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APS CAM870をトラディショナルなRemington M870風に
外観カスタマイズする〜実銃ストックをつけたら気分が上がってきた

WingMaster

APS CAM870をトラディショナルなRemington M870風に外観カスタマイズする〜実銃ストックをつけたら気分が上がってきた

以前マルゼンのM1100を猟銃風にカスタマイズした時に、ガスガンのM870に実銃用ストックをつけて猟銃風にしているサイトを見つけていい雰囲気だなと思っていた。

M1100はマルゼンしか素材がなくて、マルゼンは実銃とは全く別物のメカアレンジなので実銃ストックを取り付けることは不可能と判断して元々の木ストを猟銃風に仕上げ直した。

絶対に不可能とは言わないが、おそらく気の遠くなるような木工が必要になってやれそうなイメージが湧かなかった。

それに比べてRemingtonのM870なら色んなメーカーが出しているし、その中には実銃ストックを取り付けることができるものもあるに違いないと物色していた。

M870には3つの系統があって、一つは東京マルイのようなカートリッジレスのタイプ、もう一つはマルゼンのモナカメカボックスにトリガーメカも全部収容したタイプ、そしてタナカワークスの実銃と同じトリガーメカを持ったタイプ。

M&Tはほぼマルゼンのコピー品でタナカと同じタイプはPPSとAPSという感じかな。

実銃のストックを取り付けられそうな可能性が一番高いのはこのPPSとAPSのあたり(タナカは絶版になって久しいので入手そのものが困難)。

APSは香港のメーカーで、CAM870は5年ほど前に台湾警察に実銃認定され違法な模造銃として輸入元が家宅捜索を受けたりして話題になったが、中日台のなかでも一番厳しい日本の銃刀法に適合するためにメカをリファインして合法なものが入ってきているのでこれをベースにするのがいいのではないかと前々から思っていた。

そこに渡りに船で実銃のRemingtonの M870 Wingmasterの木製ストックの出物があったので、両方入手した。





今回入手したAPSのCAM870 MK-II JP
外観はシンセティックストックをつけたノーマルなM870に近いのとストック内に
ガスタンクを置かないメカアレンジが可能性があると思ったのでこれを選んだ
香港メーカーなんだけど「妥協という選択肢はない」という箱の文句がすごい




一通り装填排莢の動作確認をするのももどかしくいきなり完全分解
なんせRemingtonの実物ストックがつくのかつかないのかが最大の関心事なので
命中精度とか威力とかには全く関心なしw




RemingtonのWingMasterの実銃用ストックとフォアエンド
木の部分が割れたようなコンディションのものはよく見かけるが
今回は非常にコンディションが良かったので少々お高かったが奮発した




ポン付けできるとは思っていなかったので相当な加工を覚悟していたが
APSのアクションバーがいきなりフォアエンドに無加工でついてしまい拍子抜け




むしろ苦労したのはレシーバーの完全分解・組立でシェルストッパーの板バネを
左右押さえつけてチューブラーマガジンに挟みながらマガジンをレシーバーに刺さないといけない
私の腕は2本しか生えていないので左右のバネを抑えながらマガジンを位置調整しながら差し込む作業なんてできない
そこでドライバーのグリップでバネを押さえてマガジンを差し込む手順を考案
この作業で小一時間浪費した




やっと刺さったシェルストッパーバネは長いベロがマガジンの外側に
短いベロが内側に刺さっていないとシェルが装填できなくなってしまう




APSはタナカのコピーというよりは実銃からメカの図面を描き起こしてガスガンにアレンジしたようだ
マガジンキャップのストッパースプリングプランジャー(赤丸)がちゃんとバレル側に再現されていて
マガジンキャップ側にはそのリセスが彫り込まれておりキャップが緩まない実銃メカが再現されている




あと苦労したのはストックの側でAPSのストックスクリューがとても短かったので
ドライバーが届かず延長工具はストック内の幅が狭いためにスクリューを回せない
分解には特殊工具が必要なようでそれを入手するか迷ったがシンセティックストックに
戻すことはないだろうと思ったので結局ストックを切ってネジを外した
これはこれでスタイルが悪くないストックだったのでちょっと勿体なかった




そのストック固定用のネジはRemingtonとAPSではネジ径が微妙に違うために入らない
結局数巻ほどねじ切りして長さが合わない分はアルミパイプでスリーブを作って固定した
展示用ならこれでもいいが振り回しているとボキッといきそうだ
今回は仮組ということでいずれバイスか何かでちゃんと固定できるように加工する




なかなか苦労したが実は予想したよりもはるかに少ない加工で実銃ストックがついたAPS




ダミーシェル、アモベルト、ハンティングナイフと猟友会ベストといっしょに
スキートなどの競技射撃でポンプアクションを使う人はもうほぼいないそうだが
ハンティングをする人にはオートや上下二連なんかよりも
M870のようなレピーターを支持する人が今でも少なくないそうだ
多分故障しないという安心感からなんだろうな




Remingtonのこの独特の美しさは多くはこの木工部分のボリュームに由来していると思う
ガスガンのストックを木工してこのカーブを出すことも考えたが不可能という結論にいたった




バレルを分解したところ
バレルの根元はマルゼンのようにまっすぐ切ったような形ではなく
シェルをチェンバーに誘導するリップが突き出ているのがリアル
ここにボルトのロックが嚙むリセスがあればさらにリアルになる




WingMasterのフォアエンドはレシーバーにかかってその外側を包むような後退位置
これは左手のグリップが遠いというレピーターの欠点を解消するためのデザインで
警察用のポンプアクションではみられない工夫だがこれも美しさの要因




マルゼンやS&TはチェンバーレスだがAPSにはチェンバーがあってそこにシェルが送り込まれる
シェルの後ろにエジェクタースプリングもみえていてこの光景もリアル




例によって猟が趣味の人のブログ風の写真




(上)RemingtonのM870 WingMaster Express実銃と(下)APS CAM870猟銃カスタム
上の実銃はWingMasterの廉価版のExpressの中では上のクラスで多分8〜10万円ぐらいの銃
APSにつけたストックはExpressよりも上のクラスでClassicsよりは下のクラスというところ
バレルは実銃は28インチがAPSには20インチがついている




Remingtonのストックのチェッカリングの加工を手作業でやると
M870で10〜15万円、M1100で20万円という実銃の販売価格は
ありえないだろうと思っていたがやはりこれは金型プレスの機械加工だった
塗装はウレタンだし実銃はなかなか量産向けの工作で作られている
今回の出物の目立つキズはこのストックの一ヶ所だけだった




APSはだいたいリアルなんだけど一ヶ所外観が大きく実銃と違うところがある
チューブラーマガジンが2センチほど長くてバレルリングがフォアエンドの前に露出している
これはおそらく実銃バレルを取り付ける違法カスタマイズを予防する処置でそうなら仕方がない
他にもいろいろ違法改造防止の工夫があちこちに見受けられる




20インチバレルだとインナーバレルが銃口まで届いてあまりリアルではない
これは24インチバレルをすでに発注済みなので届き次第交換する
スラグ弾用シリンダーバレルという設定で20インチも予備で置いておくつもりだが




5年前の摘発を受けて大きな改造予防策はシェル蓄気式からボルトにガスタンクを移したこと
このためガスの注入口はブリーチボルトのエキストラクターの下にある
この構造に変更したので実弾を込めて発射できるようにする改造は不可能になった
コクサイM29事件以来カートリッジにガスを詰める蓄気式は大体当局から目をつけられるので
この仕様変更はタナカのファイアリングピンにインサートを入れる方式より賢明かも
この構造なのでバカスカ撃つゲーム仕様ではないかもしれないが




Remingtonのストックは工作法こそ量産向けのお手軽な工法だが
割といい木材を使っているので仕上がりは綺麗だ
木目がはっきりしたウォルナットで最上級モデルではないが杢が入ってキレイ




国産のエアガンはストックパッドはやわらかいゴム製が多いが
Remingtonは硬質のウレタン樹脂のような素材を使っている
Remingtonのロゴがしっかり入っている




グリップエンドにもRemingtonのロゴが…
Expressの最上級クラスかWingMasterの一番ロークラスのストックなので
ここはカメオではなくプラのチップになっている
またカメオを自作するかどうか思案中




刻印はあまり再現されていない
レシーバーに薄くAPSの品番の刻印がある
JPは日本向け0.9J未満の弾速に落としたバージョン




トリガーガードにMade in Chinaの刻印があるがいずれもレーザー刻印風で
しかも薄いので一度表面を研磨したら消えてしまいそうだ
変な刻印を深く打たれるよりはマシだが




こうなると並べてみたくなる
(上)APS猟銃カスタムM870と(下)マルゼンM1100猟銃カスタム




APSもマルゼンも警察用ショットガンのイメージだったが
ストックが変わるだけでかなり雰囲気が変わる




ウレタン系のニスでピカピカに塗装されたRemingtonのストックと
マルゼンのニスをはがしてワトコオイルで仕上げ直したM1100ストック




(上)APSのM870と(下)マルシンのモスバーグM500




マルシンのモスバーグはアクションバーが亜鉛合金部品なので動かしているとすぐに折れてしまう
そのため警察仕様のスパルタイメージに反して長年展示用専門だった
APSは一応スチール部品を使っているので多少は耐久性がありそうだ




(上)APSのM870と(下)未完の大器崋山+ハドソン3個イチの水平二連ショットガン




本当は水平二連散弾銃が一番好きなんだけどなかなか完成しないハドサンキメラ銃
いつまでも未完の大器とかいってられないんだけどどうしようか悩んでいる時間が
一番楽しいんじゃないかと最近思い始めている




こうして今見るとハドソンのストックもそこそこきれいだな
最近は木スト付きの散弾銃をシンセティックストックに付け替えるハンターが
多いので時々上々のコンディションの木ストが中古市場に出る
もしこの銃を担いて山歩きをするんだったら確かに
シンセティックに付け替えたくなる気持ちはわかる




レシーバー仕上げの比較
(上)のAPSはマットブラックの塗装風の仕上げで実銃も廉価版のExpressならこんな感じだが
このクラスの木ストがつくWingMasterはブルーイング仕上げなので塗装をかける予定
その前に24インチバレルが到着したらベンチレーテッドリブサイトの工作をする予定
バレルも24インチのままなのか26インチに延長するのかまたしばらく悩みそう
水平二連はパテ盛りで継ぎ目を消さないといけないのでバレル塗装仕上げ一択だろうなぁ



実銃のRemingtonのストックを実際に手にしてみて長年疑問に思っていたことが判明した。

実銃のストックはとてもキレイなシーズニングした木材を使っており、花型、雲型のデザインのキレイなチェッカリングが入っている。

このチェッカリングを手工業で彫っていたら相当な熟練工でないとこんなにキレイにはならないはず。

しかしRemingtonの散弾銃の販売価格を見ると、そんな熟練工を常時雇えるようなコストは出ないはず。

実際昔は日本のモデルガンメーカーにも木ストにチェッカリングを彫る熟練工がいたが、当時から結構いいお値段していたし、今ではそうした熟練工は絶滅してしまい日本にはキレイなストックを作れるメーカーはなくなってしまった。

Remingtonは、しかも人件費が高いアメリカなのになんであのクオリティが維持できるのかと思っていた。

実物を手にしてみてみたらチェッカリングは彫ったのではなく、こういう形の金型を高圧で木にプレスして圧縮でチェッカリングの模様をつけているのがわかった。

これなら専用の工作機械さえあれば工作は素人でもできるだろう。

そういうことなんだな。

このことはフォードのT型フォードの話を思い出させる。


19世紀に発明された自動車は長い間、ダイムラーやロールス・ロイスといった職人技による手作業で生産されていた。

だから自動車は非常に数が少なく高価で、これを買えるのは貴族や資本家、高級将校、有力地主と限られた人たちだけだった。

そして自動車は一台ずつ手作業で作られているので、一度故障したり傷がついたりすると交換部品をまた職人が擦り合わせながら手作業で作るので修理は非常に時間がかかった。


ところがアメリカで自動車工場を立ち上げたフォードは、こうした従来の自動車職人とは全く違った生産法を確立した。

それがT型フォードで、車はすべてベルトコンベアに乗せられ、フロントグリルを取り付けする職工は一年中その仕事だけをやる。

そしてすべてのT型フォードは同じ規格の部品で構成されているので、組立にはいちいち擦り合わせは必要ない。

職人技なんか必要ない、職工は近所のパートのおばちゃんで十分。

コンベアで完全分業で生産するので1日に数十台、やがて数百台の車が一つの工場で生産されるようになった。

当然車の価格は劇的に下がる。

熟練した職人なんか雇わなくてもいいので、人件費は大幅に節減できるから。

安いから購買層は王侯貴族、資本家などの富裕層だけでなく町で働く庶民、農民などが車の購買層になった。

そしてすべての部品が規格化されているから、どこか壊れても部品を修理しないで壊れた部分を丸ごとそのまま交換すればいい。

車の修理も劇的に安く、短期間にできるようになった。

これがアメリカのモータライゼーションを推進し、アメリカ人の主たる交通機関だった馬を過去のものにしてしまった。


このT型フォードの大変革を可能にしたのは部品の規格化だった。

すべての部品が同じ規格のサイズ・形状で製作されているから組立ははめ合わせるだけでいい。

この話はアルビン・トフラーの第三の波に登場したエピソードを思い出させる。


昔NHKの特集でアルビン・トフラーの「第三の波」が取り上げられ、トフラー自身が「第一の波」「第二の波」「第三の波」とは何かを説明していた。

例えば我々は今から数千年未来の「考古学者」だとする。

この考古学者たちは20世紀の遺跡を発見してこの時代をどう捉えるか。

(ここで砂の中から錆びついたスミスアンドウエッソンの拳銃を掘り出し)「20世紀というのは高度に規格化された時代だったということがその特徴だと考古学者たちは考えるに違いない」

「例えばこの拳銃、部品を一つ取り出して同じ型の別の拳銃に取り付けても正常に動いて完全に動作する」

「この非常に高度に規格化された産業こそが20世紀という時代の最大の特徴なのです。」
とトフラー教授は説明していた。


高度に規格化されているから、部品を外して別の機械に取り付けても動作するということを数千年未来の考古学者でも確認できる。

かつては非常に熟練した手工業で工芸品を作ってきた19世紀までの産業と違い、20世紀は規格化された大量生産によって製品を高度化してきた。

Remingtonのストックがプレス機一発で「ガシャポン」と作られていることを知って、日本の絶滅してしまったストック職人との対比でこのトフラーのエピソードを連想してしまった。


フォードvsフェラーリという映画でマット・デーモンがクリスチャン・ベールに
「フォードの車でル・マンに出場してフェラーリに勝つ」
と言ったら
「何十年以内に?」
「3ヶ月」
「頭どうかしちまったのか?フォードでフェラーリに?あのフォードで?」

と呆れられるシーンがあったが、まさにフェラーリ的職人芸を徹底的に排除して成功したのがフォードという会社だったのに、その安くて見栄えが良くて性能はぼちぼちという車ばかり作っているフォードで世界最高の職人芸のフェラーリにその本拠地の耐久レースで勝てるのかという話だった。

あの映画はそういう視点で見るとすごく面白い映画だった。


Remingtonのストックの工作を見てこんなところまで連想が広がってしまった。

このストックの工作はトフラー教授風にいうなら第二の波の規格化された大量生産の産物だ。

そして日本のストック職人が絶滅した後もこの第二の波はしぶとく生き残っている。

しかしトフラー教授は「第二の波の後には第三の波が来る」と予言していた。

脱産業化、規格化された大量の消費財を捨て、プロシューマーがサブカル的な消費を始める時代が来るに違いないというのがトフラーの予言だった。

21世紀も間も無く中盤に差し掛かる現在は確かにその方向性が見えている。


となるとテッポの工作はどうなるんだろう…とどうでもいいことをWingMasterのストックを見ながら考えていた。



2021年7月29日
















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