水平二連散弾銃続報〜銃身を28インチに切った〜それとKTWのエアコッキング水平二連を楽しみにしてたんだけど発売中止になったそうですね
ハドソン+華山、三個イチ水平二連散弾銃の仕上げの続報。
実際に切るまで迷っていた銃身だけどやはり28インチに切り詰めることにした。
先日紹介した「クレー射撃」という本を見ると射撃の用途でバレル長を使い分ける概要が載っていた。
本当は絞りと銃身長の関係でもっと細かく別れるのだが、大まかに言うとこんな感じ。
26インチスキートチョーク
コジュケイ・ヤマシギ・キジ・ハト
スキート射撃
28インチシリンダー
ウズラ・キジ・ハト・ヤマドリ
28インチ全絞り
ヤマドリ・カモ・キジ
トラップ射撃
30インチ全絞り
ヤマドリ・カモ・キジ
トラップ射撃
最近では24インチのシリンダーでウサギやイノシシを撃つとか、カモも26インチを使うとか短めの銃身を使うという人が多いみたい。
この本の出版当時ではトラップ・スキートの日本人選手の成績が振るわないのは26インチバレルを使っているからだという記述があったが、最近はまた短めのバレルを使うのが流行りらしい。
それはともかく、30インチに切ったバレルを装着して持ってみたサイドバイサイドはやはり長かった。
結局バレルを28インチに切ることにした。
34インチあった3個イチバレルを30インチに切った前回までの姿
これでもまだ長いと感じたので28インチにバレルを切ることにした
バレルを切ったら継ぎ目をキレイに埋めて
フロントサイトのビーズをつける算段をしている
ハドソンから移植することを考えていたがこれが
あまりにもひ弱で先端の玉がぽろっと折れてしまった
代用になりそうなものをまたホームセンターに探しに行こうと思っている
ところでこの華山の水平二連だけど一時期個人輸入されていた頃は
殺傷能力がある実銃判定が出て販売者が摘発されたことがあった
今回アマゾンから入手した個体はちゃんと通関用の弾速証明書がついていて
平均弾速86m/S、0.6Jという安全な初速で国内で販売されている
エアソフトガンの平均的な初速まで調整されていた
それはともかくバレルを28インチに切る決断をしたので
リューターのダイヤモンド切削鋸刃を入手した
28インチのラインから例によって2ミリ程度長めにして切り目を入れた
しかしミニリューターではやはり刃が立たなかった
完全に切ることはできなくてある程度切り目を入れるとこまで
電気工具で切りたいならやはりちゃんとしたグラインダーを購入しないと無理
結局残りの部分は先日同様金鋸で切ることになった
前回は汗一斗かいたが今回は汗七升ぐらいだった
ちょうど28インチの銃口部分ぐらいの場所に金型の湯口があった
これを砥石刃先でキレイに削って消した
本当に手がかかるテッポではある
計算しました
28インチは711ミリ
銃身長実測するとぴったり711ミリ
銃口の成型にやはり2ミリぐらい削ってしまったので狙い通りだった
こうして28インチバレルの水平二連散弾銃の外形はほぼ完成した
先日と同じ実銃のハンターのブログ写真風に和室背景で撮ってみた
リューターの傷を消した部分も磨き上げた
28インチに切った銃口部分もこれで確定なのでポリッシュした
散弾銃は拳銃やライフルと違ってクラウンがない
この通り真っ平らにぶった切ったなりの平らな銃口だ
バランスとしてはこんな感じ
銃身を折ったイメージ
何回か水平二連散弾銃のスクラッチビルド的な工作の話を書いているけど、散弾銃のモデルガンが欲しいなと昔から思っていた。
それこそ30年前のテッポ業界に愛想が尽きて興味がなくなる前からずっと好きだった。
20代の頃から夢で、歳取ったら洋間の居間で散弾銃を磨くような年寄りになりたいと思っていた。
前にも書いたけど本当はハンドガンに関してはタクティカルなオートよりもリボルバーの方が好きだし、パーカッションリボルバーの方が好き。
長ものもM4A1やSCARのようなモダンなコンバットライフルよりはボルトアクションの方が好きだし、マスケット銃が好き。
とりわけ猟銃が好き。
猟銃もポンプアクションよりも水平二連や上下二連のようなクラシックな猟銃が好き。
なんでこのタイプの銃が好きなんだろう?
いろいろ思い出してみた。
高校の時だったか近所のジャスコの屋上遊技場に
ナムコのレーザーシューティングゲームがあった
これが散弾銃型の銃を折ると2連発撃てて画面に投射されたカモや
皿を撃ち落とすというとてもよくできたゲームだった
ゲームもよくできていたしこのコントローラーの銃が
とてもリアルだったので当時入れ込んでいた
インベーダーゲームとかが流行るよりも前のことだ
当時は知らなかったがこのゲームコントローラーはSKBという実銃メーカーが作成していた
フレームにエングレービングの彫刻があったのはうっすらと覚えているが
実銃と同じ閉鎖機構でバレルにはエンジンターン加工がされているような
こんな高級な仕上げだというのは最近まで知らなかった
当時からリアルだなと思っていたが実銃メーカーが作っていたというのは最近知った驚き
上下二連の散弾銃っていいなと思ったのはこのジャスコのアーケードゲーム。
そして水平二連の散弾銃はいいなと思ったのがこちらの本。
福田 章二 著『喪失』 (中公文庫)
この小説に指紋が残っただけでそこから錆が浮いてくる繊細な猟銃の描写が出てくる
ここからクラシックな水平二連散弾銃への憧れが始まっている
学生時代にフランス文学のレイモン・ラディケに傾倒していたが日本のラディケというと福田章二だと思う…
と言ってもこの著者名だけでは誰もわからないかもしれない。
庄司薫という芥川賞を1969年に受賞した作家のペンネームならピンと来る人がいるかもしれない。
あるいはピアニストの中村紘子の亭主として知っている人もいるかも…
芥川賞受賞作家って直木賞と比べると気難しい芸術志向の作家先生が多いという気がするけど、その芥川賞受賞作家がアイドルみたいに若い女性に人気を博す村上龍やピース又吉のような作家の走りがこの人だった。
チャラい文学の走りだけど、この庄司薫が東大学生時代にラディケ流の心理小説を書いたのが上の「喪失」。
これを読むと「庄司薫」は作られたキャラだなということがよくわかる。
きっとフランス文学に入れ込んでいたんだろうね。
プルーストやらいろいろ読み漁ってラディケの「ドルジェル伯の舞踏会」のような小説を書いてみた…というのがこの小説かもしれない。
「ドルジェル伯の舞踏会」では登場人物の家系を冒頭詳細に長々と書いているが、実はこの描写が結末に重要な意味を持つ。
福田章二の「喪失」も猟銃についての詳細な描写が、一見無駄な文章に見えて実はその結末に重要な意味があった。
銃が出てくる面白い文学だった。
日本の小説家でラディケの線上にあるのはまさに福田章二だと思うが、ほとんど無名なのが面白い。
そんなこんなで水平二連の散弾銃のモデルガンがあったら欲しいなと思っていたが、ハドソンはあんなことになってしまうし…と思っていたら10年ぐらい前だったかなKTWが水平二連散弾銃を企画していると聞いた。
これに期待していたが、4年ぐらい前の公式ブログでこの企画は見送りが発表された。
KTWの水平二連は西部開拓時代のいわゆる「コーチガン」がモデルになっている
有鶏頭の水平二連でトリガー横のレバーでバレルを解放するタイプ
銃身長は22インチぐらいというところか…「荒野の七人」で
マックイーンがぶっ放していたやつだ
これは欲しかったな〜
企画中止は残念だけど、中止の理由は「コストが合いそうにないから」とのこと。
アルミ成型のバレルを鑞付けで繋ぐとか、リアルではあるけどそんなことしていたら定価は一体いくらになるんだ?
10万円では到底無理で20万円でも利益がないかもしれない。
30万円となるともう実銃が買える値段だし、こういう渋いアイテムを欲しがる人がたくさんはいないだろうからどのみち量産は利かないしどう考えても利益にはなりそうにない。
なのに初期ロットの500挺分のバレルはもう作っちゃった…ってなんと太っ腹な…
4年前にこの企画は中止になってしまったので、もう自分で作るしかない…ということで作っているのがこの水平二連散弾銃。
これも材料費はとっくに10万円を超えているし、工具やらなんやらで20万に届くかも…
安く上げるために自作してるんじゃなくて、誰も作ってくれないから自作してるので仕方がないけど…
Prismaで加工した写真も28インチバージョンで撮り直した
あとはフロントサイトになりそうなビーズをホームセンターに探しに行って工作すれば
バレルのつなぎ目を埋めて消して塗装・ブルーイングに取りかかれる
かなりゴールが見えてきた…
2020年7月21日
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