを叱る時の決まり文句。
Why can't I tell'em?
(何故言っちゃいけないんだ?)
Because I said so.
(私がダメだと言ったからだ)
My father did say.
(俺の親父と同じ言い草だ)
この「Because I said so」も「父さんがダメだと言ったらダメなんだ」というアメリカのお父さんの決まり文句。
このジョン少年とターミネーターの出会いのシーンで少年が大男のターミネーターに「Listen to me very carefully(よく聞きなさい)」と大人が子どもを諭すような言い方をするのもおかしいが、このセリフは映画の後半でリピートされる。
スカイネットの開発者の家に、彼を殺そうと向かった母親を止めに行った少年とターミネーターは、すでに撃たれた開発者のダイソンを発見する。
その家族に何が起きているのか説明するために、少年から渡されたナイフで腕の皮膚を切り裂き金属の骨格を見せながら、機械の大男がその開発者に向かって Listen to me very carefully
と告げる。
今度はロボットがその開発者に向かって大人が子どもを諭すように語りかける。
この映画の台詞回しはこういうように重層的にリピートしていて、ロボットに「Fuck you asshole」みたいなセリフを喋らせるT1よりはかなり洗練された脚本になっていた。
(このT1のモーテルの管理人を追い返すシーンも最初の服をチンピラから奪うシーンのリピートにはなっていたが、ちょっとわかりにくい演出だった)