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砂漠の虎「UZI」〜マルシンの電動UZIは知らない間に
レア物エアガンになっていたんだ…これを歴戦の勇姿に仕上げる…

UZI

砂漠の虎「UZI」〜マルシンの電動UZIは知らない間にレア物エアガンになっていたんだ…これを歴戦の勇姿に仕上げる…

サブマシンガンというジャンルがある。

英語ならSub-Machine gun、日本語なら短機関銃という。

この名前から予備の機関銃、短い機関銃とよく誤解されているが実は機関銃と短機関銃は全く違う物だ。

機関銃は主に小銃弾を使うが、短機関銃は拳銃弾を使用する。

そして機関銃はクローズボルト方式、つまり引き金を引く瞬間ボルトは閉じていてハンマーなどでプライマーを打撃する複雑なメカを持っている。
小銃弾を使う関係で高圧発射ガスに耐えるために複雑なボルトロッキングメカも持っている。


それに対して短機関銃は、引き金を引くときにはボルトは開いている。

引き金を引いたらボルトが落ちる。

ボルトの先に突起が固定されていて、それがプライマーを叩く。

ボルトロッキングメカなんて小洒落た物は大体付いていない。
ハンマーも撃針も付いていない。

拳銃弾の発射ガス圧はボルトの重量などで押さえ込む慣性の法則頼りだ。

つまりメカはすごくシンプルで簡単。
部品数も少ない。

拳銃弾を使用するから狙撃には向かない。

比較的至近距離でフルオートで弾をばらまくのが目的で、拠点防御を目的とする機関銃に対して塹壕戦で飛び込んだ塹壕に隠れている対象を一気に殲滅するのが短機関銃の運用目的だから使い方も違う。


機関銃の目的は拠点防御だからトーチカに隠れて腰を据えて射撃するので動き回る必要はない。
初期の頃のビッカースなどの機関銃は5人で運用していた。

それに対して短機関銃は一人に一挺で、二人で運用する短機関銃はまずない。

塹壕に飛び込んで殲滅戦をするのが目的だから、二人で担いでいたんではもたもたして反撃を食らう。
一人で軽快に扱えることが求められた。
なんとなれば片手で射撃ができるぐらいの軽快さも求められる。

機関銃と違って短機関銃のメカがとってもシンプルで部品数も少ないのはそういう理由もある。


短機関銃の運用で最初に成功したのは、ドイツ軍のシュマイザーMP38/40だった。

ドイツは短機関銃を第一次大戦末期に一瞬採用して実績があったが第二次大戦で大量に採用して、ボルトアクションライフルのKar98と併用して大きな戦果をあげた。

アメリカでも同時期トンプソンサブマシンガンを運用テストしていた。
「シカゴのギャングが使うような銃を軍用に採用するのか?」
という反発が多かったがヨーロッパで威力が証明されると、すぐに米軍でも採用が決まった。

ドイツのMP40やアメリカのトンプソンM1A1、イギリスのステンMk.II、ソ連のPPshなど各国で短機関銃は開発されたが、使用目的が走り回って塹壕に飛び込んだり、建物に飛び込んで室内を制圧したりだから、
「もっとコンパクトに」
という要求が当然でてくる。


旧パレスチナと言われた地域に人工的に建設されたイスラエルという国家でこの要求は実現された。

イスラエルという国は非常に特殊な国。


ユダヤ人国家であることは有名だが、建国の理由は実は複雑だ。

第二次大戦で非常に困窮したイギリスが戦費を調達するために、ユダヤ人資本に協力を求めた。

その際ユダヤ人資本家は「中東にユダヤ人の国家を建設してもらいたい」と要求した。

第二次大戦でイギリスは辛勝したが、戦費を賄ってくれたユダヤ人との約束は果たさなければならない。

そこでユダヤ教の聖地であるエルサレムを含む地域の先住民をどかして、そこに「約束の国家」イスラエルを建設した。


ところがエルサレムはキリスト教の聖地でもあるし、マホメッドがイスラム教の教えを開いたイスラムの聖地でもある。

さらにここに最近数百年住んでいたパレスチナ人が頑強に抵抗するし、周辺のエジプトなどのイスラム教国もこの反ユダヤの勢力を支援する形になった。

イスラエルは建国の最初から現在に至るまで周辺諸国はすべて敵という戦争状態が続いている。


こういう国だから、兵器の開発も自ずと洗練されてくる。

短機関銃はもっとコンパクトにならないか?という要求にイスラエル軍のウジール・ガル少佐が開発したのがUZIサブマシンガン。

この開発者の名前からUZIという名前になった。

この機関銃はグリップの中にマガジンを通すといういわゆるブルパップスタイルで銃を小型化することに成功した。





今回のお題はマルシン工業のUZI電動エアガン
マルシン工業のモデルガンやガスガンは比較的おなじみだが
実はマルシンは電動ガンも作っていた




電動ガンのメカ部分のレイアウト
レシーバーの最後尾にバッテリーが内蔵され
その前にシリンダー、さらに前にチェンバーと給弾経路のスプリング状のパイプが見える




モーターはバレル下の先台の中にレイアウトされている




今回このUZIの外観カスタムのために分解した様子




マルシンUZIのチェンバー周り
セミブルパップとも言えるグリップの中のマガジンからチェンバーに
BB弾を送り込む経路としてスプリング状のパイプがこの電動ガンの特徴
狭いサブマシンガンのフレームの中にこれらのメカを収めるために弾を迂回させた
このために小さくまとまったがマガジンを抜くとBB弾が数発こぼれ出してくる欠点もある




先台の中のモーターでフレーム内のシリンダーを動かすために
モーターのシャフトはユニバーサルジョイントでピストンにつながれている
さすがマルシンというか職人的な設計だがサバゲには向かない構造なのか
あまり売れなかったみたいだ
私にとってはリアルな回転速度とか発射音とか結構好きな電動ガンだった




今回バラしたのはこのUZIにこのバトルダメージの仕上げをするため




(上)実銃のIMIのUZIサブマシンガンと(下)マルシンのUZI電動ガン
さすがマルシンで外観の捉え方はクオリティが高い
モデルガンの金型をかなり利用していると思われる




マルシンのモデルガンのUZIはフレームもバレルもボルトもすべて金属製だったが
電動ガンはグリップフレームとレシーバーはABS
上部のボルトカバーとアウターバレルは金属なので
実戦で使用されたダメージの表現をサンディングと塗装で使い分けた




バレルは800番台のペーパーで擦りまくって銀色の下地が見える雰囲気に追い込んだ
フロントサイトガードは今回いろいろ工夫して確立したドライブラシならぬドライウエスで塗装した
塗料皿にステンレスシルバーのスプレーの塗料をとってウエスにつけて
半乾きになったところで叩いたり擦ったりして塗装している
筆跡がつかないのでこうした汚し塗装の時に向いている




エジェクションポートの上のボルトカバーは亜鉛合金製なのでサンディングで黒染めを剥がした
レシーバーのサイドやグリップフレームはドライウエスで黒染めが剥がれた雰囲気に塗装




UZIの特徴の多くはこの角度でわかるかもしれない
ボルトと一緒に動くボルトレバーはダストカバーがかましてあって
砂埃がメカに入らない工夫がされている




レシーバー左側もこんな感じ
折りたたみストックはスティール製でさすがモデルガンメーカーだ
これもサンディングして擦り切れた雰囲気にしている




マルシン電動ガンUZIバトルダメージの全景








UZIは第二次中東戦争でデビューしてエンテベ空港の人質奪還戦でも使用された
物語もたくさんある銃だ
砂漠で使用されたUZIをイメージしてハゲチョロケのイメージに仕上げた




UZIのリアサイトには100メートルゲージと200メートルゲージのピープサイト
現実には数十メートルあるいは数メートルの射撃が多かったと思う
ニュース映像でイスラエルの民兵が腰だめに通りの向こうの建物を掃射するのが印象にある




ボルトカバーとダストカバーも擦り上げた
ダストカバーは鉄製だからかなり味わいが違う剥がれ方








バレルの仕上がりはこんな感じ
















ストックを伸ばしたUZI
UZIは初期の頃イスラエル正規軍で木製の固定ストックで使用された
さらに小型化の要求が浮上して折りたたみストックが採用され
UZIというとむしろこのスタイルがイメージとして定着している



特攻サンダーボルト作戦

UZIってマルシンのおかげで日本のモデルガンファンにはおなじみのアイテムになっているが、1970年代までは結構謎に包まれた銃だった。

その中でUZIの射撃シーンが見られた初めての映画はおそらくこれ。

ユダヤ人を多く乗せたエールフランス機がハイジャックされ、犯人たちの要求で飛行機はウガンダのエンテベ空港に着陸。

ウガンダといえばアフリカの暴れん坊将軍のアミン大統領が恐怖政治に近い独裁を敷いている国。

交渉での人質解放は難航したためイスラエルはある決断をする。

イスラエル本国から輸送機数機に分乗した特殊部隊をエンテベに強行着陸させ、人質をほぼ全員救出した。

これが作戦コードネーム・サンダーボルト作戦。

この映画はもともとテレビ番組用に製作されたもの。

イスラエル軍の全面協力があったためか、UZIの射撃風景が初出となる。
おそらく撃っているのはステージガン化されていない実弾射撃のUZI。



チェ39歳別れの手紙

キューバ革命の指導者にして革命英雄のエルネスト・チェ・ゲバラの半生を描く2部作の後半。

カストロと出会いキューバに密航してモンカダ兵舎の襲撃でキューバ革命をスタート、ハバナ陥落・キューバ革命達成までの若き日を描いた1部に対して、この第二部では革命キューバ政府の工業相という重職を辞任し南米の圧政に苦しむ人民を救うためにキューバの外に出て他の国でも革命を起こす志を立てるゲバラを描く。

キューバで国民から尊敬され、盟友カストロからも惜しまれるが恵まれた成功者の地位を捨てボリビアの山岳ゲリラとして革命を志向するゲバラ。

しかし南米の中でも苛烈な軍事政権のボリビアでの戦いは苦境の連続で、外国人への無理解もあって結局ゲバラは政府軍に捕らえられ、ついにその生涯を閉じる…という後半生。





「チェ39歳別れの手紙」のボリビア山岳ゲリラと政府軍の戦闘シーンでゲリラにUZIを使っているメンバーがいる
ゲバラの戦死は1967年だから年代的にUZIはまだ最新式の銃だがこういうところで使用されたのか興味深い



ターミネーター

UZIが映画に登場するようになったのはこの辺りが最初のように思う。

人類の滅亡を防ぐ運命の指導者の母になるという未来をもつウエイトレスを、人類絶滅を目論む機械が未来から送ってきた殺人マシーンが抹殺に来るというストーリー。

その殺人マシーン役のシュワルツネッガーがクラブで指導者の母(リンダ・ハミルトン)を抹殺するために懐から取り出すのがUZIサブマシンガン。





UZIは長い間中東情勢を伝えるニュースフィルムでしか見られない謎の銃だったが
この映画では普通にLAの銃砲店で売っているということになっている
現代に降り立った殺人マシーンは早速銃砲店でお買い物
このシーンでフォールディングストック付きUZIがチラッと登場する




クラブでの殺戮シーンでシュワルツネッガーは懐からUZIを取り出して片手撃ちで撃ちまくる
いくらシュワルツネッガーが大男でも懐にUZIを隠すのはさすがに難しいような気がするが
この映画でUZIの重いフルオートの発射音が確認できる



ところでUZIの登場シーンで一番印象に残っているのは映画ではなく1981年のレーガン大統領暗殺未遂事件。

遊説中のレーガン大統領に近づいた男が短銃を発射、数発が大統領に命中したがレーガンは奇跡的に一命をとりとめた。

この暗殺未遂の実際の映像が当時ニュースで流れたが、大統領警護のシークレットサービスのメンバー数名がUZIを取り出したのが驚きだった。





レーガン大統領狙撃の実際の映像(Wikipediaより)
倒れているのが大統領で手前で高官も撃たれて倒れている
その後ろの人だかりで犯人が取り押さえられており
大統領を囲む数名のシークレットサービスがアタッシュケースから
UZIを取り出し「クリア!」「クリア!」と叫ぶという迫真のシーンだった
SSがサブマシンガンで武装しているというのもこの時初めて知った
SSの使用銃がUZIだというのもこの時初めて知った驚きだった
使用銃UZIは今ならさしずめH&KのMP5Kを使っているんだと思う



2020年6月17日
















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青木さやか