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映画に登場するプロップガン〜S&W M&P9…近未来の警察なら
こういう銃を持っていてもおかしくない…って実際今持ってるし…

Military and Police on the Movies

映画に登場するプロップガン〜S&W M&P9…近未来の警察ならこういう銃を持っていてもおかしくない…って実際今持ってるし…

グロック以降ポリマーフレームオートはハンドガンの世界では主流になったが、ポリマーフレームを取り入れたテッポの中で比較的成功しているのは皮肉にもスタートダッシュで大コケしたS&Wだった。

SIGMAで粗悪なプロダクト、模倣品しか生み出せないと評判を失い、おまけにグロックから裁判まで起こされて和解金として現金まで失った。

ところが映画の世界で登場するテッポは何か調べていたら、結構な作品でS&WのM&P9が登場することに気がついた。


グロックショックを受けてポリマーフレームはもう定番になった。

ポリマーオートのうちグロックと同じセミダブルアクションのストライカーというトンがったメカを導入したのがS&WのM&P9。


それに対してポリマーフレームに従来のハンマー式ダブルアクションを組み合わせたのがベレッタのPX4、あるいはH&KのUSP、P30、HK45などのクローン。

セーフティレバーはデコッキングを兼ねてシングルアクション、ダブルアクションを選択できる昔ながらのコンベンショナルなダブルアクションメカ。


折衷型がワルサーP99、PPQなどのシリーズがストライカー方式とダブルアクション・シングルアクションを組み合わせた折衷型メカ。






ストライカー+ポリマーフレームの組み合わせをマニュアルセーフティなしの
セミダブルアクションのみの安全装置で実用化したグロックG17
従来のダブルアクションオートの概念を完全に変えてしまった




ハンマー方式でコックした状態からシングル、デコックした状態からダブルアクションと
従来のダブルアクションオートのメカをそのままポリマーフレームに乗せたベレッタPX4
フレームがポリマーという点以外は手堅い昔ながらのメカの組み合わせ




Cz P09はさらに保守的でコックアンドロックのセーフティとダブルアクションの組み合わせ
人気のあったCz75をポリマー化しただけとも言える




ストライカー方式だがシングル・ダブルアクションでデコッキングボタンもあり
セーフティがないなど先進ストライカーと保守的ダブルアクションの折衷型のワルサーP99
これはこれで面白い考え方だと思うが主流になっていないところを見ると
変に妥協するより思いっきり先進的になるか保守的になるかの方が受けはいいようだ



先進性からいえばグロック・S&Wが先頭でベレッタ、H&Kはコンベンショナル、ワルサーのメカはその中間。

グロックとH&KのUSPクローンのヒットを見ると、先進的だからヒットするわけでもないし保守的だからヒットするわけでもない。

トップシューターや特殊部隊員の意見を聞いたらSOCOM MK23ピストルのような駄作もできるのでユーザーの意見を聞けばいいという物でもない。

S&WがSIGMAで大コケしてそのあとのM&P9がそこそこのヒットになっているのを見ると、大事なのはバランスなのかもしれない。





M&P9はポリマーピストルでは出遅れたS&Wの救世主になった
DEA(麻薬取締局、日本風に言うとマトリ)の装備として採用されたのをきっかけに
警察でも次々採用され気がついたらグロックの後継銃として普及し始めている



トータル・リコール

フィリップ・K・ディックのSF小説「追憶売ります」の映画化。

オランダ出身の鬼才ポール・バーホーベンが1990年に映画化し、さらに2013年にもリメイクされた。

問題はこのリメイク版の方。


ギトギトに脂っこく映画化されたバーホーベン版に比べて2013年版の「トータリリコール」はやや薄味だがリアリティ3割増しぐらいで映像化された。

ギトギトバーホーベン版が好きか薄味2013年版が好きかは好みの分かれるところ。

P・K・ディックのファンとしてはむしろ薄味版の方が雰囲気があるように感じる。


【ストーリー】

世界大戦によって世界の大半が人が住めなくなってしまった未来。

ブリテン連合と呼ばれるわずかに人が住める地域と、地球の裏側のコロニーと呼ばれる鉱山植民地に世界は分かれていた。

ブリテン連合の指導者はロボット警官を導入し独裁体制を強化する不安な世相だが、主人公のクエイドはコロニーに通勤する平凡な労働者として平和に暮らしていた。

ある日「あなたの望みの記憶を手に入れられます」というリコール社のコマーシャルが目に入る。

実際にビーチに行かなくてもバカンスに行った記憶を脳に直接植えつけるリコール社の広告に惹きつけられ、「秘密諜報員になって大活躍する記憶」をオーダーしたクエイドは装置のトラブルで消されていた記憶がよみがえり自分が何者か思い出していく…というストーリー。





記憶を取り戻したクエイドはコーヘイゲンの二重スパイだったという事実を確認するため
記憶を消される前の自分の録画を見てその語る事実が本当なのか知ろうとする
検問所で警官から奪った銃はレーザーエイムモジュールを付けたM&P9
2013年当時にはすごくモダンな雰囲気の銃だったが2020年の現在ではDEAを始め
全米の多くの警察がM&P9を採用してむしろ普通の風景になってしまった




同じくレーザーモジュールを取り付けた東京マルイのM&P9のVカスタムFDEモデル



【M&P9について】

以前に2001年頃にLAに出張したらアメリカの空港警備員や警官がみんなこぞって腰のホルスターにグロックのG17かG19あたりを吊っていたのに驚かされたことを前にも書いた。

アメリカの警官といえばみんなダブルアクションリボルバーを腰に吊っているというイメージがあったが、結局そんな警官は一人も見かけなかった。

アメリカ人は頑固なリボルバー派で、45オート以外のオートマチックは信用していないと思っていたので驚きだった。

そのグロックも導入以来20年から30年が経過してそろそろ老朽化が始まっており、更新時期を迎える物もある。

そのタイミングでSmith & WessonのM&P9がDEAに採用されたということもあって、グロックに準ずるがグロックほどとんがっていないM&P9が後継拳銃の選択肢になってきた。





M&P9のトリガー
メカニズム的にはグロックのトリガーセーフティと同じ物だがレバー式ではなく
トリガーを2分割した先の部分がトリガーセーフティ解除操作をする部分
このトリガーセーフティはトリガーに何かが引っかかった時の安全策ではない
銃を後部を下に取り落とした時に勝手に引き金を引いた状態になって
暴発をしないように引き金をロックするのが目的だ




この引き金のセーフティがグロックのほぼ唯一の人が操作するセーフティだが
M&P9はオプションでマニュアルセーフティも付けた
保守的な警察上層部にはとんがりすぎたグロックよりも安心感があったのだろう
M&P9はグロックの牙城に喰い込みつつある
そして「エアガンには必ずマニュアルセーフティをつけないといけない」という
ASGKの規定に合わせやすいのはグロックではなくS&WのM&P9だ
変なデフォルメをしなくても堂々とセーフティをつけられるので東京マルイも安心だ



未来の警察の銃というトータリリコールの予言は的中した。

M&P9は、警官から奪った銃でコロニーの反乱分子に会いに行くというトータリリコールの世界観にはふさわしいプロップガンになった。

プロップに関してはいろいろとんがりすぎたバーホーベン版のトータリリコールよりも、リアリティ3割増しというのはこういうプロップガンの選択にも表れている。

M&P9が登場する映画は実は結構たくさんあるが、どれもちょい役だったりで一番印象に残る使われ方をしている映画がこの2013年版のトータリリコール。


原作のフィリップ・K・ディックは人の記憶や意識を操作するというテーマに特徴があるSF作家で名作映画の原作になった小説も多い。

例えば「ブレードランナー」の原作になった「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」

あるいは「マイノリティーリポート」の原作になった「少数報告」

「アジャストメント」の原作になった「調整班」

そしてこの「トータルリコール」の原作になった「追憶売ります」。

いずれもワクワクしながら読んだ小説だし、ちょっとした短編がこんな壮大な映画になるというのも面白い。




2020年6月21日
















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