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L85が登場する映画…実銃は「弾が出る鈍器」とか酷評されたけど
スクリーンでは意外にガンバってるL85

L85 in Act

L85が登場する映画…実銃は「弾が出る鈍器」とか酷評されたけどスクリーンでは意外にガンバってるL85

L85ってマイナーなアイテムだし、サバゲのフィールドではあまり見かけなかった…というか英軍のコスプレしている連中の専用銃という感じだったかな。

M16とかAK47とかは多分銃に興味がない人でも知っているかもしれないがL85なんてまず知らないだろうけど、LSのL85を磨きなおしてみて眺めているうちに「それでも意外に映画にはあちこちでてきているよな」と思い始めた。


ブルパップの制式ライフルとなるとオーストリア軍のStG77 AUG、フランス軍のFAMAS、そしてこのイギリス軍のL85が代表格なんだけど、実はブルパップライフルは世界中で試作されていてブルパップに全く興味を示さなかった国の方が少ないかもしれない。

それなのに開発から制式まで踏み切った国がこの3国しか思い浮かばないのは、やはりブルパップには大きなメリットもあるがデメリットもあるということなんだろう。

L85も結局は軍モノでしか見かけないし、世界中で採用されたAUGと違って制式採用したのは英軍のみなので登場するシーンも英軍のシーンということになる。





(上)実銃のL85A1と(下)LSのプラモデルL85A1エアソフトガン
前回取り上げた時もリファレンス用に比較写真を撮ったが実銃の雰囲気に近づけて撮り直してみた
Wikipediaの写真はちょっと色味が赤すぎて変な色になっているが下のLSの写真がほぼ実銃の色
並べてみるとLSの外観は本当にリアル



アフガン・レポート

タリバン撲滅のためにアフガニスタンに駐留した多国籍軍に参加したイギリス軍の実際にあった事件の映画化。

アフガニスタンの辺境の英軍駐屯地、というか山の上の砦のような粗末な陣地からタリバンの補給地を監視する任務に就いた英軍部隊。

ルーティーンのようにタリバンへの爆撃指示を出したりの日常だった。

ある日、哨戒のため数名で山から下りてタリバンが活動していたと思しき谷をチェックしていたところ、隊員の一人が地雷を踏んでしまい片足を失う重傷を負った。

その救護をしているうちにもう一人が地雷を踏み抜いてしまい、周囲はべったり地雷原であることが判明。

救護ヘリを要請したが、そのヘリのローターの風でさらに地雷が誘爆して数名が重傷を負う重大事態に陥ってしまった。

重症者を担いで退避すると悪化して死亡するかもしれないが、救護ヘリは連絡不行き届きのために地雷原の救出に全く向かない大型ヘリしか来ない…という危機的状況を乗り越えた実在の英国軍兵の実話。





激戦地から後方の監視任務に移動する主人公たち
砂漠仕様のリザード迷彩のズボンに下着の黒シャツというラフな格好で砂漠を歩く
手にはH&Kによって改修されて「弾の出る鈍器」の汚名を返上した改良型のL85A2を持っている




アフガンの平原に沈む夕日バックのL85と英兵
なかなか綺麗なカットだ




哨戒任務中に地雷被害にあった部隊を支援するために
山を下りてきた救援隊の一人が持つL85はなぜか改修前のL85A1
しかもクーリングホールが塞がっていてコッキングレバーが
取れているので形だけで動かないモックアップなのかもしれない




同アングルのLSのL85A1
L85はこの通りクーリングホールが幾つも開いていてスケスケなのが特徴



トゥモロー・ワールド

2027年の近未来、全人類に新たに子供が生まれなくなって18年の年月が過ぎ去った。

最後に生まれた子供が死んだというニュースが全世界を悲しみに沈ませる。

荒廃した世界は民主主義を捨て全体主義的統制社会となり、その権力者とも親しい主人公は街中で公然と横行する爆弾テロを目撃する。

昔別れた妻に誘われるままに会いに行くと彼女は今ではこのテロリストの仲間となっており、ある計画に協力するように求められる。

ある黒人の少女を「ヒューマンプロジェクト」と呼ばれる船まで送り届けるという計画に公務員という彼の立場を利用するのが彼らの狙いだった。

ところがその少女が実は妊娠していることが判明した。

18年ぶりの人類の赤ん坊…この奇跡を巡って新たな争いが巻き起こる…という内容。

この映画は「ゼログラビティ」のキュアロン監督のその前の作品だった。

だから際立った特徴はワンカット長回しのノー編集シーンにある。

特に後半の赤ん坊を連れて隠れ家を脱出したところテロリストに捕まって、しかしその後そこからも脱出して英軍とテロリストの戦闘の真っ只中に赤ん坊を救出し、船着き場に向かうというシーンをワンカット長回しで撮っているのが驚異的。

この映画以降、長回しの映画は流行で結構いろいろ観てきたが規模が大きいのはやはりこの映画だと思う。





テロリストに奪われた赤ん坊を取り返すべく彼らが立て籠もる建物に入っていった主人公
母親とともに取り返した赤ん坊を抱いて階段を下りていくと銃を構えて
にらみ合っていたテロリストと政府軍の兵士たちは表情が変わり銃を下げる




赤ん坊とその母親を静かな眼差しで見送る政府軍兵士たち
この赤ん坊こそが人類最後の希望なのだということが兵士たちにも
テロリストたちにも沁み渡っている




通り過ぎる赤ん坊を見て兵士たちは銃撃をやめ思わずひざまずいて十字を切る
しかし赤ん坊が通り過ぎると兵士たちとテロリストは激しい銃撃戦を再開する




この政府軍兵士はH&KのMP5やG36を持っているものもいるが大部分はL85を持っている
英国軍中心に編成されたヨーロッパ連合軍のような設定なんだと思われる
SUSATサイトをつけたL85は上から見ても特徴的なスタイルをしているので遠目でもわかる



デビル

1970年ごろから80年代にかけてはIRA(アイルランド共和国軍)と駐留英軍、親英派のアイランド人などが三つ巴になって白昼市街戦を始める地獄が北アイルランドで繰り広げられていた。

ニューヨークのアイルランド系アメリカ人の警官(ハリソン・フォード)の元に、アイルランド系の同郷会の紹介で物静かな青年がホームステイすることになった。

北アイルランドから来たその青年(ブラッド・ピット)は快活で出しゃばらない控えめな態度にすぐ家族の人気者となる。

ところが彼も子供の頃、父親を親英派のアイルランド人によって目の前で射殺されていた。

「警察に訴えたのか」
と質問するハリソン・フォードに
「ムダですよ、警察もグルなんだから」
とブラッド・ピットは諦めたように静かにいう。
「これはアメリカの話じゃない、遠い国の話だ」

やがてこの物静かな青年はIRAのメンバーでアメリカに武器の買い付けに来ていたことが判明する…





70年代から80年代にかけての北アイルランドは白昼普通の市民が
生活している場所で突然銃撃戦が始まる紛争地帯だった




IRAとの銃撃戦で死亡した英軍兵士
手には改修前の旧型L85A1
映画の中では特にジャムも起こさず快調に発砲していたが
独立を望むアイルランド人の攻撃は激しかった




英軍兵士が持っていたのはこのLSと同じ旧型L85A1
なんせ23年も昔の映画なのでハリソン・フォードもブラッド・ピットも若い
L85も古い…現代ではない、遠い時代の話だ…



物静かな好青年は実はスティンガーミサイルをマフィアから購入してアイルランドに持ち帰ろうとしていたが、マフィアとの商談に行き違いがありギャングは相棒の首を切り落として金だけ横取りしようとピットを追い詰める。

ところが本当に怖いのはヤクザものよりも、こういう信念のためなら命も惜しまないテロリストだということを彼らは思い知らされる。

邦題の「デビル」は英語オリジナルタイトルの「The Devil's Own」からきている「悪魔のような男」という意味なんだろうけどこれは原題の方が意味が深い。

Devil's Ownは「酷い話」とか「大変な災難」という意味なんだけど「悪魔の分身」という意味もある。

マフィアを相手に悪魔のような残忍さを見せるテロリスト、しかし善良なアメリカ人のフォードによってその企ては潰える。
「酷い話」だ。
しかしピットの最後のセリフ
「それはアメリカの話じゃない、遠い国の話だ」
に深い諦めがにじむ。



2020年11月30日
















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