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映画に登場するプロップガン〜Remington M870とBrowning High-Powerが
登場する「レオン」「マトリクス」「ターミネーター2」ほか

WingMaster and High-Power

映画に登場するプロップガン〜Remington M870とBrowning High-Powerが登場する「レオン」「マトリクス」「ターミネーター2」ほか

テッポの話ばかり書いていたらテッポオタクだと思われるので(まるで違うみたいな言い方だ)映画の話を書いて薄めるといっていた。
なのに、ここのところテッポのカスタマイズの話ばかり書いているので映画の話を続ける。

前回に続いてここのところいじっていたRemingtonのM870とBrowningのハイパワーの登場する映画の話。

RemingtonもBrowningもどちらかというとメジャーなテッポなので登場する映画も山ほどある。

最近お世話になっているInternet Movie Firearms Databaseを参考に印象に残ったフィルムに絞って取り上げてみる。


レオン

前回に続いてRemingtonのM870について。

T2なんかを見ればアメリカの警察で使用されている散弾銃が総出演という感じだった。

警察物でおそらく一番スクリーン登場回数が多いイサカM37、
警察の車載銃として普及しているモスバーグのM500、
当時警察の新装備として普及し始めていたフランキのSPAS、
「ゲッタウエイ」でスティーブ・マックイーンがぶっ放しまくって有名になったハイスタンダードのK1200、
西部開拓時代から現代まで地方警察・民間で愛用されているウインチェスターの1887、
そしてRemingtonの870…

アメリカの警察物、ギャング物を取り上げるならショットガンを取揃えるのはぜひ物…と「ニキータ」でヒットを飛ばしたフランスのアクション派巨匠のリュック・ベッソンは考えた。

しかしこの映画はハリウッドデビュー前だったので主にヨーロッパで撮影された。

だからSWATなどの警察装備がHK33やSIG・Sauer SG540、SG551などのヨーロッパでしかあまり見ない銃ばかりなのはご愛嬌。

そのなかで散弾銃は比較的頑張っている。

多分ヨーロッパでは警察もギャングも散弾銃を使う風習があまりないので、アメリカからの輸入プロップに頼ったおかげだろう。





(上)Remington 870 ライフルドバレル装着の実銃と(下)APSのM870 21インチバレルカンチレバーバージョン
「レオン」には散弾銃は2種類登場したがどちらも印象的な使われ方をしていた




冒頭で預かった押収品横流しの麻薬をくすねたのを悪徳警官に咎められ脅されて
マチルダ(ナタリー・ポートマン)の父親がカーテンに隠した870で反撃する
反撃虚しく家族は全員殺され一人生き残ったマチルダも追われる身になる




このだらしない父親がカーテン裏に隠した散弾銃が
トリガーガード・セーフティの形から870とわかる



この父親が隠し持っていた870は大物猟に使用するようなスラッグ弾用のバレルを着けていた。

アメリカ人ってこんな感じの銃を使うんでしょ…という教科書的なプロップ。


ちなみに以前こういう銃をハーフライフルと書いてしまったがハーフライフルは日本独特の銃なんだそうだ。

日本の銃刀法はなぜか全銃身長にライフリングを施した銃は散弾銃ではなくライフルと認定し、所持の条件が散弾銃より厳しくなる。

その規制をかいくぐるために12ゲージスラッグバレルのライフリングを半分だけ削った「ハーフライフルバレル」がイノシシ・クマ猟をするハンターに愛用されている。

しかし外国人から見ると
「なんでそんなバカなことするの?」
という感じなんだそうだ。


それは余談だがそういうスラッグ弾を使うような銃なので、対人用にも使うのがアメリカ流…というリュック・ベッソンの精一杯のリアリズムだった。





メリケンのもう一つの代表選手としてイサカ37も使用されている




このマチルダの家族が皆殺しにされるシーンで
ゲイリー・オールドマンが使用するのがイサカ37
マガジンの先端にマグライトを装着した「警察っぽい」カスタム




この映画の発砲シーンで一番衝撃だったのがマチルダの継母が風呂場で射殺されるシーン
発砲のタイミングに合わせて風呂の泡の中と風呂の反対側の外に弾着を仕込んで
同時に発火させるという見事な効果で実弾を使っているんじゃないかと思わせる効果を出している
この弾着の効果を俯瞰で見せるベッソンのカット割りも冴えている


悪徳警官から横流し押収品の麻薬をくすねた父親のせいで、一家皆殺しになった少女がこの悪徳警官への復讐を果たすために、たまたま隣に住んでいたプロの殺し屋に弟子入りして暗殺稼業の修行に励む…というなんとも風変わりなストーリー。

ジャン・レノ演じるプロの殺し屋が従来の冷血非情な男ではなく無学でジーン・ケリーの「雨に唄えば」を観て涙するような純朴な男で、タバコをふかす蓮っ葉な不良少女がこの純情な殺し屋に恋をする「夢見る殺し屋」という常識破りの奇妙な物語。

「ニキータ」で薄暗い暗殺屋のイメージを覆したリュック・ベッソンの面目躍如という快作だった。



マトリックス

最近ジャンク状態から救出したBrowning High-PowerのMk.III

ハイパワーもメジャーな銃なので登場するフィルムは多いのだが、1988年のMk.III発表以降それ以前のタイプのハイパワーは製造されていないはずなのに映画では意外に明確にMk.IIIと特定できる個体が出てこない。

記憶の中ではこれはきっとそうに違いない…と思っていたこの映画に登場するハイパワーもMk.IIかもしれない。

なんでこんなにMk.IIIにこだわるのかというとMk.IIIが好きだから。


昔小坊の鼻垂れの時に初めてリアルなプロポーションの銀玉鉄砲にであったのが「ブローニングハイパワーモデル」だった。

マルシンのモデルガンも全機種持っていたし(全部手放してしまったが)、タナカがガスガンのハイパワーを発売した時も飛びついて買ってしまった。

しかしなぜかみんな昔のM1935やコマーシャルビジランティなどの古いモデルばかりだった。


ブローニングのハイパワーは名銃だと思うが、欠点もある。

そのうち僕が思う最大の問題点はセーフティが小さいということだ。

グリップして親指で触れただけではセーフティが解除されているのかどうか、瞬時にはわからない。

標的から目を離してセーフティを確認するうちに遅れをとる。

セーフティがアンビでないのも大きなビハインドだと思っていた。


Mk.IIIは標準でセーフティを延長し、アンビにした。

当時はまだゲームに出ていた頃だったから
「ハイパワーがアンビになってセーフティが延長されたらサイドアームはハイパワーで決まり」
と思っていた。

だから
「ハイパワー持つなら絶対Mk.III」
と思っていた。


今は撃ち合いをすることもないけど、当時こだわったからMk.IIIはやっぱりハンドガンの中では一番好きかもしれない。





「マトリックス」では「覚醒した者」は古い電話や銃を使うというアナロジーがあったように思う
そのシンボルの一つ「スイッチ」が使うブローニングのハイパワー




この「スイッチ」のハイパワーはMk.IIIだったと長年思い込んでいたが
キャプチャーをよく見るとセーフティがアンビではない
スライドのスプリングハウジングの形状からMk.IIではないかと思う




(上)Internet Movie Firearms Databaseより「スイッチ」のプロップ、
ターゲットサイト付きハイパワーと(下)タナカワークスのハイパワーMk.III
プロップはニッケルメッキのターゲットサイト付きでスライドの形状からMk.II以降のモデルだが
データベースにはMk.IIIと書いてあったがセーフティがアンビでないことからMk.IIIではないと思う
グリップパネルの形状も古い



ビバリーヒルズ・コップ

ハイパワーというと多分代表作は「ビバリーヒルズ・コップ」。

みんな大好きエディー・マーフィー演じるアクセル・フォーリーの愛銃。

なんだけど、この1作目は1984年封切りなので、もちろん1988年に発表されたMk.IIIは出てこない。

その後このシリーズは3まで制作されたからMk.IIIに持ち替えても不思議ではなかったが、この主人公も古いものにこだわるという設定だったようで一貫してMk.IIを使っていた。


ハイパワーというとジャムや故障が少なく玄人好みというのが当時の評価だったので、エディー・マーフィーのプロップにも選ばれたんだと思うけど、エディ・マーフィーはガンシューティングの演技が下手だったのであまり「玄人」という感じがしなかった。





ハイパワーを構えるエディ・マーフィー
のちに本人がインタビューで「実は銃が怖くて撃ち合いのシーンの撮影が嫌だった
銃を撃つ瞬間に目をつぶっているのがはっきり映っているよね」
と白状していた




(上)エディマーフィーが使用したものと同型と思われるBrowning High-Power Mk.II
と(下)タナカのハイパワーMk.III
Mk.IIはブルーイング仕上げに対してMk.IIIからブルーイングは止めて塗装仕上げのみになった
絵面はMk.IIの方がキレイだからフィルムにはMk.IIが出てくるのかもしれない
露出型エキストラクター、スライド形状は後期型だが
セーフティがアンビでないのがMk.II見分けポイント



ジョン・ウィック

80年から90年代にかけてはダブルカラム、ダブルアクションの大型オートが数多く出てきたので、当時の人気の銃はベレッタのM92だったりグロックのG17だったりが主流だった。

それでもFBIや一部のプロが
「本当に信頼できるのはハイパワー」
と称賛したからハイパワーは玄人が使う銃…というイメージが出来上がった。

だからこの映画でも「玄人の銃」というシンボライズでハイパワーが登場する。

場面が暗かったのと分解状態だったので、Mk.IIIだったかどうかまではわからない。





ジョン・ウィックと同業者で親友(ウイレム・デフォー)が使用するのがハイパワー
データベースもそう断定しているし作品の年代からして
Mk.IIIで間違いないと思うがこの映像ではわからない
発砲シーンはないがプロが使用する銃はやっぱりこれ…というシンボルとして登場した



ターミネーター2

アクション映画に銃はつきもの、ガンアクションはつきものなんだけど残念ながらアクション映画のテッポのシーンは
「ウソだ〜〜〜!」
というシーンが多い。

非常によくあるのが敵から奪った銃をそのままなんのためらいもなく撃ち始めるというシーン。

奪った銃でいきなり銃を持った敵と対峙して、狙いをつけて引き金を引くんだけど、そこに弾が入っているってどうしてわかるの?

特にモデルガンのオートを触るようになってから思い知ったけど、オートは弾倉を込めてもチェンバーに初弾を装填しないで持ち歩くことが多いはず。

分捕った銃は初弾が装填されているかどうかわからないはずなのに、
「なんで確認もしないであんなに調子よく撃てるの?」
とテッポをいじるようになってから疑問に思うようになった。

そういう疑問を解決してくれたのがこの映画だった。





T1000型ターミネーターは人を抹殺して銃を奪う時に
軽くスライドを引いてチェンバーに初弾が装填されているのを確認する
冒頭の警官からベレッタを奪うシーンでもこの病院の
警備員からハイパワーを奪うシーンでもこれをやっていたので
「やっぱりそうじゃないとダメだよね!」と我が意を得た思いがした




このT1000が奪ったのが今度こそ本物のMk.III
ハイパワーといえばやっぱりこれだよね
ジェイムズ・キャメロンさん分かってらっしゃる

この「奪った銃のスライドを引いて初弾を確認」を初めて映画で見せてくれたのがこの映画だったと思う。

上記の「ジョン・ウィック」のシリーズ3作目の「ジョン・ウィック パラベラム」でも、キアヌ・リーブスが
奪った銃をくるっと回して左手に持ち替えスライドを片手で少し引いて初弾を確認、また右手に持ち替える
というアクションを見せてくれて
「上手いなぁ」
と思った。

1作目よりアクションシーンが無駄に長くて正直退屈な映画だったが、アクションの質は確かに高かったと思う。




ボディガード

ハイパワーは玄人が愛用する銃…

という記号論でこの映画でも採用されたのがハイパワーだった。


ケビン・コスナー演じる元シークレットサービスの私立ボディガード。

異常者と思われる人物に付け狙われるアカデミー賞候補のスターの女性に警護役で雇われた。

しかし危機感が全くない依頼者と、警備体制が全くできていないスターの周辺に呆れて「ここには警備しようという意思がそもそもない」と警護役を辞退しようとする…ところがその時に脅迫が本物だと明らかになり…


この映画はどちらかというとケビン・コスナーのプロモーションビデオみたいな、コスナーをカッコよく見せるコスナーによるコスナーのための映画という感じ。

冒頭の先に雇われていたボディガードが囮にされてムカついてコスナーに殴りかかるが、あれだけのウエイト差があるのにパンチも一発もかすらないなんてことがあるだろうか…と思うがそこはそれ。

凄腕のプロだから森の中で目をつぶって、相手の気配でハンドガンを命中させる神業のような射撃能力。

その割にはその直前、ハイパワーに初弾を装填してスターの姉に向けて
「ここに居ろ、動くな」
というシーンがあって、本当のプロなら装填したセーフティがかかっていない銃を、引き金に指をかけていないとしても撃つ気もない相手には絶対向けないはず。

こういうところが素人臭いというか、ウソっぽいんだよなぁ…





(上)コスナー演じるボディガードのハイパワーと(下)タナカのハイパワーMk.III
「ボディガード」は90年代の映画だから当然ハイパワーはMk.IIIに移行していたはずだが
この映画ではMk.IIが使用されている
多分月夜の明かりでキレイな青い肌が映えるから?




(上)コスナー愛用のMk.IIとP7M8と(下)タナカハイパワーとMGCのP7M13
映画では愛用の銃はハイパワーとP7M8という設定
どちらも当時「玄人好み」という評価をされたテッポなので
この組み合わせの意図は明確




いろいろ突っ込みどころ満載なんだけどラストの身を呈して飛び込むケビンと
「しっかりして、逝かないで!」と倒れた彼を抱き起すホイットニーのシーンに
コロッと参ってしまうのでやはりアクションのリアリティは二の次なのかも…



最近ずっとかかりきりになっていたレミントンのM870とブローニング・ハイパワーのMk.IIIでフィルムリサーチしていろいろ遊んでみた。

そろそろ次へ…と思ったけどハイパワーでもうひとネタ…書くかも…



2021年11月6日
















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青木さやか