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映画に登場するプロップガン〜Remington M870およびポンプアクションの
ショットガンが登場する映画「LOOPER」「ターミネーター2」ほか

ShotGuns

映画に登場するプロップガン〜Remington M870およびポンプアクションのショットガンが登場する映画「LOOPER」「ターミネーター2」ほか

しばらく映画の話をしていなかったので、最近手にしたテッポに関連した映画の話をいくつか…

この前猟銃化カスタマイズしたRemingtonのM870にちなんで、ポンプアクション、別名レピーター、別名スライドアクション、別名しゃくりの散弾銃が印象的な使われ方をしている映画を。

散弾銃はいくつかの形式に分かれるが、このフォアエンドを前後にガシャガシャ動かして装填排莢をするポンプアクションはアメリカの警察物とかギャング映画ではいくらでも登場作品を挙げられるんだけど、個人的に印象に残っているものを集めたらなぜかSF映画ばかりになってしまった。

偶然だけど銃についての考証とかディテールが面白い映画は、むしろこういう映画かもしれない。



遊星からの物体X

アメリカの南極基地の越冬隊員たちが遭遇した、文字どおり血も凍るような恐怖・惨劇を描いた鬼才ジョン・カーペンターのSF作品。

この映画は以前にも取り上げたことがあるけど原作はジョン・W・キャンベルJrの小説「影が行く」という作品で、人に乗り移り人間そっくりの姿になって北極の越冬隊員たちを次々と襲う謎の宇宙生物の恐怖を描いて話題になった。

これが1951年に「The Thing(遊星よりの物体X)」というタイトルでモノクロ作品として映画化された。

この時代のSFXには限界があったためか、フランケンシュタインのような姿をした植物人間がいつ越冬隊員を襲ってくるかわからない…というスリル志向の映画になってしまってこの作品はあまり評価が高くない。

この小説をリメーク映画化するにあたってジョン・カーペンターは原点に立ち戻って、他の生物を捕食するとその生物そっくりの姿になる「物体」に襲われ閉ざされた南極基地の隊員の誰が人間で誰がその生き物なのか見分けられないという恐怖を描いている。

詳しいストーリィはリンク先の解説を参照。

ここで書きたいのは映画に出てきたテッポの話。

映画の冒頭、犬を追うノルウエイ人はHK93を使っている。

ヨーロッパの派遣隊だからドイツ製の5.56mm小銃を使っている。

それに対してアメリカの南極隊員のマクレディ(カート・ラッセル)は、アメリカ人らしく豪快なポンプアクションのショットガンを使っている。





ノルウエイ人の奇行とノルウエイ基地の惨状を目にしたその晩、彼らの犬舎でも異常が起きる
もう彼らの表情を見れば尋常な緊張状態ではないのがわかる




カート・ラッセルが使用したポンプアクションの散弾銃がこの映画前半では印象に残っている
これもRemingtonだったように思ったがエジェクションポートが右にないのでイサカなのがわかる




ノルウエイ隊の基地に乗り込んだマクレディたちは文字どおり「血も凍る」ような光景を目にした
そのシーンでショットガンがアップになってイサカのM37なのが確認できる


「生物」は全身の細胞一つ一つだけでも生き延びようとする。

たとえ首だけになっても、分裂してやがて人を襲う。

そういう相手にいかに12ゲージの強力なショットガンでも効果がない。

ならば何を使うか…南極探検隊って学術的な派遣隊のはずなのに何でそんな装備を持ってるんですか?さすがアメリカですね…などというツッコミなしに楽しめる映画だ。




ターミネーター

いろんな警察ドラマでアメリカの警察のパトカーには、車載銃として12ゲージのポンプアクションショットガンが積まれているというのはわりと知られている。

日本のパトカーには散弾銃は載せないのであまり日本人には馴染みのない光景だ。

日本ではポンプアクションのモデルガンというとMGCのM31、エアソフトガンだとマルゼンのM870などのRemington系が馴染みがあるので、警官のショットガンというと「レミントン!」と思ってしまうのだが、実際にはモスバーグとかイサカとかの方が警察用としてはよく見かける。

最初のターミネーターは1984年の作品で当時はショットガンのことなんかあまり知らなかったから、冒頭「カイル・リース」がパトカーから散弾銃を盗むシーンでレミントンのM31かなと思っていたが、今になってよく見るとこれもイサカだった。





現在に降り立ったカイル・リースがショッピングセンターで警官を巻いた後パトカーから車載銃を盗み出す
このシーンでやはり右側にエジェクションポートがないイサカM37であることが確認できる
車載銃は普通20インチぐらいの短い銃身のショットガンだがこの銃は26インチに
エクステンドマガジン付きの長大な銃で多分9連発ぐらい装填できると思う




この長大な銃をコートの下に隠して持ち歩けるように金ノコでストックを切り落とす




ストックをソウドオフして紐で肩から吊るす…いかにもゲリラがやりそうな簡易カスタマイズ


カイルが盗み出したこのイサカが最初のターミネーターと出会うシーンで重要な武器となる。

12ゲージスラグ弾は鋼鉄の身体も吹っ飛ばせるほどの威力を見せる。
しかしこの敵にも12ゲージはほとんど効果がない。

アメリカ人には「12ゲージが効く相手」は尋常な敵で「12ゲージが効かない相手」が異常な敵という基準があるような感じだ。



ターミネーター2

そして物語は8年後に新しい敵との出会いという形で再開する。

前回のターミネーターから妊娠期間を差し引くと7歳の少年がショッピングセンターでキャッシュディスペンサーから現金を盗み、オートバイを乗り回しているという時系列大丈夫なの?…という細かい矛盾はさておき…

前作では世間知らずのウエイトレスだった「サラ・コナー」は筋肉隆々の女戦士に変身しており、銃器の扱いも山岳ゲリラ並。

この映画では前作に引き続いて監督を務めたジェームス・キャメロンが銃器の扱いについていろいろなアイデアを見せてくれた。

その一つが「サラ・コナー撃ち」とかミリヲタが呼んでいる牽制射撃。

サイバーダイン社を爆破しようとしていたサラたちのいるフロアにSWATが突入してくる。

突入前の斉射をひとしきりかけてさあ踏み込むぞというタイミングで、サラが照準もせずにワンマガジン撃ち切って銃声を聞かせ突入部隊を足止めするシーン。

なるほど、突入前にひとしきり牽制射撃をするのがSWATの突入マニュアルで、次に踏み込むタイミングで突然相手が反撃してきたら確かに足が止まる。

こういう場面では相手がどこを撃っているかなんていちいち確認できないから、天井を盲撃ちするだけで十分足止めができる。

これは当時結構唸らされたシーンだった。





もう一つの「サラ・コナー撃ち」右肩を刺されて自由がきかないので左手で
フォアエンドを掴んでショットガンを上下に振り次弾を装填する荒技
これを真似してショットガンのエアソフトガンをぶっ壊してしまった
サラコナーなり損ないショットガンナーが全国に大量発生した模様
というか右手で引き金を引けるならグリップを抑えるぐらい
できるはずなのでこれは意味がなかった
まあ、かっこいいけどね




サラ・コナーがこのシーンで使っているショットガンはタクティカルな銃…
という印象だったがよく見ると結構どノーマルなRemingtonのM870
ピストルグリップにフォールディングストックもノーマル純正品で
ストックにシェルホルダーがついているだけの普通のウイングマスターだった


そしてサラ・コナーが連射した相手も12ゲージが全く効果がなかった。

やはりアメリカ人には
「12ゲージが効かない相手=恐ろしい敵」
という基準があるような気がしてならない。



LOOPER/ルーパー

これもSFにジャンル分けされる映画なんだけどCGエフェクトがほとんどなくて、地味な同ポジの「突然現れる」というタイムトラベルの表現を見て派手派手エフェクトを見慣れた観客には
「これひょっとして超低予算映画?」
という誤解が生まれてしまった。

しかしこの映画のすごいところはそういうハリウッド的なこけおどしの部分ではない。

「インセプション」のジョセフ・ゴードン=レヴィットと「レッド」「ダイハード」のブルース・ウイリスが一人二役ならぬ二人一役をこなす。


ルーパーと呼ばれる殺し屋がいる。

彼らは未来から送られてくる見ず知らずの人物を、転送されてきた瞬間に抹殺することで多額の銀の延べ棒を報酬として手にする。

ある日金の延べ棒を結び付けられた人物が現れたら、それは30年後の自分なので殺した瞬間に引退となり「ループが閉じる」。

だから彼らは「ルーパー」と呼ばれる。

ジョゼフ・ゴードン演じる主人公の目の前にも、ある日金の延べ棒をくくりつけられた人物が現れる。

しかし彼は目隠しもされておらず縛られてもいない、とっさに反撃してきたこの人物を取り逃がしてしまった。

この30年後の自分は過去を改変するために現在に現れたことがやがて判明する。

ジョセフ・ゴードン=レヴィットとブルース・ウイリスは実はあまり顔が似ていないのだが、この二人が30年後の自分として違和感がないように入念に特殊メイクがされている。

この特殊メイクを担当したのが日本人メイクアップアーティストの辻一弘(「チャーチル」の特殊メイクを担当)で、この人はアンディ・ウォホールの精密な1分の6モデルを作ったり最近では現代アートの世界で著名な人、いまやハリウッドではいくらお金を積んでもなかなか雇えないという人物。





現在の「ジョー」と30年後の「ジョー」を演じるジョゼフ・ゴードンとブルース・ウイリス
この二人が出会うことで物語は不可解なタイムパラドックスへと踏み込んでいく
この二人が同一人物であるということが納得できるように二人には自然だが入念なメイクがされている




30年後のジョーが抹殺しに来たのは一人の子供
その母親はショットガンを抱えて子供を守る
まさにターミネーターの逆バージョン




彼女が構えるのがRemingtonのM870 WingMaster
超ノーマルな猟銃バージョン




まさにこの前APSのCAM870をカスタマイズしたこのバージョン




「この銃はRemingtonのM870といって…」「その銃で顔を真っ二つにできるんだろ。だが君には撃てない」
「私が女だから撃てないとでも思っているの?」「いや相手がビビらないので銃の説明をし始めたからだ」




エミリー・ブラントが構えるRemingtonはまさに26インチのバレルがついたハンティングガン
先日カスタマイズしたレミントンとほぼ同じ外観
ベンチレートリブも前下がりの同じタイプなのが面白い




ディテールを見るとベンチレートリブはレシーバーとツライチで第一橋脚までが
少し盛り上がっていてあとは銃口の前下がりまで直線になっているタイプ
今回のAPSカスタマイズのモデルにしたWingMasterと同じタイプだ




エミリー・ブラントは結構長身の女優さんなんだけど
こうして女性が持つとM870はかなり長く感じる


この映画で鉛弾の代わりに岩塩を入れる非致死性のシェルがあることを知った

8号装弾の仁丹のような鉛玉の代わりに岩塩の砂利玉を入れれば、当たりどころが悪いと失明する危険性はあるものの相手を殺すことはないので確かにホームキーピングガンの装弾としては実用的かもしれない。

この岩塩シェルの傷が突然胸に現れたの見て、ブルース・ウイリス演じる30年後の「ジョー」は自分が殺した標的は狙っていた「レインメーカー」の30年前の子供ではないことを知る。





この映画は他にも印象的なプロップガンが登場する
ジョー達「ルーパー」が使用する「ラッパ銃」




この「未来から送られて来た銃」は実は骨董品のフリントロックマスケット銃の改造銃
最近お世話になっているMovie Firearms Databaseによるとこういうテッポらしい




あと「キッド」ら殺し屋一味が使用する長くて重そうなリボルバー
遠目にはストルムルガー「ブラックホーク」に似ていないこともないが…




これはマグナムリサーチ社のBFRという変態マグナムリボルバー
45-70という異常に長いケースを持ったカートリッジを発射するためシリンダーがショットシェル銃並に長い




マグナムリサーチのBFR
こういう珍しい銃を持ち出してくるあたりこの映画のプロップ担当の嗜好もかなり変態的


2021年10月28日
















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