GHK AKMとマイクロエースAKバヨネット〜AKM本体はベークライト実物グリップ入手…ってそもそもベークライトってなに?(2)
GHKのガスブローバックAKMを入手した話は前回、刺身のつま程度ちょっと取り上げた。
最近東京マルイがガスブローバックをリリースして、モデルガン以外では初めてホールドオープンメカを再現したとか話題になってかなり食指が動いていた。
だけどAKMなのにレシーバーがダイキャストだとかストックがプラ製の木目印刷だとかで昔の電動AK47のトラウマがよみがえってきた。
トラウマなんて大げさなもんじゃないのだが…
昔初めて手にした電動ガンのマルイAK47は最初は「BB弾バラマキ機」としての性能しか期待していなかったから、それほど嫌でもなかった。
最初からゲームでの使用が目的だったから、見てくれはどうでもいい。長さと重さ連射性能からAK47Sに700連マガジンをつけて多弾装ゲームを楽しんでいた。
やがてBB弾バラマキ戦に飽きるとフィールドにも行かなくなり、そうなるとAK47のプラのストック、レシーバーが気になり出してきた。
それでレシーバーをダイキャスト製に、フォアハンド・グリップを木製に交換したが、どうにもグリップが太くて不恰好。
アクションも見た目もリアルじゃない…ということでずっとAKはタンスの肥やしになっていた。
マルイのAKMを見たときにちょっと気持ちが動いたが、ストックが木目印刷したプラ、グリップもABS、レシーバーはダイキャストというスペックを見てAK47のガッカリ感がよみがえってきた。
ストックは木製合板、レシーバーは板金プレスという旧ソ連製のいかつい雰囲気を持ったGHKかホールドオープンメカを再現したマルイかと5秒ほど悩んでGHKにした。
GHKのAKMガスブローバック
実銃は1959年にソ連の主力自動小銃だったAK47の改良型としてカラシニコフが開発
最大の特徴はレシーバーがAK47のキャスト削り出しから板金プレスに変更されたこと
工作に必要な設備とスキルの敷居が大幅に低くなったため発展途上国でも生産可能になった
そのおかげで世界中にライセンス品、コピー品が普及しM16と世界を二分したというが
実際にはアメリカの直接軍事支援を受けた国以外のほぼ全てがAKMタイプを採用した
そのため生産数の記録でギネスブックにも掲載されている
だからやっぱりAKMは板金プレスでないといやいやぁ…なんだけど
GHKも一点気に入らないことがあってグリップがABS丸出し
電動ガンと比べて細く薄く短くとなかなかプロポーションはいいのだが
ベークライトは肉引きしないしプラとは質感が違う
そこでロシアのトゥーラ製と思われる実銃のグリップを購入した
購入したのはいいが穴が小さくてグリップスクリューの頭が収まらない
仕方がないので砥石ビットをつけたリュータでグリップの穴を広げた
それにしてもこのパーティングラインを削った荒々しい工作跡!
実物はソ連製、ロシア製通じてだいたいこんな感じの仕上がりらしい
実銃軍用M16のプラスティック部品も相当荒い仕上げだがこれに比べればキレイ
こうしてABS製のグリップを実銃ベークライト製のグリップに交換した
同じような色目だが実銃ベークライトは太陽光の下ではかなり赤っぽく見えるのが特徴
そしてベークライト独特のフレアのような模様が光を浴びると浮き上がる
順番があとさきになったがAKM…およびAKシリーズの分解手順について
AKシリーズは試作型のAK46からAK74まで全く同じ構造(未確認だがおそらく最新のAK12も)
分解の最初はレシーバーカバーの後端のカバープランジャーボタンを押し込んでカバーを上に外す
簡単に外れる電動マルイに対してGHKはこのカバーが恐ろしく硬いが少々叩けば外れる
中にリコイルスプリングユニットとボルトキャリアが見える構造は本物そっくりで
この光景は電動ガンでは味わえない
映画「AK47」を観ると実銃の分解の手順なんかがよくわかる
このリコイルスプルングガイドユニットを少し前にずらすと簡単に外れる
これだけが実銃にはない部品でボルトキャリアが
フレームに衝突しないようにダンパーが入れられている
後端を上に引っ張り出すようにしてガイドレールから外す
するとボルトキャリア、ガスピストン(実銃の場合は差し込んであるボルトも)が抜き取れる
取り出したボルトキャリアユニット
ここまでの分解手順や部品構成はほぼ実銃と一緒
通常分解したレシーバーを上から見た風景もかなり実銃に近い
実銃にない部品はバブルノッカーとホールドストップメカの爪ぐらい
何よりも板金プレスのレシーバーが薄くて向こうが丸見えの光景がリアル
グリップの交換はこのグリップスクリューハブを押さえながら
ねじ込まないといけないのでここら辺までの分解は必要
AK系のモデルを持っている人なら常識に近いがAKはセーフティがセレクターとダストカバー兼用
セーフティポジションはボルトキャリア後ろの隙間を塞いで砂埃や泥が入りにくい工夫がされている
3分の1ほど下に降ろすとフルオートポジション、一杯まで下に降ろすとセミオートポジションになる
AK47ではセーフティレバーが下にオーバーランして破損する事故が起きたが
AKMでは一番下からオーバーランしないようにレバーを止める爪が追加された
セミオートポジションではトリガーを引いた状態でボルトが後退すると
引き起こされたハンマーをディスコネクターが引き止める
トリガーを離すとディスコネクターが外れて少しハンマーが戻るがシアに止められる
このシアをトリガーが前に倒してハンマーが落ち次の撃発が起きる
この繰り返しで一回引き金を引くと1発だけ発射される
フルオートポジションではディスコネクターもシアも
トリガーを引いた状態ではハンマーを止めない
ハンマーの前についているフルオートシアがハンマーを止めて
このフルオートシアは前進してきたボルトに当たって解除される
このためフルオートでは引き金を引いている限り連射が続く
引き金を離すとシアがハンマーを止める
GHKの独自メカのホールドストップの爪
実銃では全弾撃ち尽くすとボルトが開いた状態で止まって弾切れを射手に知らせるので
弾切れに気がつかないでカチッカチッとやる映画でよく見るマヌケなシーンはあり得ないが
ガスガンや電動ガンは弾切れに気がつかないでパカパカ撃ち続けるというシーンがよくある
GHKはこのマガジンの爪を引っ込めておけば弾切れになるとハンマーが落ちなくなる
爪を引き出せば弾の有る無しに関わらずブローバックし続けるので
室内で空撃ちを楽しみたいときにはこちらのポジションがいい
この爪がラジオペンチを使わないと簡単に押し引きできないほど固いので
頻繁にポジションチェンジはしないほうがいいかもしれない
ストックバットのドアは実際に開くので実銃用のメンテナンスキャニスターを収納できる
グリップ交換して外観上の欠点が消えたGHKのAKM
このサイズで見て特に欠点とかリアルでない部分を見つけられない
ストックは旧ソ連時代の実銃によくある板目・柾目を交互に重ね合わせた合板木材製
質の悪い木でも充分な強度を出すためにこういう工作にしたと思われる
この合板の合わせ目が木目みたいでとってもキレイだ
マガジンはガタがない硬めの固定なのはいいがマガジンキャッチピンが
きちんとカシメられていなかったのでマガジン脱着を3回も繰り返すと
マガジンキャッチが外れてマガジンが抜けなくなる
万力に乗せて金槌でキャッチピンを叩いてカシメて解決したがちょっとヒヤヒヤ
AKMの外形上の大きな特徴は竹ヤリ型のマズルサプレッサー
元は円形だったサプレッサーを斜めに切ったのは
フルオートの時にエキストラクターがケースに引っ張られる反動で
銃身が右斜め上にぶれる傾向があったのでこの形になった
ハンドガードは正直言って実銃よりかなりキレイでこれが欠点と言えなくもない
アッパーは一本木材でボトムはストックと同じ板目・柾目交互の合板製
しばらくはキレイな状態で楽しんで飽きたら全体にウエザリングを…と思っているが
このキレイな木目を見るとウエザリングするにも気後れしてしまう…
レシーバーは板金プレスでかしめた工作の跡がしっかり残っていてとてもリアル
唯一の刻印がレシーバー前部にあって製造年とシリアルナンバーと思われる
リアサイトはタンジェントになっていて至近距離のペーはпохожиからきてるのかな
単位は100メートルで最大1000メートルの照準が可能に見える
しかしAKの30口径弾の実用射程距離は300〜400メートルと言われるから
飾りに近いのだがドイツに習って見栄を張ったかな
GHKで感心するのがクリーニングロッドがほぼ実銃サイズのものがついていること
無理すればこれでインナーバレルの掃除もできなくもない
ちょっと傷がつきそうでやる勇気はないがマルイのガスブローバックにも
リアルサイズのクリーニングロッドがついていないので細かいところだが優位
例の木ストックの合板の木目
フロントハンドガードの合板の木目
交換した実銃用グリップには「1-1」という凸型刻印が打たれている
これがツゥーラ製のグリップの特徴なんだとか
こちらの別のグリップには「4-2」と打たれている
詳細は不明だがロット番号とロット内の通し番号ではないかと思う
おそらく工場内の検品で不良が見つかったら同一ロットを追いかけるため
通し番号はロット全部を把握したかのチェックのために打たれているんだろう
99-99でまた1-1に戻る二桁限定のシリアルなので出荷前検品専用という感じだ
これを撃ってみてリアルテッポ好きがみんなガスブローバックにハマる理由がわかる気がした。
同じエアガンでも電動とは全然別物だ。
サバゲーの勝ち負け・ヒット率にこだわるなら電動ガンを使うべきだ。
だがサバゲーなんかどうでもいい、海外で射撃体験したあの感触が忘れられないという人はガスブローバックを試してみたほうがいい。
トリガーを絞ってシアが切れた瞬間に反動が来る実銃の独特の雰囲気は電動では味わえない。
この感触だけは言葉では言い表せない、経験した人には言葉にする必要もなく通じる感覚だと思う。
GHKのブローバックのキックはかなり強い。
それにAKシリーズのボルトハンドルはボルトキャリアに直付けされているので、ブローバックのたびに前後にガチャガチャ動く。
これがスイッチシューティングに向いていないと言われる理由でもあるが、見た目が派手で豪快だ。
フルオートを撃つと止まった時に「チーン」という感じでバネが鳴るのもリアルだ。
これは室内で空撃ちするだけでも楽しめる。
ボルトの後退量はフルストロークではないので、フルストローク化するスチールパーツキットも以前は販売されていたらしい。
ただストロークが強いので、フルストローク化するとレシーバーがへたるという噂も聞いた。
そのためにGHKは意図的にダンパーをレシーバーに入れてボルトの衝撃を受け止めストロークを短くしているようだ。
海外製品には珍しく、結局いろいろカスタマイズしないで箱だしが一番調子が良いようだ。
ザラザラの削り跡が残るベークライトグリップをつけて
6kh3バヨネット(もどき)も取り付けできるようになったAKM
ナイフグリップの塗装もソ連のストックは概ね赤っぽい印象があるのでそう仕上げたが
ところでこのベークライトって本来はどんな色をしているんだろうか
というよりそもそもベークライトって何?というということが気になってきた
前回6kh3バヨネットを塗装した時に、実物のナイフグリップはベークライト製という資料を読んでベークライトの色調を出すためにいろいろな色を混ぜて筆でフレア楓のムラを再現したことを書いた。
実物のベークライトってどんな色なのか、そもそもベークライトって何なのか…気になって調べてみた。
そしたらWikipediaに「石炭酸樹脂」という説明を見つけた。
あっ、なあんだ石炭酸樹脂って、それよく知ってるぞ。
ガバのグリップで「ベークライト樹脂タイプにこだわる」とか散々言っておいて今まで知らなかったなんて…
「石炭酸樹脂」という言葉を初めて知ったのは飛行機マニアだった当時
イギリスの全木製超高速戦闘爆撃機・偵察機の「モスキート」が
石炭酸樹脂を使用したモノコック構造という記述を飛行機の本で読んだ
第二次大戦の初頭、各国の高速戦闘機の最高速度がやっと時速500k/hに乗ってきた当時、イギリスの謎の木製偵察・戦闘機のモスキートは時速600k/hに乗せてきた。
ドイツの高速戦闘機がいくら襲いかかってきても、100キロも速度が違うと完全に置いてきぼりにすることができた。
だから偵察機型は武装は何も積んでいなかったが、これが英空軍の癇に障って採用されるまでは紆余曲折があったという伝説的な飛行機だ。
しかも英軍はモスキートの諸元を秘密にするために「レーダーに映りにくい全木製」などと発表していたが、実は生木をそのまま使っていたわけではなく石炭酸樹脂で圧縮接着加工した特殊な合板を使用していた。
当時のリベットだらけだった金属製の戦闘機と違って、機体の表面はカンナとサンドペーパーでツルツルに加工されていたそうだ。
それも謎の高速化に寄与した。
この話から石炭酸樹脂という言葉が記憶に定着した。
私らの世代の子供時代の家電製品は、電気製品の筐体はまだプラスチックよりも石炭酸樹脂の方が多かった。
昔のラジオやトースターの筐体、炊飯器の取っ手、工具のグリップ、通電テスターの筐体などにべっ甲模様のような茶色の樹脂が多く使われていた。
今にして思えばあのべっ甲模様の樹脂はみんな石炭酸樹脂だったんだと思い当たった。
そしたら急にベークライトの感触が身近なものに感じられた。
こちらは旧ソ連製の6kh4バヨネット
ナイフグリップとシースカバーにベークライトが使用されている
アップで見るとこんな感じの木目とも違う独特のべっ甲模様のような色むらがある
そうそう、子供時代ウチにあったトースターとかの外側はこんな色してたわ…と思い当たった
これはハンガリー製の6kh3タイプのバリエーションのバヨネット
グリップ部分にベークライトが使用されている
上のソ連製より暗い色だが合成樹脂なのでもちろんどんな色にも着色できる
ただABSなどのスチロール系樹脂と違ってどうしても色むらが残るし
表面はピカピカにならずにざらつきが残る…そして一度削ると研磨剤でもピカピカに戻せない
その幼い頃の記憶を辿ってなんとか感触を思い出しながら
塗装したマイクロエースのプラモデルバヨネット
こちらAKMに取り付けたロシア製の本物のベークライトのグリップ
ベークライトはアップでよく見るとこのように光を反射するフレアのような
模様が細かくあって本当は塗装での再現はかなり難しい
蛍光灯下では茶色に見えるのに外光では赤っぽく
見える色の変化も多分このフレアが原因
そしてパーティングラインを削った後をうっかりサンディングして
研磨剤で磨いたりしたらえらい目にあう
AKMはストック、グリップ場合によってはベークライトのマガジンも
つけていたりするがそれぞれ色がバラバラなのが実にソ連っぽい
なんとなく塗装のヒントは得たので
近いうちにマルシンのP38のリアル化も目論んでいたが
ABS丸出しのマルシンのグリップをどうするかずっと考えていた
あれもベークライトなのでこのテクニックが応用できるはず
2021年11月17日
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